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  • サーバー管理を行うIT職種とは?

はじめに

サーバー(Server)は名前の通り、ネットワークを経由して多数の特定環境、あるいは不特定多数の環境からアクセスされることが前提となっているコンピュータであるため、普段みなさんが家庭や職場のデスクで利用しているようなパソコンではとても処理しきれません。また通常利用するパソコンは個人で使うことが前提となっているため不要な機能が省かれ、必要最低限のソフトウェアのみがインストールされていることがほとんどです。そのためWindowsOSではパソコン用のWindows Home/Proエディションとサーバー用のWindows Serverが分けて生産されています。

サーバーはパソコンと比べるとスペックが高性能で、多数の環境からのアクセスがあり、機能もたくさん付加されているため管理していくには専門の知識やスキルが必要とされます。IT業界にはそんなサーバーを専門的に管理する職種が存在します。今回はサーバー管理をする職種やサーバーの種類、管理方法、サーバー管理に役立つ資格について紹介していきます。

サーバー管理をする職種は?

サーバー管理をメインで行う職種はサーバーエンジニアです。サーバーエンジニアはインフラエンジニアに分類されるエンジニア職の一つで、サーバー構築やシステム稼働後の運用・保守を行います。サーバー構築とは、あらかじめ決められた要件や設計書に沿ってOSのインストール、基本設定やソフトウェアのインストール等を行う工程です。プロジェクトによってはラックの組み立てやサーバーの収容、ネットワーク機器との配線・接続も含めてサーバーエンジニアが担当する場合がありますが、ネットワーク関連に関しては別途ネットワークエンジニアに分業することもあります。

運用・保守はサーバーに負荷が発生していないか、セキュリティが保たれているか、不審なアクセス等がないか、スペックは足りているか、その他意図しない動作が発生していないか等を監視ツールを導入しながら確認し、問題や障害が発生した際に対応していく他、深夜帯にサービスを停止してメンテナンスを実施します。ネットワークについても同様に運用・保守が必要となりますが、こちらも別にネットワークエンジニアがいる場合はサーバーエンジニアの管理対象から外れます。また運用・保守の対象はサーバーだけではなく、社内ネットワークでサーバーと繋がっている社員が利用するパソコンの管理も対応していく必要があります。パソコンで行う作業はインストールされているOSやソフトウェアのバージョンアップ、ウィルスチェック等ですが、数が多い場合に一台ずつ見ていくことは物理的に不可能なため、大抵の場合はサーバー側で一括管理することが多いです。

サーバーの種類について

サーバーはOSや用途、運用方法によって様々なタイプに分類することができます。一つのプロジェクトにおいて全てを同時に利用することはなく、企業によっては対応案件に偏りがある場合もありますが、全体像を把握しておくことで各々が優先的に学習するべきことが明確になるため、ぜひこれからサーバーの勉強をしようとしている方、すでにIT業界に携わっているもののサーバー管理について理解が浅いという方はぜひ以下に紹介する3つの分類にて概要を頭に入れておくことをおすすめします。

サーバーの分類1・OS(Operation System)

OSはパソコンやサーバーの基本的な機能を担う部分で、サーバーOSとしてはWindows、Linux(Unix)、他にもMacOSやiOS、Android等があります。Windowsの場合は大きく分けて一般的なパソコン用OSとサーバー用OSの2種類ですが、Linuxに関してはディストリビューションと呼ばれる多くの種類のOSがあります。無料で利用できるディストリビューションが多かったり、軽量であったりという理由からかつてはサーバーシステムの多くがLinux系OSでしたが、現在はWinowsOSで稼働しているシステムもあります。それぞれのOSは全く仕様が異なるため、企業によってはどちらかのOS専門のサーバー管理者となる場合もあります。しかし両方のOSの知識・スキルも持っているとより多くの現場で活躍できるようになります。

サーバーの分類2・用途

サーバーは様々な機能を提供します。例えばメールの送受信、データベースの管理、ファイルの転送、名前解決、Webページの公開等です。アクセス元が限られていて小規模な個人用サーバーであればこれら全ての機能を1台のサーバーで運用可能ですが、社内や不特定多数からのアクセスが頻発する場合の負荷や、障害発生時の冗長化、バックアップ等の理由から社内や一般向けに構築されているシステムのほとんどは複数台のサーバー構成となっています。複数台の構成とする場合は用途別にサーバーを分け、それぞれFTP、Web、メール、DNS、バックアップ、データベース、管理サーバー等と呼ばれます。今回挙げた名称は一般的な呼ばれ方と言えますが、会社やシステムの分野、OS等によって異なる場合もあります。また1つの用途に対してサーバー1台とは限らず、それぞれがさらに複数台構成となっていることも珍しくありません。

サーバーの分類3・運用スタイル

サーバーは、当然ながらパソコンのような物理的なコンピュータがあってこそ成立するものですが、その機器をどこに置くかで運用スタイルが分類できます。一番イメージが付きやすいと思われるのが、自社内にサーバーを設置して運用する「オンプレミス」というスタイルです。操作する際やメンテナンスの際は社内にあるサーバーを直接操作することになるため自由にカスタマイズできる他、ネットワークの構築次第ではセキュリティが堅牢になる一方で、精密機器であるコンピュータの設置環境を含めた管理までを自社で行わなければなりません。また必要に応じたスペースの確保も必要です。

オンプレミスでの運用から設置環境の管理や、機器設置場所のセキュリティ管理、また設置場所の確保が省ける運用スタイルが「データセンター」です。データセンターと呼ばれる場所に機器を全て設置し、サーバーの設置、構築や運用・保守以外の部分をデータセンター側に任せることができます。有事の際やメンテナンスの際はデータセンターに出向いて対応を行います。

最後の「クラウド」は近年各企業での導入が加速している運用スタイルで、サーバー関連の一切の物理的な機器を自社やデータセンターに持たず、実際の機器はクラウドサービスを提供している企業側にのみ存在します。そのためインターネット接続可能なパソコンさえあれば、管理画面上でサーバー構築や運用・保守が全て完結できるだけではなく、システム全体のインフラ構築が可能なサービスもあります。自社で構築したシステム内で個別に発生した障害への対応は必要ですが、大元のハードウェア類の障害対応やセキュリティ設定等を自社で対応することなく、サービス提供元に任せることが可能です。有名なサービスとしてはAmazonのAWS、GoogleのGCP、MicrosoftのAzure等が挙げられます。

サーバー管理者に役立つ資格は?

IT業界のその他職種と同様、インフラエンジニア、サーバーエンジニア、クラウドエンジニアになるために必須の資格というものはありません。IT業界における資格は、あくまで客観的に自分のスキルを知ったうえで転職時等に相手にもそれを証明する一つの手段、在籍時の給与アップや昇格の手段、または業務知識を充実させるための手段という位置づけになります。今回はサーバー管理が必要となる職種に就いた際に取得しておくと便利な資格を3つに絞って紹介します。

MCP(マイクロソフト認定資格プログラム)

Microsoft製品に関するスキルや技術が問われる試験で、MCSA(マイクロソフト認定ソリューション アソシエイト)、MCSE(エキスパート)、MCSD(デベロッパー)、スペシャリストの4レベルに分かれています。またこれらの下位にIT全般の知識が問われるエントリーレベルのMTAもあります。各レベルの中でWindows Server、Exchange Server、Azureといったサーバー、デスクトップ、Office365、Microsoft Dynamics等のアプリケーション、データベースのSQL Server、Visual Studio、SharePointアプリケーション等のデベロッパーといった5つのカテゴリに関する知識が問われます。なお資格が認められる仕組みが複雑で、複数ある試験の中から各レベルで必要となる試験に全て合格すると初めて該当の資格が認められるという仕組みになっています。そのためMCPに興味を持った方はぜひMicrosoft社のページにて詳細を確認したうえで学習を始めることをおすすめします。

LPIC(Linux技術者認定資格)

LinuxOSの仕組みやサーバー構築、運用・管理、セキュリティに関する知識が問われる試験で、LPIC1〜3の3レベルに分けられています。LPIC1ではLinuxOSの基本操作、システムの仕様が出題され、LPIC2はその応用編となり、LPIC3は混在環境、セキュリティ、仮想化とハイアベイラビリティといった専門性の高いカテゴリーの中から一つを選択して合格することで資格が認められる仕組みとなっています。なおLPICはそれぞれに下位資格を取得していることが受験の条件となります。またLPICは世界共通の資格ですが、近年はより日本の市場に適した形式の試験としてLinuCという資格も開始されており、こちらも難易度が3レベルに分かれています。

CCNA・CCNP

Cisco Systems社が認定するシスコ技術者認定資格です。Cisco Systems社は主にネットワーク機器を販売している会社で、CCNA・CCNPはネットワークのルーティングや自動化、サイバーセキュリティ、仮想化等に関する知識が問われる内容となっています。シスコ技術者認定資格はアーキテクト、エキスパート、プロフェッショナル、アソシエイト、エントリーの5レベルから構成されていて、CCNAはその中でレベル2となるアソシエイトに当たる資格、CCNPはレベル3のプロフェッショナルに該当します。もちろんさらに最上位のアーキテクトまで取得できれば専門性は高まりますが、一般的にはCCNPまで取得できていればネットワークに関する知識を保有していると認められることが多いです。ネットワークエンジニアを目指す方だけではなく、ネットワークエンジニアとの連携が必要となるサーバーエンジニアにもおすすめの資格となります。

まとめ

サーバーが無いとどんなITシステムも稼働しません。そんなサーバーを専門的に扱えるエンジニアは、分野にかかわらず重要なポジションであり、幅広く活躍できる可能性が高い職種と言えます。近年は多くの企業でサーバーをクラウド化している傾向が見られるため、サーバーの運用・管理の在り方が多様化して学習するべき事柄がさらに多くなっていますが、学習する姿勢を失わずに常に新たな技術を取り入れていけば長期に渡ってIT業界で活躍し続けることができるでしょう。まずは今回の記事を参考にしながら、求人内容や企業の詳細を見て自分の興味を持った方面のサーバーエンジニアを目指し、実際にエンジニアの職に就いた後は少しずつ知識を増やしていってみてはいかがでしょうか。