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<1.概要>

<1.スパン・オブ・コントロール>

「スパン・オブ・コントロール」とは直訳で「管理限界」や「統制範囲」され、1人の上司が管理できる最適な人数を示す経済用語の1つです。一般的に管理できる人数は5人から8人とされており、最大で10人とされています。

<2.スパン・オブ・コントロールの意味と定義>

統制範囲の限界を超えた人数を持った組織は成果を残すどころか、プロジェクトそのものが破綻、組織そのものに悪影響を及ぼす恐れがあります。一般的な組織は、この理論を前提として採用しています。この理論は比較的小規模な組織はもちろん、大企業問わず、トップから直接多くの社員へと繋がるだけでなく、経営陣から様々な部署、木々用のトップ等あらゆる階層的な組織構造を形成します。

<2.要素と理由>

<1.タスク>

チームメンバーをまとめる「プロジェクトリーダー」の仕事は主に「進捗スケジュールの管理」と「マネジメント」です。

メンバーの抱えるタスクがシングルタスクであれば、個々をマネジメントする必要性が下がり、管理職への負担も減ってスパン・オブ・コントロールの幅が広がりま。

また、同様のタスクであれば、先へと進んでいるメンバーが、作業の遅れているメンバーのヘルプに入ってもらう事も可能となり、メンバーへの指示も基本的には全体へと向けた物となります。これは学校教育の現場やコントロールセンター等で、1人の教師、管理者が多く生徒や部下を管理できるはこのためです。

<2.メンバー間の連携>

メンバー間での協力、助け合いが活発化することで、管理者への負担が減ってスパン・オブ・コントロールの幅が広がります。

受け持つ作業に余裕があったり、下への面倒見のいい先輩らが積極的に作業の遅れていメンバーや後輩を指導する環境であるなら、管理職が直接マネジメントする必要性が減ります。また、他のメンバーを介して進捗状況の把握も効率的にできます。

<3.権限委譲>

メンバーの中にはほとんど権限を持っていないケースが多いです。そのため、基本的には何をしたらいいのかと、指示を待つ時間が多くなりがちで進捗スピードにブレが生じます。また、自分から何を進めていくというよりかは、逐一上司に報告して指示と承認を仰ぐことなります。

メンバーへの権限委譲が進んでいれば、自己判断で業務遂行が可能となり、結果としてスパン。オブ・コントロールの幅も広がります。

<4.業務量>

管理職という立場である以上、メンバーのマネジメントや進捗スケジュールの管理、クライアントとのミーティング、マネージャーへの報告等、業務量が多くなるほど、スパン・オプ・コントロールに影響が出ます。

あらゆる業界における管理職が必ずしも、マネジメントに専念しているというわけではなく、スケジュール管理やミーティング等、の業務を抱えている場合は、マネジメントに割く時間は少なく、自然として人数も限られてきます。

<5.組織としての適正人数の検討>

スパン・オブ・コントロールの最適な人数でプロジェクトチームを結成することが、各メンバーが持つ個々の能力を最大限発揮し、適材適所を実現に繋がります。

管理職を増やして各メンバーのマネジメントを任せることが難しい場合、同一のタスクを担っているメンバーを同一のチームに配属することやメンバー間での連携権限の委譲といったように、自発的に誰もが働ける環境をつくる事がマネジメントの効率化に繋がります。

<3.許容範囲>

<1.キャパオーバーが与える影響>

スパン・オブ・コントロールの許容範囲を超えた組織を結成してしまった場合、メンバーの孤立を招いてしまい、チームとして機能しません。

また、メンバーの教育や能力開発に影響を及ぼすだけでなく、チームの統制が取れず 混乱を引き起こし職場の風土の悪化から人間関係の悪化といった事態も招きます。

<2.適切な人数設定が健全な運営になる>

スパン・オブ・コントロールは1人の管理職という立場にあるリーダーが、どれだけメンバーのマネジメントができるかの指標になります。

組織規模の拡大や人数の増員を行うにつれて、管理の目が届きにくくなるため、リーダーの数を増やしてメンバー数を最適化する、権限の委譲を行う等の環境づくりが適切な運用へと繋がります。

<4.許容オーバーしやすい状況とは>

  • ・チーム内で複数カテゴリーの業務があり、メンバーが個々で専門的業務をしている
  • ・メンバー間の連携が少なく、マネージャーとメンバーが1対1で対応することが多い
  • ・マネージャー自身が、プレイヤーとして業務に割く時間が多くならざるを得ない

組織の設計上、特定の機能を担う部署を複数置くことは、業務を遂行していくうえでの妨げになる上、効率が悪くなりがちです。そのうえで、管理職への昇進・昇格をついで管理者数を増員し運用の問題を解決する策を組んだとしても、そう簡単に増員できない場合もあります。

理由としては、全社の人件費管理の関連から管理者数の増員が不可能ということが挙げられます。

<5.許容範囲を超えた時の対処>

<1.1-3-9のチームを結成する>

この場合、リーダーに業務上の判断をしてもらうかや権限、作業の考課を誰がどのように行っていくかをあらかじめ明確化しておくことです。

進めていくうえで避けるべきは「管理職とリーダーが出した意見が異なること」や「誰に何を聞いたらいいのか分からない状況」といった混乱を招く事態です。

このような事態を事前にされるうえでも、管理職とリーダーが連携しながら動くことが望ましいです。

<2.権限委譲(エンパワーメント)>

エンパワーメントとは、組織に所属するメンバーそれぞれが属する組織の発展や変革のために力を発揮する状態です。

また「権限移譲」とも呼び、上司が持つ権限の一部を部下に渡して、権限を委譲した部下の裁量で業務を進行できるようにします。

スパン・オブ・コントロールの許容範囲を超えたチームの場合も、チーム内でさらに少数のチームに編成し、各グループごとにリーダーを配置すると同時に、「権限や裁量」を付与して各グループが自律的に業務に打ち込めるようにします。

<6.権限委譲が必要な理由と前提>

<1.理由>

組織として、1つの方向性に向かっていく上では、上層部で合理的戦略と戦術を決定し、全員が一丸となって取り組んでいくやり方があります。しかし、一定以上の規模となる組織において、上層部からの指示、情報を組織全体に周知徹底させるには、時間がかかる上、何かしらの判断を上に求めては迅速な意思決定ができず、対応の遅延を招く恐れがあります。

加えて社会・経済環境の変化が激しい時や、個別での対応が必要なる市場においては、必ずしも、決定された戦術が有効的結果を発揮するとは限りません。

そこで、各現場メンバーが自主的・主体的に行動して、自己判断を踏まえた組織活動を運営することができる機会が必要となってきます。

<2.前提>

組織として目指す方向性は足並みがそろっていなければなりません。

権限委譲の前提は「ミッション」「ビジョン」「バリュー」の3点を明確にしておくことです。

自分が受け持つ組織のミッション(使命、目的)やビジョン(ミッション実現に向けてどのわうな姿を目指すか)、バリュー(価値基準、行動方針)を前提にすることで、自分に与えられた役割でどのように取り組むべきか、組織に属するメンバー個々人が考えられるようになります。

また、「何をするべき」で「何をするべきではない」といった「取捨選択」といった戦略を共有しておくことも重要になります。

実際に組織に属するメンバーに具体的な業務をアサインする際には、どの範囲の仕事に取り組んでもらうのか、何をメンバー自身の判断で進めていいのか、どのような状況では相談・報告をしてほしいといったことをあらかじめイメージしておくことがポイントです。

ついては、メンバー自身の成長に繋がります。

<7.組織マネジメントの目的>

<1.組織全体のマネジメント力を上げる>

純粋にマネジメントのみを行う管理職をおいている企業、組織はめったにありません。まずは1人のプレイヤーとして業務と管理職としてのマネジメント業務を兼任する「プレイングマネージャー」として自らも成果を出しながら、メンバーのマネジメントもすることがあります。

この状況から新たに管理職を担った場合、プレイヤーとしての経験で成せるところまではきています。しかし、マネジメントの経験がない分、組織機運営がうまくいかず機能不全になるケースが多々あります。

そのような事態を避けるためにも、組織マネジメントの研修や能力開発といった期間を設け、能力そのものを底上げすることはもちろんのこと、プレイングマネージャーも管理職としての責任を養うことができます。

<2.管理職の負担軽減>

管理職という立場である以上、チームメンバーの育成やサポート、マネジメントは大切な役割です。しかし、プレイングマネージャーであれば、一般業務も行わなければならない上、多忙な日々を過ごし、悠長に時間をかけてはいられません。

組織をマネジメントできる度量があれば、膨大な時間や作業量を費やす必要はなくなります。そのために臨まれるのがメンバーの「自発的な行動」です。それを促すためにも「権限委譲」を行い、メンバーに管理者としての権限を一部譲渡することで、メンバー個人の成長に繋がります。

<8.まとめ>

チームに属するメンバーのマネジメントは、プロジェクトを成功させていくうえで進捗管理をすると同時に、大切なことです。しかし、1人のリーダーがマネジメントできる視野には限りがあり、大人数を1人で管理することは到底不可能に近いです。

マネジメントできる視野を広げるには、メンバー間での連携、助け合いこそが大切であり、個々の状況を介して状況の把握にも繋がります。