支援対象地域:札幌、仙台、関東、愛知、関西、広島、福岡


COBOLについて(Common Business Oriented Language)

若いエンジニアにはなじみがないかもしれない為、簡単にCOBOLについて紹介します。 COBOLは1958年に開発され、2020年現在から考え60年以上前から存在するプログラム言語です。 事務処理に最適な言語として開発されており、人間の文法(英語)に近い記述が採用されている為、プログラム言語の中ではシンプルで使いやすく親しみやすい言語となっています。 国際的な標準化も行われているプログラミング言語です。


COBOLは一般的に古いイメージが沸くと思います。私も約10年前の高校時代に学習しましたが、その時にも銀行以外で使われていない古い言語と教えられました。
・基本情報技術者試験内の午後問題にてCOBOLがプログラム言語として出題されていたが、2019年秋季より出題が廃止されている
・COBOLプログラミング能力認定試験が廃止
上記のことからCOBOLが古い、時代に求められていないイメージを増幅させます。


私自身も古いというイメージと積極的に習得する言語ではないと思っており、 IT業界で就業していても「COBOL」という単語を耳にすることがほとんどないレベルでした。
しかし、新型コロナウイルスの影響でニュースになったことで現在でのCOBOLの扱い、仕事事情が気になり調べてみました。


COBOL社会事情

COBOLの技術者スキル所持者の年齢分布は40代以降が6割とされています。
COBOLは金融機関、官公庁など政府機関の業務システムで使われています。 24時間365日重要な業務を扱っているシステムであり、COBOLからJavaなどのシステム移行へ膨大な手間と費用がかかる為、古いシステムでありながら現在も使われ続けています。
2020年現在でも約6割の企業にCOBOLシステムが存在していると言われていることから、 今後もCOBOLが社会のシステムを動かしていくことになります。
長い歴史がある大企業ほどいまだにCOBOLによって開発された古いシステムが使われています。


コストやリスクを考える

例えば、COBOLで動いているシステムをJavaで動くシステムへ簡単に変更することは出来ません。もしそのようにしたい場合には1からシステムを開発することになるでしょう。
COBOLから他プログラム言語へ簡単に移行できることになれば、現在使用されているJava等の主流のプログラム言語も廃れていくという可能性も否定できません。
長年安定稼働しているシステムを古いという理由で変更することは、コストとリスクを考えて現実的ではありません。


COBOLを学習する価値

 

COBOLはシンプルで扱いやすいプログラム言語とされています。その為、プログラム言語を学んだ経験があるのならばすぐに習得できるかもしれません。
一定の需要はあり。今後のIT業界の情勢を考えると直ぐに廃れることはないでしょうが、IT技術者がCOBOLのみで生きていける環境ではありません。 学生やIT業界未経験者が積極的に習得するようなプログラム言語でないということは確かです。


COBOLの案件

COBOLは古くから使われ現在でもシステム使われていることから、COBOLに特化したエンジニアはニッチではありますが需要はあります。
ただ、残念ながら開発の現場はほぼなく、保守や監視の案件がメインとなっています。
技術者が高齢化し退職または管理の席に就いていくことでCOBOLスキルを持つエンジニアが少なくなり、若者は古臭いイメージのあるプログラム言語よりもニーズがあるメジャーなプログラム言語の習得に走る為COBOLを学習せず敬遠していき、結果としてCOBOLスキルを持つエンジニアが少なくなってしまいます。つまり、企業がCOBOLエンジニアを必要とする時にはコストを掛けてでも調達しようとします。その結果、単価が高くなることがあります。
COBOLの知識があることでCOBOLを使用する案件だけでなく、COBOLからJavaへ移行するための専門的な知識を必要とする案件もあるでしょう。
COBOLは古いプログラム言語ですが、COBOLシステム自体は変わらずクラウド上でシステムを稼働させる動きも出ております。 AWSで動かすことでCOBOLシステムのネックだったハードウェアが高い、維持費が高いことが解消されています。
クラウド関係の案件でCOBOLを扱う現場に就くかもしれません。


新型コロナウイルス影響

米国では新型コロナウイルスの影響でCOBOLエンジニアに需要が高まっています。
失業保険金給付システムがCOBOLで構築され長年にわたり使用されていました。 新型コロナウイルスの流行から失業者が激増し、失業保険の請求が急増したことでシステムがパンク状態に陥ってしまったのですが、COBOLスキルを持つエンジニアがおらず対応できない事象が派生しました。
COBOLスキルを持つエンジニアによって古いシステムの改修や維持管理が必要となり、需要が高まったという訳です。
古いと言われてきたCOBOLがこの時代に注目され脚光を浴びるとは誰が予想できたでしょうか。


最後に

未来のIT情勢について完璧に予想することはできません。
メインで使用するプログラム言語のサブとしてシンプルで親しみやすく比較的習得しやすいと言われているCOBOLについて知っていても損はないでしょう。
古臭い、時代遅れとされているCOBOLのスキルがあることで開ける道もあるかもしれません。