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  • LPICとLinuCの違いについて:

はじめに

私は主にCOBOLをメインに使ってシステム開発を行う技術者です。しかし作成したプログラム等を環境にアップロードするためにFFFTPを使ったり、Linuxでコマンドを実行したりシェルを起動させたりして、ネットワーク関連でLinuxを使わなければならない機会が多々ありました。
Linuxの試験としてLPICというものがあるのは知っていましたが、Linuxに名前が似ているLinuCという試験もあり、正直ややこしいですよね。Linuxを学ぶにしても、その前にある程度調べておけば後に続く私のような初学者にも役立つのではないかと考えてこの記事を書いていきます。
(2020年10月現在の情報です。あくまで総論ですので、詳細はご確認ください。)

LPICについて

正式名称は「Linux技術者認定試験(Linux Professional Institute Certification)、エルピック」。2001年5月から認定され、Linux技術者としての技術力を認定する資格です。カナダに本拠がある非営利組織のLinux Professional Institute(LPI)によって運営されています。また、世界規模で行われている世界最大のLinux技術者認定試験で、国際標準の資格のため世界中で有効な資格です。

概要

レベル1~3に分かれています。
レベル1:Linuxの基本操作、システム管理の基本を中心として、Linuxディストリビューションを利用するために必要な知識を幅広く問う資格。101試験と102試験の両方に合格すると認定
レベル2:Linuxの応用的なシステム管理やサーバ構築ができるために必要な知識を問う資格。レベル1に認定されていて、201試験と202試験の両方に合格されると認定
レベル3:LPI-300 Mixed Environment(Sambaを中心としたファイルサーバ・ドメインコントローラ構築に関する技術的な内容)、LPI-303 Security(暗号化やアクセス制御をはじめとしたセキュリティに関する知識)、LPI-304 Virtualization & High Availability(仮想化や負荷分散等が試験の主題)のいずれかに合格し、なおかつレベル2に認定されている必要がある
なおこれらとは別に、より初心者向けの資格であるLinux Essentialsがありますが、こちらは010試験に合格する必要があります。

各試験には5年間の有効期限があり、2種類の試験の合格が認定の条件の場合には、両方を5年以内に合格する必要があります。(Linux Essentialsには有効期限なし)

試験内容

問題数:60問 試験時間:各90分 受験料:各試験毎に15,000円
(Linux Essentialsは問題数:40問 試験時間:60分 受験料:10,000円)
自宅または職場からのオンライン試験も可能です。

LinuCについて

正式名称は不明(調べましたが見つかりませんでした、LinuxのCertificationでしょうか)。呼び方はリナックで2018年3月1日より認定されたLinux技術者としての技術力を認定する資格です。LPI-Japanによって企画・開発されており、日本独自の、LPICを模倣したLinux技術者認定資格です。

概要

大きくは3つのレベルから構成されます。
レベル1は実務で必要なLinuxの基本操作とシステム管理が行えるエンジニアとしての技術力の証明ができるレベル。101試験と102試験の両試験の合格が必要です。
レベル2はLinuxのシステムデザイン、ネットワーク構築において、企画・導入・保守・トラブルシューティング・キャパシティプランニングなどができるエンジニアとしての技術力の証明ができるレベル。有意な(後述)LinuCレベル1を保有し、201試験と202試験の両試験の合格が必要です。
レベル3は専門分野に特化した3つの試験のいずれかに合格し、なおかつ有意な(後述)LinuCレベル2を保有している必要があります。
それぞれ、300 Mixed Environment(Linux、Windows、UNIXのOS混在環境のシステム構築ができ、認証統合とリソースの共有ができる専門家としての証明となるレベル)、303 Security(Linuxサーバを構築・運用するためのセキュリティ知識を持ち、安全性の高いシステム設計やサーバ構築ができる専門家としての証明となるレベル)、304 Virtualization & High Availability(LinuxとOSSによる仮想化と高可用性技術についての知識を持ち、データセンターやプライベートクラウドの構築・運用などができる専門家としての証明となるレベル)となっています。

各試験には5年間の有効期限があり、2種類の試験の合格が認定の条件の場合には、両方を5年以内に合格する必要があります。
また、「有意性の期限」という概念があるのが大きな特徴です。技術の陳腐化が早いIT業界において、最新の技術要素を反映した技術力を保持していることを証明するための概念となります。
具体的には、該当レベルの認定日から5年目の日付を過ぎると、認定ステータスがACTIVEからINACTIVEに変更されます。元に戻す、あるいは認定ステータスを維持するためには、認定日から5年以内に同一レベルの認定の再取得、または上位レベルの認定を取得する必要があります。(ただしINACTIVEとなっても、認定された事実が無効になることはありません。)

試験内容

問題数:60問 試験時間:各90分 受験料:各試験毎に15,000円
自宅または職場からのオンライン試験も可能です。

LPICとLinuCの違いについて

大きな違いとして、国際標準の資格か日本独自の資格かという所はありますが、内容的には上記を見ていただければお分かりのように、それほどの違いはありません。そもそもLPICが先にあり、それを基にしてLinuCが作られたという流れがあるからなのか、問題数や試験時間、受験料に差はありません。ただ、「日本独自」という点を強調するために、これからより違いを打ち出していく可能性は十分あります。
ただ、LinuCにある「有意性の期限」という概念は、一度レベルを保有しても、5年以内に更新もしくは上級レベルを取らないと「有意ではない(INACTIVE)」となってしまうため、資格を有効的に使うためには定期的にスキルを更新していく必要があります。
またLinuC側には、LPIC試験を受験した人向けに半額サービスがあるとのことです。(2020年10月現在)

まとめ

個人的にはむしろ、Linux Essentialsに関して、より興味を持ちました。私はLinuxに関してほぼ初心者であるため基礎から学ぶ必要があります。たとえ資格を取ったとしても、初心者であるという内容や、そもそもネットワーク関連の実務経験なしという現状なので私自身の評価にはそれほどプラスにはならないでしょうが、仕事に対する意欲の面での多少のアピール、そして自己啓発という点だけでも決して無駄ではないからです。
歴史の浅さから見て、LinuCの方は面接のときなどで低く評価されてしまう可能性はありますが、結論を申し上げると、これら二つの試験内容そのものに違いはあまりなさそうです。本記事が皆様の参考になれば幸いです。