支援対象地域:札幌、仙台、関東、愛知、関西、広島、福岡


退職届の作成方法を注意点とともに解説

転職活動を進めた結果、希望する会社から内定を得たら、今の会社に退職届を出さねばなりません。 一連の退職手続きはスムーズに進めたいですね。

退職届の書き方やそれをいつ出すべきかといった事項について、以下を参考にしてください。

退職届とは

ご存知のとおり退職届は退職の意思を記述して現在の会社に届け出るための文書であり、退職手続きには必須です。 似たようなものに退職願や辞表がありますが、これらが退職届とどう違うのかを見てみましょう。

その違いを対比させることで、退職届の役割が明確になります。

退職届・退職願・辞表の対比表

ではわかりやすいように、それぞれの特徴を挙げて比較してみました。

退職届

・決定した退職の意思を会社に通知するための文書

・法的な効果がある

退職願

・退職について勤務先にお伺いを立て相談するためのもの

・口頭で伝達しても構わない

辞表

・会社の役員など雇用されていない人が、就いている役職を退任する意思を通知する文書

・その後、従業員として勤務することもあり得る

・公務員が辞職する場合にも用いる

一般的に退職届はすでに退職を決めている状態で、正式に退職することを伝えるときに用います。

その他退職願は決めてはいないが、少し考えている時。辞表は、退職するわけではなく、役職を降りるという意味が強いです。

作成に必要なもの

退職届の作成手順の説明に入ります。

就業規則を参照して、退職届に会社所定の書式、届出の方法が無いかを確認しましょう。 書面を入れる封筒は以下のようなものにします。

・白で無地

・郵便番号の枠がないもの

・市販のもの(会社の業務用封筒は不可)

このような封筒を用意し、表に退職届、裏に所属部署と氏名を記します。退職届の入れ方は、長編を三つ折りにします。以下の手順です。

1.書き出しが上

2.下から上に1/3を谷折り

3.上の1/3を折り重ねる

作成時の注意点

続いて書き方の作法です。手書きとPCで作成する場合それぞれの注意点を理解しておきましょう。

手書きの場合

退職届自体は文字数も多くなく、手書きとする人が大半です。黒のボールペンか万年筆でA4かB5の白い便箋に書きます。 当たり前ですが、シャープペンや鉛筆、書いた文字を消すことができるペンで書いてはいけません。修正テープを使うのも不可です。

PCで作成する場合

PCで作成するのはどちらかと言えば少数派ですが、認められていないわけではありません。PC作成時の注意点は特にございませんが、特別な事情がないのであれば、手書きの方が望ましいです。

【テンプレ利用可】退職届の文面例

退職届のテンプレートです。どんどんご活用ください。

退職届

私議

このたび一身上の都合により、〇〇〇〇年◯月◯日をもって退職いたします。

☓☓☓☓年☓月☓日

会社の正式名称

最高執行責任者役職名

「氏名」殿

横書きの場合は最後の行に「以上」と記載しましょう。

言い回しについて

テンプレート内の言い回しについて説明します。

・「私儀」または「私事」を入れる

これは「私事ではありますが」を意味します。

・「一身上の都合により」とする

会社都合の退職でない限りこの文言にして、細かい経緯は書きません。

・退職日付は予め直属の上司や会社と合意した年月日

和暦にするか西暦にするかについては、念のため就業規則に指示がないかを見ておきましょう。

・「退職いたします」と宣言する

「退職いたしたく、お願い申し上げます。」とすると退職願になってしまうので、「退職いたします。」ときっぱり言い切ります。

・実際に退職届を提出する年月日を記入する

・所属部署名、氏名の下に押印

シャチハタは不可です。

・会社の正式名称(法人名)と最高執行責任者の役職名、氏名を宛先とする

・提出先は雇用契約を結んでいる会社

出向している場合は、出向元の会社です。

退職を伝えるべき限りなくベストなタイミングはいつ?

上記の通り、退職届を出す前にまず直属の上司に退職の意思が固まったことを伝え、退職の日程について合意してからその退職日を届け出た方がベターです。 退職の話を切り出すタイミングの見極め方について以下を参考にしてください。

会社の規則を守る

転職先が決まり、退職することになったら真っ先にすべきは、現在の会社の就業規則をチェックすることです。

ここで法律上はどうなっているかに触れておきます。 退職は民法上、労働者の一方的な意思表示により効力が発生するものです。会社の承諾は要りません。 期間の定めのない雇用契約であれば、解約を申し入れた後、2週間で終了します。

ただ会社の就業規則を見ると、1か月以上前に申し出るようにと規定されているケースが多いようです。 裁判例では法律(民法)が就業規則に優先するとされています。業務の引き継ぎ期間やお世話になったことを考慮し、気持ちよく退職するためにも会社の就業規則の方を優先させましょう。これもビジネスマナーですね。

小規模な会社だと、自己都合退職は2,3か月前に申し出るようにと定められている所もあるかもしれません。 この場合はあまり転職先に待ってもらうわけにもいかないため、1か月半後ぐらいには退職させてほしいと交渉に入るべきです。 いずれにしても早めに手を打ちましょう。

円満に退社するための交渉のコツ

退職の意向を伝え交渉する席では、曖昧な態度はとらず退職を決意が変わらないことを示しましょう。 処遇の改善や希望部署への異動を示唆されて、思い止まらせようとするかもしれませんが、退職の交渉をスムーズに進めるには、何よりもここでブレないことが肝心です。

直属の上司に打ち明けるときは、退職のデッドラインよりも少し前倒しして退職日の日程案を打診し、上司(会社側)の要望に歩み寄って在職期間を伸ばして退職日を確定させるという手もあります。

スケジュール設定

転職先からは内定後、入社までできれば2か月は待ってもらいましょう。 急な欠員補充などの事情がない限り待ってもらえる可能性は十分にあります。

順にタスクを挙げます。

・就業規則の確認

・退職届を出す前に退職の意思を直属の上司に伝達

上司の性格を考慮し、気持ちに余裕がありそうなタイミングを見計らってうまく切り出してください。 後で退職届の提出する際に、受理に時間がかからないよう予め合意を得ておきましょう。

退職届に記載する退職日の日程案を打診します。 ここで退職届ではなく別途「退職願」を用意してそれを渡しても良いですが、口頭で伝えても構わないでしょう。

・退職日の正式決定

・退職日の1か月半ぐらい前に退職届を提出

退職届提出は最も遅くて1か月前です。期間に少し余裕をもたせましょう。

・引き継ぎの計画

上司に後任を指名してもらいます。担当の仕事の手順のドキュメント化や後任者への説明に要する期間を見積もります。

・貸与されたPCなどの返却

・社会保険関係の事務手続

・取引先・顧客への挨拶回り

・有給休暇の消化

以上を考慮して退職までのスケジュールを組みます。

退職届提出時のマナー

退職を届け出る際は神経を使います。その際の礼儀作法を確認しておきましょう。

最初に伝えるべき相手

まずは直属の上司に、シーズンとしては業務の繁忙期や大規模プロジェクトの進行中、人事異動の直後は避け、時間を見計らってひと気のない会議室などで伝えましょう。その上司を飛ばしてさらに上層の管理者に伝えると、上司が管理能力が疑われて面目をつぶしてしまう可能性があります。会社の指揮命令系統に則ることが大事ですね。

また先に同僚や先輩に「相談」するような体裁で打ち明けてしまうと、その相手が上司に耳うちする可能性があり、これも良くありません。 例えば就業規則に「最初に人事担当部署に伝える」というように違うことが書いていない限り、最初に直属の上司に告げてください。

退職を伝える場での注意点

上記の比較表の通り、退職は確固たる意思、決定済みの事項として事後報告の形にします。 まだ会社に残るかそれとも転職するか、というような迷いがあって相談を持ちかけるような形にしてしまうと、引き留めにあう可能性があり、貴重な時間を浪費することになりかねません。 話をこじらせないためにも、事後報告とすることです。

直属の上司が了解したら、上司は後任者の選定や退職日の案に問題がないかについて部長や社長と打ち合わせます。 退職日の正式決定を受けてから、その日付を記載した退職届を提出すれば、スムーズに受理されるでしょう。 そして上司から、退職の決定について社内に公表されます。 同僚には、この時点で初めて退職を知らされるようにしましょう。

また転職先を尋ねられることもありえます。 一般には伝えて差し支えないでしょう。

しかし競合している同業他社の場合は、極力社名は伏せておくことです。 ノウハウや機密情報の流出といった余計な懸念を抱かせず円満に退職するためにも、うまくはぐらかしましょう。 他にも退職理由を尋ねられたら、あくまでも「今後のキャリアアップのためです。」という個人的な事情の趣旨を口頭で答えます。

退職届の撤回について

退職届は撤回できません。 退職願なら人事責任者が承認するまでの間は撤回できる可能性があります。ここも退職願との大きな相違点です。

周囲への気配り

同僚や先輩ともそれまで良好な関係でいれば、気持ちよく送り出してくれるでしょう。 縁が切れるとは限りません。

世間は意外と狭いもので、業界内だと再会する可能性も十分にあります。 送別会を開いてくれたら、しっかりと感謝の気持ちを表明したいですね。

規則、マナーに従って退職届を出して転職しましょう

退職に伴う一連の行為は、ルールやマナーから逸脱しないようにすることです。 さらに周囲の心情や機微も十分に感じ取ったたうえで、慎重かつ戦略的に進めましょう。 円満に退職して心機一転、新天地の転職先でも活躍してください。