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職務経歴書の自己PRを書く前に

「職務経歴書」の存在を初めて知るのは、きっとあなたが1度目の転職をするときに違いありません。1度も就職をしたことがない人、または1度も転職をしたことがない人は職務経歴書と関わる機会がありませんから、少々特殊な書類であると言えそうですね。

職務経歴書はその名の通り自分の職務=キャリアを綴ったもので、転職活動を行う場合には、必ずと言っていいほど企業側から提出を求められるものです。履歴書が自分の出身高校・大学、簡単な自己PR、趣味や健康状態、所有資格を記すのに対して、職務経歴書は前職(人によってはそれ以前の職業経験も)でどんな仕事を経験して来たのかを具体的に、詳細に自己PRを記すものです。

履歴書が横使いA3用紙1枚でほぼ決まったフォーマットであるので、職務経歴書もそんなものなの?と思われるかもしれませんが、職務経歴書に関しては特に文量に制限はありません。いくらでも自己PRができるのが特徴です。とは言え、際限なくまとまりのない文章を書いてもいいわけではもちろんありません。A4用紙3枚程度に収めるのがセオリーです。その中で最も大事になってくるのは、いかに前職までのキャリアで自分が有用な仕事を行ってきたのか、今回目指す転職先に貢献できるか、を自己PRする事です。もちろん、ただやってきたことを述べればそれでOKというわけではありません。しっかり人事担当の心に響く職務経歴書の自己PRの仕方を解説していきますので、ぜひ参考にしてくだい。

  1. 前職の経験を洗い出す
  2. 数字で客観的に成果を示せる仕事とそうでない仕事に分ける
  3. 時系列でどんな経験、成長をしてきたのか考える
  4. 転職先の仕事を想像し、その中でどんな風に役立つのか伝える
  5. 文章に落とし込む
  6. 面接でより詳細に話ができるように作り込む

職務経歴書の自己PRをうまくまとめるポイント

では、早速職務経歴書の自己PRをうまくまとめるポイントについて見ていきましょう。以下に述べる6つのステップをPDCAのプロセスを利用して何度も目を通すことで、徐々に良い職務経歴書を作成することができるようになります。履歴書は出身校などの事実のみを記載するので作り込むことは難しいですが、職務経歴書は推敲することでより良いストーリーを相手に伝えることができますから、力の入れどころです。

前職の経験を洗い出す

まず職務経歴書を作るにあたり、自分がどんな仕事を経験してきたかを具体的に洗い出していきましょう。はじめは事実を箇条書きで書き出していくことをおすすめします。
この時点では「次にどんな展開にしようか?」など考えなくてOKです。なるべく多くの具体的な事柄を、つぶさに書き出していくのが良いでしょう。思い出せることをできるだけ多くアウトプットするのがポイントです。例えば営業職の人であれば、何年から何年までの期間は⚪︎⚪︎営業所で基本的な仕事の回し方を覚える。次の何年から何年までの期間は、営業所売上トップに入る⚪︎⚪︎商事を担当。その後役職が社員から副主任へ、といった具合です。
ITエンジニア職であれば、この企業のwebページを上司と一緒にコンサルティング担当、保守メンテはメインで担当など、実績を細かに抽出しましょう。

数字で客観的に成果を示せる仕事とそうでない仕事に分ける

前職の経験をなるべく細かく洗い出していくことができたら、今度はその経験を数字で表せられる結果と、そうでない結果に分類しましょう。特に営業職で「売上を上げた」、「新規顧客数を増やした」といった誰が見ても分かりやすい結果を持っている方は、ここで惜しみなくPRする材料を集めると良いでしょう。分かりやすい自己PRポイントになります。

とは言え、仕事はきっちりと数字で把握できるものもあれば、そうでないものも多数ありますので、ここでは数字で表せる成果とそうでない成果を仕分けしていくことが重要となります。

例)営業職
何年から何年まで営業所売上トップの⚪︎⚪︎商事を担当。→その間、年間の売上を150%アップさせて、2,000万円にまで引き上げた。

例)ITエンジニア職
アプリの開発を行い、ダウンロード数10万件の人気ゲームの制作し、500万円の利益を上げた。

「社員から副主任になって立場が変わった。後輩もできて社内の立ち回りが変わった」など数字として分かりづらい情報も重要ですが、数値化できない情報については一旦保留とし、次回のプロセスで詳しく解説していきます。

時系列でどんな経験、成長をしてきたのかを考える

前職の経験をなるべく細かに洗い出しできたら、今度はその経験を通して何を学んだか、成長を遂げたのかを考え自己PRしていきましょう。面接官は数字だけでなく、あなたが仕事を通してどんな苦労をしたのか、そこで何を学んだか、について必ずと言っていいほど尋ねてきます。この部分は、多くの主観的な考えが含まれますので数値的な情報と同様、他の面接者との差別化ポイントになります。5つのステップの中でも特に大事な部分となり、あなた自身の思考力や感性、人間性まで反映することになります。

よく考えなくてはいけない内容ですが、この部分は職務経歴書に記載しないことが多くなります。面接官の立場からすると、必ずヒアリングするのは「どんな仕事をしてきたか?」「そこでの成果(数値)はどうだったか?」「そこで何を学んだか?」の3点です。数値を示してPRすることは大事ですが、3点目の「そこで何を学んだか?」を面接でしっかりと自己PRできるような準備は必須ですし、中には数値より重視する面接官もいますから、ぬかりのないように考えておきましょう。

例)営業職
何年から何年まで営業所売上トップに入る⚪︎⚪︎商事を担当。→その間、年間の売上を150%アップさせて、2,000万円にまで引き上げた。→ 顧客との信頼関係は一朝一夕で築くことはできないが、速くて正確なレスポンスを繰り返すことでファーストコールが掛かるようになったことが成功理由

例)ITエンジニア職
アプリの開発を行い、ダウンロード数10万件の人気ゲームの制作し、500万円の利益を上げた。→途中度重なる仕様変更に苦しんだが、つぶさに問題点をクリアしていったことでスキルアップできた上に、使用性も上がって人気に火がついた
社員から副主任になって立場が変わった。→後輩もできて社内の立ち回りが変わった。上司と後輩の間に入ることによって、よりコミュニケーションの精密さが求められるようになり言葉を磨いた

転職先の仕事を想像し、その中でどんな風に役立つのか伝える

次は転職先の仕事を想像し、その中でどんな風に役立つのか伝える段階です。これも非常に大事な自己PRポイントになります。「前職でどんな経験をしたか?」「その中で何を学んだか?」の後に聞かれるのは、「この会社であなたは何ができると考えているか?」です。これを聞かれないことはないでしょうから、必ず考えておかなければならない自己PRポイントです。

注意点としては、先述したどんな成長をしたかの項目と同様、職務経歴書に直接書く内容ではないということです。せっかく考えた自己PRポイントを職務経歴書に書けないのは悩ましい点ではありますが、考えを整理しておくと面接対応の際に必ず役に立ちますので、準備を怠ってはいけない項目です。

例)営業職
速くて正確なレスポンスを繰り返すことでファーストコールが掛かるようになったことが成功理由→この方法は、同じ業種はもちろんのこと、他業種であっても必ず応用が効くはずです。自分のスタイルはスピード感を持って仕事を進めることです。

例)ITエンジニア職
度重なる仕様変更に苦しんだが、つぶさに問題点をクリアしていったことでスキルアップできた上、ユーザビリティも上がって人気に火がついた。→粘り強く顧客のニーズに応えることには自信がある。特に製品を販売した後のアフターサービス面では性格的・技術的にも適性があると考えているので、それに近い部署での仕事を希望しています。

徐々に具体的な経験や事例から、抽象度が高まっていっていることがわかると思います。これは職務経歴書がうまく書け、面接に通る、2次面接・最終面接とステージが上がるほど必要な思考になります。逆に言うと、ここまで考えていないければ職務経歴書に穴が生まれてしまう可能性が高まります。自己PRとは言え、なかなか大変な作業ではありますが、頑張りどころです。

文章に落とし込む

どんな成長をしてきたか、それがどんな風に転職先で役に立つかきっちりと考えることができたら、あとは文章に落とし込むだけです。ここまで来たら完成は近いと考えて良いです。

ポイントは、用紙の分量が限られているため完結に分かりやすく書くと言うこと。色々と考えたことを文字に落としこむ作業は決して楽なものではありませんが、納得がいくまで文章を練りましょう。また自分が分かっても他人には伝わりづらいというケースもありますので、信頼の置ける友人などに見てもらうのも良いでしょう。

更に重要なのは、文章の見た目の体裁を整えると言うことです。つらつらと書かれた文章だけでは読みづらいことがあります。適宜改行、行間を開ける、箇条書きなどを利用するようにし、読み手の負担を軽減しましょう。内容がいくら良くても一見して読みづらい印象を与えてしまうと、良い自己PR文が書けていたとしても、スタートラインで不利になってしまいます。

面接でより詳細に話ができるようにチェックする

ここまで紹介してきたことを実行すれば、職務経歴書はほとんど完成したものと思って良いでしょう。しかし、履歴書や職務経歴書から「この人と会ってみたい」となった場合、次に待ち構えているのは面接です。そうなった時、職務経歴書をベースにしてより深い自己PRができなければ、せっかくのチャンスは水の泡となってしまいます。

そうならないためには、職務経歴書を元にさらに掘り下げた話ができるようシミレーションしておく必要があります。特に面接官はどんな苦労があったか、どんなプロセスを踏んで結果に辿り着いたか、を聞くことが好きです。ですから、いくつか想定される質問を想像しておきましょう。注意点としては、あまりガチガチにマニュアル化しないことです。当然想定外のことを聞かれるケースもあるので、考えすぎは逆効果になることもあります。リラックスして割り切るところは割り切るようにしましょう。

職務経歴書をうまく書くコツは?自己PRのコツは?まとめ

職務経歴書の書き方・自己PRの仕方のポイントを解説してきました。これらを実践すれば人事担当にも響く職務経歴書になることでしょう。簡単におさらいします。

前職の経験を洗い出す。なるべく多く細かく、前職での経験を書き出すことから始めましょう。思い出せる限り数多くの経験を連ねてください。
次に、数字で客観的に成果を出せる仕事とそうでない仕事に分けます。特に売上や顧客数の増加など、それだけで評価に繋がるものを抽出しましょう。
時系列でどんな経験、成長をしてきたのか考えましょう。主観的でも良いので、洗い出した経験を通じてどんな成長が得られたのか考えましょう。
転職先の仕事を想像し、その中でどんな風に役立つのか伝えられるようにしましょう。これまでの経験が、転職先でどのように役に立つのか必ず擦り合わせを行うようにしてください。
文章に落とし込み、面接でより詳細に話ができるようにブラッシュアップさせましょう。いざ文章にすると意外と言語化が難しく感じるかもしれません。簡潔に分かりやすくを心がけましょう。またその内容をより掘り下げて面接で話ができる状態まで、想像力を膨らませましょう。

以上を何度も繰り返していくうちにブラッシュアップできるはずです。手順を守りより良い職務経歴書、独自の自己PR方法を仕上げていってください。手間のかかる作業に違いはありませんが、これで希望の仕事を獲得できるのであれば、力も入るというものです。より良い職務履歴書で有効な自己PRをしていきましょう。