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はじめに

インターネットは、通信回線が大規模な障害によって利用不可となった場合、影響が計り知れないほど私たちの生活に密着しているツールです。実際、通信の障害が発生した場合はその影響の大きさから、総務省などの国家機関への報告が必要となることもあります。そんなインターネットを利用する業界は現在、着々と次の段階へと動き出しています。

インターネットの変遷

インターネットが一般的に使われるようになったのは1995年でした。それまではコンピュータ自体が家庭にあるということがほとんどなく、利用するのは学校の授業やコンピュータ関連の職種に携わっている人、コンピュータいじりが趣味の人などの限られた部分だけでした。そのような黎明期を経て、1995年にWindows95というOSが大々的に発売されました。

このWindows95の発売は家庭にコンピュータが普及する大きなきっかけとなり、同時にインターネット接続が利用されるようになりました。今でこそインターネットはプロバイダ契約をしていれば時間や料金を気にすることなく24時間常に利用できることが当たり前ですが、この頃はダイヤルアップという接続方法が主流で、ネットワーク接続には電話回線を経由する必要がありました。

このダイヤルアップは128kbpsというかなりの低速で、接続するのに1分ほど待つことも少なくありませんでした。また接続している時間によって料金が加算される従量課金制でした。その後定額制が登場するまでは、長時間インターネットの接続ができませんでした。

その後ISDN、ADSL、光回線と次々進化していく一方で、携帯電話などのモバイル端末でインターネット接続することが可能となり、それが当然になっていきました。スマートフォンの時代にいたっては3G、4G、5Gと通信規格が徐々に進化し、パソコンでインターネットに接続するのと同じ、あるいはそれ以上にモバイル端末でインターネット通信をすることが主流となってきました。

インターネット業界全体の動向

直近の2019〜2020年にかけて、インターネット業界は全体的に見るとプラス成長しています。さらに過去10年を見ても常に右肩上がりの業界です。

現在ではインターネット通信を大前提として、日常にある様々な生活用品にインターネットを取り入れてより便利に活用するIoTという技術が発展してきています。それ以外にもビッグデータの利用やAIもシステムに急速に取り入れられてきていますが、これらを利用するためにはインターネットが欠かせません。

なおインターネット業界とIT業界はほぼ同義のように扱われますが、インターネット業界はインターネットプロバイダはもちろん、その他の分野では自社で提供するサービスの全面でインターネットを活用している企業を指します。例えばECサイト、フリマサイト、ゲーム、エンターテイメント、SNS、情報サイトなどを運営する会社です。

これから需要が拡大する職種は?

そんなインターネット業界の中で、これから特に成長が見込める分野、注目されている分野について紹介していきます。

ECサイト関連

目に見えて成長しているのはECサイトです。これは日常でも感じることのできるもので、インターネットショッピングは10年前と比べて格段に便利で、豊富になってきています。便利になったのは買い手・売り手の双方で、ネットショップを持つことへのハードルが下がり個人商店も次々と参入しています。

またネットショップへの信頼性が上がってきていることも一つの要因です。それまではインターネット上の店と実店舗型の店は棲み分けのような状態になっていました。それが次第に有名ブランドやメーカーも独自にインターネットショップを持ち、元々信頼のある店の商品がインターネット上で容易に手に入るようになりました。もちろんそれだけではなく、詐欺被害などに合わないようなシステム作りも進められ、確立していきました。

さらにECサイトの発展で見過ごせないことがスマートフォンの登場です。スマートフォンというポータブルな端末をほとんどの人が持つようになり、インターネットショッピングもより気軽で行えるものとなりました。

参入する店舗が多くなることと併せて、フリマアプリなどの登場で個人でも簡単に売り買いできるようになってきたためインターネット上の競争相手が相当数増えることもなりました。そのため業界全体として見れば、ECサイトは今後も盛り上がりをみせる分野と言えます。

キャッシュレス・電子決済関連

急激に盛り上がりをみせているのはキャッシュレス・電子決済の分野です。ほんの5年ほど前の日本におけるキャッシュレス決済の利用は18%ほどでしたが、韓国での使用率は90%に迫っていました。クレジットカード自体は昔からあったものの利用できる人が限られていることもあり、キャッシュレスへの動きへ直接繋がりませんでした。そんな中、2019年10月には国をあげて「キャッシュレス・消費者還元事業」が開始され、多くの店舗が大手企業の提供する電子決済や電子マネーの利用を採用するという動きがありました。その後世の中の動向もあり、さらにキャッシュレス決済が推奨され、利用率は急激に上がりました。ここでも要因となったのはスマートフォンで、特にQR決済の伸び率が大きい結果となっています。

お金を直接取り扱う分野のため、無名企業の新規参入が難しく、新しい決済サービスが次々と出てくることはあまり考えられませんが、この分野のシステムに関わる企業は今後も需要がなくなることはないと考えられます。2025年までには日本国内の電子決済化率は30%台後半にまで上昇すると予想されています。

ゲーム関連

こちらもスマートフォンの登場でプレイする環境の多様化が加速し、衰えが見られない分野です。また世界中でのインターネット導入やスピードの改善がされるとともにオンラインでゲームを楽しむ「eスポーツ」という楽しみ方もここ数年盛り上がりをみせており、ゲームタイトルごとに世界中で無数の大会が開催されています。

アジア周辺の国が早くからeスポーツの盛り上がりがあったものの、残念ながら日本のeスポーツは、国内全体の認知が遅れており世界に遅れをとっている状況です。しかし近年はeスポーツ関連のテレビ番組などで認知も進んできています。またeスポーツをオリンピック競技として取り入れるといった議論が交わされているという事実があるため、今後まだまだ広がりが期待できる分野でもあります。

広告関連

広告業界というくくりで見た時、全体の成長はほぼ停滞しています。かつては不動であったマスコミ四媒体と呼ばれていたテレビ、ラジオ、新聞、雑誌の広告は大きく崩れることはないものの成長はしていません。広告業界で唯一成長をみせているのは、インターネット広告です。

従来の紙媒体の広告は、一つ一つのインパクトは強いものの宣伝内容が変わると都度デザインを作り上げ、修正、印刷という工程が発生し、ちょっとした修正であっても時間や工数が莫大にかかりました。TVやラジオではそういったことは発生しませんが、情報収集のツールの主流が現在はインターネットに移りつつあります。ここでもスマートフォンの普及は一因となっています。

広告には「運用型広告」というものがあり、これはインターネット広告を示していると言っても過言ではありません。簡単に言うと、掲載するサイトや場所、予算、広告内容との関連性などによって費用も常時変動する広告の運用方法です。ユーザー側から見ると、自分の過去の検索結果に類似した広告バーが表示されるという経験をしたことがあると思いますが、これらの広告が「運用型」の一つに当たります。

「運用型広告」の効果はインターネット上の主要な広告手段として一定の効果がみられているものではありますが、一方で専門的な知識が必要となり、費用もかかってくるため取り掛かりづらいというデメリットがあります。そういった問題を解決するべく、広告関連のサポートをする専門企業が次々と出てきました。今後も、「運用型広告」の40%を検索連動型の広告を中心として、インターネット広告の市場はさらに多くの企業が参入して成長が見込める分野となるでしょう。

エンターテイメント系

音楽のメディアがCDからデータの時代になり、さらには音楽データを一つ一つ購入する形態から、サブスクリプション型の音楽配信サービスで好きな曲を好きなだけ楽しむという方法が定着してきました。また映画などの動画コンテンツもまだまだBlue-rayなどのソフトを残しながらも、サブスクリプション型の配信コンテンツ上でデータで楽しむ姿も多く見かけるようになってきました。

インターネットとサブスクリプション型ビジネスを掛け合わせることでエンターテイメント系の商品はより便利で簡単に手に入れることができるようになりました。これらもインターネット上で行われるサービスです。

また誰でも発信者になることができる動画、音声の配信サイトやアプリのサービスもここ数年でたくさん現れてきています。この分野はSNSのさらなる発展系と見ることもできます。これも誰もが安定したインターネット接続環境を確保できるからこそ拡大することができたサービスです。通信システムの世代はすでに5Gに移行しつつあるため、これらの配信系サービスはさらに展開する可能性があります。

AI・ビッグデータ関連

AI・ビッグデータはもちろんインターネットを利用するものであり、これからほぼ確実に伸びると言われている分野ではありますが、近年ではIT業界という括りの中の一分野という見方が相応しいため参考程度にご紹介します。

ビッグデータはその名の通り、人間の記憶領域では難しいほどの、膨大で詳細なデータをコンピュータに取り入れて分析などに利用するシステムです。例を挙げると、小売店のマーケティング戦略があります。季節・天気、時事などのデータと、日々の商品の売れ行きを掛け合わせて客観的にデータを分析し、今後仕入れる商品を決めていくということが可能です。マーケティングだけではなく過去の膨大な症例から病気を早期発見するなど医療の現場に活用できます。海外では犯罪を未然に防ぐ方法として使われている例もあります。

そしてこのビッグデータを活用する際に欠かせない技術がAIです。両者はとても密接な関係にあります。AIはビッグデータの中から実際に相応しい情報を取り出してくる際の仕組みとして利用されることがあります。また画像や音声を認識し、データと照合して認証を行うシステムにも利用されます。

ビッグデータから的確な情報を導き出すのがAIであり、そのAIを機械学習させるためのデータ、照合先のデータがビッグデータであるという相互作用の関係性です。これらを国家のシステムで利用される場面もしばしば見受けられるようになり、これからさらなる発展を遂げる可能性が未知数の分野と言えるでしょう。

まとめ

インターネット業界は速度や技術の進歩とともに実現できることの可能性も広がっていき、まだまだ進化し続けている分野です。ほんの数年前までは考えられなかったことが、いつの間にか実現されていることも珍しくありません。

それほど進化のスピード感が圧倒的で、学習や情報収集を怠っているとあっという間に置いていかれるというシビアな面もありますが、インターネットを使って世の中を便利にしたり、国家レベルのシステムに関与したりと多大な可能性と期待がかけられています。日々進化する技術に携わり、時代の最先端で働いていきたいという方はインターネット業界に向いているかもしれません。