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はじめに

本稿はこれから応用情報技術者試験を受験しようとしている方の参考になることを目的としています。筆者が応用情報技術者試験に向けて学習をした際の所感や試験概要を紹介しています。

試験概要

応用情報技術者試験は年に2回(春期:4月、秋期:10月)実施される経済産業省の国家試験になります。試験は、午前試験と午後試験に分かれており、どちらの試験も合格基準点以上の場合にのみ合格となります。

午前試験 午後試験
試験時間 9:30~12:00(150分) 13:00~15:30(150分)
出題形式 多肢選択式(四肢択一) 記述式
出題数と解答数 出題数は問1~問80までの80問 出題数は問1~問11までの11問
解答数は80問(すべて必須解答) 解答数は5問(問1が必須解答、問2~問11の中から4問を選択し解答)
配点割合 各1.25点 各20点
合格基準 100点満点で60点以上 100点満点で60点以上

分野ごとの試験対策

筆者は技術評論社の「応用情報技術者合格教本」を教本として学習をしました。本稿では教本の章立てごとに学習を進めた所感を記載していきます。

基礎理論

本章では、コンピュータを扱う上で必要な知識というよりは、コンピュータそのもの原則や情報理論が中心に問われます。範囲は広かったですが、一度学習したことのある内容が多かったのであまり苦ではありませんでした。また暗記するものは少ないので丁寧に理解を進めていけば問題ありません。

アルゴリズムとプログラミング

本章では、データ構造のリスト、スタック、キュー、木(ツリー)構造や整列アルゴリズムについて問われます。基本的な整列アルゴリズムであるバブルソート、単純選択法、単純挿入法などは簡単でしたが、高速な整列アルゴリズムであるクイックソート、ヒープソート、マージソートなどは手順を覚えるのに少し時間が掛かるかもしれません。

ハードウェアとコンピュータ構成要素

本章では、基本情報情報技術者試験で学習したハードウェアの知識と比べより深く理解することを求められました。今までは名称だけで十分に理解していなかったメモリアーキテクチャについて改めて学習しました。組み合わせ論理回路については基本情報情報技術者レベルでしたが、いくつかのフリップフロップ回路を覚えていればより万全かと思います。

システム構成要素

本章では、情報処理システムの構成やシステムの性能指標について学習していきます。教本では分散処理技術であるRFC(Remote Procedure Call)やNFS(Network File System)など言葉だけでは分かりづらい機能も図解されていたのでとても分かりやすかったです。待ち行列理論を適用した利用率や平均応答時間を求める設問は計算量も多く大変かと思われます。

ソフトウェア

本章では、OSについての基本的な知識からプログラミングやテストを行うための開発ツールを学習することが出来ました。教本では広義のOSではなく狭義のOSについて詳しく記載されていました。OSの中核であるカーネルについて理解を深めることが出来ます。

データベース

本章では、階層型データベース、網型データベース、関係データベースなどのデータベースについて学習を進めていきます。その中でも現在最も多く使われている関係データベースについて詳しく学習していきます。左外結合や右外結合、完全外結合などは苦手意識がある方は演習問題を何度もすることをお勧めします。

ネットワーク

本章では、通信プロトコルやIPアドレス、交換方式などを学習します。出題される範囲も広く、かなりの知識量が問われるので大変です。一つ一つ時間を掛けて覚えていきましょう。回線容量計算や回線使用率の計算は慣れるまで苦労するかもしれません。

セキュリティ

本章では、暗号化やコンピュータウイルスについて学習します。学習を進めていくうえで、こんなにも攻撃方法が多いものかと驚き、普段のセキュリティ意識の低さを改めようと思いました。近年のIT技術の発展ともにその技術を悪用する脅威も大きくなっているので、正しい知識を身に付け対策をするよう心掛けましょう

システム開発技術

本章では、ソフトウェア開発モデルやモジュール設計について学習を進めていきます。メジャーな開発モデルとしてウォーターフォールモデルやプロトタイプモデル、スパイラルモデルなどがありますが、教本ではその開発モデルをさらに発展させたモデルが紹介しておりとても興味が持てます。

まとめ

本稿では教本に内容に沿って筆者自身が学習した際の所感について紹介してきました。基本情報技術者試験と比べ、応用情報技術者試験はより難易度が高く大変でした。応用情報技術者試験で学習する範囲はより実践的なことが多く、今後の実務でも役立ちそうなのでよい学習になりました。本稿がこれから応用情報技術者試験を受験する方の参考になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございます。