AIプログラマー(エンジニア)の概要について

AIプログラマーとは

AIプログラマーとは、最先端技術であるAI(人工知能)の開発に携わる職業です。要素技術の研究・開発に取り組むエンジニアを指す場合もあれば、AIを用いてデータ解析やシステム開発及び実装を行うエンジニアを指す場合もあるので、職業としての定義は色々あります。ここでは、「研究・論文のリサーチ」、「アルゴリズム・モデル開発」、「PoC、実証実験」、「開発業務」に分けて、以下の業務内容を詳しく見ていきます。

業務内容

●「研究・論文のリサーチ」

最先端であるAI分野は、常に技術革新が起こり続けています。その為、論文を読む事で最新情報を取り入れ、それを踏まえた上での研究を行っていきます。ちなみに、AI開発の現場には、「リサーチエンジニア」という職種が存在します。こちらは、AIにおける、問題の発見から解決までのアルゴリズムの調査・考案・改良、実証コードの作成までをリサーチに基づいて行います。

●「アルゴリズム・モデル開発」

AIが正しく学習していく為の手順であるアルゴリズムやモデルを開発していきます。モデルとは、未知のデータが入力された時に結果を予測出来るようなロジックの事です。モデルを作るには、予測する事象に関するデータが大量に必要です。集めたデータをアルゴリズムにかける事でモデルが構築されます。

●「PoC、実証実験」

開発したアルゴリズムは、正しく動くか検証する必要があります。その際、PoC(Proof of Concept)を行う事で、想定通りに作動しているか、想定外の動きは無いかの確認が取れます。開発者は、その結果を踏まえて開発段階に進んでも良いか、システムの見直しは必要かの検討をします。
※PoC(Proof of Concept)ー本番開発に移行する前に、試行的に機械学習を行う事

●「開発業務」

実証実験によって有効性が確認されたアルゴリズムを元に、AI開発を進めていきます。

役割

●社会的な役割

AIプログラマーの社会的な役割は、AIを用いて人々に便利な生活を提供する事です。
私達が使用するインターネットは、ワード検索をかけた際、自分のイメージに近い情報が表示されるようになってきています。これは、AIが検索をかけるユーザーの意向を分析し、ユーザーが求める有益な情報は何かを判断してくれている為です。他にも、スマホカメラの画像認識機能もAIが活用され、最近では料理レシピや金融投資の考案を行うAI技術も生まれています。

●組織的な役割

企業という組織は、営利を目的としてAIを活用します。そこで働くAIプログラマーの役割は、AIを開発し、ビジネス上でのプラス効果を自社にもたらす事です。例えば、自動車の「自動運転技術」もAIが活用されていますが、自動車メーカーに勤めるAIプログラマーは、より高度な自動運転技術を開発する事で、その機能が搭載された車の販売台数を上げることに貢献します。

必要とされる背景

現在、多くの企業がAIを利用した事業開発を行っており、AI開発経験のあるエンジニアや必要な技術を持っている技術者の需要が非常に高くなってきています。しかし、国内ではエンジニア不足が深刻化しており、それは通常のシステム開発を行う一般的なエンジニアすら不足している程です。自社開発のみならず、受託開発においてもAIプログラマーの需要は非常に高くなっていますので、他のエンジニア以上の高待遇の職業です。

AIプログラマーの実務形態

1日のスケジュール

勤務先や案件によって違いはありますが、基本的にはオフィス内でのデスクワークが多いです。以下は、とあるAIプログラマーのスケジュールです。
8時半 出勤
9時 ミーティング
10時半 データ分析
12時半 昼休憩
13時 データ分析
15時 ミーティング
17時半 勉強会
18時 レポート作成
19時 タスク管理
19時半 退勤
プロジェクトは、大人数のチームで進めることが多く、仕事はメンバーと連携しながら進めていきます。

勤務時間・休日

勤務時間は、大体9時〜18時が一般的です。企業によっては、フレックスタイム制やリモートワークに対応している所もあります。休日は、土日休みの完全週休2日制が一般的です。

年収

企業の規模によって変動しますが、平均的な年収額は「640万円」です。とあるデータによると、某日系大手企業に勤めるAIプログラマーの方々の年収が340〜1,500万円、某外資系企業に勤めるAIプログラマーの方々の年収が800〜1,500万円、某ベンチャー企業に勤めるAIプログラマーの方々の年収が420〜1,500万円、などといったように、外資系企業ではスキルに応じて年収が決まる傾向がありますので、他よりも年収相場が高くなっています。ベンチャー企業も高い水準ではありますが、ベンチャーや事業を初めて間もない「スタートアップ企業」では、可能性として、予算が足りず望んでいる給与に届かないケースがあるそうです。

勤務先の種類

AIプログラマーの勤務先として、主なモノを6つ程紹介します。

1.「大学などの研究機関」

東京大学を始めとした、いくつかの大学にはAI分野の研究室があり、学内でAI分野の研究を行う事は当たり前になっています。

2.「外資系企業」

外資系企業に「AI開発技術者」として就職する選択肢もあります。多くのIT企業がAI関連の技術者を募集していて、例として、「日本アイ・ビー・エム株式会社」があります。

3.「日系大手企業」

「トヨタ自動車株式会社」などの自動車会社は、自動運転技術の開発を行っており、AIプログラマーの採用を積極的に行っています。他にも、「パナソニック株式会社」、「オムロン株式会社」等の家電メーカーでもAIプログラマーの採用を行っています。

4.「Sler(エスアイヤー)」

「野村総合研究所」等のSler会社でも、AIプログラマーの採用を行っています。ちなみに、Slerとは、システム構築から導入の全てを請け負う事業者のことです。

5.「Web系メガベンチャー」

「株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)」等のWeb系メガベンチャー企業でもAI技術を利用した開発を行っており、AIプログラマーを募集しています。

6.「AIベンチャー」

「Shannon」や「リープマインド」等、国内にも多くのAIベンチャー企業が存在します。

AIプログラマーのやりがいや魅力・苦労について

やりがいや魅力

AI技術は最先端の分野で、その新しい技術を用いて今までに無かった機能やシステムを作ることが出来る創造のやりがい・楽しさが魅力の部分です。更に、AI開発は規模が大きいので、AIプログラマー以外にも様々な専門知識や技術を有する人たちと働けるのも魅力の1つです。

苦労

ただ、良いことばかりではなく、その職種ゆえに苦労することもあります。前にも触れたように、AI技術は日進月歩の世界なので、常に知識の吸収が必要です。新しいことに注目して取り入れる知的好奇心を絶えず灯していなければ、途中で折れてしまいます。他にも、比較的新しい職種ゆえに、キャリア形成の具体例が少なく不明確である点が挙げられます。モデルケースとなる先人が現れるまでは、参考すべきモデルが見つけられず苦労されるかと思います。

まとめ

今やAI技術は、様々な分野で利用されるものになっています。今回紹介した自動車や携帯電話などの産業のみならず、農業や医療の分野でもAI技術の応用が採用されています。今後の展開としては、AI技術が一層各分野で活用され、AIプログラマーの需要も一段と上がるという事が予想出来ます。