白色申告って何?青色申告との違いや経費などを解説します

白色申告とは?青色申告との違いも解説します

白色申告とは確定申告における申告方法の一つであり、青色申告と対を成しています。ただ、青色申告と白色申告では何が違うのか気になる人もいるでしょう。この2種類には様々な違いがあるため、自分に合った方法で確定申告を行うのがおすすめです。
それでは、青色申告と白色申告の違いについてご説明しましょう。

確定申告する方法の違い

白色申告と青色申告で違うのは、確定申告の方法です。白色申告を行う際は自治体等に何か届出をしなければいけないというわけではなく、何も届出をしなければ自動的に白色申告になるのが特徴です。一方、青色申告で確定申告する際は、事前に開業届と青色申告承認申請書を届出しなければなりません。つまり、手間と時間がかからない白色申告の方が簡単に確定申告ができるということになります。青色申告が必要になるのは一定以上の収入がある人や高額な医療費がかかった人などです。

逆に白色申告をするということは収入がない、もしくはあまりない人となるので、一定以上の収入がある人は青色申告をしなければなりません。

提出する書類と期限、記帳簿記の違い

白色申告を行う際に必要なのは、収支内訳書と確定申告書だけです。逆に青色申告は青色申告決算書と確定申告書となります。いずれの書類も提出期限に違いはなく、一貫して2月15日~3月15日付近に提出しなければなりません。もしも提出期限が過ぎてしまった場合はペナルティが課せられるので注意しましょう。

また、もう一つ大きく違う点は、記帳簿記です。白色申告の記帳簿記は単式簿記となっていて、お小遣い帳に記入する感覚で作成できるのがポイントです。基本的に購入した年月日と商品名、金額を記入すればいいだけなので、誰でも簡単に作成できます。納品書や請求書の控えがあればその日のうちに作成できるでしょう。あとは確定申告をする時のためにそれぞれの項目ごとの合計値を記載した収支内訳書を作成すればOKです。青色申告は複式簿記となっており、品物を購入した年月日と商品名の他にお金の動きを記載しなければなりません。

たとえば消耗費として5000円増加し、現金が5000円減少したことを同時に表記することになります。一見簡単なような感じられますが、単式簿記のように単純ではないので簿記に関する知識が必要です。そしてそれぞれの項目ごとの合計値を記載した損益計算書と資産、負債、純資産の状況が明確になっている賃借対照表を確定申告の際に提出します。

白色申告で受けられる特別控除が非常に少ない

青色申告と白色申告の違いで覚えておきたいのが、白色申告は青色申告に比べて受けられる特別控除が非常に少ないということです、青色申告の場合だと提出期限までの確定申告を終わらせていた場合、10万円か65万円の特別控除を受けることができます。さらに家族を従業員としている場合に発生した給与も経費として計上できる青色事業専従者給与も利用できますし、貸倒引当金も計上できる上に純損失の繰り越しや繰り戻しも可能です。もちろん特別控除を受けるには条件を満たす必要性がありますが、節税対策にもなる青色申告の方が圧倒的に有利です。

白色申告を行う際には受けられる特別控除が非常に少ない点に注意しましょう。

申告を行うメリット

白色申告を行うメリットは、何と言っても青色申告と比べて非常にシンプルなのであまり知識がない人でも簡単に確定申告ができることです。青色申告を行うのに届出を行う必要がなく、単式簿記を記載するだけでいいので簿記に関する知識がなくても問題ありません。

青色申告の場合は複式簿記なので簿記に関する知識が必要であり、経費の計算や作成に手間と時間がかかるので大きな負担がかかります。白色申告なら記入項目が少なめで計算も簡単なことから、作成の負担が少なくて済みます。したがって、経理作業が初めて、もしくは苦手な人や赤字事業者、事業収入が少ない人におすすめです。

申告のやり方

白色申告のやり方は基本的に記帳作業と収支内訳書、確定申告書Bを作成するだけです。記帳作業を行う場合、入金や出金に関する情報と取引先、取引先年月日の情報を現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳に記入していきます。続いて、その記帳内容を基に収支内訳書を作成します。

ここで記入するのは記帳作業の情報を元にした収入や売上原価、経費の内訳、減価償却費などを始めとした一年間の事業内容をまとめた情報です。一気に一年分をまとめるのは非常に大変なので、できれば月ごとに情報をまとめておくのがおすすめです。

続く確定申告書はAとBの2種類がありますが、Aは会社員でBは個人事業主やフリーランス専用となっているのでBを選びます。確定申告書Bは表と裏で記載するところがあり、表は事業収入や所得控除など、裏は源泉徴収や所得の内訳、住民税や事業税に関する情報を記載しましょう。もしも上手く作成できるか心配なら、無料で確定申告に必要な書類が作成できるソフトを活用するのがおすすめです。

白色事業専従者控除を受けるには?

白色申告の場合だと受けられる特別控除が非常に少ないのですが、数少ない特別控除の中でも白色事業専従者控除が受けられます。もちろん控除を受けるにあたって条件を満たさなければならないので注意が必要です。

それでは、白色事業専従者控除を受けるための条件や手続きについてご説明しましょう。

白色事業専従者控除を受けるための条件

白色事業専従者控除を受けるための条件は、以下の通りです。

  • ・白色申告者が行う事業に事業専従者がいる
  • ・確定申告書に必要事項を記入する

まず、事業専従者と認められるためには、『白色申告を行う人と生計を共にする配偶者やその他の親族であること』『本年度の12月31日の時点で満15歳以上であること』『白色申告を行う人の事業に従事してから6ヶ月以上経っていること』の3つの条件を満たしている必要があります。なお、専従者控除を受ける場合は配偶者控除や扶養控除の対象外になるので注意しましょう。続いて専従者控除による金額は、これからご説明する2つの条件のどちらか低い方になります。

1つ目の条件は、事業専従者が事業主の配偶者だった場合は86万円、配偶者以外であれば一人あたり50万円の控除が受けられることです。そして2つ目の条件は、専従者控除を受ける前に事業所得などの金額専従者の数に1を足した数で割った金額になることです。この2つの条件のうち、どちらか金額が低い方が控除額になります。そして確定申告書に白色事業専従者控除を受けることと、算出された低い方の金額などの必要事項を記入しましょう。

白色事業専従者控除を受けるための手続き

白色事業専従者控除を受けるための手続きはいたって簡単で、確定申告書の所定の欄に白色事業専従者控除を受ける旨や控除の対象者となる事業専従者の名前と控除金額を正確に記入するだけです。事前に特別な申請を行う必要性はないので、白色事業専従者控除を受ける条件さえ満たしていれば申請に苦労することはありません。

白色申告の際に計上できる経費とは?

白色申告でも青色申告であっても経費として計上できるものの違いはありません。ただ、経費として計上するなら、事業に関係している経費かどうかが最大の焦点になります。どんなものであっても事業に関係ないものは、購入しても経費として認められることはありません。もちろん、商売に関係していることであれば経費として認められます。

白色申告を行う際には収支内訳書にしてまとめる必要がありますが、そこまで詳細に明記していなくても問題ないことがほとんどです。しかし、青色申告の場合は損益計算書に事細かく記載しなければならないため、経費として計上するものがたくさんあるほど目的や売上原価など様々な項目を記載する負担がかかります。

まとめ

白色申告は青色申告とは違い、十分な収入がない場合や赤字事業者などが確定申告の際に行う方法です。青色申告と比べて申請が非常に簡潔で、初めて確定申告を行う人でも問題なく提出できるようになっています。青色申告は白色申告と比べて仕組みがややこしくなっており、経理作業などで負担を強いられることになります。その点で言えば白色申告の方が簡単な手続きだけで済ませられるので負担は少ないですが、代わりに受けられる特別控除が少ないので注意が必要です。

手間と時間がかからないのはメリットですが、特別控除の恩恵が薄くなってしまうのは仕方がありません。ただ、一定以上の収入がある人は自動的に青色申告で申告することになるので、特別控除の恩恵が大きくなる代わりに損益計算書などの作成で手間と時間がかかります。どちらかが良いかは一概には言えないため、事業の状況に応じて青色申告か白色申告で申告しましょう。