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ビジネスシーンにおいて意外と書く機会の多いお礼状ですが、皆さんはお礼状を書く際のマナーやNG例などどのくらいご存知でしょうか。今回は実際にお礼状を書くことになった際に、実際に参考にしていただけるように、例文もご紹介しながら説明していきます。

お礼状の基本

そもそもビジネスシーンにおいて、お礼状が必要になる場合というのはどのようなシーンが考えられるでしょうか。また、お礼状は現代では必ずしも手書きのみではなくメールにて送る、ということも多いでしょう。お礼の意を伝えるお礼状やお礼メールは、社内・外問わず相手との信頼関係を構築する上で非常に重要なものではありますが、それと同時に送るタイミングを誤ってしまうと逆効果になってしまう可能性もあります。送るタイミングや書き方、マナーについて今回しっかりと学んでいきましょう。

さて、お礼状が必要になるビジネスシーンは数多くありますが、いくつか主だった例をあげると

・訪問/打ち合わせのお礼
・上司への食事のお礼
・社員への協力のお礼
・取引先の企業へお礼

などが挙げられます。これらに関してメールにてお礼の気持ちを送る場合は、時間が空きすぎていると気持ちが伝わりにくくなるため、基本的には当日中、遅くても翌日には送るようにしましょう。また、形式的なお礼メールだとどうしても相手に冷たい印象を与えてしまいますので、「〇〇様のお気持ちを伺うことができ、弊社としてもより一層尽力していきたいと考える所存でございます。」などのように、何か印象的な事柄があればそれに絡めて温かみのある文章を作成するように心がけると良いでしょう。

また、何か相手方から贈り物をいただいたりしたときにもお礼状は必須です。お礼状には「確かに受け取りました」という受領報告の意味も込められているので、遅くとも3日以内に出すことがマナーであり、これは早ければ早いほど良いです。なるべく早く出すように心掛けましょう。
また、どうしても都合がつかなかった等、お礼状を出すのが遅れてしまった場合でも、お詫びの言葉を一言添えて必ず送るようにしましょう。

お礼状は感謝の気持ちを込めて、かつ簡潔に

お礼状は長い文章を書く必要は全くありません。相手に対する感謝の気持ちと今後の発展を祈る気持ちなどの要点を意識して簡潔にまとめましょう。ただし、文集例の丸写しではお礼状は非常に味気ないものとなってしまいますので、お礼内容を自分の言葉で具体的に述べることで感謝の気持ちがより伝わりやすくなります。文章構成にあまりこだわりすぎず、簡潔でストレートに感謝の気持ちを表現するということを意識すると良いかもしれません。
また、ここで注意したいのが、お礼状に書く内容はお礼状のついでにと仕事上の他の用件などは書かずに、お礼の気持ちを伝えるだけにしておくということです。あくまでも「お礼状」ですのでここを混同しないようにしましょう。
そして、ビジネス文章のお礼状でも「時候の挨拶」を入れ、「拝啓」のような頭語で始める手紙の基本的な書き方をふまえて書くようにしましょう。

時候の挨拶とは

先ほど出てきた「時候の挨拶」とは、季節や天候に応じた心情や季節感を表す言葉のことで、前述した「拝啓」のような「頭語」に続いて書く礼儀文のことです。お礼状送付のタイミングに最適な時候の挨拶とその後に続く「安否を尋ねる挨拶」をひとまとめにして書くことで、より表現しやすくすっきりとした文章になるので、実際にお礼状を書くときにはこの点を参考にしていただくと良いかもしれません。

年中使える時候の挨拶「時下」

ビジネス文章などでは、季節を問わずに年中使用できる「時下」という時候の挨拶を用いることがあります。「時下」とは「このところ」「今現在」などの意味合いを持つもので、春夏秋冬問わずに使うことができるので非常に汎用性が高いです。

【例】拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。

コロナを題材とした時候の挨拶例

2020年9月現在、日本国内はもちろんのこと、まだまだ世界中の多くの国でコロナウイルスがその猛威を振るっています。コロナ禍におけるお礼状の書き出しの時候の挨拶についていくつか例文を載せておきますので、是非参考にしてみてください。

【例】拝啓 秋晴の候、貴社にはコロナ禍においても益々ご隆盛のこととお慶び申し上げます。
【例】拝啓 初秋を迎えましたが、〇〇様にはコロナの影響をものともせず一層ご活躍なさっているとのことで何よりに存じます。
【例】拝啓 涼風の候、貴社におかれましてはコロナ後を見据えて会社一丸となり、社業に邁進されているものと拝察いたします。

お礼状の書き方

では、ここから実際のお礼状の書き方を説明していきます。ネット社会の現代においては、遠く離れた場所にいる相手であってもお礼メールを送信してスムーズにお礼の気持ちが伝えられる便利な世の中になっていますが、やはりいつの時代も形に残る手書きの文章は非常に気持ちが伝わりやすいものです。お礼状の書き方をきちんと理解して実際にお礼状を作成するシーンに役立てていただければ幸いです。

宛名・差出人・日付

メールを送る場合でも手書きでお礼状を送る場合でも、お礼状には、必ず宛名・差出人・日付を記載しましょう。この3点は、訪問や打ち合わせのお礼、贈り物をいただいた際のお礼など、様々なシーンのお礼状に必要となる基本的な項目です。必ず漏れのないようにしてください。

拝啓・敬具などの形式

お礼状には「拝啓」「敬具」といった形式的な挨拶文を記載しましょう。ビジネス上の関係がある相手に対してお礼状を送る場合には、季節の挨拶(時候の挨拶)や「拝啓」「敬具」等の頭語・結語を書きます。
頭語とは、文章の冒頭に置かれる「拝啓」「謹啓」等の言葉のことで、いきなり文章に入るのではなく挨拶の役割を果たしてくれます。一方の結語とは、「敬具」「敬白」等のことで、文章の結びの意を示す役割を果たします。頭語と結語には一定の対応関係があるため、文頭で使用した頭語に対応した結語を文末に使用する必要があります。お礼状の場合は「拝啓」「敬具」を記載しましょう。

お礼状に使うべき便箋と宛名の書き方

簡単にお礼状を書く場合にはハガキでも良しとされていますが、正式なお礼状は白無地で縦書きの便箋を使用します。さらに言及すると黒インクの万年筆を使用するのが良いですが、これは黒ボールペンでも問題ありません。宛名はビジネスシーンの場合、相手の会社名から部署名まで省略せずに書くことを忘れないようにしてください。

お礼状の折り方と封筒の入れ方

お礼状に限らずですが、手紙には正しい折り方と手紙の入れ方があります。

和封筒に三つ折りにして入れる場合

便箋の下1/3を上に折り上げ、封筒を裏にして便箋の右角が封筒の右側に来るようにして入れます。

洋封筒に三つ折りにして入れる場合

便箋の折り方は和封筒に入れる場合と同じようにします。封筒の表書きを表にして、便箋の右角が封筒の右下に来るようにして入れます。

洋封筒に二つ折りにして入れる場合

便箋は下半分を上に折り上げ、封筒を表側を表にして便箋を折り目の方から入れます。

基本的な便箋の書き方

手紙には基本形式があり、前文・主文・末文・後付の4つのブロックから成り立っています。先ほども述べましたが、お礼状も含めてビジネスシーンの手紙はこの流れに沿って書いていくと簡単に礼儀正しい文章の作成ができます。手紙を書く際の基本的なマナーは以下のものが挙げられます。

・文字は楷書で書く。
・相手の名前や会社名は行の中央から上に来るように書く。(敬意表現)目安としては、名前が行の真ん中にかかっていればいいとされており、それよりも下にきてしまう場合には改行する。
・2枚目に後付(手紙を書いた日付、差出人、宛名)のみを書かないようにする。

前文

基本的には①頭語、②時候の挨拶、③相手の繁栄や健康を確信する言葉、④平素の厚情へのお礼の流れで書いていきますが、全てを入れる必要がない場合もありますので臨機応変に都度取捨選択をしてください。
③相手の繁栄や健康を確信する言葉というのは、「ご無沙汰しておりますが、お元気でいらっしゃいますか?」のように相手への返答を促すような書き方ではなく、「ご無沙汰しておりますが、お元気でご活躍のことと存じます。」のように確信を持った表現の言葉ということです。疑問形で書いてしまうとお礼状をもらった相手は返信を催促されているかのように感じてしまう可能性があるため、これを防ぐという意味もあります。

主文

⑤主文の起語、⑥この度の用件を書きます。起語というのは、「さて」「ところで」「さっそくですが」などのような、ここからが用件ですと示すための言葉であります。起語から文章を書きはじめることで、文章の流れが良くなり読みやすくなります。また、前述したように大事な内容が伝わりづらくなる恐れがあるので、用件にはお礼状を書いた理由以外の仕事の用件などは書かずに、一つの用件のみを書きましょう。

末文

⑦今後の厚情や指導を願う言葉、⑧相手の発展・繁栄を願う言葉、⑨用件を結ぶ言葉、⑩結語を書きます。前文同様⑦〜⑨は全てを入れる必要がない場合もありますので、臨機応変に都度取捨選択をしてください。

後付

日付、差出人、宛名を書きます。日付は正式には年月日を書きますが、月日のみでも構いません。差出人は会社名とフルネームで名前を、宛名は相手の会社名、役職名、名前をフルネームで書きます。この際に宛名は差出人よりも少し文字を大きめに書くことで敬意を表現することができるので、覚えておくと良いかもしれません。

まとめ

今回の記事では、お礼状の書き方について、特にビジネスシーンで役に立つ基本的なマナーや、相手によりよいイメージを与えるためのポイントを抑えながら解説させていただきました。
ビジネスシーンにおけるお礼状は、お礼の気持ちを表す文章のみではなく、相手方の繁栄や健康を祈る文章を慣用句を使って簡潔に記します。いくつか実際の文章例も紹介させていただきましたが、お礼内容に対する具体的なエピソードや感想を加えると、より相手に対して気持ちが伝わりやすい文章が作成できるでしょう。
手軽にメールでもお礼を伝えられる便利な時代ではありますが、時には感謝の気持ちを込めた手書きのお礼状を作成してみるというのも良いのではないでしょうか。その際にはぜひこの記事の内容を参考にしていただけましたら幸いです。ここまでお読みいただきましてありがとうございました。