はじめに
近年IT技術は進化してきており、世間一般にその技術が普及してきました。その一方ででIT業界に携わる人材不足が常に生じており、日本政府がこの状況を打破しようとITの技術を持った人材を育成する取り組みを実施してきました。この記事では確かなITスキルを持つ人材育成の指標や到達基準などを示すITスキル標準についての概要を記載していきます。
ITスキル標準（ITSS)とは？
ITスキル標準は経済産業省より策定された、多岐にわたるITサービスを、職種や専門分野によって分割し、それぞれに必要な能力を示した指標になります。自身が所持しているITスキルを客観的に分析し、伸ばすべきITスキルを明確にすることが出来るので、IT業界でのスキルアップのためには非常に重要な指標となります。
ITスキル標準は７段階のレベルが設定されており、それぞれに明確な基準が存在します。以下にその基準について記載していきます。
レベル１~２（エントリーレベル）・・情報処理に携わる者として、必要最低限の知識を有していると見なされ（レベル１）、上位者の指導の下、与えられた業務を遂行出来るITスキルが身についているレベルになります（レベル２）。また、上位のレベルに向けてまだまだ自己研鑽を積む必要性があります。
レベル３~４（ミドルレベル）・・与えられた業務を自分の力で遂行でき（レベル３）、さらに培ったITスキルを活かして、後進育成が可能な人材として認定される（レベル４）ようになります。開発スキルに関しては自己研鑽を積む必要がある段階になります。
レベル５~７（ハイレベル）・・レベル５では、企業内にてハイエンドプレーヤー（トップクラスのITスキルを有している人）として認定され、自他ともに経験と実績を残していると言えるレベルにになります。レベル６ではその範囲が国内全体に及び、レベル７になると海外にまで及び、世界で通用する人材として認定されます。
以上が各レベルによって求められるITスキルの指標になります。レベルが高いほど社内での評価も高くなり、その指標に向かってスキルアップ・キャリアパスを検討して自己成長をし続けていくことができ、モチベーションの維持にもつながるかと思います。次にITSSに対応づけられている資格について紹介していきます。
ITスキル標準に対応している資格とは？
上記について、対応している資格について、レベルとともに記載しています。
ITパスポート試験（レベル１）・・経済担当大臣より実施されている資格試験になります。業界初心者の方にお勧めの資格で、IT業界で働くにあたり必要最低限の知識が試されます。試験はストラテジ・マネジメント・テクノロジと3つの分野があり、各分野で3割以上かつ全体で６割以上の得点取得で合格となります。
基本情報技術者試験（レベル２）・・システムエンジニアとして働くに当たり登竜門として認識されてきた資格試験になります。情報処理における基礎知識に加え、応用的な内容も出題されます。合格率も約20%前後と難易度は高めの試験になります。
応用情報技術者試験（レベル３）・・基本情報技術者試験の内容をさらに深く掘り下げ、発展的な内容が出題されます。試験形式、合格点等は基本情報技術者試験と共通する部分が多く合格率も約20%前後ですが、受験者層が大きく異なり、実務経験のある人が多くなるのと、午後の試験が記述式となるので、一筋縄とはいかない資格試験になります。
高度情報処理技術者試験（レベル４）・・応用情報技術者試験よりさらに高度な資格試験であり、ITストラテジストやプロジェクトマネージメント、ネットワークスペシャリストなど各種類に分類されており、自身のキャリアに合った資格取得が可能になります。この資格を取得していると、システムエンジニア、IT技術者として非常に高いITスキルを有していると認定されます。
Oracle Master(レベル１~４）・・ITスキル標準と対応づけられているのは国家資格だけでなく、企業が提供している資格試験にも対応しています。1つの例がOracle社が実施しているOracle Masterです。Oracle社のデータベースの知識・扱いに関して基礎の部分から発展的な内容まで出題されます。Bronzeでレベル１、Silverでレベル２、Goldでレベル３、Platinumでレベル４に該当します。
上記以外にも、Java Silver/GoldやLPIC、CCNA等の資格試験がITスキル標準に対応しています。どの資格が対応しているかについては一度調べてみることをおすすめします。ちなみにレベル4に関しては資格試験以外にも実務経験での認定が必要で、レベル5以上ではそもそも対応する資格試験はなく、実務経験が主に判断材料になります。
まとめ
この記事では、ITスキル標準に関しての概要と指標レベルについて記載してきました。IT業界でスキルアップを目指すなら、この指標を基盤にして学習・経験を積んでいくことがキャリアアップの近道になります。ITスキル標準を今後の自身の目標設定やキャリアパスの参考にしていただくことをおすすめします。ご拝読いただきありがとうございました。