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独立系SEの需要はある?

組織に所属するSE(システムエンジニア)として経験・スキルを積んできた方なら、キャリアアップに向けて独立を検討しているかもしれません。システム開発案件が増える一方、エンジニアの数は不足しているのが現状であり、プロジェクトに応じて最適なSEを起用したいというクライアントのニーズも高まっています。独立系のSEが活躍しやすい環境は整っているといえるでしょう。SEとしての能力に自信を持つ方はチャレンジしてみたいと考えるのは自然な流れです。

しかし、独立はしたもののなかなか仕事が軌道に乗らず、別の会社に再就職せざるを得なかったなど、少なからず失敗例があるのも事実です。それではSEが独立して成功するためには、どんなスキルや経験が必要なのでしょうか?組織に属するのと独立するのではなにが違うのか?独立を検討するSEが知っておきたい、成功するためのポイントを紹介していきます。

SEが独立するときに検討したいこと

ウォーターフォール型開発で下流工程を担うPGと異なり、SEは企画・要件定義・基本設計・詳細設計などの上流工程を担います。当然、独立といっても複数のスタイルが考えられ、成し遂げたいことが異なればどの道を選択すべきかも変わってきます。まずはなぜ独立したいのか、独立してどんな目的を達成したいのかを明確にし、進むべき道を慎重に選択したいものです。

フリーランス(個人事業主)

個人事業主としてSE業を開業し、業務委託という形でクライアントの開発案件を請負っていく働き方が俗にいうフリーランスです。クライアントのオフィスに出向く常駐型、自宅などのSOHO環境で仕事する在宅型が基本となりますが、独立を検討しているSEの方が一番はじめに思い浮かべるのがフリーランスという働き方ではないでしょうか?スキルや経験を活かしながら自由度の高い働き方をしたい、高収入を得たいと考えるSEの方に向いている独立方法だといえます。

起業(会社設立)

法人として会社を設立し、新規事業を開始する独立方法です。数人の仲間とともに起業する、あるいはフリーランスとしての活動拡大に応じて法人化するといったパターンが考えられます。クライアントが求めるものを形にするのがSEの仕事ですが、自分の想い描くサービスを提供したい、新しい価値を提供したいと考えるSEの方には、起業が向いているといえるでしょう。ただし、初期投資が必要で収益化までに時間がかかることもあり、明確なビジョンと資金調達能力が必要です。

ITコンサルタント

SEからのステップアップとして、PMも兼ねたフリーランスITコンサルタントに転身するという独立の仕方も考えられます。実際、現場によってはPMとSEの境界が曖昧だというケースもあり、スキル・経験に自信があるにもかかわらず、正当な評価を得られていないと不満を感じている方もいるでしょう。ステップアップとしてやりがいのある仕事をしていきたいと考える、上昇志向の強いSEの方に向いている独立方法だといえます。一方、ITコンサルタントを名乗ったからといって仕事が急に増えるとは限りません。多くのクライアントから信頼されるまでには、ある程度の時間が必要でしょう。

独立系SEの働き方・年収

SEが独立を検討する際に選べる道をいくつか紹介してきましたが、どちらかといえば起業・ITコンサルタントは、フリーランスのSEがさらにキャリアアップを図りたいときに検討すべき選択肢だといえるでしょう。まずは会社組織の力を借りずに独力で業界を生き残っていけるのか、フリーランスとしてチャレンジしてみるのがいいかもしれません。そこで以下からは、独立系SEがどのような働き方をしているのか、どのくらいの待遇でどのようなメリットがあるのかを紹介していきます。

フリーランスSE案件は常駐型が多い

フリーランスSEの場合、常駐型・在宅型という働き方があるのは上述したとおりですが、実際には常駐型案件の方が多いといえるでしょう。これはSEが上流工程を主に担当するからであり、ウォーターフォール型開発では下流工程を担当するPGとの連携やコミュニケーションが欠かせないからです。

案件の獲得方法は、会社員時代のコネクションを活かせるSEの方なら、クライアントから開発案件を直接受託する、業務委託で案件に参加するなどが中心です。独立したばかりでコネクションも薄いというSEの方であれば、フリーランス案件を紹介するエージェントを利用するのがいいでしょう。クラウドソーシングなどの案件では在宅型も少なくありませんが、工数と単価が見合わない可能性もあります。

独立後は高収入を狙える

開発案件の規模・内容にもよりますが、SEとして独立すれば中間マージンがない分、高収入を狙えるといえるでしょう。組織に所属するSEの平均年収は550万円程度だといわれていますが、フリーランスSEの平均は650〜700万円程度であり、特殊スキルを持つ方なら1,000万円を超える年収を稼ぐケースも少なくありません。SEとしての実力を報酬に反映させやすい、自由に仕事を選べるというのはフリーランスで働く魅力だといえるでしょう。

人脈を仕事に活かしやすい

フリーランスとして活動していけば、クライアントのさまざまな開発案件に携われるため、組織に所属していた頃では知りえなかったような分野の人々と人脈を築きやすくなります。人脈が幅広くなれば新たな仕事につながりやすくなるだけでなく、お互いに刺激し合うことによって、仕事の幅を広げるターニングポイントとなり得るヒントが得られる可能性もあります。フリーランス同士のコミュニティやセミナーなどがあれば、積極的に参加するようにしたいものです。

独立を検討する際に知っておきたいリスク

フリーランスSEとして独立すれば、自由な働き方や高収入が期待できるのは事実ですが、それは会社員としての安定やメリットを放棄することにほかなりません。独立を検討する際は、安定・メリットと相反する、フリーランスSEとしてのリスク・デメリットを受け入れる必要があることを覚えておかなければなりません。

収入が安定するとは限らない

組織に所属するSEであれば、会社の利益としてのマージンは差し引かれるものの、毎月安定した給与が保証され、ボーナスや退職金による収入も期待できます。しかし、フリーランスSEではそうはいきません。フリーランスSEは、受注した案件の報酬をほぼすべて自身の収入にできる反面、案件が受注できなければ収入がゼロになってしまうからです。

常に開発案件を安定的に受注できるとは限らないのに加え、開発の規模や内容によっては工数・期間に見合わない報酬しか得られない場合もあります。こうした収入の不安定さを抱えるフリーランスSEは信用スコアを高めにくく、クレジットカードが作れない、ローンが組めないといった悩みを抱える方も少なくありません。

業務上の責任が重くなる

組織で受注した開発案件に携わる社内SEと異なり、個人で受注するフリーランスSEは、確実に業務上の責任が重くなります。納期遅延や業務中の事故などの場合は、損害賠償に発展してしまうことも考えられるでしょう。体調を崩して仕事が出来なくなっても、フォローしてくれる同僚は存在せず、給与の補償もされません。万一の場合に備え、なんらかの対策を講じておくのが重要です。

たとえば、フリーランスの保険などへの入会することをおすすめします。あるフリーランス保険では、年額1万円からで業務上の損失を補償してくれるほか、オプションで働けなくなった場合の給与を補償してくれる所得補償制度も利用することができます。

本業以外の仕事が増える

組織に所属するSEであれば、社会保険や税金関連の手続き・納付はすべて会社が代行してくれますが、独立後はすべてを自分自身で行わなければなりません。個人事業主としての開業申請・手続きはもちろん、日々の領収書の管理・複式簿記による記帳、確定申告を含む経理業務など、本業であるSE以外の仕事が確実に増加します。

ただし、これはデメリット面であるともいい切れません。開業届・青色申告承認申請書を提出し、個人事業主としてキチンと手続きを進めれば、さまざまな業務費用を経費として計上できるほか、青色事業者としての大きな節税効果も得られるからです。低価格で使いやすいクラウドツールが多数登場しているため、事前にしっかりと準備しておくのが重要です。

SEが独立を成功させるのに必要なスキル

ここまでで、組織を独立したフリーランスSEがどのような働き方をしているのか、高収入を狙える反面、どのようなリスク・デメリットがあるのかを紹介してきました。これらを踏まえたうえで、フリーランスSEとして独立するにはどんなスキルが必要なのか、成功のポイントを簡単に解説していきましょう。

営業力

フリーランスSE最大のリスクである不安定な収入をカバーするには、なによりも営業力が重要です。企画力やプログラミングを含む技術力など、SEとしての知識・スキルを備えていながらも独立に失敗してしまうのは、収入を安定させるだけの営業力がなかったからというケースがほとんどです。独立に成功しているSEの方は短くても2〜3年、一般的には5年程度の実務経験を積んでいることが多く、その間にSEとしてのスキルだけでなく、営業の取り方や人脈の作り方も研究しているのです。独立しても生計が立てられる営業力を身に付けられているか?自問自答してみる必要があるでしょう。

コミュニケーション能力

さまざまな場面でコミュニケーション能力を求められるのがSEですが、独立を成功させるためにはチーム・プロジェクト単位だけではない、より幅広いシーンで通用するコミュニケーション能力が求められます。高いコミュニケーション能力があれば、打ち合わせをスムーズに誤解のないように進められ、結果的にあらゆる方面からの信頼感獲得につながります。クライアントからの信頼感も高められれば、営業力の強化にも役立ちます。

自己管理能力

独立してフリーランスに転身すれば、だれからも管理されることのない自由な働き方が得られますが、その分、行動・言動に対する責任はすべて自分に降り掛かってきます。納期遅延などのルーズな対応でまわりからの信頼を失わないよう、フリーランスSEには自分自身を律してマネジメントしていく自己管理能力が求められます。スケジュールはもちろん、体調管理にも気を使うことで、フリーランス特有のリスクを回避することにもつながります。

トレンドを察知する能力

フリーランスSEになれば、どんな仕事を受託するかは自由に決められます。しかし、システム開発の技術は日進月歩であり、得意分野の仕事ばかり請負っていると、トレンドが移り変わったときに時代の流れに置いていかれてしまう可能性があります。フリーランスSEとして長く活躍したいなら、トレンドを素早く察知できるように常にアンテナを張り、新しい技術を吸収する貪欲な姿勢を保ち続ける必要があるでしょう。

まとめ

フリーランスSEとしての独立には、収入・働き方の面で大きなメリットがある一方、メリットとは表裏一体といえるリスクがあるのも事実です。同じ職種でありながら、社内SEとは違ったスキルが求められ、独力で生き残っていくための高い意識も必要です。しかし、独立系SEに対する需要が年々高まっているのはチャンスでもあり、しっかりとポイントを押さえて準備を進めさえすれば、成功できる可能性を飛躍的に高められます。チャレンジしてみる価値はあるのではないでしょうか。