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地方で働く選択肢について

現在地方で働くという選択肢が注目されていますが、例えばインフルエンサーが田舎に移住して発信したりすることで、地方で働いている人の情報に簡単にアクセス出来るようになっています。人によって考え方や価値観も異なりますが、東京などの都市に行って仕事をするのが良いのか、地方で仕事をするのが良いのか迷っている方に向けてそれぞれのメリット・デメリットを解説していきます。また、それぞれのメリットを活かした新しい働き方も近年出来るようになっていますので、そういった働き方についても解説していきます。

日本の人口予測

地方で働く上で知っておかなければいけない情報が日本の人口の推移の予測です。2020年時点で約1億2000万人いた人口も2030年には1億1600万人。そして2040年には1億700万人、2050年には9700万人になると予測されており、2050年には1億人を切ってしまうのです。人口予測の精度は高いと言われています。したがって、政府が抜本的な改革を行わない限り、この数字から大きく乖離するという可能性は低いでしょう。10年単位での予測を見ても、あまり実感は湧きづらいかもしれません。しかし、実際に2020年時点で前年から50万5046人減少しているという事実があります。鳥取県の人口が約57万人です。つまり、1年で鳥取県の人間がほぼいなくなってしまうのと同じ規模で日本の人口が減っているということです。それほど日本の経済規模は縮小していくのです。

人口が減ると起こること

経済規模が縮小していくということは財やサービスを購入してくれる人が減るということになり、次第に企業の数も減ります。企業の数が減るという事は雇用者の数も減るという事です。つまり将来的に地方で働こうとすると、縮小していく経済の中で減少する雇用を勝ち取り生きていかなければならないので、給与面でも人口の多い場所と比べて悪条件になる可能性が高いでしょう。
人口減少により地方の経済規模が縮小し待遇面が悪くなると、若年層が東京などの都心へ移住するインセンティブがより働きます。つまり地方と都心の人口増減の二極化が起こるのです。実際、総務省の統計局の国勢調査報告という資料をみると、東京、神奈川、千葉などは2000年~2010年の10年間人口が増え続けていますが、秋田、青森、高知、岩手などの県は10年間人口が減少し続けています。東京は4%以上の増加率なのに対して秋田県はマイナス4%以上の減少率となっているのでここでも8%以上の差が出ています。それほど二極化は大きく、今後その動きは加速していくと言われています。

地方と都市の比較をするにあたって

ここまでの人口減少の解説だけを見ると、地方で働くのは良くないのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが決してそうではありません。地方で働くことのメリットも勿論あります。人口減少により経済規模が縮小することが予想されているなか地方で働くという行動のメリット・デメリットと、都市で働くメリット・デメリットを比較しながら解説していきます。これらを比較し自分の価値観と照らし合わせて初めて自分にとって良い働き方が見えてきます。

地方で働くことのメリット

地方で働くことのメリットとしてまず最初に多くの人の頭に浮かぶのが家賃の安さではないでしょうか。東京と地方で家賃を比べると大きな差がありますので、生きていくための維持費が安くなります。そうなると多少給与などの所得が減少しても自由に使えるお金、つまり可処分所得が増える可能性があります。多くのお金を稼いでも支出がかさむより、多少稼ぎが少なくなっても支出が少ない方が良いと考える人には向いている働き方と言えるでしょう。
上述したように、日本の人口減少と都市への人口流出により地方の空き家率は大きく増加することが予測されています。空き家率が高くなるとより安く住むことができる場所が多くなることにもつながりますので、この地方のメリットは今後より大きくなるでしょう。

地方で働くことのデメリット

地方で働くことのデメリットとしてあげられるのは、都市で受けられる便利なサービスなどの恩恵が受けられないということが挙げられます。例えば、都市部のように交通網は張り巡らされてないので移動の際には自家用車が無ければ不便な場合が多いでしょう。また、UberEatsやコンビニなどの便利なサービスも基本的に都市の方が充実しているので、そういったものを利用できない不便さはあります。また、仕事内容も地方は都市に比べて先進的なものは少ない傾向にありますので、最先端の仕事をしたい人にとって地方で働くのは苦痛になってしまう可能性があります。

都市で働くことのメリット

都市で働く人のメリットとしてまず挙げられるのは給与の高さです。東京と地方で比較すると平均給与は東京の方が高い傾向があります。しかし、上述したようにその分家賃も高くなりますので注意が必要となります。その他には、会社員の場合、競争の激しい地域で生き残っている企業や、最先端の企業で働くことができるという点です。新しい考え方を持っている人や、高い能力を持つ人と一緒に働けることで自分にも良い刺激になって、価値観の変化が起きたりする場合もあるでしょう。都市で働く場合はそのようなメリットがあります。

都市で働くことのデメリット

都市で働くことのデメリットは人口密度が高いことがあります。都市に人口が集中していますので、人口密度が高く、地価が高騰している傾向にあります。それだけでなく電車などの交通機関も混雑していますので、電車通勤の会社員であれば満員電車でストレスを受ける可能性も高いでしょう。満員電車が嫌で職場の近くに住もうとすれば家賃はその分高くなってしまうので、ストレスでも職場から遠くに住んで電車で通勤する方が多いようです。

前提が覆る新たな働き方

これまで都市部では待遇面の良い仕事ができ、地方では待遇面が比較的良くない傾向にあることや、先進的な仕事が都市部に集中しており、地方でそういった仕事をすることが難しいということについて述べてきました。しかしこれは、地方の仕事は地方で行う、都市の仕事は都市で行うという前提の元考察した結果となります。一昔前ではこの前提で考えても差し支えないという状況でしたが、現在は技術の発展によりこの前提が必ずしもそうでは無いという状況になっています。地方の仕事は地方で行う、都市の仕事は都市で行うという前提を覆す働き方がリモートワークです。

リモートワークとは会社のオフィスなどに出勤せずに自宅やカフェやコワーキングスペースなど自由な場所で仕事を行うことをいいます。インターネットの普及によってあらゆるやり取りがネットで出来るようになり、必ずしも出社をしなくても仕事ができる人が増えてきています。例を挙げると、ITエンジニアやwebライター、webデザイナーなどがリモートワークを行うことが出来る仕事として挙げられます。リモートワークでは場所を選ばずに仕事ができるため、都市の仕事を地方で行うことが出来ます。このような働き方をすることで待遇面は都市のメリットを享受し、生活コスト面は地方のメリットを享受することが出来ます。つまり、地方と都市のメリット両方を享受できるのです。次の章で具体例を挙げながらイメージしやすいように解説していきます。

ITエンジニアを例にリモートワークを考える

地方と都市のいいとこ取りの働き方の具体例を挙げて解説していきます。この章ではITエンジニアで東京の案件を東京で受けた場合、福岡の案件を福岡で受けた場合、東京の案件を福岡で受けた場合の3つに分けて考え、それぞれの可処分所得を比較します。可処分所得の式は単価−家賃です。実際は家賃以外にも光熱費や食事など生活に掛かる固定費は多数ありますが、簡略化の為に今回は家賃のみで仮定します。

東京の場合

まず、東京の案件を東京で受けた場合について考えます。東京のフリーランスエンジニアの案件の単価は80〜100万円ほどですが、ここでは80万円の案件を受けたとします。東京の1LDKの家賃の平均は19.12万円という統計結果が出ていますので80万から19.12万を引き、結果、可処分所得は60.88万円となります。

福岡の場合

次に福岡で案件を受けた場合を考えます。福岡の案件の平均単価は東京の0.89倍ということがニアショア機構の都道府県別目安単価情報という資料で公開されているので、80万円の0.89倍で福岡の71.2万円の案件を受けたと仮定します。福岡の1LDKの家賃の平均は7.62万円です。したがって、71.2万から7.62万を引いて、可処分所得は63.88万円です。東京の方が案件の単価が高いのでより稼げそうなイメージがありますが、家賃の平均を考慮すると実は福岡の方が可処分所得は多くなる結果となりました。
ただ今回の考察結果だけで地方の可処分所得の方が多くなるという証明にはなり得ません。自分の働きたい県や地域によって結果は変わってくるので、よく自分で調べてみることをお勧めします。

東京の案件を福岡で受けた場合

最後に東京の案件を受けてリモートで仕事をし、住むのは福岡という選択をした場合の計算をします。東京の案件ですので単価の金額は80万円、住居は福岡となりますので、家賃の金額は7.62万円となります。80万-7.62万で、可処分所得は72.38万円となります。このように東京の仕事を地方で請け負う事が最も可処分所得が増える結果となりました。地方で働きたい方の中でリモートワークが可能な仕事内容であるならば、このような仕事の請負方を選択肢のひとつに入れてみるのはいかがでしょうか。

リモートワークをする場合の注意点

ただ、ひとつ注意しなければならないのはリモートワークを行うためにはスキルや人脈が必要な場合が多いということです。未経験のエンジニアをリモートワークで離れた土地で働かせたいという企業は少ないでしょう。未経験だと分からないことが多く、質問をしたり確認をしたりすることが多くなります。そういった時にリモートワークだと手間がかかります。
したがって、企業は未経験ではなく、ある程度スキルがあり仕事を任せられる人にのみリモートワークを任せる傾向にあると言えるでしょう。つまり、何もスキルがない状態でリモートワークで東京の仕事をしたいと希望するのはあまり効率的ではないと言えるでしょう。このような働き方をするのであれば、都市部でスキルを磨き、人脈や継続的に仕事を貰える状態を作って地方に移住する、という形をとるのが効率的と言えるでしょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は都市で働く場合、地方で働く場合のメリット・デメリットの解説に加えてリモートワークを使って都市の仕事を地方で行うという考え方についても解説をしました。このように場所に囚われない働き方は今後さらに広まっていくと思われます。
この考え方は地方と都市だけではなく、日本と海外にも当てはめることができます。例えば、物価の安い国で日本の仕事をリモートで行うとします。日本の平均年収の441万円ほどを稼ぎ平均年収が220.5万円の国で暮らしたとしたら、その441万円の価値はその国では相対的に倍になります。このように物価の違いを利用して効率的に暮らしていくという選択肢は増えていくでしょうし、グローバル化やインターネット技術の進化によって海外で仕事をすることが難しくなくなる時代も近いでしょう。

ただ、一つ注意しなければならないことがあります。本記事では金銭的な効率面について解説してきましたが、金銭的な効率だけで暮らす場所を決めるというのは得策ではないということです。人間の幸福度は所得の影響も勿論関係しますが、良好な人間関係も大きく影響します。。物価の安い国で日本円をリモートで稼ぎ相対的に豊かになったとしても、周りに友人が一人もいない状態で孤独ならば、それは幸せな生活とは感じない人が多いかもしれません。それでも金銭的な効率を求めたいという人はそのような生活様式を取る選択を行えば良いですし、そこは個人の価値観によります。
自分の幸せ、大切にしたいものは何かをハッキリさせた上で働く場所や、どこの仕事をするのかを決めると後々後悔のしない生活を送ることができるのではないでしょうか。最後までお読みいただき有難う御座いました。