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フリーランスが知っておくべき保険の基礎

組織に所属する会社員であれば、よほどのことがない限り社会保険に加入しているはずであり、保険の加入手続きや保険料の支払いも会社が代行してくれます。しかし、個人事業主としてフリーランスに転身した場合はそうはいきません。国民皆保険の日本では公的医療保険への切替え・加入が必須であり、手続きや保険料の納付もすべて自分で行わなければなりません。会社が半額負担してくれる社会保険に比べ、支払い保険料が増えてしまう場合も考えられるでしょう。

それだけではありません。収入に波のあるフリーランスには特有のリスクもあり、万一の事態を想定したフリーランス保険への加入も検討しておく必要があります。とはいえ、これまで保険に特別な関心を抱いてこなかったエンジニアの方であれば、どんなフリーランス保険があるのか、健康保険の切替えはどうしたらいいのかわからないというケースがほとんどでしょう。そんなエンジニアの方に向け、加入におすすめなフリーランス保険を紹介するとともに、健康保険の切替え方、保険料の節約方法など、知っておきたい保険の基礎知識を解説していきます。

社会保険とは?

一般的に社会保険といえば会社で加入する保険のことを指しますが、正式名称は「一般被用者保険」であり、社会保険と呼ばれているのは俗称です。本来の意味での社会保険とは「医療保険」「雇用保険」「年金保険」「労災保険」「介護保険」の総称であり、狭義の意味で社会保険といわれている一般被用者保険は、医療保険のひとつであるに過ぎません。

ちなみに社会保険完備の会社では厚生年金にも加入していますが、これは「年金保険」のひとつであり、一般被用者保険とともに保証が手厚く会社が半額を負担してくれるのが大きな特徴です。日本では医療保険・年金保険、40歳以上であれば介護保険への加入が必須のため、会社を退職したら年金保険である厚生年金は国民年金に切替えなければなりません。それでは、医療保険である一般被用者保険、介護保険はどうすればいいでしょうか?

フリーランスが加入できる健康保険4つの選択肢

会社組織に属したことのないフリーランスであれば、すでに国民健康保険に加入しているでしょう。一方、会社を退職してフリーランスに転身する場合は、退職日で一般被用者保険の資格を喪失します。このケースでは、医療保険を国民健康保険に切替えるのがもっとも一般的ですが、実はそのほかにも複数の選択肢があります。一つひとつ簡単に解説していきましょう。

国民健康保険

退職日の翌日から14日以内に、現住所のある市区町村役場に届出て、国民健康保険に加入する方法です。保険料は、加入者医療費の「医療分保険料」後期高齢者医療制度の「支援金分保険料」加入者が40歳以上の場合は「介護保険料」が合算されたものとなり、前年度の所得に応じて金額が決定されます。手続き時には「健康保険資格喪失証明書」「マイナンバー」「顔写真付の身分証明書」が必要です。

保険料は一般被用者保険同様に所得控除が可能ですが、全額自己負担になること、前年度所得が算出基準となるため、フリーランスに転身して収入が減った場合に支払いが厳しい可能性があることに留意が必要です。またフリーランスの家族も国民健康保険に加入できますが、扶養という概念がないため、家族が多いと保険料が高くなる傾向にあります。

一般被用者保険の任意継続

一般被用者保険は会社組織に所属している人が加入できる保険のため、フリーランスは原則として加入できません。しかし、一般被用者保険に加入していた人がフリーランスに転身する場合、一定の手続きを踏めばそのまま保険を任意継続できます。任意継続の条件は「資格喪失の前日までに2か月以上継続して被保険者期間がある」「資格喪失日から20日以内に手続きを行う」ことであり、管轄の協会けんぽ支部に「健康保険任意継続被保険者資格取得申出書」を提出します。

保険料は全額自己負担となりますが、上限30万円の標準報酬月額が算出基準となるため、高収入を得ていた方は保険料が安くなることもあります。条件を満たせば扶養家族の保険料を支払わずに済むのも任意継続のメリットです。ただし、1日でも保険料を滞納すれば脱退させられてしまううえ、最長でも2年間までしか継続は認められていません。継続期間満了後は国民健康保険に切替える必要があります。

国民健康保険組合

公的医療保険である国民健康保険は都道府県が母体ですが、それとは別にフリーランスの職種によっては「国民健康保険組合」が母体となる国保に加入するという選択肢があります。特定の職業の人が加入できる保険制度であり、家族も加入できて収入に関わらず保険料が一定というケースが多いのが特徴です。たとえば、デザイナーであれば「文芸美術国民健康保険組合」に加入できる可能性がありますが、残念ながらエンジニア向けの組合は現時点で見当たりません。

家族の扶養になる

フリーランスとして生計を立てていきたい方には現実的とはいえませんが、条件を満たせるのであれば配偶者や家族の扶養になるという方法もあります。たとえば、配偶者もしくは家族が一般被用者保険に加入する会社員の場合、年収が130万円以下かつ、扶養者の年収の半分以下であれば扶養に入れます。フリーランス初年度の収入があまり期待できない、といったケースであれば検討してみる価値はあるかもしれません。

健康保険料を安くする方法はある?

国民健康保険に切替えるにしても、一般被用者保険を任意継続するにしても、半額を負担してくれていた会社員時代とは異なり、フリーランスになれば保険料は全額自己負担しなければなりません。所得控除されるとはいえ、なんとか健康保険料を安くする方法はないものでしょうか?

都道府県が母体になる国民健康保険の場合、市区町村と連携した運営を行っているため、自治体によって意外なほど支払う保険料の差が大きくなります。たとえば、同じ東京都でも23区内の杉並区と東京都下の国立市では、年間の支払い総額が10万円程度違ってくるというケースもあります。特定の組織に属さないフリーランスという働き方を活かし、保険料の負担が少ないエリアに転居するのもひとつの方法です。

おすすめのフリーランス保険

ここまでで、会社員からの転身を検討するエンジニアの方に向け、フリーランスが加入できる医療保険の概要を解説してきました。本文内でも触れたように、医療保険には介護保険が含まれる形になり、年金保険は国民年金で代替されることがおわかりでしょう。しかし、社会保険を構成する「雇用保険」「労災保険」を代替するものは公的保険には見当たりません。リスクの少なくないフリーランスにとって、もっとも重要な「雇用」「労災」を代替する民間のフリーランス保険が必要なのです。以下からは、エンジニアの方でも加入しやすい、おすすめのフリーランス保険を紹介していきます。

フリーランスの保険(Insurance for Freelance)

一般社団法人であるプロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会が運営・提供している、文字どおり独立系フリーランス・副業系パラレルワーカーのためのフリーランス保険です。エンジニアやデザイナーはもちろん、インフルエンサーやベビーシッターなど職種を問わずにだれでも入会できるのが特徴です。クレジット・デビッドカードと身分証データさえあればオンラインで手続きが完了し、年会費1万円から充実の保険補償・大企業並みの福利厚生を受けられるフリーランス保険です。

自動付帯する賠償責任保険は、業務遂行中の対物・対人事故はもちろん、情報漏えい、納品物の破損・紛失、納期遅延、著作権侵害など、フリーランスにありがちなリスクを幅広くカバーしてくれます。業務遂行中の補償なら自己負担ゼロ・限度額なしでサポートしてくれるほか、加入者が発注者だった場合も損害補償してもらえます。

ケガや病気で働けなくなった場合の保険金制度「所得補償制度」や、未払い報酬のトラブルをサポートする報酬トラブル弁護士保険「フリーガル」など、オプションで加入できる任意保険が充実しているのもポイントです。プロフィール・ポートフォリオを登録・公開して自己PRできる会員データベースも標準付帯されており、営業ツールとしても活用できるフリーランス保険です。

FREENANCE(フリーナンス)

GMOインターネットグループに属するGMOクリエイターズネットワーク株式会社が運営・提供しているフリーランス保険です。「フリーランス・個人事業主を支えるお金と保険のサービス」がコンセプトです。手数料3%から請求書を買取り、クリエイターのメインバンクに振込む「即日払い」サービスを利用することで、最高5,000万円までの「あんしん補償」が無料で自動付帯されるのが最大の特徴です。仕事中の事故や納品物の欠陥などに起因する補償はもちろん、情報漏えい・著作権侵害・納期遅延など、フリーランスが抱えがちなリスクもカバーできるフリーランス保険です。

使い方は簡単で、身分証を用意してユーザー登録・フリーナンス口座を開設したら、請求書の振込先をフリーナンス口座に指定するだけです。即日払いを活用すればサイトの長い請求書もすぐに現金化できるため、ピンチのときに安心なうえ、クライアントに即日払いの利用は知られません。フリーナンス口座を利用すればするほど与信スコアがアップするため、手数料を限りなく3%に近づけるのも可能です。

雇用保険を代替するオプションの「あんしん補償プラス」も利用可能です。ケガや病気で働けなくなった場合、予め設定した「希望月額」を最長1年間受け取れる任意保険が用意され、天災によるケガにも対応できるオプションです。フリーナンス会員なら保険料が60%OFFになるのもポイントです。低価格でフリーランスを徹底サポートするフリーランス保険です。

追加で検討したい民間保険

フリーランス特有のリスクに備えられ、雇用保険・労災保険も代替できるのが、フリーランス保険なのだと理解できたのではないでしょうか。基本補償を無料、もしくは低価格で利用できるのもポイントであり、オプションでさらに手厚い補償が得られるのもフリーランス保険に加入するメリットです。一方、医療保険・年金保険はベーシックな公的保険になるのもフリーランスの特徴であり、追加の安心が欲しいというエンジニアの方もいるかもしれません。

がん保険をはじめとした民間医療保険は、特に追加での加入を検討しておきたい保険です。国民健康保険でも医療費は3割負担ですが、追加の医療保険も併用できれば、手術や長期の入院など万一の事態にも安心です。会社員として働くエンジニアの方でも加入しているのが珍しくありません。フリーランスには退職金もないため、貯蓄性のある養老保険への加入を検討するのもいいでしょう。万一の場合の備えにもなるうえ、満期保険金を受け取れるのもポイントです。

まとめ

国民皆保険である日本では、フリーランスであっても公的医療保険・年金保険への加入が必須であり、キチンと手続きを行えば最低限の補償を受けられます。しかし雇用・労災に関する保険への加入は任意であり、フリーランス特有のリスクをカバーするためにも、適切なフリーランス保険への加入が必須の状況なのです。ムリのない範囲で最大限の補償が受けられる、適切なフリーランス保険を選定するのが重要です。