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はじめに

データベースエンジニアは設計、構築、運用・保守まで非常に幅広く専門性の高い業務を担当する職業です。データベースエンジニアの職に就くために資格が必須かというと、そういうわけではありません。ですが、少なくとも採用の際に有利に働くことは間違いなく、入社後の資格取得を奨励する企業も少なくないため資格の取得はベターです。スキル証明だけでなく、資格取得のための学習によるスキルアップも期待できます。

今回はこれからデータベースエンジニアになりたい方、既になっていて将来のキャリアパスを考えている方向けにデータベースエンジニアに役立つ資格について紹介していきます。

データベースエンジニアに役立つ資格の種類

情報処理技術者試験

概要

情報処理推進機構(IPA)が運営するIT系唯一の国家資格で、4つのレベルで構成されています。

ITパスポート試験ではコンピュータシステムやデータベース、ネットワークに情報セキュリティから、企業活動や関連業務の知識が問われます。論理的思考力やシステム的思考、関連法規やセキュリティに従った活動ができることも必要です。CBT試験のため随時実施されています。

基本情報技術者試験では情報戦略や情報技術全般の知識・スキルを活用し、上位者の指導の下でシステムの設計〜運用まで、ソフトウェアの設計・開発、情報戦略の予測〜評価などができるレベルにあることが求められます。

応用情報技術者試験では基本情報技術者試験よりワンランク上のスキルが必要です。プロジェクトマネージャの下でスコープ、予算、工程、品質などの管理ができること、システムの設計〜運用・保守において上位者の方針を理解し技術的問題を解決できること、などが求められます。

高度情報処理技術者試験では経営からシステム企画〜運用・保守など、それぞれの分野においての高い知識とスキルが必要です。下位者への指導ができるレベルを想定しています。

ITの学習が初めてであればITパスポート試験、より実践的な知識・スキルを求めるのであれば基本情報技術者試験、応用情報技術者試験から受験するのが良いでしょう。さらに高度なスペシャリストレベルを目指すのであれば※高度情報処理技術者試験の各分野ごとの試験もあります。そのうちの「データベーススペシャリスト」がデータベースエンジニア向けとなっています。

※高度情報処理技術者試験の各分野一覧

  • データベーススペシャリスト(後述)
  • プロジェクトマネージャ
  • システム監査技術者
  • エンベデッドシステムスペシャリスト
  • ネットワークスペシャリスト
  • ITストラテジスト
  • システムアーキテクト
  • ITサービスマネージャ
  • 情報処理安全確保支援士

取得するメリット

ITパスポートは随時開催されており、基本情報技術者試験、応用情報技術者試験に関しては年2回受験できるので、働きながらでも合格を目指せます。

また、IT関連から経営・会計・法務・マネジメント関連まで広く業務で活かせる知識・スキルを証明できる資格でもあるので、IT系企業に限らずキャリアアップに役立てることができます。

受験資格

ありません。

受験料

¥5,700(税込)※

※情報処理安全確保支援士試験のみ非課税です。

データベーススペシャリスト

概要

情報処理推進機構が運営する資格高度情報処理技術者試験の一つであり、データベースの企画・設計から開発〜保守までの高度な知識と実践的な能力が問われます。

技術動向を広く見通した技術選択、データ管理の目的や技法を理解し、情報セキュリティにも考慮したデータベースの企画・要件定義から運用・保守までできるレベルの技術者向けの※難関資格です。

※平成31年度の場合、応募者数16,831名に対し合格率は14.4%となっています。

取得するメリット

情報処理推進機構が運営するIT関連資格で最高難易度のレベル4に位置する難関資格であり、取得にはデータベース関連の高度な知識・スキルが必要となります。それ故に取得できた暁には知識・スキルの証明になりますし、クライアントや会社からの信頼獲得にも繋がるでしょう。仮に転職するとなった場合でも間違いなくアピールできる資格です。

受験資格

ありません。

受験料

¥5,700(税込)

Oracle Master

概要

Oracle社が運営するOracle Databasの管理スキルを認定する資格です。世界共通基準の資格であり、IT系の資格の中でも人気が高いうちの一つです。

データベースの管理・運用スキルはもとより、SQLの習熟度も問われます。

Oracle Master試験は難易度別に「ORACLE MASTER Bronze DBA 2019」、「ORACLE MASTER Silver DBA 2019」「ORACLE MASTER Silver SQL 2019」「ORACLE MASTER Gold DBA 2019」「ORACLE MASTER Platinum DBA」の4つに分かれています。

「ORACLE MASTER Bronze DBA 2019」では、全ITエンジニアに必要となるデータベースの基礎知識が問われます。

「ORACLE MASTER Silver DBA 2019」では難易度が上がり、データベースの運用管理、SQLの基礎知識まで幅広く問われます。

「ORACLE MASTER Silver SQL 2019」ではSQLの知識全般が問われます。

「ORACLE MASTER Gold DBA 2019」ではデータベース管理者としてのより高度な知識・スキル(バックアップ・リカバリ、インストール・アップグレードなど)が問われます。

「ORACLE MASTER Platinum DBA」ではデータベースの高可用性・セキュリティ・パフォーマンス管理などさらに高度なスキルが問われます。提供されることは決定されていますが、詳細については未定です。※1

取得するメリット

依然として高いシェアを占めているOracleデータベースに関する知識・スキルがあることの証明になりますし、資格自体の認知度も高いです。取得できれば学習意欲・スキル共にアピールできる有用な資格です。また、資格取得に向け学習・実践することでリレーショナルデータベースの仕組みや概念についてより深く理解できるため、初学者にもおすすめです。

受験資格
  • Bronze DBA:なし
  • Silver DBA:なし※2
  • Gold DBA:「ORACLE MASTER Silver DBA 2019」※3
  • Platinum DBA:詳細未定のため不明 ※4
  • ※1 ※4 現在(2020年7月)提供開始前のため受験することができません。「Platinum DBA」の提供開始前に受験したい方は ORACLE MASTER Platinum Oracle Database 12c 実技試験の合格+要履修コースの受講で、「ORACLE MASTER Platinum Oracle Database 12c」保有者として認定されます。前提として「ORACLE MASTER Gold DBA 2019」 、もしくは「ORACLE MASTER Gold Oracle Database 12c」を取得している必要があります。

    ※2 以前はBronze DBAの取得が必須でしたが、ORACLE MASTER新資格体系により、Bronze DBAの取得は任意となりました。

    ※3 以前は4試験の受験+要履修コースが必要でしたが、Gold DBAに挑戦しやすくするため2試験の受験+要履修コースなしに変更されています。Oracle Database Administration I (1Z0-082-JPN) 試験」+「Oracle Database Administration II (1Z0-083-JPN) 試験の合格もしくは、「ORACLE MASTER Silver DBA 2019」+「Oracle Database Administration II (1Z0-083-JPN) 試験」の合格で認定されます。

    受験料
  • Bronze DBA:¥26,600/1バウチャー(6ヶ月有効)
  • Silver DBA:¥26,600/1バウチャー(6ヶ月有効)
  • Gold DBA(Oracle Database Administration I+Oracle Database Administration II):¥26,600/1バウチャー(6ヶ月有効)
  • Gold DBA:¥26,600/1バウチャー(6ヶ月有効)
  • Platinum DBA:詳細未定のため不明 
  • OSS-DB

    概要

    特定非営利活動法人エルピーアイジャパン(LPI-Japan)が運営しているオープンソースデータベース(特にPostgreSQL)に関する知識と技術を認定する資格です。OSS-DB SilverとOSS-DB Goldの2つのレベルがあります。OSS-DBを利用している企業は数多くありますし、OSS-DBの利用を検討している企業も増えているため、重要度が高まってきています。

    OSS-DB Silverはデータベースシステムの設計、開発、運用ができること、OSS-DB Goldは大規模データベースシステムの改善や管理、コンサルティングができることがそれぞれ問われます。

    取得するメリット

    オープンソースデータベースの普及で利用するソフトウェアの選択肢が広がったために、企業のニーズに合わせた適切なデータベースシステムを提案・構築できる人材が必要になってきています。OSS-DBを取得することで多くの企業で採用されているオープンソースデータベースの知識・スキルがあることを証明できます。実務だけでなく、就職・転職やキャリアアップにおいても高い信頼や評価を得ることができるでしょう。

    受験資格
  • OSS-DB Silver:なし
  • OSS-DB Gold;有意なOSS-DB Silverを保有していること※
  • ※ OSS-DB Silver認定日から5年以内である必要があります。また、受験する順番は決まっていないのでOSS-DB Goldからの受験でも問題ありませんが、OSS-DB Silverが取得できるまでOSS-DB Goldは取得できないことに注意しましょう。

    受験料
  • Silver:¥15,000(税抜)/1試験
  • Gold:¥15,000(税抜)/1試験
  • MCP(マイクロソフト認定資格プログラム)

    MCP(Microsoft Certification Program)はマイクロソフト社が運営する認定資格です。マイクロソフトのテクノロジーやソリューションに関する知識・スキルが問われます。有資格者数は全世界で180万人、日本国内でも12万人を超えるともいわれる人気資格です。

    アソシエイトレベルのMCSA(マイクロソフト認定 ソリューション アソシエイト)、プロフェッショナルレベルのMCSE(マイクロソフト認定 ソリューション エンジニア)およびMCSD(マイクロソフト認定 ソリューション デベロッパー)で構成されており、そのファーストステップとしてエントリーレベルのMTA(マイクロソフト認定 テクノロジー アソシエイト)が存在します。

    取得するメリット

    MCP取得にはどの企業でも必ずと言っていいほど利用されている、Microsoft製品に関する実用的な知識・スキルが必要です。実務にも直結する内容なので業務で活かすことができ、 会社やクライアントへのスキル証明や信頼の獲得にも繋がるでしょう。

    また、身近な製品が多く、試験やランクにもよりますが比較的ハードルが低めです。

    受験資格
  • MCSA:なし
  • MCSE認定:MCSA認定資格のうち対応する資格
  • MCSD認定:MCSA認定資格のうち対応する資格
  • MTA:なし
  • 受験料
  • MCP(1科目分):¥23,213/1バウチャー ※1
  • MCP:¥22,000/1バウチャー ※2
  • MCP 2枚セット:¥21,700/1バウチャー ※3
  • MCP Exam Replay(再試験含め2回分):¥28,300/1バウチャー ※4
  • MCP Exam Replay 2枚セット:¥28,000/1バウチャー ※5
  • MTA:¥15,444_1バウチャー※6
  • ※1 ※6 マイクロソフト設定の通常価格です。

    ※2〜※5 ラーニングパートナーISAでの割引価格です。他のラーニングパートナーからも購入できます(参照:https://www.microsoft.com/ja-jp/learning/local-exam-replay.aspx)。

    注意点

    マイクロソフトより2020年2月27日にMCSA、MCSEおよびMCSD認定を2021年1月31日の中央時間午後11時59分をもって廃止するとの発表がありました。

    試験が廃止される2021年1月31日までであり、試験の有効期限が切れる前であれば、必要な全ての試験に合格することでMCSA、MCSD、およびMCSE認定を取得できます。認定パスの一部である試験が廃止された場合は取得できなくなります。

    参照:https://techcommunity.microsoft.com/t5/microsoft-learn-blog/mcsa-mcsd-mcse-certifications-retire-with-continued-investment/ba-p/1489670?BlogId=8&Id=375282

    MCSA、MCSD、またはMCSE認定を取得している場合、関連する新しいロールベースの認定を受けることでプロファイルの更新が行えます。

    推奨認定パス

    画像は推奨される認定パスの一覧です。

    (引用:https://techcommunity.microsoft.com/t5/microsoft-learn-blog/mcsa-mcsd-mcse-certifications-retire-with-continued-investment/ba-p/1489670?BlogId=8&Id=375282)

    おわりに

    ここまでデータベースエンジニア向けの資格をご紹介してきました。高度情報化社会において、今後ますますデータベースエンジニアの人材ニーズが高まることが予想されます。あなたの人材価値を高め、今後も活躍するためには、業務・資格の学習を通じて知識・スキルを高めることはもちろん、これからのキャリアについての明確な目標・イメージを持っていることが重要です。あなたのキャリアパスにあった資格や分野を精査し選択しましょう。