最終更新日:2026年8月5日
ITエンジニアとしてある程度自分一人でやっていけるめどが立つと、フリーランスや個人事業主という働き方に変えることがありますよね。自分の裁量で働くことができるのは、とても魅力的です。
今まで会社員だった人は、勤務先が従業員の所得を計算し、税金を給与から天引きする、年末調整するなどをして精算してくれていました。
ですが、フリーランスや個人事業主になり独立開業すると、いままで勤務先が行っていてくれた税金の計算も自分で行う必要がでてきます。
その時に青色申告にするか、白色申告にするか迷いますよね。そこで青色申告と白色申告について詳しく紹介いたします。
目次
■そもそも確定申告はみんな必要?
確定申告とは、1月1日から12月31日までに得た収入や売り上げから、必要経費を差し引いて所得を計算し、所得控除などを考慮した後に税務署に申告をして納税を行うことです。
申告する期限は、翌年の3月15日までです。通常であれば、毎年確定申告が必要になります。
しかし、ITエンジニアとしてフリーランスや個人事業主として独立した初年度は、収入が少ない場合がありますよね。青色申告で申告する場合、確定申告書を作成するために青色申告決算書が必要になるのですが、青色申告特別控除前の金額が48万円以下であれば、確定申告が不要になるのです。
これは、フリーランスや個人事業主に限らず、納税者であれば無条件に適用できる基礎控除の48万円(2020年以降)があるからなのです。所得が48万円以下で基礎控除を活用すると、課税所得が0円になってしまうのです。そうなると、確定申告をしてもしなくても変わらないことになってしまうからなのです。
フリーランスや個人事業主として独立した初年度に、事業所得とは別に会社員時代の給与所得もある人は、事業所得が赤字となった場合でも確定申告した方がいいです。事業所得の赤字と給与所得のプラスとを相殺して、節税することができるからです。
また、フリーランスや個人事業主として独立した初年度に、会社員時代の給与所得がある場合、青色申告特別控除前の金額が20万円以下であれば、確定申告が不要になります。これは、給与所得と退職所得以外の所得の金額が20万円以下の場合は、確定申告が必要ないという規定に基づくものです。
確定申告が必要ない場合でも、所得を証明できるものはきっちりと保管しておくことをおすすめします。フリーランスや個人事業主として働くのならば、これからは自分で記録を残しておくことが大切になるからです。
■青色申告?白色申告?どっちがいいの?
独立開業してフリーランスや個人事業主となった場合、遭遇する問題として白色申告にするか、青色申告にするかですよね。
白色申告の方が簡単というイメージを持っている人もいるのではないでしょうか。
白色申告は記帳や帳簿書類の保存の義務がなく、簡単に申告できることがメリットでした。フリーランスや個人事業主でも、事業の規模によっては白色申告を選択している人もいました。
しかし、平成26年1月から白色申告でも記帳や帳簿書類の保存が義務付けられるようになったのです。そのため、白色申告でもどんぶり勘定は許されなくなり、確定申告にかかる手間も白色申告でも青色申告でも変わらなくなってしまったのです。
そうなると青色申告には節税できる有利なたくさんの制度があります。フリーランスや個人事業主で今まで白色申告だった人も、青色申告に変更するようになってきているのです。
これからフリーランスや個人事業主として確定申告をされる人は、是非青色申告で確定申告をしてはいかがでしょうか。
■青色申告vs白色申告 比較表
2つの申告方式の主な違いを表にまとめました。
| 項目 | 青色申告 | 白色申告 |
|---|---|---|
| 適用条件 | 開業届+青色申告承認申請書の提出が必要 | 特別な手続き不要 |
| 帳簿方式 | 複式簿記(または簡易簿記) | 単式簿記(現金出納帳など) |
| 特別控除額 | 最大65万円(e-Tax利用時) | なし |
| 節税効果 | 高い(専従者給与・減価償却特例等) | 低い |
| 赤字の繰越 | 3年間繰越可能 | 不可 |
| 帳簿保存義務 | 7年間 | 5〜7年間 |
| 申告の手間 | やや多い(会計ソフトで軽減可) | 比較的少ない |
| おすすめ度 | ★★★★★ | ★★☆☆☆ |
手間の差は会計ソフト(freee・マネーフォワードクラウドなど)を使えば大幅に軽減できます。節税メリットを考えると、ほとんどのフリーランスITエンジニアには青色申告がおすすめです。
■青色申告をするために最初にすること!
ITエンジニアとしてフリーランスや個人事業主となって独立開業した場合、「個人事業の開業・廃業届出書」を提出する必要があります。届出書は国税庁のホームページからダウンロードができます。この届出が必要な人は、フリーランスや個人事業主などの事業所得が発生する事業を開始した人です。事業の開始事実があった日から1カ月以内に、所轄の税務署に提出する必要があります。
フリーランスや個人事業主として独立当初から青色申告を希望している人は、「所得税の青色申告承認申請書」も所轄の税務署に提出しなくてはなりません。提出する期限があり、申告したい年の3月15日までか、新規開業した日から2カ月以内のいずれか遅い日になります。提出期限を過ぎてしまうと、青色申告ができずに白色申告になってしまいますので、注意してください。
白色申告をしていた人が、青色申告に変更したい場合も、同じ書類を申告したい年の3月15日までに所轄の税務署に提出する必要があります。
■青色申告のメリットとは?
青色申告を選択すると、様々な節税制度を受けられるメリットがあります。
▲青色申告特別控除65万円
フリーランスや個人事業主で、帳簿づけをきちんと行っている人ならば、自動的に付与される制度です。青色申告の最大のメリットともいえます。
売り上げから必要経費を差し引いた所得から、青色申告特別控除の65万円(e-Tax利用・複式簿記の場合。簡易簿記の場合は10万円)がさらに差し引かれるのです。そうすると所得が減るので節税効果があるのです。
▲家族に支払う給料が必要経費にできる
ITエンジニアの請負業務は非常に専門的ですが、簡単な事務仕事などは家族に手伝ってもらうことも出てくるかと思います。
もしも配偶者の方がIT関係のスキルをお持ちであれば、簡単な業務を手伝ってもらうこともあり得ます。そういった場合、生計をともにする配偶者や親族に給料を支払うこととし、その費用を全額必要経費にすることができるのです。フリーランスや個人事業主にとっては、嬉しい制度ですね。
必要経費にするには、手続きが必要になります。「青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書」を提出するのです。提出期限は、その年の1月16日以降に開業した人や新たに専従者がいることになった人は、開業日や専従者がいることになった日から2カ月以内になります。
記載事項のポイントとしては、月額給与を少し多めに記載しておくと良いです。届出書や変更届出書の範囲内で青色事業専従者給与を支払えば問題ないからです。それに、この届出書に記載した金額を超える給与を支払うとなれば、また書類の提出が必要になってしまうからです。あらかじめ多めに記載しておけば、変更があった場合でもめんどうな書類の提出は必要なくなりますね。
▲30万円未満の減価償却資産を一度に経費でおとせる
青色申告には「少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例」というものがあり、1個や1組あたり30万円未満の減価償却資産を、1回の確定申告で全額経費にできる特例があるのです。通常であれば徐々に経費にしないといけないのですが、年間の合計300万円まで必要経費にできるのです。フリーランスや個人事業主としてITエンジニアを続けていく場合、頻繁にパソコンなどを購入する機会がありますよね。これはとても嬉しい制度ではないでしょうか。白色申告では適用されない制度なので、是非青色申告を選択したいですね。
▲赤字を翌年や前年の黒字と相殺できる
青色申告には「純損失の繰越控除」があります。赤字になってしまった時に、その赤字を翌年以降3年間の黒字と相殺することができるのです。フリーランスや個人事業主としてせっかく事業を始めたのに、赤字になると不本意ですよね。しかし、赤字を黒字と相殺できる制度があるので、是非利用しましょう。本年に赤字になった、連続して赤字になった、前年以前3年以内に赤字になったことがある場合は、必ず確定申告を忘れずにしておきましょう。
■必要経費になるものとならないもの
必要経費を考える時には、それぞれの事業をひとつの企業体と考えることが大切です。何が経費になるのかを考えると、職業や業態、ビジネスモデルによって差があるからです。
ITエンジニアであればパソコンの購入、技術関連の書籍購入、顧客と打合せするために移動した交通費などが経費として計上できますよね。領収書があるに越したことはありませんが、領収書が無くてもレシートやクレジットカードの利用明細書があれば証明することができます。
| 経費になる(例) | 経費にならない(例) |
|---|---|
| 業務用パソコン・周辺機器 | プライベートの旅行費用 |
| 技術書・専門書籍 | 交通反則金・罰金 |
| 開発ツール・クラウドサービスの利用料 | 個人的な飲食費(業務に無関係) |
| 顧客先への交通費・出張費 | 家族へのプレゼント代 |
| 自宅兼事務所の家賃(按分) | 所得税・住民税 |
| 通信費(スマホ・インターネット代)(業務比率分) | 私用目的のスマホ代全額 |
移動に使った交通費の交通系の電子マネーでは、チャージした時に発行された領収書が業務用の交通費だと証明できるわけではありませんよね。私用で電車に乗ることもあります。
電子マネーへのチャージは、利用するための権利を購入しただけにすぎません。こんな時は、交通履歴清算書というものを作り、日付や行き先、経路、金額を記録して、証明することができるようにしておくことをおすすめします。フリーランスや個人事業主としては働くには、なんでも詳細に記録をすることが心得だともいえます。
顧客と合うために車で移動し、駐車違反の取り締まりにあって交通反則金を支払った場合はどうでしょうか。もちろん、違反者の罰則の効果を減殺させないためには、必要経費にはできないとされています。フリーランスや個人事業主として独立しているのだから、駐車違反などをして社会的信用を落とすことがないように心がけないといけないですね。
■確定申告と納税の期限を守れなかったらどうなるの?
確定申告の手続きが間に合わなかった、納税の期限を忘れていて過ぎてしまった場合は、どんなペナルティがあるのでしょうか。
▲無申告加算税
確定申告の手続きは、3月15日までに申告書を提出したら期限内申告、それ以降に申告書を提出したら期限後申告となります。期限後申告には、申告によって納める税金の他に、無申告加算税が課されてしまいます。無申告加算税は、納税額に対して15%~20%の割合を乗じた金額が加算されてしまうのです。忙しかった、忘れていたは通用しないのです。自分で何でもしなくてはならないフリーランスや個人事業主だからこそ、期限厳守を心がけないといけませんね。
ただし、「期限後申告が、法定申告期限から2週間以内に自主的に行われている」「期限後申告に係る納税すべき税金の金額を法定期限までに納付している」などの条件に当てはまれば、無申告加算税は課されないこともあります。
▲延滞税
税金が定められた期限までに納付されない場合、利息に相当する税額が課せられます。これを延滞税といいます。原則として法廷納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて利息に当たる税額が発生することになるのです。もし、期限までに納付していないことに気づいたら、早めに納付するようにしましょう。せっかく期限内に確定申告をしたのに、税金の納付を忘れていたのでは意味がありません。フリーランスや個人事業主には念には念をいれて期限を確認する要素も必要になってきます。
■よくある質問(FAQ)
- Q. 青色申告と白色申告、どちらがおすすめですか?
- A. フリーランスITエンジニアには青色申告がおすすめです。最大65万円の特別控除、赤字の3年間繰越、専従者給与の経費計上など節税メリットが大きいためです。帳簿付けの手間は会計ソフトを使えば大幅に軽減できます。
- Q. 開業届を出していなくても確定申告できますか?
- A. 白色申告であれば開業届なしでも確定申告は可能です。ただし、青色申告を行うには「個人事業の開業・廃業届出書」と「所得税の青色申告承認申請書」の両方を所轄税務署へ提出する必要があります。節税効果の高い青色申告を希望するなら、開業後なるべく早く届出を済ませましょう。
- Q. ITエンジニアが経費として計上できるものは何ですか?
- A. 業務に直接必要な費用が対象です。主な例としては、パソコン・モニター・周辺機器、技術書・専門書籍、開発ツールやクラウドサービスの月額料金、顧客先への交通費・出張費、自宅兼事務所の家賃と通信費(業務利用比率分)などがあります。領収書やレシートを日頃から保管しておくことが重要です。
- Q. 確定申告の期限はいつですか?
- A. 毎年2月16日〜3月15日が確定申告の受付期間です(申告書の提出期限は3月15日)。納税の期限も原則3月15日です。期限を過ぎると無申告加算税や延滞税が発生するため、年明けから早めに準備を始めることをおすすめします。なお、振替納税を利用すると納付期限を約1か月延長できます。
- Q. 青色申告の65万円控除を受けるための条件は?
- A. 65万円控除(令和2年以降)を受けるには、①複式簿記で帳簿付けをしていること、②e-Tax(電子申告)で確定申告書を提出すること、の両方が必要です。e-Tax未利用の場合は55万円控除となります。簡易簿記(単式簿記)のみの場合は10万円控除です。
■まとめ
ITエンジニアとしてフリーランスや個人事業主となった場合は、自分で確定申告する必要があります。確定申告は、青色申告を選ぶと節税できる有利な制度が使えます。青色申告をするには、事前に書類の提出が必要になってきますので、あらかじめ手続きをしておきましょう。
必要経費になるものやならないものに気をつけて、確定申告や納税の期限はきちんと守るようにしましょう。そうしないとペナルティが課されることになります。フリーランスや個人事業主は何でも自分でしなくてはなりません。スケジュールをしっかり立てて、自分で管理するようにしましょう。
フリーランスや個人事業主として独立開業をすると、初めての確定申告では分からないこともたくさんあり、不安も多いですよね。そんな時は、税務局の相談窓口に相談することもできますので、利用するといいです。ただし、確定申告が行われる2月や3月は繁忙期なので、それ以前に質問しておくようにしましょう。確定申告は、早い時期から準備をすすめて、2月や3月にあわてることなくスムーズにできるようしたいですね。
この記事のポイント:
- フリーランスITエンジニアは毎年確定申告が必要(基礎控除48万円以下なら不要)
- 青色申告は最大65万円の特別控除・赤字の3年繰越など節税メリットが大きい
- 青色申告には開業届+青色申告承認申請書の提出が事前に必要
- パソコン・書籍・交通費・開発ツール代など業務関連費用は経費計上できる
- 確定申告期限は3月15日。遅れると無申告加算税・延滞税が課される
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