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  • IT人材白書とは?内容と読み取れるこ

●はじめに

IT人材白書をご存知でしょうか。IT企業に勤めている方ならご存知の方が多いとは思いますが、ユーザー企業に属している方やIT技術に関わりが少ない方については、知らない方が多いのではないでしょうか。そんな方向けに、IT人材白書とは具体的にどのようなものなのかを説明します。

●IT人材白書とは

IT人材白書は、情報処理推進機構(IPA)が年に1度実施している「IT関連産業における人材動 向の状況を把握すること等を目的とした調査」を取りまとめたものです。IT企業はもちろんですが、ユーザー企業やIT関連の部署が存在する企業も対象として、調査を行った結果をまとめてます。

●IT人材白書から読み取れること

IT人材白書から読み取れることとして、以下のようなものがあります。 ※例として、「IT人材白書2019」、「IT人材白書2020」を参考に記載しています。

・ITエンジニアの需給について

出典元:IT人材白書2020

上記の表は「IT人材白書2020 概要」に掲載されているもので、ユーザー企業のITエンジニアの「量」と「質」ともに不足感が増していることがわかります。そのため、ユーザー企業としては、ITエンジニアの確保とその教育について検討しなければならないという課題が見えてきます。IT企業側としては、技術力を有しているため、ユーザー企業向けに教育を実施するということを検討するということも可能になってきます。 こういった情報から、IT企業、ユーザー企業ともにどのような戦略を立てるべきかの検討材料になります。自社独自の課題もあるとは思いますが、日本全体の課題にも目を向けることで、経営戦略の幅が広がる可能性が生まれてきます。

・ITエンジニアの確保および強化戦略について

ITエンジニアの量と質ともに不足感があるという結果から、企業がとるべき行動は「人材確保」と「人材強化」ということになります。既存社員のスキルアップ、優秀な社員の離職防止、優秀な社員の獲得を狙うために、教育制度を充実させたり、労働環境の改善や福利厚生を充実させ、企業としての魅力を向上させたりする必要があります。しかし、近年では働き方改革が推進され、時間外労働の上限規制、労働施策総合推進法の俗にいうパワハラ防止法が施行されました。教育制度を充実させることで社員のスキルアップを図るつもりが、勉強を強いられていると考える社員も少なくとも存在する可能性があるため、企業の戦略と社員の思いのバランスをどう取るか、という点が重要となってきます。

・ITエンジニアのスキルアップについて

出典元:IT人材白書2020

これらのデータはITエンジニアの勉強時間とスキルアップのための勉強についての課題を示したものです。先端 IT 従事者と先端 IT 非従事者に分けてのデータとなりますが、「自発的に取り組むか」、「勉強に対するモチベーションがあるかないか」がわかります。課題として一番大きなものとなっているが、多忙で勉強時間の確保が難しいことが一番に挙げられています。多忙ということ自体が、人材不足からくるものであると考えられるため、ITエンジニアの確保から始めなければならないと考えることもできるでしょう。 しかし、そのスキルについて「活かす場面がない」、「必要性を感じない」ということであれば話は変わってくるでしょう。なぜなら、自発的に勉強している人はその逆の考え方をしており、「どこかで活かすことができるかもしれない」、「必要と思う人がいないなら、自身が先行者になってチャンスを得よう」と考えているためです。 その人の性格や思想によって異なるとは思いますが、モチベーションの維持を全員が保てるようにするということも、企業の課題と読み取ることができます。

・IT企業への応募と応募者が企業を選ぶポイント

エンジニアをはじめとしたIT人材の採用方法は多様化しています。採用方法の多様化というのは、新卒、中途採用はもちろんのこと、関連会社からの移籍・出向、外国人採用など様々な方法がとられています。

出典元:IT人材白書2019

就職・転職者の応募が増えた企業は、その企業ならではの強みや魅力が多いということがあげられます。その中でも、「社内の風通しがよく、情報共有がうまくいっている」、「おたがい成長する・学びあう、育てる、助け合う土壌がある」といった特徴のある企業が、応募者に選ばれていることが上記表から読み取れます。

●近年の傾向を見て

IT人材は不足がちなものの、IT企業やユーザー企業の応募者は増加の傾向にあります。しかし、最近では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響もあるため、企業側としても採用をよく吟味する必要があります。今後の動向も考慮して、より採用に力をいれるのもいいのかもしれません。

●さいごに

このようにIT人材白書から読み取れることは多くあります。IT企業のみではなく、ユーザー企業やIT部署のある企業では、IT人材を採用する上でIT人材白書を参考にしていただければと思います。