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内定者研修を成功させるために重要なポイントとは?

内定者研修に関する知識やノウハウのニーズが年々高まっています。「内定者研修」と聞くと、企業の面接をくぐり抜け、内定をゲットした新人が企業から求められる知識を埋め込む場と考えがちですが、決してそれだけではありません。というのも、内定者研修を通して、「この会社はちょっと違うかも」と思った新人が早期離職してしまったり、最悪その場で内定を辞退するということが起こり得るからです。採用側が内定を出して意思確認もしているのだし、もう大丈夫だろうと考えてしまうのは時期尚早です。内定者研修の時期まで来ているとしても、内定者の心の中は揺れ動いています。そしてそれを安心させてあげる必要があります。この記事では、内定者研修はなぜ重要なのか?根本的な考え方から、内定者研修のプログラムをどう組んでいったらよいのかまで、広く詳細に説明してきます。採用側も、内定者側も「良い選択をした」と気持ちよく働き始められるように、良い内定者研修について考えていきましょう。

内定者研修はなぜ重要なのか?

内定者研修というのは、新人が内定を企業から得た後、その会社で働き始める前に行われるものです。新卒採用であれば、春夏あたりに内定を受けた内定者が、次の春に入社するまでの間、つまり秋から冬にかけて受講することが多くあります。多くの人事総務担当が誤解しがちなのは、新人はこの時期には入社する意思が固まっており、自社で働く準備がしっかりできていると考えてしまっていることです。しかし実際、新人の心はこの時期にも不安や、他にもあったであろう選択肢で揺れ動いています。今日、大学新卒者が入社3年目までの早期退職率は30%を超えており、その理由の1つが、持ち続けていた内定企業に対する違和感を拭いきれなかったというものです。ですから、内定者が入社前に初めて企業に触れる内定者研修は非常に大きな意味を持つということになります。

内定者研修でやってはいけないこととは?

すでに内定を決めた将来の社員なのだから、業務に関することもなるべく早期に教えておきたいと考えるのが人事総務の心理でしょう。しかし焦りは禁物です。入社後には新人社員研修のカリキュラムを組めば良いので、内定者研修は多少の内容の重複があったとしても、別で考えておいた方が良いです。企業によっては実際に業務中の社員の姿や、製品の展示会などに新人を招いて様子を伝えようとします。これは「様子を知って業務のイメージをしてもらう」という点において有効です。ただし、その業務内容についてはあえて深く触れないという態度も必要になってきます。入社前に、過度に業務の内容を説明してしまうと、「自分は本当にこの仕事についていけるのだろうか?」という気持ちが芽生えてしまい、不安を招く原因になってしまいます。人事総務担当として、内定者研修時にはあくまで「この会社の仲間として働き始めることを歓迎している」というスタンスをとって内定者を安心させてあげることを貫くべきです。内容についてはその後、OJTや先輩・上司を通して徐々に浸透させていくことができるので焦ることはありません。逆にこの時点で内定者に感じてもらいたいのは、「今後戦力となって働いていけるイメージ」を持ってもらうことです。

なぜ弊社が選ばれなかったのか?を把握しよう

新入社員が3年以内に早期離職してしまう理由は様々ですが、主だったところは以下の4点です。・仕事内容が自分に合わなかった・上司や同僚との人間関係がうまく行かなかった・ライフワークバランスをうまく取ることができなかった(労働時間問題)・給料面が満足しなかった。これらは全て入社前と入社後のイメージの違いから生まれるものです。もちろん、入社前から入社する企業の全てについて把握することはできないかもしれません。そして、それらを全て企業側から説明することも不可能と言えるでしょう。ただし、埋める努力は可能です。というのもやはり採用に関しては、時間的にも金銭的にも多くのコストが割かれるからです。自社が他社と比較すると劣ると思われる点を、明確にすることに気が引ける場合もあるかもしれませんが、「思っていたイメージと違った」ことが早期退職の引き金になる最大の理由とするならば、情報はある程度オープンにしておくべきでしょう。そうすることで、なぜ自分の会社が選ばれたのか、選ばれなかったのかが明確となり、業務や待遇の改善にも繋がっていきます。

内定者研修会で企業側から内定者に求める内容は?

では実際に、内定者研修会で企業側から内定者に対して何を施せば良いのでしょうか?初めですからやはり基礎的なことを教えることになります。注意すべきなのは、あれも教えたい、これも教えたいとなる気持ちを抑えて、必要最低限に内容を絞ることです。というのも、ここで焦らなくても入社後には新人研修があり、必要なことは再度教えることになるわけですから。入社前の段階では「社会人としてはこういうものが必要になるから気に留めておいてください」といった常識的な部分が伝われば十分というくらいのスタンスで良いのです。ただでさえ不安でいっぱいな内定者に対して必要以上な詰め込みは禁物です。以下、最低限やるべき研修内容を3つ紹介します。

最低限のビジネスマナー

あいさつや身だしなみ、言葉づかいなど最低限のビジネスマナーは内定者研修の時に教えておきたいものです。しかしあくまで最低限に留めておき、名刺交換や電話応対の仕方など実践的なものはここでは教える必要はありません。また内容もごく一般的なものに留めるようにし、踏み込んだ議論はする必要はありません。心構えの部分で少し変化が生じてくれれば良い程度のつもりでいきましょう。ビジネスマナーは実践で身についていくものです。

最低限のプレゼンテーションスキル

プレゼンテーションスキルについても最低限必要になることを伝えておくことも良いでしょう。プレゼンテーションスキルは、何も「パワーポイント資料を会議室のスクリーンの前で説明する」だけではありません。日々の報告や電話応対に到るまで、他者に自分の考えを分かってもらうために日々必要になります。特に学生から社会人になるにあたって、仲の良い友達としか話さなくても良い状態から、全く年齢もバックグラウンドも違う人達と話す必要がありますから、語彙力やロジカルシンキングも必要なスキルになってきます。とは言え、これも一朝一夕で身につくものではありませんから、日々の意識位付けのきっかけにしてもらう程度に留めて良いでしょう。

最低限の文章スキル

プレゼンテーションスキル同様、文章を書くことも内定者には必須のスキルです。会社で用いるビジネス文書やメールの文書は、短く簡潔に言いたいことを伝えることが求められますから、現役で働いている人にとってもブラッシュアップさせる必要のあるスキルです。ここで求められるのは、簡潔に、かつ相手目線で書くというスキルでしょう。これは会社組織で働いたことのない、特に学生にとってはつまずきのポイントになりがちです。プレゼンテーションスキル同様、文章スキルも一朝一夕で身につくものではないかもしれませんが、日々起きたことを箇条書きで書き出し、内容が他人に伝わるかチェックするなど、上達する方法は多数あります。意識付けの上、上達のノウハウを教えてあげると良いでしょう。

最低限のPCスキル

「デジタルネイティブ」とも呼ばれる1990年代以降生まれの人は、スマホの操作には詳しい一方で、ほとんどPCに触れたことがないというケースがあります。仕事はPCの操作が必須で、文書や表計算も日々こなす企業がほとんどです。ですからWordやExcelといった基礎的なソフトの使い方や、できればPowerPointでどんなことができるのかさわりだけでも教えておくのが良いでしょう。もちろん、内定者研修のような短い期間で全てを教え込むのは難しでしょうから、最低限ここまでは覚えて欲しいという教材や市販の本を渡してあげるのも良い方法です。また、ブラインドタッチの打数を規定している企業も多く見かけます。タイピングのスピードは仕事のスピード感に直結しますので、練習を促しておくと良いでしょう。

内定者研修会で内定者から企業側に求めているものとは?

一方で、内定者側が内定者研修会で企業に求めるものとは何でしょうか?少し想像力を働かせるとピンと来る人もいるかもしれません。これは一言で言ってしまうと「職場の人間関係と雰囲気」です。「マイナビ2021年卒学生就職モニター調査7月活動状況」を見てみると、内定者が内定者研修に希望する内容で最も多いのが、内定者同士の懇親会が約50%、先輩社員との懇親会も約30%と、同期、先輩社員にどんな人がいて、どんな雰囲気なのかをいち早く知りたいというニーズが最も多いという結果でした。

企業側のニーズとはかなりずれているということを認識しなければなりません。人間関係や環境は内定者にとっては非常に気になる点だということは事実です。内定者研修会の中に、内定者同士で懇親を深める機会を設けたり、先輩社員を招いて交流する場面を作ることで、安心感を与えられる機会にもなり得ます。

「最近の」内定者の特徴とは?

時代が変われば人間の価値観も変わります。これまで大きなスケールで捉えると日本は、高度経済成長からバブル期を経たあと、バブル崩壊後長く続く不景気を経験している状況です。そんな環境下で育った内定者研修を受ける機会の多い1990年代〜2000年生まれの人たちにはどんな特徴があるでしょうか?この点を掴んでおくだけでも内定者研修の内容を考える上で有益です。以下特徴を見ていきましょう。

真面目で協調性が高い

長い不況の影響なのか、ここ10年くらいのスパンでよく言われることですが、真面目で協調性が高い人材が多いことが第一の特徴です。「失われた20年」とネガティブなイメージで語られることの多い日本社会で、上の世代の人やメディアの情報を聴き続けることで「真面目」な内定者は次第に多くなってきていると言われています。真面目であることはもちろん良いことです。しかし、言われたことをきちんとこなすのは得意な反面、自らの力で考え実践する胆力は弱い傾向にあります。これは仕方のない点でもあります。取り組み方や態度については内定者研修では教えきれない部分でもあるでしょうから、その後粘り強く教育する必要があります。

目立つことを嫌う

1990年以降の生まれの人は、いわゆる「デジタルネイティブ」世代に該当します。多感な中学生から高校生にすでにスマホを手にしています。スマホを利用することの弊害、例えばSNSでのフォロー数やいいねの多さでの優劣や、誹謗中傷などに敏感な世代です。結果的に防衛策として、「目立たなければいい」という対策を取るケースが多くあります。これは意外と深く根ざした問題で、「目立たなければいい→新しいことにチャレンジして失敗を責められるくらいならやらない方がいい」という発想に結びついています。あらゆる世代の入り混じる企業で内定者のみを重視することはなかなか難しいことではありますが、果敢にチャレンジできる環境にシフトしていくことは重要でしょう。

内定者研修のプログラムの組み方、まとめ

内定者研修について詳しく述べてきました。上記を踏まえてまとめていきましょう。 内定者の心は内定が決まっていたとしても揺れ動いています。ですから、内定者研修でまずやってはいけないことは、不安を助長することです。不安が大きくなり、「思った会社と違う」となると、早期退職を増やすことに繋がって来ますから注意が必要です。内定者研修で企業側から内定者に求めることは、最低限のビジネスマナー・最低限のプレゼンテーションスキル・最低限の文章スキル・最低限のPCスキルです。一方で、内定者が企業に求めていることは、同期や先輩との繋がりと、職場環境の把握です。両者には大きな隔たりがあることを認識しましょう。それを踏まえて、スキルを身につけるのと同時に、懇親会もセットで実施することがおすすめです。「最近の若者は・・・」とい言葉はいつの時代にも聞かれますが、若者像は日々刻々と変化し続けています。是非、この記事を参考に今を反映する内定者研修を考えてみてください。