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  • プログラミング教育の必修化と問題点

プログラミング教育とは

プログラミング教育は、学習指導要領の改訂に伴い、2020年度より小学校から高校までの各学校で順次必修化される情報教育です。
コンピュータの仕組みを正しく理解し、上手に活用する方法を学ぶモノです。

目的

プログラミング教育を行う目的は、「プログラミング的思考を学ぶ為」、「情報活用能力を学ぶ為」、「社会貢献の為」が挙げられます。
特に、「プログラミング的思考を学ぶ」、「情報活用能力を学ぶ」というのが重要視されています。
プログラミング的思考は、課題解決に向けて論理的に考える力のことで、情報活用能力は、情報や情報技術を幅広い分野における問題を解決する為に活かす力です。

メリット

プログラミング教育を行う事で得られるメリットは、以下の3つが挙げられます。
1.論理的思考力が身につく
論理的思考力は、算数(数学)を始めとした他の教科での成績アップに貢献し、進学時の選択肢が広がります。
また、社会に出た時に、ビジネス面でのプレゼンや営業などで論理的思考力は役に立つとされています。
2.問題解決能力が身につく
プログラミング作業には、エラーがつきものです。自分では上手く出来たと思っても、予想外の動きや全く動かないという問題が発生します。
その際に「どうすれば解決出来るのか」と自然に考えるようになる為、問題解決能力が身につきます。
これは、宿題で分らない所があったり、課題を解決する時に役に立ちます。
3.エンジニアとして高収入が見込める
プログラミングを小さな頃から触れておくと、プログラマーへ進む人が出てくる事が期待されます。
webサイトやアプリの制作など、プログラミングは非常に需要の高い分野です。プログラマーの平均年収は、20代「380万円」、30代「480万円」、40代「570万円」と高額です。

「プログラミング」という科目が必修化されるわけではない

ただ、プログラミングを学ぶといっても専門の科目として設けられているわけではありません。従来の教科や科目を通して、必要な知識を身に着けていきます。

パソコンを使わない場合もある

プログラミングを学ぶというと、パソコンの使用は必須と思う方もいるでしょう。しかし、特に中学校までだとパソコンを使わない授業も少なくありません。
基本的に、プログラミング教育をどのような形態で授業に取り入れるかは、学校の判断に任されています。その為、各学校の工夫次第で授業の内容は様々です。
例として、小学校低学年では、「アンプラグドプログラミング」を取り入れた授業を行う学校が多いです。
※「アンプラグドプログラミング」ーパソコン等の電子機器は使用せず、カードやパズルを使用してプログラミングの考え方を学習する方法。

プログラミング教育の授業形態

小学校

前の項目でも触れたように、パソコンを使わない方法が多く取り入れられていますが、学習指導要領では実際にプログラミングを体験する機会が求められています。
生徒の発達に応じた内容を上手く授業に取り入れる事が必要とされ、岡山県のとある学校では、具体的な方法として13の実践事例を紹介しています。
1年生向けの事例として挙げられているのが、ロボットを活用する方法です。生徒は、マグネットのカードでロボットに命令を出し、実際にロボットの操作を行います。

中学校

中学校では2021年にプログラミング教育が実施される予定です。
これまでにも、中学校では「技術・家庭科」の授業で「プログラムによる計測・制御」やネットワークの基本的な情報利用の仕組み等に関する授業を行っていました。
2021年からは、プログラミング教育の内容が拡充され、従来のようにソフトウェアを活用するだけではなく、複数の情報を用いてプログラミングを行う学習が実施される予定です。
具体的な内容としては、文部科学省がいくつか例を挙げています。その1つとして、AIの画像認識技術を活用し、社会問題の解決に向けたコンテンツ作成があります。
AIを利用して身近な社会問題の課題と向き合い、解決までの流れを体験する事でプログラミング的思考を養うことを目的としています。

高校

学習指導要領により、高校のプログラミング教育に関する内容は大幅に改訂されました。
主な内容は、必修科目の新設と選択科目の構成です。2022年から「情報Ⅰ」が新設され、必修科目にする予定です。
更に、改訂前は「社会と情報」と「情報の科学」の2科目から選ぶ選択科目が、「情報Ⅱ」としてまとまる予定です。
※情報Ⅰープログラミングやネットワーク、情報デザイン、情報セキュリティに関する知識を学ぶ。コンピュータを活用する力を伸ばす事で、データの活用方法や表現力を養うことが目的。
※情報Ⅱー課題の解決策を引き出す情報科学の手法を取り入れ、情報精査の力を養い、情報システムを活用した開発力を育てることが目的。

プログラミング教育の問題点

教員の負担が増える

近年では、プログラミング教育の他にも、中学校の「武道・ダンス」の必修化や、小学校の「英語」の必修化など、様々な教育改革が行われています。
それに伴い、教員にかかる負担が増える事になりました。特に、生活指導が主体の小学校では、1人の担任が全教科を教えている為、プログラミング教育を取り入れる場合、その知識も必要になります。

既存の教育科目とのバランス

小学校では、プログラミングのみに特化した教科・科目の新設は行わず、既存の教育科目でプログラミング教育を行う方針です。
しかし、どのようなカリキュラムで授業を進めていくのか、どの科目にプログラミング教育の時間を組み込むか等のバランスは各学校の判断によります。
プログラミング教育の導入により、それぞれの科目の時間が削られる事で、一般教養を身につける機会を損なうのではないかという意見もあります。

環境整備の予算

プログラミング教育を実践する為の教育用パソコンやネットワーク環境の整備、授業に用いる機材など、プログラミング教育の必修化に伴った環境整備が必要になります。
地方・都市問わず、全国の小学校〜高校まで順次実施されるので費用の問題も取り上げられています。
小学校においては、プログラミング教育を「必修」にする意義を明確にした上で授業を行う必要が出てきます。

まとめ

プログラミング教育の問題点はまだ解決していませんが、子供がどのような職業に就いたとしても、プログラミング的思考や情報活用能力は普遍的に役に立つモノです。
更に、AIやインターネットの普及と活用は、今後も一層拡大していく事が予想されます。その時代を生きていく子供たちに、その資質や能力を小さい頃から身に着けてもらう為にも、プログラミング教育はあって良いモノではないでしょうか。



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