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コロナ禍の就職活動

与えた影響

●「合同企業説明会の中止又は延期」
●「会社説明会の中止又は延期」
●「インターンの中止、延期又は縮小」
●「OBやOG訪問の中止、延期又はオンライン化」又は縮小」
●「面接のオンライン化」
これらのように、コロナが就職活動に与えた影響は数多くある。
以下に、インターネットで集計された、去年と今年の就職活動開始時期と内定獲得者の情報サイトのデータがある。
「2019年調査ー大学3年生の就職活動開始時期」は「2月以前に開始した学生の割合54.7%、3月以降に開始した学生の割合45.3%」
「2020年調査ー大学3年生の就職活動開始時期」は「2月以前に開始した学生の割合64.6%、3月以降に開始した学生の割合35.4%」
と昨年度よりも、今年の方が就職活動を早く始めた学生が多い。それにも関わらず、内定状況は以下の通りだ。
「2019年調査ー大学3年生の内定獲得者状況(6月時点)」は「内定あり74.0%、内定なし26.0%」
「2020年調査ー大学3年生の内定獲得者状況(6月時点)」は「内定あり70.7%、内定なし29.3%」
今年の学生の方が就職活動に対して、動き出しが早かったにも関わらず、1件以上の内定獲得者数は比較して少ないという結果になったのだ。

学生の思い

「コロナ禍での就職活動に対して、不安があるか」という質問に対して約83%の学生が「不安がある」と回答した。
不安の具体的な理由として、「就職活動の長期化」や「万が一感染した場合の日程調整等の配慮有無」が挙げられた。就職活動が長く続くことで負う精神的負担や、感染した時の事を心配する声が多いのだ。
他にも、「一度も会社に訪ずれないまま選考が進む事」や「一度も社員と直接対面しないまま選考が進む事」という理由も不安要素に挙げられた。学生にとって、就職活動という人生の分岐点が、オンラインのみで決まってしまうことに不安を覚える人もいることが分かる。

企業の取り組み

感染の拡大を防ぐ為、安全に配慮し「会社説明会のオンライン化」や「会社説明会動画の在宅視聴」等の処置を行う企業が急速に増えた。面接をWeb上で行う企業もあり、そのような対応は、学生が抱く企業への好感度を上げることに1役買っている。事実、学生が求める企業対応に、上記の処置が入っている。
しかし、オンラインでの選考というのは、学生も企業も初めての試みである。学生側では、「社内の雰囲気や社員の働く姿を見ないで内定を受けて良いのだろうか?」という不安があり、企業側では、「画面越しの面接なので、その人がもつ雰囲気や人間性まで肌で感じることが出来ない。ミスマッチによる早期退職を起こさないように、採用する側として慎重にならざるを得ない。」という意見がある。
昨年よりも内定率が低いのはこうした背景が要因の1つであるのは間違いないだろう。

コロナ禍のインターンシップ

与えた影響

就職活動に先駆けて、インターンシップに参加する学生は多い。例年なら、多くの学生が参加するはずだったのだが、今年はそのテンポが崩れてしまった。
インターンシップを募集していた企業も、コロナによって、中止又は延期をせざるを得なくなったのだ。
とある福祉施設の職員の方からは、「インターンシップを通して人の役にたてる喜びを感じて欲しかった。けど、この状況では参加して頂く事は難しい。うちだけではなく、こういう場所はご高齢の方が多いですから。マスク、消毒等の対策は万全にしてますけど、万が一があったらと思うと。」とこぼしていた。
他にも、飲食業や小売業、旅行代理店等の不特定多数の人間と関わる職業のインターンシップは開催時期がいずれも未定又はコロナの状況次第となっていた。
就職活動へのスタートダッシュとなるインターンシップが、このような甚大な被害を受けていたのだ。それは即ち、就職活動を始める学生への被害ということだ。

進むオンライン化

6月12日に、とあるITベンチャー企業で2日間のインターンシップが開かれた。とはいっても、実際の現場に学生が参加する形ではなく、パソコンの画面越しでの参加だった。
参加する学生にZoomのチャット機能やGoogleの文書作成ソフトを利用してもらい、企業で働く社員とともに定めた課題を相談して資料を作成するというものだった。
オンラインでのインターンシップは、その企業にとっても初めてらしく、社員による長時間のプレゼンテーションで飽きさせないよう、登壇者をかわるがわる入れ替えて変化を持たせる工夫をしていた。
参加した学生からは、「オンラインということで、最初は戸惑いや違和感がありましたが、2日目には白熱した議論も出来るようになりました。自分自身の課題も見えて、タメになりました。」との意見があった。
このインターンシップを企画した企業は、「オンライン環境でデジタルをフル活用して答えを出す学生と繋がれた事は、とても価値がありました。」とメリットを感じていた。
一方で、「実際に会い、同じ場を共有してこそ一体感や親しみが生まれることがありますが、それが出来ない事は課題です。」とオンラインならではのデメリットも感じていた。
この企業以外でも、「参加者を選ぶ選考をオンラインに切り替える」と工夫をしている企業が出てきている。
学生の希望としても、就職情報サイトの6月中旬の調査では「オンラインでのインターンシップがあるなら参加したい」という割合が8割を超えた。

対面を求める声

一方で、「対面かオンラインのインターンどちらを希望するか」の質問に対しては、6割が対面希望だった。「会社の雰囲気はオンラインでは掴めない」との声も多く、学生の間で対面を望む方は根強くあることが伺える。
企業の方でも、「迷ったが、会社の中に入ってもらって雰囲気を感じ取ってもらう事が大切だと判断した。」と対面実施を行う予定の企業も出てきている(3密を避ける為、1部のプログラムを変更した上で)。

まとめ

コロナが流行している今、私達の生活様式は大きく変化した。誰も遭遇した事が無い事態で、就職活動やインターンシップを進めていく事は、途方もなく不安で落ち着かないことだろう。
オンライン化を導入することで、多少の自由を手に入れる事は出来たが、それで全てを終わらせるのではなく、対面での実施、工夫もされてしかるべきだ(もちろん万全に予防対策をして)。
いまだ、コロナの終わりは見えないが、学生と企業はそれぞれ、制限された自由の中で必死に前を進んでいる。