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  • マルチクラウドとは?詳しく説明します

マルチクラウドについて

クラウドサービスを巡るシェア争いは激しさを増す一方で、その様子はクラウド戦国時代と呼ばれることもあるほどで様々な企業が競争を行い情勢は変化しております。 日本国内ではデジタル庁が進めている「ガバメントクラウド」と言われる日本政府の共通クラウド基盤の話題が注目を浴びております。 2021年10月にデジタル庁は「Amazon Web Services(AWS)」と「Google Cloud Platform(GCP)」の二社をクラウドベンダーとして選択したことを 発表し、「Amazon Web Services(AWS)」と「Google Cloud Platform(GCP)」のクラウド環境にサービスを構築することや移行することが決定しました。 今回のニュースにおいてデジタル庁のベンダー選定基準として、「サービス全般」「実績」「リソース」を項目ごとに基準を設け、 その上で二社に決定したという経緯がありました。 残念ながら国内のクラウドベンダーは上記の選定基準を満たしていないため不採用という判断になってしまったようです。 クラウドの時代はまだまだこれから始まったばかりであるため、将来的にどのクラウドベンダーがトップに君臨するか分からず今後も動向に注目したいところです。

さて、クラウド時代においてクラウドサービスの中でも取り上げられることの多いマルチクラウドという言葉について説明させていただきます。 マルチクラウドとは複数のパブリッククラウドを併用しクラウド環境を利用することを指します。 多くの企業においてマルチクラウドという形を採用するケースが増加しており、その傾向は今後も続きテクノロジーの進化と共に様々な形に変化していくでしょう。 パブリッククラウドのサービスは提供しているクラウドベンダーによって得意としている分野・機能・特徴・環境が異なるため、自社サービスの特性にあったものを選定することが求められているのは言うまでもありません。 例えばIBM社が提供するIBM Cloudは堅牢性が高いことやWatsonAPIを使いAIの開発が実行できることが強みです。 ところがクラウドを導入する企業の目的やニーズが上記以外である場合はIBM Cloudではなく、より自社のニーズを満たす機能を持つ別のクラウドベンダーサービスを選択する可能性が高まります。 このようにクラウドベンダーによって力を入れている領域が異なるため、自社のサービスごとに運用先の環境を切り分けるのは当然と言えます。 その一方でセキュリティー面・コスト面・セキュリティーリスク・管理体制などマルチクラウドによって注意をしなくてはいけない点も生まれてきます。 これからのクラウド時代を迎えるにあたりマルチクラウドについての知識は必須と言えることは間違いありません。 ここでは、マルチクラウドについて掘り下げて説明させていただきますので、参考にしていただけましたら幸いです。

ハイブリッドクラウドとは

ハイブリッドクラウドについて説明させていただきます。 ハイブリッドクラウドはマルチクラウドとセットで使われるシーンが多い言葉となります。 それに加え言葉のニュアンスが似ており、両者の違いがわかりにくいこともありますので簡単に違いについて説明させていただきます。 ハイブリッドクラウドとは「オンプレミス」「プライベートクラウド」「パブリッククラウド」 など複数のサービスを組み合わせて使うサービスのことを指します。 マルチクラウドは複数の「パブリッククラウド」を組み合わせて使うサービスのことを指しますので、 その点が異なる点となります。 ハイブリッドクラウドのメリットとしてはサービスの組み合わせを柔軟に選ぶ事で セキュリティー面・コスト面・負荷分散を実現できることなどがあげられます。 現実問題として、国内の企業のシステムが続々とクラウド化している一方で、 まだまだオンプレミス環境で運用されているケースや何らかの技術的な理由などでクラウドへの移行が行われていないケースも非常に多いことは間違いありません。 ただしテクノロジーの発展やクラウドベンダーの新しいサービスにより今後は クラウド環境に移行する機能が増えてくるのは間違いないので、将来的にはハイブリッドクラウドは 非常に重要な位置付けとなると考えられております。そのためクラウドベンダーは様々な戦略をもってこのシェアを奪いにくることは間違いありません。 以上がハイブリッドクラウドの説明とマルチクラウドとの違いについての説明となります。

マルチクラウドのメリットについて

マルチクラウドのメリットについて説明させていただきます。 ポイントを4つに絞り紹介させていただきますので、参考にしていただけましたら幸いです。

パフォーマンス

マルチクラウドのメリットについての一点目がパフォーマンスとなります。 自社のサービスにあったクラウドのサービスを選定しますので、当然ながらシステムのパフォーマンスは向上します。 また、パフォーマンスを高めるために機能追加することやカスタマイズすること、 もしくは新しいサービスに変更するなど工夫することでさらにパフォーマンスを 高めることが可能となります。

ベンダーロックインを防ぐ

マルチクラウドのメリットについての二点目がベンダーロックインを防げることとなります。 ベンダーロックインとは、特定のベンダーの製品や仕様やテクノロジーに依存してしまう ことで他ベンダーへの乗り換えが難しくなってしまうという問題です。 ベンダーロックインに陥ってしまうと他にもコスト面でリスクを負うことや新しいテクノロジーの 恩恵を受けにくくなるなどのリスクを抱えることになります。 ベンダーロックインが国内におけるDX推進を遅らせているという批判もあり、 様々な事例をあげることができますがここでは割愛させていただきます。 マルチクラウドを選択することで、優秀なサービスをもつクラウドベンダーのサービスに 変更することや既存のサービスと同時に利用することなどの選択肢が生まれ 企業にとっては大きなメリットとなります。 IT業界においては新しいテクノロジーが早いサイクルで生まれこともあり、 企業は柔軟に対応できることが競争力と直結します。 そういった意味でもベンダーロックインを防ぐメリットは大きいと言えるでしょう。

リスク分散

マルチクラウドのメリットについての三点目がリスク分散となります。 ベンダーロックインで説明した内容とやや重複しますが、 大規模システムを扱う企業にとってリスク分散は非常に大きな意味を持ちます。 データセンターやネットワークの分散を行うことで、 災害時や障害におけるリスクを軽減できるのと同様に 複数ベンダーでサービスを運用することでリスク分散に繋がることは間違いありません。

マルチクラウドの注意点

マルチクラウドの注意点について説明させていただきます。

セキュリティー

マルチクラウドの注意点はセキュリティーのリスクが高くなるという点となります。 クラウドベンダーによりセキュリティー基準に乖離があるケースやセキュリティーの強度が異なる とセキュリティーリスクが高まることになります。 また、管理を行うための情報が多くなることでリスクが高まるという面もあります。 セキュリティーリスクについてはしっかりとセキュリティーの専門家と相談しながら 運用設計を行うことや運用体制を構築することなどで対策を行うことが可能です。 特に大規模システムや多くのユーザーを抱えるサービスを運用する場合、 トラブル時のリスクは非常に高いためセキュルティーには十分に配慮を行う必要があります。

運用コスト

マルチクラウドの注意点は運用コストが高くなるケースが増加することです。 もちろんこれは運用体制やどのようなクラウドサービスを利用するかよって異なりますが、 複数のクラウドベンダーにサービスを分散させる場合一般的には運用コストが高くなることが ほとんどです。

ベンダー選定

マルチクラウドの注意点はベンダー選定となります。 自社で導入した実績のあるサービスであれば問題ありませんが、 新しいサービスを導入する場合そのクラウドベンダーや扱う製品についての 知見をもったエンジニアが必要となります。 導入前にリスクに対しての仮説を立てることや技術的な検証などを実行せずに 導入すると思わぬリスクがありますので、ベンダー選定は非常に重要となります。

IBMとマルチクラウド

IBMとマルチクラウド戦略について説明させていただきます。 IBMは老舗のクラウドベンダーでありますが、クラウド市場において様々な戦略を見せており今後の動向が注目されております。 直近ではIBM社から分社化したキンドリルが大きな注目を浴びております。 キンドリルは2021年9月に事業を開始し、2021年11月にはニューヨーク証券取引所に上場しております。 すでに60カ国以上で展開し、社員数は8万8449人を誇り世界的な企業として 事業展開を行っておりその事業拡大の速度の戦略は業界においても注目を集めるところです。 キリンドルはMicrosoft社と提携を結び、両社はクラウド移行やデジタルトランスフォーメーションプロジェクトに取り組むと発表を行いました。 提携においてはMicrosoftはキリンドルの唯一の「プレミアグローバルアライアンスパートナー」となることや、 両社の開発者は、顧客向けにMicrosoft Cloudでアプリケーションを構築すること、協働イノベーションラボを設立すること、Microsoft社は、キリンドルの従業員向けのトレーニングプログラム「Kyndryl University for Microsoft」を立ち上げることなどが大きなポイントとなります。 Microsoftとの提携を行うことでキリンドルはクラウド領域において大きな利益をあげることが予想されております。 また、キリンドルとVMwere社におけるパートナーシップもニュースの一つとなります。 VMwareソリューションとキンドリルの設計、構築、マネージドサービスの組み合わせを通じて、 顧客のITとビジネスの再創造を加速させることを提携の目的としております。 VMwareとIBM社の20年以上のパートナーシップがあることもあり、キリンドル社のクラウドサービスにおいても 様々な好影響を及ぼすことは間違いありません。 2021年12月にはGoogle Cloudとの提携を発表しました。 Google Cloud Platform(GCP)とキンドリルの各種サービスを組み合わせ、より高度、データドリブン、持続可能なビジネスへの転換を目指すとしております。 キリンドルはIBM配下の分社前とは違ったアプローチでクラウド領域のサービスを展開するため今後の戦略や動向に大きな注目が集まっております。 以上がIBMとマルチクラウド戦略についての説明となります。

ガバメントクラウドについて

マルチクラウドやクラウドベンダーを語る上で関連性の非常に高いニュースがガバメントクラウドとなります。 ガバメントクラウドとはデジタル庁が行っているIT施策の一つであり、内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室(デジタル庁の前身)の資料からの引用によると 以下の内容となります。 「ガバメントクラウド(Gov-Cloud)とは、政府の情報システムについて、共通的な基盤・機能を提供する複数のクラウドサービス(IaaS、PaaS、SaaS)の利⽤環境であり、早期に整備し、運⽤を開始することとしています。」 ガバメントクラウドを簡単に説明すると、政府と地方自治体が民間のクラウドベンダーから共通クラウド基盤を 利用することを指します。 ガバメントクラウドはデジタル庁が2025年度末までに整備して全自治体が活用する基盤システムを目指しており、地方自治体は各団体ごとにソフトウェアやハードウェアやセキュリティー対策などの様々な手間から解放され、より効率的な運営を実現することが可能となります。 2021年に認定されたガバメントクラウドの事業社はAmazon Web Services(AWS)Google(Google Cloud Platform)の二社のみとなっております。 ガバメントクラウドの認定事業者は基本的に ISAP(Information system Security Management and Assessment Program)においてISMAPクラウドサービスリストの承認を受けた企業のみとなります。 また、ガバメントクラウドはデジタル庁が自社サービスと直接契約できる企業に限定しました。 これによりマルチクラウドやハイブリッドクラウドを顧客に提案してきた国内ベンダー企業は ガバメントクラウドを狙う場合、従来と異なる戦略が必要になってきました。 いずれにせよ2022年のガバメントクラウドを目標に国内外の企業が様々な動きを見せており、 今後の動向に注目が集まっております。

ISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)について

ISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)について説明させていただきます。 ISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)は政府が求めるセキュリティ基準を 満たしているクラウドサービスを登録することで、政府のクラウドサービスを円滑に調達できることや セキュリティ水準の確保を目的として設定されました。 政府が調達するクラウドサービスは基本的にISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)とする方針としており、 今後は様々な基準を満たしたクラウドサービスのみ利用させることが大原則となります。 ISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)制定までの歴史について簡単に振り返っておきます。 2018年に政府調達におけるサービスとしてクラウド・バイ・デフォルト原則を採用しました。 クラウド・バイ・デフォルト原則は政府の調達するシステム情報についてクラウドサービスの利用を 第一候補として検討するという内容となります。 同年の2018年に、クラウド・バイ・デフォルト原則を実行するために 「未来投資戦略2018」にて「クラウドサービスの多様化・高度化に伴い、官民双方が一層安全・安心にクラウドサービスを採 用し、継続的に利用していくため、情報資産の重要性に応じ、信頼性の確保の観点から、クラ ウドサービスの安全性評価について、諸外国の例も参考にしつつ、本年度から検討を開始する。(抜粋)」 との決定がされます。その後「クラウドサービスの安全性評価に関する検討会」の開催が実行され、 「成長戦略(2019年)」においてクラウドサービスの安全性評価制度について、2020年秋の全政府機関での利用開始に向け、2019年度中に実証を行いつつ、評価基準や制度を確立することが決定しました。 「デジタル・ガバメント実行計画」においてはデータの安全性や整備、行政機関におけるクラウドサービスの 徹底などについての会議が実施されました。 その後2021年(令和3年)9月1日にデジタル庁発足が行われ、ISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)はガバメントクラウドを推進するにあたり非常に大きな役割を担っております。 以上が簡単ではありますがISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)についての説明とさせていただきます。

まとめ

いかがでしたでしょうか? マルチクラウドについて説明させていただきましたので、参考にしていただけましたら幸いです。