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はじめに

Amazon Web Services(AWS)は、クラウドコンピューティングサービスの1つです。サーバーやネットワークなどをインターネット経由で貸してくれるという利便性が世界中で評価され、近年、オンプレからAWSに移行する企業や会社が増加しています。

NetflixやNTTをはじめとする大規模なユーザーを数多く獲得しているAWSの規模の拡大は天井知らずで、AWSエンジニアの需要も今後ますます増えるでしょう。

今回は、フリーランスのAWSエンジニアに焦点を当て、年収や仕事内容について解説していきます。

フリーランスのAWSエンジニアの仕事内容

バラバラの事業者からそれぞれ借りなければならなかったインフラを、一括で借りることができ、OSやサーバー、DBサーバーなどに必要なソフトウェアまで丸ごと手配できるとはいえ、AWSを扱うのにはそれ相応の技術力が必要です。

では、AWSエンジニアの仕事内容について解説します。案件によって様々な種類がありますが、AWSエンジニアの仕事をここでは大きく分けて3種類紹介します。

  • ・新規AWSサーバー構築、インフラ設計
  • ・オンプレからの移行、テスト
  • ・運用、保守

順番にみていきましょう。

新規AWSサーバー構築、インフラ設計

AWSのサーバー構築は、スタートアップの会社やベンチャー企業が新規にサーバーを構築する際にAWSをはじめとするパブリッククラウドを選択することが多く、案件の数も多いです。

インフラ設計は、クライアントからの要件に応じたネットワーク構成の設計や、障害発生時の冗長構成などを設計することです。ここでは、AWSの知識はもちろん、ネットワークの知識やデータベースの知識、セキュリティやサーバーの知識などが必要になってきます。

オンプレからの移行、テスト

オンプレ環境だったインフラ環境をクラウドへ移行する際にAWSを用いる企業や会社が増えています。ここでは、オンプレの設計をそのままクラウドで実現するのではなく、AWSだからこそ実現できるサービスを使用して、各種タスクの効率化やデプロイ業務の自動化ができるように移行します。

AWSの特徴にサービスを組み合わせやすいという点があり、クライアントや常駐先によって、最適なサービスをカスタマイズして組むことが可能なので、最大限活かせるように工夫しましょう。

運用、保守

運用、保守では、稼働中のサービスに問題が発生していないか監視し、発見した問題の原因調査を行います。Amazon CloudWatchというモニタリングサービスなどを駆使して、システムのパフォーマンスを監視したり、AWSのリソースやログを毎日チェックしたりすることで通常稼働を保ちます。非常に便利なサービスなので、モニターに釘付けになって監視する必要はありませんが、AWSでもやはり障害は発生します。

障害に備えるためには、冗長化構成を組むことはもちろんですが、厚い監視体制を構築し、障害時の人員の動かし方なども考える必要があります。

在宅での仕事は可能か

AWSエンジニアの在宅での仕事は、残念ながらあまり多くありません。リモートワークが増加している背景がありますが、それでもリモートでの案件の数は常駐案件と比較すると少ないです。基本的には客先や現場に常駐する形になると思った方が良いでしょう。

フリーランスのAWSエンジニアの給料

フリーランスのAWSエンジニアの給料についてみていきましょう。

平均年収

実務経験年数にもよりますが、年収の平均相場は約600万円です。実務経験が1年間程度だと約450万円、5年間以上になると約800万円が相場です。

注意点として、フリーランスの場合は収入から「所得税」「住民税」「個人事業税」「消費税」の4種類が差し引かれます。年収と手取りは異なるので、必ずしもこの数字だけで判断しないようにしてください。

AWS案件の単価相場

AWSの相場単価は、こちらも実務経験に左右されますが、月額約65〜85万円です。実務経験が1年程度で上記のような案件を掴むことは難しく、最初は25万円程度の案件からスタートすることになります。

しかし、案件をこなしていき実績を積んでいけば、おのずと単価は上がっていきます。中には月額100万円近いAWS案件もありますので、AWSの技術力に自信がある人は、挑戦してみると良いでしょう。

また、あまりにも経験年数と自分の受注する案件の単価が見合っていない場合は、エージェントサービスやクライアント先を見直しましょう。ここを変更するだけで、月額10万円以上の単価アップが見込める可能性もあります。

フリーランスのAWSエンジニアの将来性

AWSのフリーランスエンジニアの将来性は、今後さらに需要を増し、揺るぎないものになっていくでしょう。

なぜなら、AWSをはじめとするクラウドへインフラ環境を移行する企業や会社が、今後ますます増えていくと予想されているからです。クラウドプラットフォームサービスのシェア率で首位を誇るAWSなら尚更です。これにより、従来サーバーやネットワークの知識しか持たなかったインフラエンジニアがAWSの知見を持たざるをえない状況になっています。

よって、AWSのエンジニアの需要は増え、将来性は安定していると言えます。

フリーランスのAWSエンジニアになるのに必要なスキル

さて、フリーランスのAWSエンジニアになるのに必要なスキルを紹介します。

  • ・AWSの知識
  • ・ネットワーク構築の知識
  • ・データベースの知識
  • ・情報収集能力

では順番にみていきましょう。

AWSの知識

まずはAWSの知識です。

AWSには数多くのサービスがあり、クライアントや常駐先によって「どのサービスが最適か」を見極める力が必要です。主要なサービスはAmazon EC2(サーバーサービス)、Amazon S3(ストレージサービス)、Amazon VPC(仮装ネットワークサービス)、Amazon RDS(データベースサービス)、サーバーレスでイベントを自動実行できるLambaなどが挙げられます。

上記のサービスは現場でよく使用されており、情報が豊富な書籍も数多く出版されています。深く理解しておくと良いでしょう。

また、AWS認定資格を取得すれば、AWSエンジニアとしてのスキルを簡単に証明できるのでおすすめです。

ネットワーク構築の知識

AWSでEC2インスタンスを構築する際には、ネットワーク構築に関する知識が必要不可欠です。クライアントの要望に沿った最適な提案ができるよう、自宅でネットワークを実際に構築するなどして、理解を深めましょう。Ciscoのネットワーク関係の資格を取得すると基礎が固められるので、なお良いでしょう。

また、ここに付随して、サーバーの知識やOSの知識も欠かせません。AWSエンジニアというのはインフラエンジニアなので、幅広くインフラの知識が必要です。

データベースの知識

AWSを扱う際にはデータベースの知識も必要になります。特にAmazon RDSなどのデータベースサービスを使用する場合は、AWSオリジナルのAmazon Auroraに加え、PostgreSQL、MySQL、MariaDB、Oracle Database、SQL Serverの6種類からデータベースエンジンが使用できます。マネージドサービスであるとはいえ、管理者による定期的なメンテナンスはやはり必要です。高可用性や耐障害性が求められるので、データベースの設計・運用の知識が必要です。

情報収集能力

AWSでは実に165以上のサービスが提供されており、新サービスは毎日のように追加されています。昨日までは解決が困難だったことも、新サービスによって解決できるかもしれません。

IT関係の情報やニュースを収集することはもちろんですが、AWSの新サービスリリースやアップデートなどの情報は毎日仕入れるようにしましょう。

未経験からAWSエンジニアになるには

全くの未経験からフリーランスのAWSエンジニアになるのはおすすめしません。

なぜなら、AWS案件のほとんどが、実務経験をある程度積んでいる人向けのものだからです。最低でも、インフラエンジニアとしての経験を1〜2年積んでからフリーランスのAWSエンジニアになる道を進み始めた方が良いでしょう。それが難しいという場合は、上記に挙げた「フリーランスのAWSエンジニアになるのに必要なスキル」を一つずつ独学で習得しながら、AWSを実際に個人で導入し、触ってみることをおすすめします。

AWSエンジニアは将来性こそあるものの、スクールなどで集中的に教わることのできる環境はまだまだ少ないです。全国各地で主催されているセミナーや情報交換会などに積極的に参加して、実力をつけていきましょう。茨の道になりますが、不可能ではないです。

まとめ

今回は、フリーランスのAWSエンジニアの年収や単価相場、将来性、そしてAWSエンジニアになるのに必要なスキルをまとめました。クラウドコンピューティングサービスは、今後ますます活躍の場を広げることになるでしょう。それに伴い、AWSの知見を持つエンジニアは重宝されます。Azure(Microsoft Azure)や、GCP(Google Cloud Platform)の台頭も考えられますが、まだまだAWSのシェア率はクラウドインフラ市場で首位を誇っています。

しかし一番大事なのは、変わりゆく時代がITに何を求めるか常に考え、一歩先を見据えるエンジニアになることです。AWSエンジニアとして、クライアントのニーズを深く読み取り、最適な提案を実現できる技術力を磨きましょう。