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  • 注目の高まるKotlinの求人動向を

2017年のGoogle I/O(開発者向けカンファレンス)で発表された、Androidアプリ開発言語としての公式サポートをキッカケに、急速に注目を集めることになったプログラミング言語が「Kotlin」です。比較的新しい稀少プログラミング言語ということも相まって、同じJVM言語であるJavaよりも高年収が狙えるなど、現在のKotlin人気は高まる一方だといえるでしょう。ほかの言語を専門にするエンジニアも含め、Kotlinの求人動向が気になっている方も多いのではないでしょうか?

そこで本記事では、Kotlinが気になるエンジニアの方に向け、プログラミング言語としてのKotlinの特徴やKotlinエンジニアの年収を紹介するとともに、求人例や求人案件の特徴、高年収求人に求められるスキルも含め、Kotlin求人の動向を解説していきます。

Kotlinの特徴

Kotlinは、JetBrains社が開発した、静的型付けのオブジェクト指向言語です。2011年にリリースされたKotlinの開発は「Javaよりも安全」「Javaよりも簡潔」「Scalaよりもシンプル」がゴールとして掲げられており、JVM(Java Virtual Machine)で動作するJVM言語であると同時に、高次関数、データクラス、ラムダ式などの現代的な仕様を持つプログラミング言語でもあります。そんなKotlinにはどのような特徴があるのか?簡単に解説してみましょう。

Javaと100%の互換性

JVM言語であるKotlinは「Javaとの互換性」を重視した開発が行われており、ソースコードからJavaを呼び出す、もしくはその逆が可能など、Javaと100%の互換性を確保できているのが特徴です。ちなみに、Android Studioのベースとなる「Intellij IDEA」を開発しているのはJetBrains社であり、JavaのソースコードをKotlinに変換するAndroid Studioツールも用意されています。

現代的な言語仕様を持つKotlinは、ソースコードを簡略的に記述できること、Null Safetyを仕様として持つことも特徴です。Javaと比較した場合に、Kotlinはソースコードを40%削減できるともいわれており、実際、Kotlinに移行した企業では工数が半分以下になったという事例もあります。またKotlinでは、Nullを許可する型と許可しない型を厳密に区別できるため、NullPointExceptionエラーを抑制でき、結果的にバグのない安全性の高い開発を実現できます。

Scalaよりもシンプル

Kotlinとともに、Javaの代替として人気を集めているプログラミング言語に「Scala」があります。ただし、静的型付きオブジェクト指向という点で両者は共通するものの、それに加えて関数型のハイブリッド言語であるという特徴を持つのがScalaです。また、Javaと相性がいいという特徴を持つScalaですが、Kotlinのような100%の互換性は確保されていません。つまり、同じJavaの代替という性格を持ちながらも、KotlinはScalaよりもシンプルに扱える特徴を持っています。これは、KotlinがJavaを進化させることを主眼にしているのに対し、ScalaがJavaを超える新しいプログラミング言語を目指している、という違いに起因すると考えられます。

学習コストが低い

Kotlinは、Javaよりも簡潔というゴールを目指して開発されており、開発環境を整えやすいこと、Null Safetyを仕様に持つ特徴とあわせ、初心者でも学びやすい学習コストの低いプログラミング言語だといえます。特に、Kotlinと100%の互換性を持つJavaを専門にするエンジニアであれば、学習コストをより低く抑えながら習得できる可能性が高まります。Javaを進化させることに主眼を置いているため、Kotlinを習得したエンジニアからは「Javaには戻れない」という声も出ているようです。

Kotlinエンジニアの仕事

比較的新しいプログラミング言語であるKotlinですが、要件定義・基本設計・詳細設計・コーディング・テスト・デバックといった工程を辿るのは、ほかのプログラミング言語となんら変わるところはありません。ただし、求人案件のほとんどがAndroidネイティブアプリ、もしくはWebアプリケーションなどのサーバサイド開発の2種類であることが特徴です。もちろん、スキルによって担当する役割は異なります。

Androidネイティブアプリ開発

Android開発言語として公式にサポートされこともあり、Kotlinがもっとも活用されているのがAndroidネイティブアプリ開発です。Android版のYahoo!ニュースアプリ、LINEアプリなどにKotlinが採用されているほか、海外ではEvernote、Netflix、UberなどもKotlinを採用しています。コーディング以外にも、システム連携のためのSDK設計・実装・レビューなども行います。

Webアプリケーション・サーバサイド開発

Spring Frameworkのバージョン5.0からサポートが開始されたこともあり、Webアプリケーション開発でKotlinが利用されるケースも多くなっています。Javaと完全互換があり、エラーを抑制したバグの少ないシステムを構築できるKotlinの特徴を活かし、Javaでコーディングされた古いシステムをKotlinで書き換えるなどの事例も増えてきています。

Kotlinエンジニアの求人例

それでは、具体的にどのような求人があるのか?Kotlinエンジニアを目指す方が開発案件のイメージを描きやすいように、公開されているフリーランス向け求人情報をいくつかご紹介しましょう。あるフリーランスエージェントでのKotlin求人数は、検索時で約200件ありました。

フリマアプリ向けキャッシュレス決済サービス開発
・必須要件:Java / Kotlin Androidアプリ開発経験2年以上
・歓迎要件:SDKの開発経験
・待遇:SE、〜95万円/月

美容コスメサイトアプリ開発
・必須要件:KotlinでのAndroidネイティブアプリ開発経験1年以上
・歓迎要件:データ処理、ネットワーク処理、WebAPI連携実装経験
・待遇:SE / PG、〜95万円/月

医療業務サービスサーバサイド開発
・必須要件:JavaでのWebアプリ開発経験3年、Kotlinでのサーバサイド開発経験1年
・歓迎要件:OSSの公開、コントリビュートの経験
・待遇:SE / PG、〜85万円/月

決済系スマートフォンアプリ開発
・必須要件:Kotlinを使った開発経験2年以上
・歓迎要件:iOSアプリの開発経験
・待遇:SE、〜80万円/月

暗号通貨スマートフォンアプリ開発
・必須要件:Kotlinを使った開発経験2年以上
・歓迎要件:金融系の知見
・待遇:PG、〜75万円/月

Kotlinエンジニアの年収は?

まだまだ希少なプログラミング言語だということもあり、Kotlinのフリーランス向け求人案件は、ほかのプログラミング言語と比較しても高単価であるのがわかります。求人案件の平均は約85万円程度ですが、最高単価125万円という案件もあり、PG向けの最低単価でも55万円となっています。

それはプログラミング言語別の、会社員給与の調査にも反映されています。2020年の調査によれば、Kotlinの下限平均年収は約450万円で全体の5位にランキングされており、1位のR、2位のGoとは20万円程度の差がありますが、4位のScalaとほぼ同等の年収が狙えることがわかります。11位に付けるJavaの下限平均年収が約390万円であることを考えれば、いかにKotlinエンジニアが厚遇されているかがわかるでしょう。

Kotlinエンジニア求人の特徴

ただし、Kotlinの開発案件数がまだまだ少ないのも事実です。RやGoと同程度の案件数はあるものの、Javaに比べればその数は約1/10であり、求人の状況は比較的新しいプログラミング言語ならではの特徴を持っていると言えそうです。また、それに関連したKotlinならではの求人の特徴もあるようです。

Kotlinが歓迎要件の案件もある

Android開発言語として公式サポートされたことで一気に注目されたKotlinですが、まだまだリリースされてから10年に満たない新しいプログラミング言語です。優秀なKotlinエンジニアの絶対数が不足しているという状況もあり、歓迎要件として求人する企業も少なくないようです。具体的には、JavaやAndroidアプリの開発経験と必須としながらも、Kotlinのスキルを持つエンジニアを優遇するパターンです。特にJavaエンジニアであれば、比較的簡単にKotlinを習得できるため、入社してから覚えてもらえばいいというスタンスの企業が多いのかもしれません。

スピード感が求められる傾向がある

簡略的な記述ができる、エラーを抑制したバグのない開発ができるという特徴を持つKotlinは、スタートアップやベンチャー企業などで採用されることも多く、その分、スピード感を重視した開発案件が多い傾向にあります。常に新たな技術を追い求める、技術力に定評のある会社がKotlinを採用する傾向もあり、これもスピード感が重視される求人の特徴につながっているのではないでしょうか?こうした企業では、JavaをKotlinで書き換えるような開発案件も多く見受けられます。

未経験でもKotlinエンジニアになれる?

公開されている求人例を見てもわかるように、Kotlinに関連する案件では実務経験が重視される傾向があります。実務経験のないまったくのプログラミング未経験者が、Kotlin案件を獲得するのは非常に困難だといえるでしょう。ただし、Kotlin以外の実務経験を持つエンジニアの方であれば、意外とすんなり案件を獲得できてしまう可能性もあります。これは学習コストが低いKotlinであれば、他言語での経験を活かしながらもスキル習得できる可能性が高いからです。特にJavaに精通している、あるいはAndroidアプリ開発経験を持つエンジニアあれば、Kotlin未経験でも歓迎される可能性があります。

高年収求人に求められるスキル

Kotlinの知識・スキルの高さが収入の高さに結びつくのは間違いありませんが、Kotlinの開発工程に特殊なところがないのも事実です。つまり、Kotlinのコーディング技術だけでは年収が頭打ちになってしまうのが当たり前であり、高年収を狙うためには上流工程を担当できるスキル、マネジメント経験などが求められます。Kotlinはスマートフォンアプリ開発で活用されることが多いため、SDKやSwiftのスキルもあれば、iOSも含めた統合的なプロジェクトにも参加できるでしょう。

まとめ

スマートフォンアプリの市場は広大であり、日本におけるAndroidアプリのシェアも年々拡大しています。Android開発言語として公式サポートされるKotlinには、大きな将来性があるといえるのです。さらに、Javaの代替としてサーバサイド開発への活用も進んでおり、特徴を活かした進化を現在でも継続しているのがKotlinです。比較的学習コストが抑えられるメリットを活かして、Kotlinエンジニアにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?