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  • よく聞く顧客折衝って何?顧客折衝力が

就職活動や転職活動をしているとよく耳にする「顧客折衝」という言葉ですが、一体どのような意味を表すのでしょうか。また、この顧客折衝力を持っているとどのような場面で役立てることができるのでしょうか。今回はビジネスシーンで非常に有用なスキルの一つである顧客折衝力について深く掘り下げていきます。

顧客折衝とは

そもそも「顧客折衝」とは、「顧客と話し合いながらお互いに納得のいく合意点を見つけ出すこと」です。「顧客」という言葉が入っていますが、顧客折衝とは何も接客業だけに限って使われる言葉ではなく、むしろ政治や営業シーンにおいて特に多用される言葉です。顧客と見積もりの内容や納期などについて駆け引きをしながらやりとりをしていきますが、どちらかの一方的な要求のみではもちろんうまくいきませんし、反対に相手の顔色を伺いながら人情的な対応をしたからと言って、うまくいくというものでもありません。利害が一致しない相手との話し合いをうまく成立させるためには、相手の立場に立って物事を考えることが非常に重要です。自分が相手に対して要求している内容は納得してもらえるのか、納得してもらえそうにないのならその理由はなぜか、こちらの妥協点はどこか、などとラインを設けながら話し合いを進めることが大切になります。

折衝の類義語とその違い

「折衝」は「せっしょう」と読み、「①有利に事が運ぶように、利害関係が一致しない相手と駆け引きをすること、②外交その他の交渉の相手との談判・駆け引き」という意味があります。お互いが納得して話し合いを進めていくというよりかは、「相手に落とし所を決めさせ、その折り合いをつけるための話し合い」というようなニュアンスが強く、簡単で軽い話し合いというよりも、内容が複雑な話し合いの場面で多く使われる用語で、主に外交的・政治的な公の場で使用されます。折衝という言葉は中国の「敵が衝(つ)いてくる剣を折って攻撃を防ぐ」という言葉が元になったと言われており、語源からも分かるように戦いの要素を含んでいる難しい話し合いだということが何となくでもお分かりいただけたのではないでしょうか。下記で類義語を3つ紹介しますので、それぞれの意味と折衝との違いを理解し、区別して使い分けができるようにしましょう。

類義語その1:交渉

「交渉」とは「相手と話し合いをして何らかの取り決めをしようとすること」です。一見「折衝」と同じ意味にも思えますが、折衝と交渉の大きな違いは、「交渉」の場合は「お互いの利害が一致する可能性もある」ということです。つまりどちらかというと、お互いが納得して話し合いを進めていくというイメージが強い言葉です。

類義語その2:渉外

「渉外」とは「外部と連絡・交渉すること」です。基本的にはあまり使われない言葉なので聞き慣れない方も多いかもしれませんが、金融業界や百貨店業界など一部の業界では「渉外担当」や「渉外業務」などという言葉を営業職代わりに使用します。上記のような業界では特定の顧客に対する営業活動を「渉外」と呼びますが、「折衝」は対象となる顧客が限定されていないという点でも異なっています。

類義語その3:取引

「取引」は「物品を売買する際に金銭の授受を行うこと」で、商人と商人や商人と客の間で行われる経済行為のことです。つまり話し合いの場面では双方に利益が出るために進めていくのが特徴で、お互い自分の欲しい利益のために条件を提示し合って交渉をしていく話し合いです。

顧客折衝力を身につけるためには

顧客折衝力がある人とは具体的にどのような人のことを指すのでしょうか。また、顧客折衝力を身につけるためには何が必要でしょうか。

顧客折衝力が高い人の特徴

自分側の要求やその理由・背景を分かりやすく説明することができる

折衝力が高い人はいわゆる説明上手であることが多いです。相手へこちら側の要求を伝える際に、どのような理由や背景があってこのような要求を希望している、ということを分かりやすく論理的に話すことができるというのは、交渉の場において非常に重要なスキルです。話の内容に筋が通っていて一貫性があるため、話の説得力も増します。繰り返しにはなりますが、顧客折衝とは話し合いをしながらお互いに納得のいく合意点を見つけ出すことであるので、相手に自分たちの要求をうまく伝えられなければその妥協点を探ることは難しくなります。このスキルは必須と言えるでしょう。
論理的思考ができる人は話の筋道がわかりやすいですが、共通しているポイントは結論から話し始めるということです。面接の質疑応答などでもそうですが、質問に対して色々と理由を述べているうちに話の着地点が想像とは違うところになっていたりした経験はないでしょうか。このようなことを防ぐためにもまず結論から伝えて、その後にそこに至った理由や背景を説明すると自分の中でも整理がしやすく、話を聞いている相手へも分かりやすい説明をすることができます。
また、ある物事に対して事実である部分と想像の部分をきちんと切り分けて考えることも重要です。この両者を混同しながら話をしてしまうと、自分では理解している内容でも相手側の認識には自分と差異が生じてしまう可能性があるので、その辺りも意識しながら話をするとより良いでしょう。

相手の立場で物事を考えることができる

こちら側の要求を分かりやすく伝えることができるスキルは重要と前述しましたが、同じくらい重要なのが相手の立場で物事を考えることです。双方が自分の要求を伝えるだけでは話し合いと呼ぶことはできません。自分たちの要求に対して相手側のメリット・デメリットはなにか、デメリットに対してどこまで妥協してもらえそうなのか、相手の要求の本質は何か、などのように、相手の立場で物事を考えられるということは非常に重要です。このスキルも持っていると顧客折衝の際にどこで折り合いを付けられそうなのか、ということを考えやすくなるでしょう。
相手の立場で物事を考えるということは何もビジネスシーンに限った話ではなく、日頃の私たちの人間関係においても相手との友好な関係性を築く上で大切なことです。相手が何をして欲しいのか、何を重要視しているのかなどを理解するためには、企業間の取引であっても個人の間柄でも、まずはその相手をよく知る必要があります。企業間の取引であれば事前に相手企業の情報収集をしておくようにしましょう。話し合いの前には頭の中でシミュレーションをしてみる人も多いかと思いますが、相手の性格や癖などを把握していればそのシミュレーションはよりスムーズになり、そしてより精度が上がるでしょう。そのためにも日頃から観察眼を磨くことが大切です。

具体的な代替案を提示することができる

交渉と違い折衝は利害が一致しない関係性の相手との話し合いになるので、相手側の要求が受け入れられない代わりにこちらの要求も受け入れてもらえない可能性は大いにあります。そのような場合にそのままで終わるのではなく、元の要求のどの部分が引っかかっているのかということを見極めたうえで修正し、代替案を具体的に提示できると相手も同じように応じてくれるはずです。
頭の中で話し合い時のシミュレーションをした際に、ある程度相手からの意見や反応は予想することができるはずです。それらの意見に対して事前に複数の代替案を用意しておくことで、最初に提示した要求内容が受け入れられなかった場合でも次々に代替案を提示でき、話し合いの場を円滑に進めることができるでしょう。

顧客折衝力の身につけ方

利害が一致しない相手との話し合いだからこそ、通常のコミュニケーションよりもより重要になるのは、相手を信頼させて安心させることです。こちらの要求を呑んでもらうための一時的な付け焼き刃の信頼ではなく、時間と実績を積み重ねて徐々に作り上げていく必要があります。時間をかけると言っても、文字通りただ単に時間が経過するのを待つだけでは全く意味を持ちません。実績はどのようにして作れば良いのかと考える方もいるかもしれませんが、話し合いを重ねる中で相手に分かりやすいような伝え方をしたり、専門用語を並べてまくし立てるように話すのではなく、誰にでも分かりやすい言葉で的確にアウトプットすることで次第に相手方からの信頼は得られるでしょう。
また、コミュニケーションにおいて最も基本的なことの一つではありますが、笑顔も顧客折衝において大切なポイントです。無表情での会話はもってのほかですので注意しましょう。話し合いに入る前の挨拶から笑顔でハキハキと相手の目を見て話すことが大切です。こちらが話すときだけではなく、もちろん相手の話を聞いている際にも笑顔で時折相手の話に相槌を打ったり頷いたりしながら、きちんと話の内容を理解していますよ、と伝えることは非常に大切です。

簡単な話し合いの場ではないにしても、結局のところ顧客折衝は相手と自分の間のコミュニケーションがしっかり取れているか、有益な対話ができたかどうかというところに戻ります。全く同じ提案をしてきた2人がいたとして、この場合何が決め手になるのかというと、提案内容以外の部分でその2人に対する印象を比較した結果です。2人のうち少しでも良い印象を受けた方の相手と仕事がしたいと思うことは、おそらく大半の方が自然に感じる感情ではないでしょうか。顧客折衝力というのは、何も特別なことを訓練したり、専門学校へ行って難しい学習をしたりする必要は全くありません。日常生活の中で自分以外の誰かと関わる際に相手に対しての気遣いができていれば、自ずと身についてくるものと言っても過言ではないでしょう。

顧客折衝力が求められる職業

顧客折衝力が求められる職業はもちろん数多く存在しますが、やはりお客様と頻繁にやりとりをしたり交渉をしたりする仕事に就いている場合、業務内容で結果を出すためにはいかに優れた顧客折衝力を持っているかが非常に重要になります。今回はその中でも3つの職業に限定して以下で紹介します。

顧客折衝力が求められる職業その1:営業

まず思い当たるのが営業職ではないでしょうか。人当たりの良さと高い交渉力が求められる営業職ですが、このどちらか一方のスキルを持っているだけでは優れた営業とは言えないでしょう。お客様から仕事を獲得したり、客先に出向いてさまざまな要望に応えたりしなければなりませんが、その際に全てお客様の要求を呑んでしまっていては、自分や自分の会社にとっての利益は無くなってしまう恐れがあります。そのため、お客様の要求はきちんと聞きつつも、自分や自分の会社にとってどのくらい有利な条件を残すことができるかということがポイントになります。個人間でも企業間でも営業職にとって顧客折衝力は非常に重要です。

顧客折衝力が求められる職業その2:接客

接客業はそのイメージ通りお客様と頻繁にやりとりをする仕事です。例えばチェーンの飲食店やファストファッション販売店など、どちらかというと接客力よりも効率さや回転率を重視しているような場合であれば、ある程度マニュアルに沿って対応することが基本となるので、顧客折衝力を各段必要とする場面は多くないかもしれません。ただし、もちろんそのような環境の中でも一際優れた顧客折衝力を持っていた場合には、他者との差別化を図ることができるという点でとても魅力的な人となるでしょう。
接客業の中でもより高い顧客折衝力が求められるのは、飲食、衣服、住まいなど、他にもたくさんありますが、いわゆる高級なサービスを扱っている場合ではないでしょうか。ある程度高級なサービスを提供しているということは、そこへやってくるお客様もその代金に見合ったサービスを求めているというのが至極当然のことです。例えば百貨店の高級服飾店の上顧客がいた場合、顧客側とお店側との間には信頼関係が成立しているため顧客にとって特別感を感じてもらうことも重要です。そのためには顧客の過去の購入履歴から傾向や好きなものを細かく把握したり、どのようなシーンでもパーソナルで最適な提案ができるようにしておく必要があります。全てのものを似合うというのではなく、時には別の商品の方があなたにとってはより良いと理由も付け加えて提案することも大切で、そうすると顧客も安心して買い物を任せられる、とさらなる信頼関係を築くことができます。
また、接客業の場合頻発するのがクレームやお客様とのトラブルですが、これらのトラブルを解決する際にも顧客折衝力は非常に重要なスキルとなります。

顧客折衝力が求められる職業その3:SE

IT業界で働いている人でなければ、SEと聞くとPCを使った作業がメインで、あまり人とは関わらないと考えている方も多いのではないでしょうか。コミュニケーション能力が必要であるというイメージはあまり湧きにくいかもしれませんが、SEもシステム開発をする際にはお客様との話し合いが必要になります。相手にシステム開発の知識がなかった場合、決められた予算や期間内では構築不可能な内容を要求してくる可能性もあるため、SEはお客様が望んでいる機能や実現するためにはどのようにすれば良いのか、なるべく専門用語ではなく分かりやすい言葉で説明する必要があります。この際に顧客折衝力が低いと、お客様のニーズを正確に汲み取ることができずにトラブルにつながりかねないので、やはり顧客折衝力は重要となります。

まとめ

今回はビジネスシーンで非常に有用なスキルの一つである顧客折衝力について解説してきました。どのような職業に就いていてもお客様と交渉しなければならない場面に遭遇することはあり得ます。その場合になるべく自分にとって有利な条件を残しつつスムーズに話し合いを進めるために非常になるのがこの顧客折衝力です。
顧客折衝力は何気ない日頃の生活でも少しずつ鍛えることができるスキルですので、ぜひ身につけていきましょう。ここまで読んでいただきましてありがとうございました。