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はじめに

ただでさえ面接が苦手なのに、冒頭に自己紹介をしてくださいと言われたら何を言っていいかわからず名前と大学、学部名の紹介だけで終わってしまった、逆に言いたいことがまとまらず話が長くなってしまったという経験がある方もいるのではないでしょうか。自己紹介はその後の面接を円滑に始めるため重要なポイントとなり、場合によっては1分、30秒と時間制限付きで求められることもあります。この記事では1分程度で自己紹介をするためのコツについて紹介してきます。

自己紹介で自己アピールをするべきではない?

自己紹介でこれでもかというほど自己アピールを盛り込んでいる人がいますが、これは間違いです。ほとんどの場合、自己アピールの時間は別に設けられています。面接官は自己紹介でアピールを求めてはおらず、あくまでその人の基本プロフィールと、書類に記載された内容との整合性が取れているかを確認したいと思っています。

自己紹介のもつ特性

自己紹介は「アイスブレイク」の役割も備わっていると言われています。アイスブレイクは聞きなれない単語ですが、ビジネス本などでよく取り上げられる手法で、初対面同士の人達が緊張をほぐして和ませ、その場の雰囲気づくりをするための技術として利用されます。大抵の人が面接の場では緊張するもので、緊張したままだと形式ばったことばかり話したり、焦ってしまって言いたいことがうまく言えなかったりして、採用側としても結局その人がどんな人物かわからず終わってしまう危険性があります。そういった状況を防ぐため、まずはざっくばらんに志望者自らのことを話してもらうと自己紹介に誘導することが多いです。

また自己紹介は面接の初めに求められることが多いため、第一声の発し方が重要となってきます。人の第一印象は出会ってから数秒で決まると言われているため、面接に臨む際の身なりやマナーといった視覚的な部分は大前提としたうえで、自己紹介での話し方も意識する必要があります。声が小さい、早口というのは良い印象を持たれない可能性が高い特徴となり、その状態で自己紹介を始めてしまうと、次の受け答えからもずっと同じ調子で話し続けてしまうことにもなりかねません。面接で普段と全く違う自分を演じる必要はありませんが、普段声が小さめ、早口という人も声の大きさや話すスピードに関しては、相手に正確に伝えたいという気持ちを持って大きめ、ゆっくりめにすることを心がけましょう。

なお今回メインで取り上げることとなる1分程度の短い自己紹介についてですが、企業や面接官によっては自己紹介の時間を指定し、限られた時間内でうまく話をまとめられるかという社会人としての能力を見極めている場合があります。アナウンサーのようにストップウォッチを持ってぴったりその範囲内に収めるよう求められることは極めて稀ですが、時間を指定されたのであれば前後10秒程度に収まるように済ませるのが理想です。ただしあらかじめ考えておいた1分以内に収まる内容を丸暗記してそのまま話してしまうと、感情が一切こもらず面接官にすぐバレてしまうので避けておいた方が良いでしょう。さらに所々ジェスチャーがあると話に強弱がついて聞き手を飽きさせないことにも繋がるので、余裕があれば不自然にならない程度に取り入れてみるのこともおすすめです。

なぜ1分でまとめるのか

一般的に社会に出るとスピードを求められます。特にインターネットやIT技術が進歩してからは事務処理、ルーチンワークの自動化、コミュニーションのスピードアップが実現している分、業務のスピードアップも今まで以上に求められるようになりました。その中でビジネスの基本スキルである報連相も相手の時間を奪わないようポイントを絞って短くまとめる必要があります。またプレゼンの場においては聴衆側に興味を持ってもらって飽きさせないようにするポイントとして短く、分かりやすくする工夫が必要となります。

自己紹介の場では特段スピードを求められるわけではないですが、聞く側が長いと思わない程度にまとめる必要があり、その時間の目安がおよそ1分と言われています。1分以上の自己紹介は大概にして長く感じるということは、恐らく自分が聞く側になったことをイメージすると納得できることでしょう。講演のようにコミュニケーションの方向が一方通行であることが前提とされている場であればある程度長い間人の話を聞くことができますが、友人や知人と会話をしている場面で、相手が1分以上に渡って独演のように話し続けたらちょっと長いなと思うことをイメージできるのではないでしょうか。そのため時間の指定がない場合でもおおよそ1分程度を目安として自己紹介をまとめておくことをおすすめします。

なお1分の自己紹介では、文章で表すと200〜300文字程に収められる内容にまとめることが適切と言われています。この文字数より明らかに多いと1分以内に早口で無理やり収めるような状態となり、時間は守られていてもマイナスポイントとなる可能性もあります。さらに話したいことがあり過ぎて自己紹介に内容を盛り込み過ぎると、かえって全体的な印象がぼやけてしまい、自分の個性や特徴を伝えられない結果となるので注意が必要です。特に自己アピールが過剰になっていると、1分以上の長い自己紹介となる傾向があります。次の項目では1分でまとめる際の注意点や、抑えておきたいポイントについて紹介します。

自己紹介の構成要素と1分でまとめる方法を紹介

自己紹介に入れる項目は4点で「名前、大学、学部・学科」(または「名前、前職」)といった基本項目、学生時代の経験(または前職の業務内容)、自分の性格や趣味、面接に対する意気込みが定番です。いずれも簡易的な内容に留めて、長くなりすぎないように注意しましょう。また嘘や大袈裟なエピソードを話してしまうと後々自分が困ることになるのでもちろん禁物です。

基本項目

名前や大学名などについては忘れることはまずないと思いますが、一番初めに話す内容なので、ハキハキと大きめの声で焦らず伝えることが重要です。大抵、この時の声の大きさやスピードがその後にも影響していきます。なおこの項目で約10秒弱時間を使うと覚えておくと1分間の時間配分の目安となります。

学生時代、前職での経験

就職活動であれば学生時代のサークルやゼミ、アルバイト、ボランティア活動の経験が該当するでしょう。転職であれば前職で担当していた業務内容について話すこととなります。ただし箇条書きのようにやってきたことを並べるだけではなく、印象的な出来事や成果を数字などを使って簡潔にわかりやすく伝えます。また直接的な自己アピールは避けた方が賢明です。単純に時間が長くなりやすいということもありますが、自己紹介の時間であって決してアピールするための時間ではないので、採用側に、主旨が理解できていないとマイナスなイメージを持たれてしまう可能性があるためです。例文を挙げると「卓球部の主将を務めており、最終的に全国大会で団体戦2位の成績を挙げることができました。」「外国語学部で英語を学んでいましたが、距離の近い国の人とのグローバルな繋がりも持ちたいと考えた結果、中国語も同時に勉強し、今では3カ国語を話せるようになりました。」などとなります。

性格や趣味について

伝えたいことがあり過ぎて詰め込み過ぎてしまいがちな項目ですが、この部分を適度な長さにまとめることで自己紹介を1分以内に収めることにより近づきます。ポイントとしては複数の項目を盛り込まずに、一番話したいこと、印象に残りやすいことに絞るという点が挙げられます。また志望する企業や業界、職種に関連する趣味や経験、性格を取り上げると話をきれいにまとめやすく、さらにその後に話すこととなる志望動機の裏付けにもなって、採用側に共感を得られやすくなる可能性があります。なお作品のポートフォリオや運用しているホームページなど荷物にならない程度の実物があれば例として見せるのも一つの手です。

例として「趣味はサイクリングで、大学時代には日本一周を達成しました。一度自分で決めたことは最後までやり抜くという性分だからこそ達成できたと自負しております。」という内容を創業間もないスタートアップ企業などの面接の場で伝えると、一緒にがんばっていけそうというイメージを持ってもらえる可能性があります。多少自己アピールのような部分も含まれていますが、趣味と性格の両方を一つのエピソード内で関連づけられたうえに企業の状況にもマッチし、アピールも直接的ではないため問題ない範囲と言えます。

もう一つ「入学した年から学園祭がなくなり、楽しみにしていたことの一つだっただけに落胆しました。いても立ってもいられず学園祭の再開を実現するための組織を立ち上げ、2年後にようやく再開できました。この活動が注目され、地元メディアにも取り上げられることにもなりました。」という内容は極端な例ではありますが、この中には行動力や諦めない性格が表れている他、「2年」という数字や、自分ががんばったということを自己主張するだけではなく「メディアに取り上げられるほど注目された」という客観的な結果も含まれています。

面接に対する意気込み

自己紹介の最後は面接に対する意気込みや挨拶で締めることとなります。この項目は最低限のマナーであり、基本的には「本日は何卒よろしくお願いいたします。」のような簡単な内容で問題ありません。しかし、もし緊張しているのであれば「とても緊張をしていますが精一杯お伝えできたらと思っておりますので、本日はよろしくお願いいたします。」と正直に緊張を伝えるなど、アイスブレイクの特徴を入れ込むのも一つの方法です。またもし自己紹介の途中で話が長くなってしまった、声が尻すぼみになってしまった、まとまりがなくなってしまったと失敗を感じたとしても最後の締めくくりは気持ち良くハキハキと大きな声でゆっくりと伝えましょう

まとめ

1分は、一つの項目を少しでも広げて説明してしまうとあっという間に経過してしまう時間です。面接で求められる自己紹介の時間が必ずしも1分とは限りませんが、あらかじめ1分程度に収まる内容をまとめておけば、本番で30秒、3分と時間を指定された場合でも一部を省く、あるいは一部の内容を細部まで話すなどの調整が慌てずできるようになります。時間の感覚を養うことでその後の報連相やプレゼンといったビジネスの場で効果的な振る舞いができるようになるため、ぜひ面接の自己紹介練習を機に身につけてみてはいかがでしょうか。