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はじめに

アイキャッチ

運用手順書はシステムや業務を正しく運用するために欠かせないもので、担当者の異動や他社システムの運用管理移行時など様々な場面で必要になります。 そんな運用手順書について、今記事では運用手順書とはどういったものか、主な記載項目、なぜ必要なのか、作成の流れ、作成する際のポイントを紹介していきます。

運用手順書とは?

運用手順書とは、業務の工程や業務の中に含まれる一つ一つの単位作業の流れや手順をまとめたり、システムの使用方法を通知するもので、業界によっては作業手順書、または作業標準書とも呼ばれることがあります。 運用手順書と混同されがちなものとして、業務マニュアルがありますが、業務全体の注意事項や業務・作業の流れなどをまとめたものです。

主な記載項目

運用手順書といえば運用手順だけをイメージしている方も多いのではないでしょうか?実際はポリシーやルールなどいくつかの内容を項目立てて記載する必要があります。

運用管理ポリシー

運用のプロセスやセキュリティポリシー、報告KPI、承認ルールや承認方法など、会社で定められている運用管理ポリシーについて記載します。

運用ルール

運用管理ポリシーに基づいた個々の運用ルールを記載します。誰を対象としているのか、どこまで扱うことが可能なのか、どのような権限やスキルが必要か、責任の所在や範囲などを記載します。記載するルールを徹底して守ってもらうためになるべく標準化し、全社共通のものとしておくのが良いでしょう。

運用や作業(確認)手順

実際のシステムの作業環境、運用や作業手順を、上記の運用管理ポリシーやルールに従い記載します。合わせて作業が正しく行えているかどうか確認する手順も記載しておくとミスや漏れを防げます。

開発チームや管理者への連絡手段、宛先

想定外の操作を要求された時や、トラブルや不具合が発生した時に迅速に連絡できるよう、開発チームや管理者への連絡手段、宛先をきちんと記載しておきましょう。

運用手順書はなぜ必要なのか?

責任の所在や対応範囲を明確に示すことができる

運用手順書には単なるシステムの使用方法や作業手順だけでなく、責任の所在や対応範囲について記載することも可能です。例えば「ここからここまでは管理者の仕事の範囲」「ここからここまではユーザーの仕事の範囲」といった具合に、誰がどこまで対応できるのかを設定できるため、後になってから責任の所在や対応についてのトラブルを回避することができます。

トラブル発生時にすぐ対応できる

システムにトラブルや不具合が発生した場合でも、運用手順書を確認することでトラブル対応を迅速に行うことが可能です。スタッフが少ない夜間や休日などでも安心できます。

標準化できる

人によって運用方法や作業手順、使用方法が違うといったことをなくし、誰もが正しい手順で業務を遂行、もしくはシステムを運用することが可能になります。

作業の見える化

作業を行うにあたって、最初に手順がある程度理解できていた方が効率が上がります。特に難しい作業や細心の注意が必要な作業の手順を見える化しておくことで、作業手順が分からずトラブルやミスを起こしてしまう事態を防ぐことができます。

作成の流れ

単位作業の選定

まず、実際に行われている業務を単位作業レベルに細分化し書き出していきます。 一通り書き出した後、作業の標準化が可能かどうかを指標に、運用手順書に記載する単位作業を選定します。

作業内容の分解

運用手順書に記載する単位作業を選定できたら、単位作業を手順の単位にまで細分化し書き出していきます。日常的に行っているものだからと手順を省略したり、複数の手順を1つにまとめたりすることは避けましょう。作業を一つ一つ正確に分解していくことで、「誰が読んで作業を行っても、同じ結果を出せる」運用手順書にすることができます。

手順を並べる

作業内容を手順単位に分解できたら、実際の業務や作業の流れに合わせ効率的に手順を並べます。ミスや作業漏れが起こらないよう、作業の経過確認を作業手順に盛り込むなどの対策を行うと、効率と正確性の両方の向上が期待できます。

テスト運用及び改善

運用手順書が完成したらテスト運用してみましょう。しっかり作ったと思っていても実際に使ってみると、「ここの説明は分かりにくい」「ここに手順を足した方がわかりやすい」「もっと効率的なやり方がある」など気になる点が様々出てくることがあります。こうした改善点を挙げてもらい、これをもとに運用手順書を改善することで、作業効率の向上が期待できます。

作成する際のポイント

誰が読んでも理解できること

運用手順書を作るうえで最も重要なのは、「誰が読んでも同じように理解できる」ことです。同じ運用手順書を見て作業していても、読む人によって解釈が異なり作業手順や結果が違ってしまっては、「標準化する」という目的を果たせず運用手順書を作成する意味がなくなってしまいます。「誰が読んでも同じように理解できる」ためには様々な工夫をしなければなりません。

まず、作業に慣れていない、前提知識のない新人でも理解できるように、専門用語やローカルな言葉は使わず分かりやすく記載すべきです。もし、作業に一定の前提知識が必要になる場合は、運用手順書に改めて手順を記載するか、別紙をつけ確認できるようにすることで、正しく内容を理解できるようにしましょう。

また、文章の書き方によっては誤解が生じたり、解釈が分かれてしまうこともあります。一文は短く簡潔にし、「主語は省略しない」「前後の文脈を意識する」「語順を入れ替える」などのテクニックを使って、読みやすく誤解を生まない表現を目指しましょう。

ユーザー向けに表現・構成を考える

運用手順書はユーザーが使用するものなので、ユーザーの知識レベルや技量も考慮し分かりやすい構成・表現を心がけましょう。ユーザーの中に専門的なIT知識を持ってない人がいる可能性もあるので、専門用語などを多用することは避けるべきです。平易な文章で、時には図や写真も使ってより易しく記載しましょう。ユーザーの目線に立ち、ユーザーに必要な項目や説明をリサーチし盛り込むことも大切です。

おわりに

以上、運用手順書について紹介してきました。運用手順書の完成までには作業の選定、細分化、テスト運用及び改善など様々な工程があり、かなりハードです。しかし、運用手順書の作成に伴う作業の標準化や見える化を進めることで、作業の効率や正確性の向上にも繋がるため、作成する価値は大いにあります。