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いまや、一大産業へと成長したゲーム業界。特にソーシャルゲームの成長は著しく、一般の方はもちろん、ITエンジニアのなかにもゲームファンを自称する方は少なくありません。実際、収入を度外視してゲームプログラマーへ転身したITエンジニアの話を耳にすることもあり、プログラミング未経験ながらオリジナルゲームの制作にチャレンジする方もいます。つまり、ゲーム業界はプログラミング経験者・未経験者を問わずに、注目を集めている業界なのです。

それでは、プログラミングスキルを持つITエンジニアなら、即戦力のゲームプログラマーとして活躍できるのでしょうか?プログラミング未経験でも求人への応募は可能なのか?IT業界とはやや異なるゲーム業界の特徴や、ゲームプログラマーに求められるスキル・知識を解説するとともに、ゲーム業界の求人傾向、未経験からチャレンジする方法なども紹介していきます。

ゲームプログラマーの定義

ゲームプログラマーとは、その名の通りゲーム開発時にプログラミングを担当する職種です。もちろん、ただプログラミング・コーディングしていけばゲームが完成するわけではありません。ゲームプランナー・クリエイターがゲームの企画を練り、デザイナーがキャラクターや背景を創り、ゲームプロデューサーが統括するなど、一般的なシステム開発同様の共同作業が必要です。ソーシャルゲーム・オンラインゲームであればバックエンド開発も必要であり、ゲームプログラマーが担当する領域はさまざまだといえるでしょう。本記事では未経験者が携わることの多いフロントエンド開発を中心に、各種コーディングを担当するPGをゲームプログラマーとして話を進めていきます。

ゲーム業界ごとの特徴・必要なスキル

ゲーム業界と一言にいっても、ゲームを楽しむためのプラットフォームは多岐にわたります。プラットフォームが異なれば、ゲームの制作方法も異なるのが当然であり、必然的にゲームプログラマーに求められる知識やスキルも異なります。ゲームプログラマーを目指して学習していても、作りたいゲームが違えば学んだことが役立たないというミスマッチも起こり得るでしょう。まずは、ゲーム業界にはどんな特徴を持つ分野があるのか、それぞれの分野によってどんな知識・スキルが求められているのかを把握するのが重要です。

コンシューマーゲーム業界

PSやXboxなど、家庭用ゲーム機をプラットフォームとしたゲームソフトを主に開発しているのが、コンシューマーゲーム業界です。中小から大企業まで、企業規模はさまざまですが、理系大学や専門学校などの新卒者が積極的に採用される傾向にあります。開発分野が細分化され、それぞれで高度なスキルが求められるのはもちろん、プラットフォームになるゲーム機の制御が必須のため、ソフトウェアだけでなくハードウェアの知識も求められるのが特徴です。C言語・C++などのプログラミングスキルを求められることが多いほか、組み込み系に役立つアセンブリ言語のスキルを要求されることもあります。

ソーシャルゲーム業界

スマートフォン・タブレットなどをプラットフォームとしたゲームアプリを主に開発しているのが、ソーシャルゲーム業界です。ゲーム業界でもっとも市場規模の大きいのがソーシャルゲームであり、モバイルデバイスの拡大とともに更なる成長も予想されています。規模や業種を問わずにさまざまな企業が業界に参入しているのが特徴であり、PCなどをプラットフォームにするオンラインゲームをこの業界に含めてしまってもいいかもしれません。

ソーシャルゲームもオンラインゲームも、バックエンド開発が付き物であるのが共通点ですが、フロントエンド開発を担当するゲームプログラマーに求められるスキルは異なります。ソーシャルゲームではiOS / AndroidといったモバイルOSの知識に加え、Unityなどのゲームエンジン、Swift・Kotlin・Java・Objective-C・C#などのプログラミングスキルが、オンラインゲームではHTML5・JavaScriptなどのプログラミングスキルが求められることが多いでしょう。

アーケードゲーム・パチスロ業界

ゲームセンターなどに設置されるアーケードゲーム機、パチスロ機などをプラットフォームにするゲームを主に開発しているのが、アーケードゲーム・パチスロ業界です。アーケードゲーム機メーカーはそれほど多くありませんが、パチスロ機向けにゲーム・ソフトウェアを開発する企業は多く、ソーシャルゲームを並行して開発しているケースもあります。求められるスキルは企業によってさまざまですが、C言語・C++・アセンブリ言語など、組み込み系の知識を求められることが多くなります。

ゲームプログラマーに求められる資質

こうして各業界の特徴や求められるスキルを見ていくと、システム開発やIoT開発、組み込み系のスキルがあれば、未経験でも求人にチャレンジできそうな気がしてきます。しかし、使うプログラミング言語が共通していたとしても、ゲームプログラマーには一般的なシステム開発とは異なる「ゲームに特化した専門性」が求められます。ゲーム業界特有の専門性に対応していくためには「ゲームが好き」という大前提のほかに「ゲームを作るのが好き」という資質を持ち合わせている必要があります。これは、ゲーム業界全体を通じて求められる大事な資質だといえるでしょう。

ゲーム業界ごとの求人傾向

とはいえ、実務経験のある即戦力人材を採用したいのは、どのような企業であっても同じです。ゲームプログラマーとしての資質を持つ人材であっても、まったくの未経験者はNGという企業もあるかもしれません。たとえば、コンシューマーゲーム業界ではプログラミングの基礎知識を持つ新卒者を積極的に採用する傾向があり、未経験でもチャレンジしやすいともいえますが、中途採用を勝ち取るのは困難だともいわれています。

一方、市場規模が1兆2,500億円を超えるといわれるソーシャルゲーム業界では、相対的にゲームプログラマーの数が不足しており、未経験者でも比較的チャレンジしやすいといわれています。人材の獲得が難しい中小企業で特にその傾向が強く、なかには教育制度を整備する大企業もあります。未経験者であれば、ソーシャルゲーム業界が狙い目だといえるでしょう。

ゲームプログラマーの求人例

それでは、未経験OKのゲームプログラマー求人はどのくらいあるのか?ゲームプログラマーを目指す方が転職のイメージを描きやすいように、公開されている正社員求人情報をいくつかご紹介します。ある転職エージェントで、未経験をキーワードにしたゲームプログラマー求人数は、検索時で19件ありました。

ゲーム受託開発会社のゲームプログラマー求人
・必須要件:C言語・C++の実務経験4年以上
・歓迎要件:Python、Perl、Rubyなどのスクリプト言語知識、意気込みのある方
・待遇:正社員、年収265〜400万円

ソーシャルゲーム受託開発会社のゲームプログラマー求人
・必須要件:言語問わない開発経験1年以上、チャレンジ精神の旺盛な方
・歓迎要件:ゲーム業界での開発経験
・待遇:正社員、年収230〜600万円

ゲーム開発会社のゲームプログラマー求人
・必須要件:自らサービスを作る意欲、論理的思考、成長意欲のある方
・歓迎要件:C / C++ / C#でのネイティブゲーム開発経験
・待遇:正社員、年収400〜600万円

社内研修制度のあるゲーム開発会社のゲームプログラマー求人
・必須要件:プログラミング言語の実務経験、チームワークを重視できる方
・歓迎要件:C / C++ / C# / Python / Ruby / JavaScriptなどの知識・経験
・待遇:正社員、年収300〜700万円

ゲームプログラマーの年収

同じ転職エージェントで、条件なしのゲームプログラマー求人は約180件ほど検索できましたが、未経験OKはそのうちの約1割ほどであるうえ、ほとんどの求人がなんらかのプログラミングスキル・実務経験を求めていることがわかります。ITエンジニアと比較した場合、ゲームプログラマーの年収がやや低めであるのも特徴です。一般的に、大手企業になるほど年収は高くなる傾向にありますが、ゲームプログラマーの平均年収は400万円前後だといわれています。当然、未経験であれば平均よりも低い年収で採用されることが多くなり、求人例を見てもそうしたゲーム業界の傾向が伺えるでしょう。

未経験からゲームプログラマーになるには?

それでは、実務経験のあるITエンジニアはともかく、まったく実務経験を持たない未経験者がゲームプログラマーに転身するのは不可能なのでしょうか?困難であるのは事実ですが、不可能というわけでもありません。以下からは、業界未経験のITエンジニアの場合、プログラミング未経験の場合に分け、ゲームプログラマーになるための方法をいくつか紹介していきます。

業界未経験ITエンジニアのキャリアチェンジ

C / C++ / C# / Swift / Kotlinなど、ソーシャルゲーム開発と親和性の高い言語の実務経験があるITエンジニアであれば、未経験OKのゲーム開発会社の求人にチャレンジできます。ただし、ゲームに特化した専門性を身に付けるまでは、即戦力としてコーディングに参加するのは難しいかもしれません。年収が下がってしまうことも充分に考えられます。それでも、PGとしての経験が充分であれば、ゲームプログラマーへの転身は比較的簡単でしょう。では、PG以外のITエンジニアであればどうでしょう?

たとえば、サーバサイドエンジニアの方であれば、ソーシャルゲーム開発会社に同じ職種で転職し、働きながら業界の知識・スキルを吸収していくという方法も考えられます。サービス運用・保守を担当していたエンジニアの方であれば、デバッカーとしてゲーム業界に転身するのも可能かもしれません。

プログラミング未経験からのチャレンジ

プログラミング未経験の方であれば、目指す業界で使われているプログラミング言語を学び、オリジナルゲームを自作してポートフォリオを用意するのがスタートラインとなるでしょう。書籍を使った独学・オンラインを含むスクールなど、ゲーム業界で利用されるプログラミング言語は比較的学びやすいのが特徴であり、Unityをはじめとした使いやすいゲームエンジンも登場しています。

オリジナルゲームを自作したからといって、必ず採用されるわけではありませんが、ゲームを作るのが好きだという資質をアピールするためにも有効です。正社員ではなくアルバイトとして入社し、知識とスキルを高めていくという方法もあります。

ゲームプログラマーのキャリアパス

需要が高く、将来性も有望されているゲームプログラマーは、確かに魅力的な職種かもしれません。しかし、コーディングだけを担当しているのでは、大幅な年収アップを見込めないのはIT業界と同様です。ゲームプログラマーがゴールというわけではないなら、キャリアパスも模索しておく必要があるでしょう。プランナー・クリエイター、ディレクターであれば、ゲーム開発というやりがいとともに年収アップも狙えます。

まとめ

未経験からゲームプログラマーに挑戦するのは簡単なことではありません。スタートラインに並ぶだけでも相応の努力が必要であり、高年収が保証されるわけでもありません。一方で、開発に携わったゲームが受け入れられれば、大きな満足感を得られるやりがいのある仕事でもあります。ゲームを作るのが好きという熱意を持ち続けられる方であれば、チャレンジする価値が大きいのがゲームプログラマーだといえるでしょう。