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CCNPとはどんな資格?

CCNPとはCisco Certified Network Professionalの略称であり、文字どおりCisco Systems社のベンダー技術者認定資格を意味します。エントリーレベルの「CCT」アソシエイトレベルの「CCNA」の上位資格であり、プロフェッショナルレベルとして位置付けられるCCNPを取得すれば、大規模ネットワークの導入・運用・保守に必要な技術を有することが証明されます。

ベンダー資格ながら、ネットワーク技術の標準資格として世界中で認められているのがCCNPです。転職サイトではCCNPレベルの技術を所望する求人情報も少なくなく、転職を有利に進めたい、あるいはキャリアアップに向けCCNPの取得を検討するネットワークエンジニアの方も少なくないでしょう。

では本当にCCNPは転職に有利に働くのか?キャリアアップの道は開けるのか?意外に知られていないCCNPの概要とともに、ネットワークエンジニアの疑問を解消していきましょう。

CCNPの種類

CCNPを取得すれば、ネットワークのプロフェッショナル技術者認定資格が得られると考える方も少なくないかもしれません。それは間違いではありませんが、正しいともいい切れません。CCNPはネットワーク&Cisco技術の認定資格であり、分野ごとに5種類のコースが用意されているのです。取得できる資格名とコースは以下のとおりです。

・CCNP Enterprise

・CCNP Security

・CCNP Collaboration

・CCNP Data Center

・CCNP Service Provider

2020年2月からプログラムが新しくなり、それまで「Routing and Switching」と呼ばれていた資格が「Enterprise」に変更されましたが、一般的にCCNPとして認識されているのは「CCNP Enterprise」であり、ネットワークエンジニアとして求められている資格も同様です。それぞれの資格はコア試験を含む複数の科目に合格する必要がありますが、1科目目に合格してから3年以内に全科目合格すれば、CCNPの資格が取得できます。

上位スキルを狙うには英語が必要

ネットワークエンジニアとしては、これからのキャリアアップや転職を念頭にData Center、Service Providerなどの資格取得を視野に入れたいと思う方もいるかもしれません。しかし、Cisco Systemsはアメリカ企業であり認定試験も英語が基本です。Enterprise、Securityに関しては日本語での受験が可能ですが、それ以外は英語で受験する必要があります。

英語で試験を受けるのはハードルが高いと感じるかもしれませんが、ログやエラーはもちろんマニュアルや技術文書が英語のみということは珍しくありません。今後のスキルアップ・キャリアアップを考えれば、英語にもチャレンジしておくのがおすすめです。

CCNPの難易度

CCNPは、ネットワークエンジニアとして3年程度の実務経験を持つ技術者を対象にしています。そのため、プロフェッショナルとしての高度なネットワークの知識が要求され、CCNAの取得者であっても簡単に合格できるものではありません。人によって異なりますが早くても1か月、一般的には3か月から半年程度の勉強期間が必要だといわれています。

たとえば、経済産業省が「ITSSキャリアフレームワークと認定試験・資格の関係」という各IT資格の難易度のわかる文書を公表していますが、CCNPは、7段階に分類されたうちのレベル3「与えられた業務をすべて独力で遂行できる」に位置付けられています。同じレベル3には応用情報技術者やPHP上級、LinuC-3などがあり、分野は異なりますがCCNPも同程度の難易度なのだと推測できます。

CCNPの合格率は?

難易度を推測するしかないのは、Cisco SystemsがCCNPの合格率を公表していないからです。1,000点満点中800点以上が合格だともいわれていますが、こちらも正式な合格点が公表されているわけではありません。ただし、CCNPと同じレベル3のPHP上級の合格率が10%程度、応用情報技術者の合格率が20%程度といわれているため、CCNPも大体この程度の合格率ではないかと推測できます。

CCNPの資格を維持するには

CCNPの資格は、取得してしまえば生涯有効だというものではありません。日進月歩のネットワーク技術にキチンと対応できることを証明するためにも、CCNPには認定から3年間という有効期限が設けられているのです。CCNPの資格を維持するためには継続教育プログラムを受講する、試験に合格する、もしくはその両方を組み合わせて再認定を受けなければなりません。2020年にプログラム刷新が実施されたように、試験の内容や更新認定の条件は変更される可能性があるため、随時の確認が必要です。

CCNPの資格は転職に有利?

CCNPは、大規模ネットワークの導入・運用・保守の技術を持つプロフェッショナルだということを証明する資格です。当然CCNPを取得していれば、ネットワークエンジニアとしての転職には有利です。CCNAがネットワークエンジニアの登竜門ともいわれる資格であることを考えれば、CCNPの取得はより有利に転職活動できるといっていいでしょう。

一方で、世界標準ともいえる資格であるがゆえにCCNPホルダーに過度な期待を抱く企業も少なくありません。転職サイトの情報に、CCNPと同時にPM経験者、実務経験5年以上などの条件が記載されることも多く求人する企業側との意識のギャップが問題になる可能性もあります。もちろん、資格よりなによりも実務経験を重んじるという企業もあります。CCNPホルダーが常に有利な転職活動を進められるとは限らないことに留意が必要です。

CCNP?ネットワークスペシャリスト?

それではCCNP以外に、ネットワークエンジニアの転職に有利な資格はあるのでしょうか?たとえば、CCNPに近い中級技術者資格として「ネットワークスペシャリスト」があり、どちらを取得すれば転職やキャリアアップに有利なのか悩んでいる方もいるかもしれません。

ベンダー資格で定期的に受験機会のあるCCNPに対し、ネットワークスペシャリストは年1回のみ受験可能な国家資格であるという違いがあるため単純な比較は困難ですが、資格取得の難易度でいえばIT全般の知識も求められるネットワークスペシャリストの方が難しいといえそうです。それは、上述した経済産業省の文書でネットワークスペシャリストがレベル4に位置付けられていることからもわかります。

ではネットワークスペシャリストの方が転職に有利なのかというとそういうわけでもなく、どちらの資格も同じレベルのものであるというのが一般的な認識のようです。つまり、転職の有利度でいえばどちらの資格も同等であり、あえて両方の資格を取得する必要はないといえるでしょう。

未経験者のアピールにCCNPは有効

実務経験のあるネットワークエンジニアが転職する際にCCNPが役立つかどうかは、求人している企業の事情によってケースバイケースですが、未経験からネットワークエンジニアへ転職したい方にとっては非常に役立ちます。プロフェッショナルとしてのネットワーク知識を持つ証明になるほか、簡単ではない資格を取得するためにネットワーク技術を学んできた証明になるからです。

実際、知識・経験がまったくない状態からCCNPを取得するのは容易ではありませんが、不可能なことではありません。新たなプログラムが開始されたことで、前提条件となるCCNAを取得する必要がなくなったのも未経験者にとっては追い風です。チャレンジしてみる価値があるといえるでしょう。

CCNPはキャリアアップに役立つか?

資格を保有しているだけで役職・年収アップなどのキャリアアップにつながるわけでないのと同様、CCNPという資格がキャリアアップに直接関係するわけではありません。しかし、実務に沿った知識が求められるCCNPホルダーであればより大規模なプロジェクト、重要な業務を任される可能性が高くなるのも事実です。結果的に、CCNPホルダーがキャリアアップしやすいという図式が成り立ちます。

また、CCNPの上位資格であるCCIEホルダーには管理職が多いことも見逃せません。CCNPをCCIEへの足がかりとして捉えるならば、実際に資格を取得する・しないに関わらず管理職へのキャリアアップも視野に入ってくるでしょう。

CCNPホルダーの平均年収

このような図式は、それぞれの資格者の平均年収にも現れています。2013年にCisco Japanが日本の主要転職サイトを対象にCCNA・CCNP・CCIEホルダーの給与リサーチを実施しており、その結果が公表されています。

・CCNA 404〜578万円

・CCNP 496〜701万円

・CCIE 645〜900万円

それぞれ年収の幅があるのは、求められる実務経験・スキルが異なるからだと考えられます。しかし見方を変えればネットワークエンジニアとしての経験・スキルを積むのであれば、より上位の資格ホルダーの方がキャリアアップしやすともいえるでしょう。

CCNPの試験概要

CCNPのプログラムが2020年2月に刷新されたことは上述しましたが、それに伴って試験内容にも変更が加えられているため、現時点での概要を簡単に解説しておきます。CCNP Routing and Switchingと呼ばれていたときは「Route」「Switch」「Tshoot」という3科目の合格が資格取得の条件でした。CCNP Enterpriseに変更された現在では「350-401 ENCOR」というコア試験、および6種類が用意されたコンセントレーション試験のいずれか1つ、合計2科目の合格が資格取得の条件になっています。

トピックとしては、CCNP Enterpriseのコア試験が「CCIE Enterprise Infrastructure」「CCIE Enterprise Wireless」の認定資格試験と共通化されたことが挙げられます。つまりCCNPに合格すれば、これまで以上にCCIE資格取得を視野に入れやすくなったのです。

どのように勉強すべきか?

CCNP Enterpriseに変更されたことによって、コンセントレーション試験はネットワークデザイン、SD-WAN、ワイヤレス、自動化、Ciscoソリューションなど、最新のテーマ・業界固有のテーマが重点的に出題されるようになりました。従来であれば、問題集などの書籍、Ping-tなどの試験対策サイトを活用するのが有効でしたが、現時点ではCisco Systemsが提供するトレーニングプログラムを活用するのが資格取得に向けた近道かもしれません。

まとめ

デジタルトランスフォーメーションを目前に控えた現在、そして今後重要度がより高まるのがネットワーク・インフラであり、ネットワークエンジニアに対する需要はますます増加することが予想されます。一方で、ネットワーク技術は日進月歩であり最新技術への対応がエンジニアには求められます。それを証明する有効な資格だといえるのがCCNPなのです。未経験者の転職にも有利に働く、CCNPにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。