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今回はユーザー系システムインテグレーターという企業の一形態について簡単に解説させていただきます。

ユーザー系Sierとは

ユーザー系システムインテグレーターは、主に金融系、通信系といったIT以外の異業種企業からIT系の業務を遂行する一部門として成立後、独立することによって会社組織化した企業のことを指します。こちらもグループ会社・親会社からの仕事を請け負うことも多いですが、それらに頼らずに顧客を獲得して積極的に仕事をもらうことが挙げられます。

ユーザー系SIerは母体によって商社系・金融系などと呼ばれる場合もあり、大企業でもその親会社の主要業務はさまざまです。

ユーザー系Sierの特徴

1.安定した経営体制

ユーザー系Sierは元々IT系業務部門を独立させた企業です。そのため、親会社から仕事を下請けする性質上、常に一定の需要に応える形となるので、経営資金が潤沢でとても業績が安定化しやすいです。

つまり、SIerを自社グループに抱えることのできる企業は、基本的に大手で経営規模が大きく、子会社であるユーザー系Sierも経営は安定化する傾向があります。親会社が低迷している等の場合を除けば、顧客を元々確保しているので不況に左右されることがほとんどなく、業績が安定しています。ただし、資格取得といった目に見える形のスキルアップは必要となってくるので注意が必要です。

2.自社勤務

親会社の開発に携わっている性質上、顧客への出向は頻繁ではなく、客先常駐自体もありません。そのため、自社でリラックスした雰囲気で仕事ができ、出向や転勤が少なく、腰を据えた勤務ができます。また自社での仕事が多く、そこから帰属意識が生まれ、仲間と一丸となって目標へ向かって仕事をすることでは、大変やりがいがあるといえます。

3.福利厚生

福利厚生は基本的に親会社がベースになるので、親会社が大手企業のユーザー系は福利厚生がとても充実しています。また、宿泊施設、スポーツクラブの利用が優待されるなど、独立系やメーカー系よりも恵まれているケースが多いとされます。

4.離職率が低め

システムエンジニアは残業が多いイメージがありますが、親会社が大手の場合、グループ全体で企業倫理を遵守する傾向が強く、サービス残業や過度な残業はほとんどないことが多いです。そのため基本的に離職率が全般的に低く、顧客が親会社やグループ企業ということもあって雰囲気が良いとされ、過度な社内競争もないことで職場自体が落ち着いています。

当然、システム開発には波があるので、忙しくなれば残業が増えることもあります。

5.自由度の高いシステムを構築できる

親会社のSI全般に関わる業務をメインとするため、システム開発以外にも親会社の業務に精通した多角的な人材が求められ、そこゆえに使用ハードウェアやソフトウェアなどに縛られない、自由度の高いシステムを構築することができます。ただ、コンサルティングなどの上流工程に業務が集中しやすく、実際のプログラミングなどの工程を他社の独立系SIerに下請けとして出す傾向も見受けられます。

ユーザー系Sierの内販、外販について

1.内販

ユーザー系Sier企業が親会社やグループ会社向けに行う業務のこと。必然的に親会社やグループ会社から仕事を受けることが多く、「内販」の案件比率が高い場合は親会社・グループ会社の業務内容に合わせたシステム開発や保守·運用を手掛ける。

基本的に従業員数が数百人単位のユーザー系Sier企業は、親会社、グループ会社に専業で事業に携わる傾向が強いとされていて、業界だと建築業界·小売業界などがその傾向にある。一方で親会社、グループ企業のサービスが大規模な場合、関連するシステムの規模も大きくなることから、携わるエンジニアの人数は多くなる傾向にあり、親会社が金融業界や生活インフラに関するサービスを扱う業界に多い。

2.外販

親会社やグループ会社ではない、ほかの企業から受けている業務のこと。「内販」で培ったノウハウを活かすことで「外販」を行い、グループ企業としての売り上げに貢献できるという特徴がある。また親会社やグループ会社以外へ取引先を広げることによって、経営のリスク回避を行うことができ、多くの企業が「内販」と「外販」の両方を行う。

親会社からの「内販」を請け負うことをメインで設立されたユーザー系Sier企業がほとんど。ただ、事業拡大を狙って戦略的に「外販」を取りに行くために設立されたSier企業もある。その多くは、さまざまな業界でビジネス展開をしている商社を親会社とするユーザー系Sier企業で、「外販」目的でつくられたケースが多いとされる。実際に親会社のリソースを活かし、製造業、金融、流通、情報通信など幅広い分野の業務案件を請け負うことが多く、 商社以外だとコンサルティング業界に親会社が属している場合に同じ傾向が見られる。

ユーザー系Sierの企業

・東京海上日動システムズ

・ニッセイ情報テクノロジー

・第一生命情報システム

・SCSK

・伊藤忠テクノソリューションズ

・日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ

・新日鉄住金ソリューションズ

・トヨタコミュニケーションシステム

・JR東日本情報システムズ

・ANAシステムズ

・NRIネットコム

まとめ

・ユーザー系Sierは金融系、通信系といったIT以外の異業種企業からIT系の業務を遂行する一部門として成立後、独立することによって会社組織化した企業のことを指す。

・ユーザー系Sierは特徴として、安定した経営体制で自社勤務が多く、福利厚生が充実している。また離職率が低めである。開発するシステムとしては自由度の高いシステムを構築できる。

・「内販」と「外販」を行うユーザー系Sier企業がある。