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新入社員研修カリキュラムの作り方

学生から社会人になりたての新入社員にとっては、「社会人」も「会社」も漠然としたものです。特に入社したての1年間は、会社側としてはきちんと仕事を教える新入社員研修期間に当てる必要があります。とは言え、ベースがゼロの状態から仕事にについて教えることは想像以上に難しいものです。どのような新入社員研修のカリキュラムを組めば効果的に成長を促せるのでしょうか?カリキュラムは業界や社風によっても大きく異なるでしょうが、基本的な考え方は一緒になります。この記事では主に基本的なところから解説し、各企業独自のカラーを出していくにはどうしたら良いかまでを解説していきます。良いカリキュラムは、受講者に知識を詰め込みすぎることなく能動的に考えさせること、これが成功のコツです。より良いカリキュラムの組み方について考えていきましょう。

新入社員研修カリキュラムで身につけて欲しいスキルの抽出をする

新入社員研修カリキュラムにおいて初めに考えなければならいのは、新入社員に何を身につけて欲しいのかを抽出しリスト化することです。入社したての頃に覚えなければならないことは、社会人としてのキャリアが長くなってくると当然のこととして行われています。しかしそれらは新入社員にとって初めて目にするものばかりです。新入社員研修と言えば、まず思い浮かぶのはビジネスマナーですが、それ1つ取っても「敬語の使い方」「席順」「名刺交換の仕方」「身だしなみ」など多岐に渡ります。1つ1つを抽出することは、基本的なことほど難しいかもしれませんが、しっかりと言語化しておくことが重要です。何となく教えてしまうと間違って覚えてしまうこともあるので注意が必要です。

新入社員研修カリキュラムの実施時間を決定する

新入社員研修カリキュラムは、入社直後に実施されることがほとんどです。期間は2週間から、長いと3ヶ月ほどかける企業もあります。いずれにせよ肝心なのはきっちりと期間を区切ることです。目的を明確化し、長期間に渡らないことが重要です。多くの場合、新入社員研究カリキュラムが終了した後でも、OJTとして半年から1年間は現場の先輩社員や上司について研修は続くものです。現場へスムーズに参画できる架け橋となるような研修内容にすることがポイントです。

新人社員研修カリキュラムでの過去の反省を活かす

新人社員研修カリキュラムについて頭を悩ますのは総務や人事部門の方、または一時的にその役割を任された方が多いでしょう。どんなことが役に立つだろうか?とアイデアを絞るのも一考ですが、ヒントは以外と近くにあるものです。すなわち、社内の研修を受けたことがある人にヒアリングを試みるということです。これを実施するのは、上司やリーダーの立場にいる人よりも、研修を受けて1〜3年目くらいの社歴の浅い人を選ぶと良いでしょう。彼らも研修を受けているでしょうから、その記憶は比較的鮮明に残っています。そして、「研修でこれを本当は学んでおきたかったけど内容に組み込まれていなかった」、「これは学んでおいて後々役に立った」といった忌避なき意見を聞くことによって、より良いカリキュラムを組んでいくことができるでしょう。この点は、自社オリジナルのアイデアを練るためにもポイントとなる可能性が高く力を入れる価値があります。

カリキュラムの内容を大筋で決定する

身につけて欲しいスキルの抽出、カリキュラム実施時期の決定、社員へのヒアリングが済んだらカリキュラムの内容を決定していきましょう。まずは全体的な流れを決定する必要がありますが、大きく分けて2つのパートに分けるところから始めていきます。

現場ベースで考える

数週間から数ヶ月後には、新入社員として現場に入っていかなければならない彼らにとって重要なのは、「現場で仕事をするために最低限必要な知識」です。新入社員にとってビジネスマナーというのは最初に知っておきたい項目の1つでしょう。名刺の渡し方や言葉遣い、上司や顧客との接し方など内容は様々です、ここで最初に挙げたカリキュラムで身につけて欲しいスキルを大いに利用してください。現場で必要な知識を教育していくのです。できれば若手の新人社員を研修現場に招き、お手本を示すことができると良いです。現場で必要な振る舞いを直に接して見ることができれば、新人社員に対する研修の定着力は飛躍的にアップします。インパクトを残すのにも役に立ちます。

企業理念ベースで考える

現場の仕事ベースで考えることは重要ですが、一方で企業理念をこの機会に身に付けさせておくことも重要です。企業理念は、その会社が何を目指して日々活動している組織なのかを表すものですからあなどれません。まとまりのある企業はやはり企業理念が明確で社員がしっかりとそれを把握しています。どんな人材になって欲しいのか、企業理念に照らして教育する機会は新入社員研修を逃すと時間を確保することが難しいでしょうから、是非とも取り込んでいきましょう。

カリキュラム内容を徐々にブレイクダウンする

カリキュラムの内容を大筋で決定することがきたら、徐々にブレイクダンしていきます。上記では現場ベース・企業理念ベースと大きな枠組みでした。その後、「社会人一般的にはこれを知っておいて欲しい」、「当社の社員としてはこれを知っていて欲しい」といったように、徐々にブレイクダウンをしていきましょう。新入社員とは言え、情報溢れる現代において一般的なビジネスマナーは案外広く知られています。研修を企画する上では、社独自のパートがより重要になるかも知れません。

一般的な社会人としてのパート

一般的な社会としてのパートでは、名刺交換や挨拶の仕方、基本的な身だしなみなど、社会人の基礎となる部分を教えていきます。座学はもちろん必要ですが、実際に身体を動かしてどのようなポイント、間違いやすい点ががあるかなど教えるのが効果的です。また、先輩社員を招きお互いに切磋琢磨することでより効果の高い研修になります。研修というと、講師が一方的に喋り続けるという形式になりがちですが、必ず質問をする時間を設けるようにしましょう。ビジネスマナーにおいては細かな点が気になっている人も多いはずです。どのようなことでも聞けるような雰囲気づくりも重要です。

自社独自のパート

一般的な社会人としてのパートが出来たら、次は自社独自のパートに取り掛かりましょう。この点は自ら作り上げなければならないため、人事・総務含め現場の方も巻き込むことも必要となってきます。また、業界や何を売りにしている会社なのかによっても考え方が違ってきます。例えばIT関連の会社でアプリ制作を得意としている会社だとするならば、アプリ開発に関わるエンジニアを招いてどのような作り方をするのか、どのような作風が多いのかを簡単に説明するのも良いでしょう。また、営業現場で働く人向けの研修なのであれば簡単なシュミレーション研修を準備して、皆でそれを見ながら議論するのも良いでしょう。あくまで研修ですから、どこまで詰め込むかには気をつけなければなりませんが、「現場でこんなことが起こり得るのか。」と想像できる内容であれば、受講する側は受けた甲斐があったと納得できるでしょう。

新入社員研修カリキュラムの手法

カリキュラムを実際に組むには、何を伝えるかも重要ですが、どう伝えるかも非常に重要なポイントとなります。同じことを言っていたとしても、どのように伝えるかによって受け手への浸透が違うからです。ここでは研修を行うにあたり、どんな手法があるかを述べていきます。

座学

いわゆる「学校形式」で、講師から受講者へ一方通行で伝えるのが座学です。もちろん、知ってもらいたいことを伝えるためにまずは座学を用いることは有効です。しかしながらデメリットとして、長い時間の座学を行っても定着率が低いということが挙げられます。せっかくの研修の場ですから、「あの時こんな風にやって成功したな、失敗したな」と思える方が良い学びになるでしょう。重要なのは研修内における座学の時間配分です。

ケーススタディ

この場合はどうしますか?といった具合に講師が受講者に質問を投げかける形式がケーススタディです。例えば、「客先訪問時にお茶を出されました。どうぞ、と促された時あなたならどうしますか?」といった具合に、相手に質問を投げかけ、答えを求めるのがケーススタディです。座学と比較すると受講者が能動的に答えを考えなければならないため、双方向性が生まれます。ただし、自らアイデアを立ち上げるという訳ではなく、答えを導けば良いという点で以下の2つの手法とは異なります。

グループワーク・ディスカッション

グループワーク・ディスカッションは、与えられた議題に応じて自由に討論を行うというものです。就職活動においてもグループワークやディスカッションは定番化しているので、経験したことがあるという方も多くいることでしょう。問題は、「どのようなお題で議論をするか」ですが、この場合は社内業務に関係すること、しないこと、どちらを選んでも良いでしょう。例えばIT関連のメーカーの研修だったとすると、「若者のクルマ離れをどう食い止めるか?」といった一見突拍子もないお題でも良いですし、もちろん「自社のプロダクトの認知度を上げるにはどうすべきか?」というお題でも良いです。大事なのは、いかに積極的に取り組み、相手の話を傾聴し答えのない問題の答えを導き出すかという点にあるかです。

ロールプレイング

ロールプレイングも最近注目されている研修手法の1つです。ロールプレイングはその名のとおり、役割に徹してその場を再現してみるという形式です。最もポピュラーなのは、名刺交換です。実際に初めて訪問した顧客役を講師が、訪問者役を受講者がそれぞれ実践します。受講者の立場とすると自らの立場で考え行動に移す、また他の受講者の視線もあることで一気に緊張感が出て、記憶への定着力が増します。また、営業商談のロールプレイングも効果があるとして多くの企業が取り組んでいます。客先を講師が、訪問者を受講者がこなすのが一般的なケースです。この場合講師は商談のストーリーを練り、フローや人格の設定(気難しい課長、フレンドリーな現場社員など)をしておく必要があり、受講者を揺さぶると有意義な研修となることでしょう。

有効なカリキュラムの手法について

上記では座学からロールプレイングまでの手法を紹介しました。お気付きの通り、座学<ケーススタディ<グループワーク・ディスカッション<ロールプレイングの順番で、受講者が能動的に関わる度合いが高くなります。研修というと、どこか講師が受講者に対して一方的に知識を詰め込むというイメージがありますがこれは大きな間違いです。むしろ、受講者にいかに多くを考えさせ行動させるかが重要になってきます。もちろんこれは講師側が楽をできるわけではなく、「受講者がどう考え動くか?」を想定しなければなりませんので、大変なのは一緒です。ここでも新人社員にどうなってもらいたいのか?を常に想定してカリキュラムを組むことが重要となります。

有意義な新入社員研修カリキュラムを組むためのまとめ

新入社員研修カリキュラムについて詳細に述べてきました。以下まとめます。 ・新入社員研修カリキュラムで身につけて欲しいスキルの抽出をする ・新入社員研修カリキュラムの実施時間を決定する ・新人社員研修カリキュラムでの過去の反省を活かす ・カリキュラムの内容を大筋で決定する ・カリキュラム内容を徐々にブレイクダウンする 上記の順でカリキュラムを組み立てていくことで、一般的なマナーから社内独自の内容まで迷うことなく進めていくことができるでしょう。さらに研修の手法には、座学・ケーススタディ・グループワーク、ディスカッション・ロールプレイングなどがあり、それぞれの特徴を理解した上で進めることで定着率の高い有意義な研修を行うことができます。 後はパズルを当てはめるようにどの組み合わせが最適化を考えるだけです。新入社員研修は、いかにインパクトを残して後に活かせるかも非常に大事なポイントとなります。この記事を参考により良いカリキュラムが組めるよう取り組んでみてください。