IT業界の実態~今後のキャリアデザインについて

最終更新日:2026年8月5日

はじめに

皆様は「IT業界」と聞いたときにIT業界で働く人達が何をしているのか想像できますか?正直私は具体的なイメージが湧かず、ましてや誰かに説明をすることもできませんでした。そして実際に未経験でこの業界に入ってから初めて知ったことがたくさんありました。本ドキュメントは未経験でIT業界に入り仕事をしていく上で、早い段階で知っておいたほうが良いだろうということについてまとめています。

そもそもITって何?というところから入り、IT企業のあり方、IT業界の仕事の流れ、恐らく皆様が一度は聞いたことがあるであろうIT業界の人材不足のこと、そして皆様一人一人の将来について少しでも参考になればと思いキャリアデザインについても書かせていただきました。では1つずつみていきましょう。

ITってそもそも何?

IT業界について説明する前に、まずはITとは何かについてみていきましょう。

「これから行く店の場所を知りたい」など何かわからないことがあると、パソコンやスマートフォンで、検索して調べる、ネット通販で買い物をする、このようなコンピュータやインターネットでの情報技術のことをIT(information technologyの略)といいます。
多くの企業はITを使って、業務の効率化やビッグデータ(後述)の活用による新規事業の開発を図っています。よく聞くIT化とは、人間がより効率的で快適な生活を送れるよう、身の回りで任せられるところは全部機械に任せようということです。本や書類、マニュアルなどをデジタル化することでそのスペースを有効に使え、またそれらの内容を知りたい時は、膨大な情報の中からいつでも検索することができます。今までに速くても郵送で1日かかった手紙が、メールやSNSを利用することで数秒になり、工場での単純作業や反復作業は自動化してきています。

ざっくりしたIT要素

  • ハードウェア:パソコン、スマホ、IoT家電
  • ソフトウェア:OS、アプリ、AI
  • 通信技術:インターネット、Wi-Fi、5G

このように見てみると普段慣れ親しんでいるものばかりで、現代に生きる私達の生活の中でなくてはならないものだということが分かります。

IT業界の在り方

SIer(エスアイヤー)業界
受託ソフトウェア開発または情報処理サービスを提供する企業のことで、システムインテグレーション(SI)、もしくはシステムインテグレーター(顧客からの依頼を受けて、要件定義~運用保守に至るまで、ソフトウェア開発をはじめとしたシステム構築や、情報システム関連全般を提供する企業のこと)とも呼ばれています。

SES業界
ソフトウェアやシステムの開発・保守・運用における委託契約の一種であり、特定の業務に対して技術者の労働を提供する契約です。

IT業界におけるシステム開発の契約形態には、大きく分けて二つあります。

  1. 顧客から依頼されたシステムの完成を約束し、納品する(顧客は納品物の対価を支払います。)
  2. 技術者の労働を提供する(顧客は技術者の労働の対価を支払います。)

SESは②に当たり、システムエンジニアの能力を契約の対象とし、客先のオフィスにエンジニアを派遣して(常駐)、技術的なサービスを提供します。

IT業界の職種

インターネット業界・WEB業界

  • Webデザイナー:Webサイトの使いやすさや見た目の美しさなどWebデザインを専門に扱う仕事
  • Webディレクター:Webサイト制作を監督・指揮する仕事

情報処理サービス業界

  • ITコンサルタント:顧客である企業から経営や業務上の問題点をヒアリングし、その問題の解決策を提案する仕事
  • セールスエンジニア:経験を積んだエンジニアが自分の得意分野の知識を活用し、営業面で活躍する仕事

ソフトウェア業界

  • プログラマー(PG):ソフトウェア開発の基本となる仕事(プログラム言語は数多くあるため、専門に扱う言語により担当できる案件が異なる)
  • システムエンジニア(SE):システム開発に総合的に関わり、ソフトウェア開発のみならずマネージメントやコンサルティングもこなす仕事
  • ネットワークエンジニア(NW):ネットワークの構築や運用、保守を行う仕事
  • サーバエンジニア:コンピュータシステムを運用するサーバーの設計・構築・運用・保守に特化した仕事
  • データベースエンジニア:データベースの設計・開発、管理、運用を行う仕事

ハードウェア業界

  • 組込みシステムエンジニア:家電や自動車の組込みシステムなど、ハードウェアと電子回路を組み合わせたシステムの開発を担当する仕事

ITキャリアパス比較表

IT業界では職種・雇用形態・専門分野によってキャリアの方向性が大きく異なります。以下の比較表を参考に、自分に合ったキャリアを考えてみましょう。

職種・キャリア 平均年収目安 将来性 必要スキル例 向いている人
システムエンジニア(SE) 400〜600万円 ★★★★☆ 要件定義・設計・プロジェクト管理 調整力・コミュニケーション重視の人
プロジェクトマネージャー(PM) 600〜900万円 ★★★★★ マネジメント・予算管理・リーダーシップ 組織を動かすことに意欲がある人
ITスペシャリスト(クラウド・セキュリティ等) 500〜800万円 ★★★★★ AWS/Azure等・セキュリティ資格・専門技術 特定技術を深く極めたい人
フリーランスエンジニア 600〜1,000万円以上 ★★★★☆ 専門スキル・営業力・自己管理能力 自由な働き方・高収入を目指す人
ITコンサルタント 700〜1,200万円 ★★★★★ 業務知識・提案力・論理的思考 ビジネス課題の解決に興味がある人

※年収は経験・スキルレベル・企業規模により大きく異なります。あくまでも目安としてご参照ください。

IT業界のざっくりした仕事の流れ(開発)

上流工程

  1. 要件定義:クライアントがシステムに求めている機能をまとめて、システムの仕様や範囲を決めること
  2. 外部設計:要件定義で決定した機能や性能、制約条件などを基にしてシステムの基本となる設計を行うこと(画面などユーザー視点の外見的な見た目)
  3. 内部設計:外部設計を基に、システム内部の動作や機能、物理データなど、ユーザーから見えにくい詳細な部分の設計を行うこと(開発者視点)

※いわゆる管理職のような仕事が多いため、実際に言語を使用してプログラミングを行ったりすることは少なく、年齢も上の世代が多いです。

下流工程

  1. プログラミング(製作):プログラム(人間がコンピュータへ命令を伝えるためのもの)を作ること
  2. 単体テスト:結合前にひとつひとつのモジュール(プログラムの部品)がしっかりと機能するか確認するテストのこと
  3. 結合テスト:モジュール単体でのテストをクリアしたモジュールと、その他外部モジュールを結合した状態で行うテストのこと
  4. システム(総合)テスト:単体テスト、結合テストがすべて終わったあとに仕上げとして行うテストのこと
  5. 運用テスト:開発者によるテストが終了した段階でシステムの運用者(エンドユーザー)によって行われるテストのこと
  6. システム移行(リリース):運用テストが完了したシステムを実際の本番稼働環境へ移すこと(「本番リリース」「カットオーバー」とも呼ばれる)
  7. 運用・保守:システムの正常な稼働を維持したり、変更・改良・更新・不具合の修正など、安定稼働を継続させること

※現在IT業界で働く人の約9割が下流工程にあたります。

よく耳にする人材不足ってホントなの?

ところで、IT業界の人材不足に関しては長らく言われ続けてきたことですが、具体的にIT業界の現状はどうなっているのでしょうか?

近年の少子高齢化の影響で、2020年以降は段階世代の引退により労働人口が減少していきます。つまり今まで業界を先導してきたエンジニアが高齢化によって引退していき、ハイスキルなエンジニアの人材不足が顕著化していきますが、AIや人工知能、SNSサービスやBtoCサービスなどの拡大でIT市場は成長を続けており、多種多様なサービスに対応できるエンジニアも多数必要です。そんな中人材の絶対数も減少していく非常に厳しい状況です。

もちろん業界としてもこの現状を打破するため、様々な方法をとっています。理系だけでなく文系出身の未経験枠採用も拡大してきており、採用後に教育に力を入れる企業も多くなっています。しかし、受け入れの間口が広くなった代わりに、未経験者を含むロースキルエンジニアと呼ばれる人たちが多くなり、下流工程の一部分は飽和状態にすらあるのです。

つまりIT業界全体でみると、長く業界を牽引してきたエンジニアたちの引退などで、高度な技術を持つエンジニアがどんどん減少し、彼らの代わりを務められるエンジニアはすぐにでも欲しいという状況であるにもかかわらず、数としては溢れているロースキルエンジニアではその部分を埋めるほどの技術が無いため、結果として人材不足はなかなか解決しないというわけです。重要なのは人手不足ではなくあくまでも人材不足である、ということです。

あなたは将来について考えていますか?

IT業界では目指す業界・分野によって職種が多種多様で、どの職種を目指していけばいいのか今後のキャリアアップに不安を感じる人も多いかもしれません。特に未経験者となると最初はできることがかなり限られていて、対人の仕事よりも対モノになる機会が多く、「自分は一体何をしているのだろうか」という疑問が誰でも湧いてくるのではないでしょうか。一時であればいいかもしれませんが、それがずっと続いてしまうと辛くなってくるでしょう。そうならない為にも、あなた自身の進む指針となる将来設計を考えていく必要があります。

これはあくまで個人的なキャリアデザインではありますが、考え方の例としていくつか上げておきたいと思います。

  • 上流志向型:プログラマー → システムエンジニア → プロジェクトリーダー → プロジェクトマネージャー(上流工程の仕事をメインに行っていくキャリア)
  • 教育・人材育成型:キャリアを積んだ後に教育メインへ移行(ある程度のキャリアを積んでからプログラミングや環境構築などを教える人になる)
  • 副業・独立型:プログラマー・システムエンジニアとして働きながら副業をしていく(Webサービスやアプリ開発、その他副業をして収入を増やしていく)

あくまでも一例として上記3つほど記載させていただきましたが、キャリアデザインは人によって全く異なるものになりますので皆様がキャリアデザインについて考える上で参考になれば幸いです。

よくある質問(FAQ)

Q. IT業界で年収アップするために必要なスキルは何ですか?

年収アップには、クラウド(AWS・Azure・GCPなど)やセキュリティ、AIといった市場需要の高い専門スキルの習得が効果的です。また、技術スキルだけでなくプロジェクト管理(PM)や提案力など上流工程のスキルを身につけることで、システムエンジニア→プロジェクトマネージャーといったキャリアステップを踏みやすくなり、年収600〜900万円台を目指しやすくなります。フリーランス転向によって年収1,000万円以上を狙う方も多いです。

Q. フリーランスと正社員、どちらが安定していますか?

安定性という観点では一般的に正社員の方が有利で、毎月固定給が保証され、社会保険・有給休暇といった福利厚生もあります。一方、フリーランスは案件の単価が高く年収が上がりやすい反面、案件が途切れるリスクや保険・税務の自己管理が必要です。どちらが合うかはスキルレベルや生活状況によって異なります。まずは正社員でIT業界の経験を積み、一定のスキルを持ってからフリーランス転向を検討するのが一般的な流れです。

Q. IT業界で将来性の高い職種はどれですか?

クラウドエンジニア(AWS・Azure・GCP)、セキュリティエンジニア、AIエンジニア、データサイエンティストなどが特に将来性が高い職種として注目されています。DXの推進やAI活用の拡大に伴い、これらの職種への需要は今後も拡大し続けると予測されています。一方で、繰り返し作業の多い下流工程の一部はAIや自動化ツールに代替される可能性もあるため、継続的なスキルアップが重要です。

Q. IT転職・キャリアアップに有利な資格はありますか?

国家資格では「基本情報技術者試験」「応用情報技術者試験」「情報処理安全確保支援士」などが評価されます。クラウド系では「AWS認定資格」「Microsoft Azure認定資格」「Google Cloud認定資格」が市場価値の向上に直結します。プロジェクトマネジメントを目指す場合は「PMP(Project Management Professional)」も有効です。資格取得だけでなく実務経験との組み合わせが重要です。

まとめ:IT業界とキャリアデザインについて

IT業界についてイメージは湧きましたでしょうか?一口にIT業界の仕事、といっても本当に多種多様だということがお分かりいただけたかと思います。

この記事のポイント:

  • ITとはコンピュータ・インターネットを活用した情報技術の総称で、現代社会に不可欠なインフラとなっている
  • IT業界にはSIer・SES・Web・ソフトウェアなど多様な業態があり、職種も非常に幅広い
  • IT業界の人材不足は「人手不足」ではなく「人材不足」であり、ハイスキルエンジニアの需要が高い
  • キャリアパスは上流志向・スペシャリスト・フリーランス・教育型など自分の強みと目標に合わせて選ぶことが大切
  • 時代の流れが速いIT業界では、日々学び続ける姿勢を持ち、自分の市場価値を高めていくことが重要

時代の流れも早いIT業界において求められる人材になるためにも、日々勉強し続ける姿勢を持ち、自分の市場価値を高めていきましょう。

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