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トレンドの移り変わりが激しいプログラミング言語のなかでも、比較的長く使われてきた歴史を持ち、なおかつ現代でも人気プログラミング言語の常連としてトップ10以内をキープしている、それが「C++」です。求人サイトを検索しても、C++関連の求人案件を目にすることは多く、安定した人気を誇っているのがわかります。組織に所属しながらC++の実績・スキルを積んできたエンジニアの方なら、そんな状況を鑑みてフリーランスへの転向を検討しているかもしれません。

それでは、フリーランスエンジニアとして独立しても、充分な案件を獲得できるほどC++市場は活況なのか?どのようなC++開発案件が多いのか?どのくらいの収入が見込めるのか?フリーランスとして独立を目指すエンジニアの方なら気になるであろう将来性を含め、C++開発案件の市場動向を紹介していきます。

C++とC言語の関係性

C++とは、1972年にAT&Tベル研究所が開発した「C言語」にオブジェクト指向を加え、発展・拡張されたプログラミング言語です。C言語はUNIXアプリケーション開発を中心に、汎用的に利用されていましたが、CPUの高性能化・プログラムの肥大化にともなって、効率的な開発ができるとはいえなくなっていました。これを解決し、効率よくプログラミングできるように開発されたのが、1983年にリリースされたC++というわけです。

開発環境としてはBorland社が開発した「BorlandC++」Microsoft社が開発した「VisualC++」などが利用可能であり、ISO/IECによる国際規格化も進められています。最新の規格は2017年に策定されたC++2017ですが、2020年にはC++2020の策定が予定されており、現在進行形で開発が進められているプログラミング言語なのです。

C++にはどんな特徴がある?

C++がオブジェクト指向であることは上述しましたが、コンパイル型のプログラミング言語だという側面もC++は併せ持っています。C言語の拡張版だという関係性とあわせ、これらの要素がC++の特徴を決定付けているといえます。簡単に解説していきましょう。

C言語との高い互換性

C++はC言語の拡張版であるため、プログラム・ハードウェア間の効率的なインターフェースなど、C言語の利点をほぼすべて継承したうえで機能強化されています。CライブラリをC++プログラムで利用可能など、C言語との高い互換性が確保されているのがC++の特徴であり、C/C++コードが混在した環境も構築できます。また互換性が高いということは、C言語のスキルを持つエンジニアがC++を習得するのが比較的簡単だということも意味します。

処理速度が高速

インタプリタ型に比べ、コンパイル型はプログラムの処理速度を高速化できるメリットがありますが、なかでもC++は、CPUの性能を100%引き出せるコンパイル型プログラミング言語であるのが特徴です。これはC++のコンパイル方式が、コンピューターが理解できる機械語に直接変換する方式を採用しているのが大きな要因です。

C++が処理速度を高速化できるもうひとつの要因は、ポインタを使ってコンピューターのメモリを効率よく制御できるからです。ポインタを使えば、メモリの特定アドレスからデータをCPUへ転送する、演算結果を特定のメモリに戻すといった制御が可能であり、C++を習得するうえでのキーポイントにもなります。

拡張デバイスの制御が容易

ポインタの活用によってメモリの制御が可能なC++は、メモリ以外の周辺機器・拡張デバイスを制御するのに適したプログラミング言語だという特徴も持っています。たとえば、ゲームや動画のエンコード・デコードを行うアプリケーションでは、CPU以外にGPUを効果的に利用する必要があり、GPUを制御するためのライブラリ・エンジンの開発が欠かせません。こうしたライブラリの開発にC/C++は最適なのです。

ただし、周辺機器・拡張デバイスを制御してハードウェアの性能をフルに発揮させるには、ハードウェア自体の仕様・特性も理解しなければなりません。単純にC++でプログラミングできるというだけでは充分ではないのです。

汎用性が高い

コンパイラ型のプログラミング言語であるC++は、CPUにあわせたコンパイラさえ作っておけば、どんなCPU向けのプログラムも作れる汎用性の高さを持っています。それこそ汎用コンピューター以外に、マイコン向けのプログラムもC++で制作できます。C言語で書かれたプログラムをC++で書き直す、Rubyで書かれたプログラムをC++で書き直して高速化する、といった活用も盛んに行われています。

学習コストは高い

C言語にオブジェクト指向を追加・拡張したC++は、複雑な仕様のプログラミング言語としても知られています。統合開発環境、コンパイラ、標準ライブラリなど、C++を学ぶための環境構築も簡単ではないため、学習コストが高く挫折しやすいプログラミング言語だといえるでしょう。C++の特徴でもある、ポインタの概念を理解するのにも時間が必要です。C言語を習得している方ならともかく、初心者がいきなりC++を学ぶのは低くはないハードルがあるといえます。

一方、Java・Python・PHPといったプログラミング言語は、C++を基本に開発されています。つまり、近年メジャーなプログラミング言語も、C++を習得していれば理解が早いというメリットがあり、スキルの幅を広げるのに役立つといえるでしょう。

C++にはどんな開発案件がある?

歴史のあるプログラミング言語だけに、C++エンジニアが稀少というわけではありませんが、習得が難しいのは事実です。高級言語ともいえるC++は、どんな開発に利用されているのでしょうか?上述した数多くのメリットのほかに、高い汎用性を持つのがC++の特徴です。それを象徴するように、開発案件が非常にバラエティに富んでいるのもC++の特徴なのです。具体的な例を挙げて簡単に解説していきます。

モバイルアプリ・ゲーム開発

モバイルアプリ開発では、Java・Objective-C・Swiftなどが使われることがほとんどですが、C++Builder、VisualC++の使えるVisualStudioなどの統合開発環境で開発する案件もあります。C++でモバイルアプリを開発すれば、iOS/Android双方に対応するネイティブアプリを開発できるため、近年案件数が増えつつあるといえるでしょう。また、GPUなどの制御が容易で処理が高速だということから、多くのゲームがC/C++で開発されており、案件数も豊富です。

基幹システム・Webアプリケーション開発

基幹システム・パッケージなどの業務アプリケーション開発案件が多いのもC++の特徴です。金融・証券・医療・通信・公共機関など、比較的大規模なシステム開発案件が多いのも特徴です。C言語を含む信頼性の高さ、OSに近い低レイヤーの技術であること、処理が高速だということがC++が選択される理由でしょう。一方、処理速度が速いことからWebアプリケーション・サービスでもC++が使われてきましたが、近年ではPython、PHPが主流になりつつあり、C++の案件は少なくなっています。

AI・ロボット開発

機械学習を含むAI開発、ロボット開発、VR・AR開発などのC++開発案件も増えています。それぞれが確立された技術ではないという点で共通していますが、最先端の技術開発を行ううえでC++は最適です。スーパーコンピューターの特殊計算プログラムにC++が使われることがあるように、複雑な処理を素早く実行させるプログラムを組むのに適しているからです。

組み込み・IoT開発

家電製品などに代表される組み込み系開発案件、さまざまなモノにセンサーを取付けてインターネットと接続するIoT系開発案件などが数多くあるのもC++の特徴です。組み込み系・IoT系ではさまざまなマイコンが利用されますが、それぞれのCPU・MPUに適したコンパイラさえ作ってしまえば、C++で制御・プログラミングできるからです。リアルタイム性が求められることの多いIoT系開発案件では、C++の高速な処理も欠かせない要素だといえるでしょう。

C++開発の案件数・年収は?

C++は、人気プログラミング言語TOP10の常連ではありますが、実際にどのくらいの開発案件・求人数があるのでしょうか?求人メディア・エージェントによって異なりますが、案件数はJava・PHPが圧倒的であり、3位以下はほぼ横並びといった状況のようです。案件数9位のC++は、JavaScriptとほど同じ程度の案件数であり、Javaが1万8,000件程度であれば、C++は2,500件程度の案件が見込めると考えられます。

C++の案件数が多いか少ないか、感じ方は人それぞれですが、習得の難しいC++に対する需要は高く、それは約720万円というフリーランスの平均年収にも現れています。会社勤務の場合の平均年収が約470万円といわれているため、フリーランスで活躍できれば年収の大幅アップが狙えます。C++の月額案件相場は、実務経験1年で30〜40万円、5年以上だと80〜100万円以上といわれており、こちらも実態と大きく変わらないといえるでしょう。

高収入のC++案件獲得に必要なスキルとは?

もちろん、実務経験だけで高収入のC++案件が獲得できるわけではありません。案件単価が高額であれば、それに見合ったスキルが求められるのは当然です。では、プログラミングスキル・熟練度のほかに、高収入C++案件獲得に必要なスキルとはなんでしょう?

マネジメントの実務経験

分析・要件定義・基本設計・詳細設計などの上流工程経験、PM・PLを含むマネジメントの実務経験があれば、高収入C++案件を獲得できる可能性が高まります。C++は習得自体が難しいプログラミング言語であり、ベテラン・熟練のエンジニアが不足しています。プログラミングだけでなく上流工程も任せられるなら、希少性を活かして高収入が狙えます。

幅広い業務知識

企業の基幹システム開発案件の多いC++では、プログラミングだけでなく企業経営に関わる幅広い知識が高収入案件獲得につながります。たとえば、業務フローを理解したうえで、システムによってどのように課題を解決できるか提案できれば、クライアントの信頼も得やすく、追加の案件受注にもつながりやすくなります。

C++案件の将来性は?

新たなプログラミング言語が登場してトレンドが移り変わっていくなか、C++の将来性に不安を感じる方もいるかもしれません。しかし、低レイヤーの技術であるC++は、高速な処理速度、容易な拡張デバイスの制御、高い汎用性という特徴を持っており、それは最先端の技術であるAIやIoTなどにも活用されています。置き換えが難しいプログラミング言語として、今後もC++案件の需要はなくならないと思われます。

まとめ

将来性に関しても展望の明るいC++ではありますが、Java・PHPなどにWebアプリケーション開発の座を奪われつつあるのも事実であり、Rust・GoといったC++の後継を目指すプログラミング言語も登場しています。フリーランスのC++エンジニアとして独立しても、スキルを深化・磨いていくだけではなく、他のプログラミング言語の習得、関連スキルの習得など、常に前進を怠らない姿勢を保つのが重要です。