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プログラミング教育

2020年度の教育制度改革によって、センター試験の廃止や、中学校・高等学校でのオールイングリッシュ授業、小学校での英語の授業化・プログラミング教育の必須など学校教育が大きく変化します。

ここでは小学校のプログラミング教育に着目して、必須になったその背景やどのような授業が行われているのかを紹介していきます。

プログラミング教育の必須化

中学校では2012年からすでに始まっているプログラミング教育が、小学校でも2020年度から必須になりました。必須というと新しく教科が増えたのかのように思いますが、必須=教科ではありません。「パソコンやタブレットを使って授業をすること」が必須となりました。詳しい授業内容に関しては下で紹介します。

目的

教育制度改革によって小学校・中学校・高等学校・大学入試で様々なことが変わりましたが、一貫して共通していることがあります。それは「英語力」と「考える力」をつけていくということです。

プログラミング教育の目的は「考える力」を育むための一つとして導入されました。文部科学省の手引にも記載されていますが「プログラミングを通して論理的に考える思考力をつけ、身近な生活でコンピュータが活用されていることや問題の解決には必要な手順があるということにきづくこと」が目的です。したがって、プログラミングの授業を通して言語を覚えたり、技能を習得したりすることは目的とされていません。

プログラミングの授業

プログラミングの授業は、学習ツール(アプリのようなもの)を使ってパソコンやタブレットで行います。学習ツールの中にもともとある、動作ブロックを組み合わせて実行しながら学習します。そしてその授業の多くは国語、算数、理科、社会などの授業と組み合わせて行います。プログラミング授業は独立したコンピューターを学ぶ授業ではなく、各教科の補助的な役割として行われることが多いようです。

次の3つは実際に小学校で行われたプログラミング授業です。

〜正五角形を作図してみる〜(使用ツール:Scratch)

<授業内容>※算数

①ものさしと分度器を使って、紙に正五角形を作図してみる。

②角度の大きさや辺の長さが同じになることを確認する。

③学習ツールを使って、パソコンに角度や辺の長さを入力しながら正五角形を作図する。

<ねらい>

プログラムを書くために予め図形の角度や辺の長さを調べることで、より理解を深められる。プログラムでは正しく命令をすれば,早く正確に簡単に図形がかけることに気付く。

電気を効率よく使うにはどうすればいいか考える(使用ツール:レゴ® WeDo 2.0)

<授業内容>※理科

①電気が作られたり、蓄えられたりすることを通常の授業で学習する。

②自分たちの生活から電気を無駄遣いしている場面を考える。

③学習ツールを使って、モーションセンサーでスイッチのON・OFFができることを学習する。

④自動で電気がついたり消えたりするタイミングを確認しながらプログラミングし、効率よく電気を使う方法を見つける。

<ねらい>

プログラミング学習の前提として「電気の有効利用」について学び、省エネルギーと日常生活を関連付けて考える。画面上で操作できる学習ツールを用いることで、スイッチとロボットの動きを関連付けて考える。意図した処理を行うように指示することを体験しながら、論理的思考力を育成する。

たまごが割れたら…(使用ツール:Viscuit)

<授業内容>※図工

①学習ツールViscuitの基本的な操作を確認する。

②家電やゲーム機がプログラミングで動いていることを知る。

③たまごをタッチすると割れるという仕組みをイメージする。

④動きに合わせた絵をタブレットに描き、どの順番でどの絵を入れるとイメージ通りになるのかを考える。

<ねらい>

コンピュータープログラムは絵と同じように一つ一つは簡単であるが、それを組み合わせることによって複雑な動きを作れるということを知る。

問題点

プログラミングの授業は必須になったものの、具体的にどの授業で何時間行うのかは定められていません。そのため地域や学校によって差が生じてしまいます。学校によっては1人1台ずつの最新タブレット端末があるところもあれば、導入の計画段階のところもあるようです。小学校教諭をしている知人に尋ねたところ、「教員研修で学習ツールなどの説明は受けたが、すぐに授業として取り入れるのは難しい。パソコンに詳しい先生とそうでない先生によって授業がばらばらで、すべてのクラスでは実施できていないのが現状。」と話していました。

プログラミング教育への関心が高まっている一方で、これらの現状に不安を抱える保護者も少なくはないようです。その影響からか、ここ数年で習い事としてのプログラミング教室の需要が非常に高まってきています。

まとめ

いかがだったでしょうか。この記事で少しでもプログラミング教育について理解を深めていただければ幸いです。

日々変化し続ける社会を生きるためには、便利な道具を使いこなすだけでなく、それを理解し活用する力が必要になってきます。「プログラミング教育」はこれからの社会にとって大切な役割を果たすのかもしれません。