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はじめに

 業務の手順や作業の洗い出しを行う際に、箇条書きなどで書き出したり、手順書などにまとめる案があるかもしれません。また、プログラミングにおいて個人で開発を行う際に自身の脳内で整理が出来ているのであれば、上記のような方法でも問題ないかもしれません。ただ、企業等で開発を行う際はチームで行う機会が多く、その際に上記のような文字ベースの説明を行うとどうでしょう。発信者が意図する優先順位や作業の洗い出しに差異が生じてしまったり、相手の受け取り方や考え方に依存する部分が大きく、目的に対して同床異夢のような状態になりやすいのではないでしょうか。また、業務内容によっては手順書などで業務の構造を把握することが難しいことも考えられます。そういった際に使いたいのが、図形で業務や処理の流れを表現することのできるフローチャートです。よく、プログラムは料理のレシピ作りに似ているといった表現がされますが、これはどういった順番で、どのような処理で行っていくかをあらかじめ考えておく特徴が両者に共通しているからではないでしょうか。こういった作業の順番や処理を考える上でフローチャートは大いに有効であり、経験の浅い内から流れを意識してプログラミングができるかできないかで将来に大きな差が出てくるとまで言われています。したがって、本記事ではフローチャートの概要から重要性、メリットやフローチャートを使う際に気を付けるべきことなどを整理していきますので、基本だと思って、この機会にプログラミング上達のための参考にしていただければと思います。

フローチャートの概要と意義

 フローチャートとは、プロセスの流れや全体像を図形や矢印などにより表現した図のことです。アルゴリズムやプログラムの動作を表現する際などに使われます。フローチャートで表現することによってプログラムの全体像や仕組みを直感で理解できるだけでなく、チームメンバーやお客様に対しての説明を行う際の材料にもなります。同じ視点や目的意識をもってタスクに向き合うことで効率的に問題を解決していくことも出来ます。そしてフローチャートの効果を最大限引き出すためには、書式やデザインはできるだけシンプルにすることで、誰もが把握できる実効性の高いものとなります。

フローチャートを書く事のメリット

 フローチャートを書く事によって全体像を把握しやすくなり、効率的に業務が進められるイメージを持っていただけたかと思います。一方で初心者の方の中には「フローチャートなんか書いているよりも、とにかく手を動かしてプログラミングを進めた方が効率的なのでは」と思っている方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれません。確かにそれはそれで正しいのですが、それはフローチャートを組まずとも、頭の中で自然に流れを組めるようなベテランのプログラマーに限ったことです。すなわち、ベテランと言われるような、いわゆる技術力の高いプログラマーが頭の中で行っていることを初心者の内に訓練していく事で、技術力が向上するスピードは確実に上がると考えています。要するに頭の中で行うか、可視化するだけの違いでありますので、初心者こそフローチャートを書くべきメリットを3つ紹介します。

1.プログラムが綺麗に組める

 フローチャートを意識せずにいきなりコードを書いていくと、余計な処理を書いていることや、同様の処理を何度も繰り返し書いていることに気付けなかったりと、無駄が多いプログラムになってしまいがちです。特に初心者の内は上記で挙げたような、あってもなくても結果が変わらない無駄な処理を書いてしまいがちです。時間をかけて書いたとしても、プログラムの品質が下がってしまいバグを生み出す要因を作ってしまうことにもなり兼ねません。フローチャートを書くことで、どんな機能を実装する為にどういった処理がどれくらい必要なのかを整理することが出来るため、ミスを減らすことが出来ます。

2.プログラミングの効率が向上する

 時間をかけてフローチャートを考えるよりも、それこそ手を動かしてプログラミングを進めた方が、作業開始直後において進捗がいい場合もあるかもしれません。しかし、実はインプットとアウトプットを同時に行うことは非常に非効率です。一例として旅行に行く際のことを考えてみましょう。一般的に、まずは行きたいスポットや食べたいもの、タイムスケジュールなど、ざっくりとでもプランを考えるのではないでしょうか。もちろんノープランでもそれなりに目的を達成することはできます。しかし、プランを決めて動くことで、余すことなく目的地を回れるのではないでしょうか。また、スピーチを行う際、話す内容やトピックスを整理する作業を行うのではないでしょうか。もちろんアドリブで上手に話せる方も一定数いますが、原稿をあらかじめ考えておくことで、より一層効率的に分かりやすく話すことができるのではないでしょうか。これらはプログラミングも同様であり、フローチャートは旅行の計画でありスピーチの原稿に値すると言えるのではないでしょうか。つまり、フローチャートをプログラム言語に翻訳する作業のみに集中することが出来るため、結果的にプログラミングの効率が上がるということです。

3.プログラムの精度向上

 フローチャートを書くことでプログラム全体の流れを把握しやすくなることを前述しましたが、併せて構造も理解することがしやすくなるため、必要な機能の抜け漏れを防止することもできます。また、フローチャートはプログラムを作成した後の簡易テストや動作チェックの指標としても使うことが出来ます。さらに、プログラム運用後の保守作業においても改善箇所の絞り込みに役立ちます。

まとめ

 以上のように、プログラムが綺麗に組めるようになる点やプログラミングの効率が向上する点、プログラムの精度が向上する点など、初心者にはありがたいメリットが豊富に得られるフローチャートですが、はじめは書くことすら難しく感じるかもしれません。人間が直観的且つ手順も少なく済むような作業でも、コンピュータにとっては命令されたことのみしか行えないので、作業を細分化してかなり多い手順になることが分かります。そのため、慣れるまでは骨を折る作業ではありますが、のちのち必ず役に立つ作業であり、論理的な思考を身に付けるための訓練にもなります。是非、プログラミングをこれから始めていく方はフローチャートをたくさん書いてプログラミング的思考を養っていくといいかもしれません。