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  • そもそも「IoT」とは何のこと?何が

「IoT」って、何のこと?

「IoT」という言葉を聞いたことはあっても、何のことなのかよくわからないという方もいるかも知れません。「IoT」とは「Internet of Things」の略語で、日本語では「モノのインターネット」と訳され紹介されていることが多い言葉です。

しかし「モノのインターネット」と言われても、何のことかわかりませんよね?具体的な例を挙げて説明します。「モノのインターネット」という言葉で説明されていますが、別の言い方をすると「PCやスマホ、タブレットなど以外の製品がインターネットに接続できるようになった状態」の物のことです。

わかりやすい例として家電製品が挙げられます。特に電子レンジです。有名家電メーカーが発売しているハイエンドクラスの電子レンジには「スマホ連携機能」や「ネット接続・連携機能」が搭載されている機種があります。これは一体何をするためのものなのでしょうか?

ネットに接続したりスマホと連携することで、ネット上にある料理のレシピを電子レンジが読み込み、レシピに記された料理を調理するための設定を自動的に行なうことができます。機種によってはAIが搭載されており、電子レンジ本体がネット上からレシピを検索し、過去の調理履歴から今日作る料理を提案してくれるような機能が搭載されているものもあります。

一見すると「便利な賢い電子レンジ」ということになるのですが、このようなことは以前であれば「PCやスマホでレシピを検索し、レシピを片手に調理時間を計算しながら人間が行っていた」ことです。AIを搭載していたり、ネット連携ができる電子レンジであれば調理の時間の一部を半自動化することが可能になる画期的な機能だと言えるでしょう。そしてこういった機能はインターネットに接続していなければ実現できないことでもあり、この状態が「IoT」の代表例だとも言えます。

この電子レンジの話は一例に過ぎません。実際には家電製品以外のものもインターネットに接続されIoT化している事例が多くあります。GPSなどとも連携し、警備システムに組み込まれていたり、プロのスポーツ選手が練習時に着用する器具をIoT化されたりしています。

なぜIoTが広がり始めたのか?

このように様々な物をIoT化する動きはなぜ急速に広まり始めたのでしょうか?一つの大きな理由としては、インターネットに接続できることにより、データを双方向に活用することが可能になり、分析や活用がより効率的で効果的になることがわかってきたからです。

業務用の車両や重機などをIoT化することで、車両そのもののデータを収集することが可能になり、インターネットに接続されているため遠隔地からでも故障の有無や使用状況が把握できることになります。車両や重機の現状が正確にタイムリーに把握できていれば、故障を未然に防ぐこともできますし事故の発生を抑制することも可能になります。故障や事故を未然に防げるということは安全管理の面からもとても有効ですし、安全コストの削減にも繋がります。故障対策に割く時間やコストを削減できれば、その分のコストを別の分野に投入することができますし、節約できた故障対策費用で新たな機材を導入したり、社員を増員採用することも可能になり生産性が高まります。

「IoT化」するとどんなメリットがあるか?

様々な分野で「IoT」が必要という声が上がってきており、世の中もIoT化することを自然なこととして受け入れられるようになっています。実際にIoT化することでどのようなメリットが生まれると考えられているのでしょうか?

新たな産業の創出に繋がる

まず一つは、これまで存在していなかった全く新しい産業が生まれる可能性を高めることになります。このような可能性が生まれるということは、それだけ起業の機会や雇用の機会が増加することにも繋がり、社会全体と就業可能人口全体に対するメリットになると考えられます。

新しい技術や事業コンセプトは、今までは無かった新たな需要を創出します。そして新しい技術やコンセプトであるがゆえに、過去の既成概念にはとらわれない斬新なアイディアを実現できる可能性もこれまでより高くなるのです。過去には採用対象にならなかった層が必要になる産業が生まれる可能性もありますし、これまででは考えられなかったような柔軟な働き方や雇用形態が生まれるきっかけになる可能性もあります。

新たな産業の創出はそれだけ社会的なインパクトが大きく、社会全体に与える影響は小さくありません。産業構造が固定化してしまうと雇用流動性や就労形態も固定化されてしまうため、社会全体の流動性が活性化するためにも新たな産業の創出は歓迎されることであり、社会に対するメリットでもあるのです。

IT産業との協業を実現することで復活する産業が生まれる

新たな産業の創出とも関連しますが、IoT化される物は既存の製品か新規の製品かどうかにはとらわれません。新しい製品が生まれることも当然多いのですが、反対に新しい技術を既存の産業に活かすことも可能になります。例えばフードデリバリーサービスなどは、昔から「出前」という名前で存在していたサービスです。携帯電話=スマホとインターネットが結びつき、さらにGPSと地図とも結びついたことで配達情報や状況を発注者がリアルタイムで確認できるようになり、ネットから直接飲食店にオーダー情報が送られてくることで、注文受け付け時にお店の人手を割く時間を減らすことができるようになりました。

フードデリバリーは厳密に言えばそれだけでIoT化された産業とは言い切れないかもしれませんが、IoTが今後どのように社会や生活に関わっていけるかという可能性を示す意味ではわかりやすい事例ではないでしょうか。

生活の質を高め、利便性と効率を高める

フードデリバリーの事例に代表されるように、IoTは今後さらに生活に密着したものが展開されていることが考えられます。例えば、カメラやセンサーなどがIoT化し、単体でインターネットと接続・連携できるようになれば自宅の見守りサービスなどが大きく発達し一人暮らしでも安心して外出することができるようになるかもしれません。

あくまでも想像に基づく一例でしかありませんが、実際にIoTとは生活の利便性を高めるために発達しています。「スマート家電」と呼ばれるような製品は今の段階におけるIoTの象徴とも言える製品ですし、一度IoT化されたスマート家電の利便性を知れば、その恩恵である効率の良さに眼をつぶることはできないでしょう。

「IoT化」にデメリットはあるのか?

ここまではIoT化のメリットについてご紹介してきましたが、IoT化にデメリットはあるのでしょうか?「考えようによってはデメリットになるものはある」というのが回答になるでしょう。ある人にとってはメリットでも、別の人にとってはデメリットであることも世の中には存在するからです。

IoTが今後進むことにより、既存の業界や産業との協業が生まれる可能性について言及しましたが、逆に考えるとその事自体がデメリットであると考える事業者も存在するかもしれません。これは、過去に工場などでオートメーション化が推進された時や、現在でもAIの発展と事業への活用がテーマになる時にしばしば話題になる話でもあります。つまり「器械やAI、IoTが今いる労働者の仕事を奪ってしまう」「そのせいで失業者が増加する」という意見です。

確かに、職場内において効率化が進んでいった場合、これまで行われていた業務が必要なくなり、その業務に従事していた社員にとっては「自分の仕事がなくなってしまう」という感覚になるかもしれません。しかしこれは視点を変えてみれば「これまでとは違う業務領域に挑戦できるチャンス」であったり「新しい分野の知識を得られる機会」であるとも考えることが可能です。

一つの物事に関するメリットとデメリットは、文字通り表裏一体のようなものです。片側にメリットを感じる人がいる一方で、もう片側には必ずデメリットに感じてしまう人が出てきます。技術などが社会に浸透していく過程では少なからず起こり得ることでもあり、大多数にメリットだと受け入れられればその技術は今後も発展し浸透していくでしょう。反対に、多くの人がデメリットだと評価してしまった技術は、受け入れられることなく消えていくことになります。

IoTは現時点ではその多くが社会的に受け入れられる事例が多いように見受けられますが、今後の展開次第では逆になることも十分に考えられるのです。

今後の生活にIoTはどのように影響するか?

現在の勢いのままIoTが発展していくと、今後の私達の生活にはどのような影響が出てくるのでしょうか?まず考えられることは、スマート家電が普及していき、ハイエンド製品ではなくてもIoT化された製品が主力になることです。現在のスマート家電は、家庭がインターネットに常時接続されていることを前提に仕様設計されているものが多くなっています。しかし普及が進んでいく過程では家庭でネットが常時接続されていない若年層の一人暮らし世帯なども対象にした製品も生まれてくるでしょう。そういった場合に備えて、常時接続ではなくスマホ連携のような機能をよりカジュアルに手軽に利用できる機能が生まれるかもしれません。

IoTは産業分野での活用も推進されています。工場や工事現場など、危険な作業が行われたり、保全活動が常に必要な産業ではIoT化することによる安全対策が進み、今後は企業による安全分野への投資が拡大することも予想できます。電波の問題に関する議論はあるかもしれませんが、医療機器などがIoT化されれば介護分野や入院患者のケアなどで画期的な進歩や発展が起きるかもしれません。ペット用の様々な製品がIoT化されれば、一人暮らしかどうかに関わらず餌やりや水やりなどを自動化できる可能性が高まり、どのような世帯の人でも、今よりもペットを飼うというハードルを下げることが可能になるかもしれません。

このように、今後の社会や生活にIoTがどのような影響を与えるかどうかはアイディア次第だと言えます。

まとめ

IoTとは何か?という基本的な部分も含め、IoTが広がり始めた経緯や理由、そして今後IoTがどのように私達の生活に影響を与えそうかということについてご紹介してきました。インターネットに常時接続されている、あるいはいつでもインターネットに接続できる環境が整ったことにより、私達の生活は日々利便性が高まっています。IoTの発展に伴い、これまであったものが別のものに置き換わることもあるかもしれませんが、それが社会にとって良いことかどうか、私達自身の目で見極めることが必要です。今後もIoTがどのように拡大していくのか、注目していきましょう。