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広島の景気やIT系の求人動向について

日本の景気は緩やかな後退傾向にあると言われていますが、広島県単体ではどのような状況なのでしょうか?厚生労働省広島労働局が発表している2020年8月時点におけるデータを見てましょう。「IT業界」という括りでは発表されていませんが、もう少し大きな括りとして「専門的・技術的職業」にIT業界が含まれます。その中でも「開発技術者」「情報処理・通信技術者」がIT技術者に近い項目です。

「開発技術者」の有効求人倍率は「3.10」、「情報処理・通信技術者」の有効求人倍率は「2.16」となっています。有効求人倍率とは「求職者1人に対して、仕事が何件あるか」という数字を表したものです。つまり、「開発技術者」であれば1人あたり「3.10件の求人」があり、「情報処理・通信技術者」であれば1人あたり「2.16件の求人」がある、ということになります。「専門的・技術的職業」全体で見た場合の有効求人倍率が「1.98」ですので、「開発技術者」「情報処理・通信技術者」の有効求人倍率は平均よりも高いということがわかります。

つまり、広島においてIT系の求人件数は求職者1人に対して比較的多めだということになります。2020年8月の有効求人倍率全国平均は「1.04」でした。全国的に見ても、広島のIT職種における有効求人倍率が高めであることが明確になっています。

広島のIT求人事情とは?

全国的にIT技術者の供給が足りていない現状があることが知られており、首都圏のIT企業では一都三県以外の地方での人材登用を進めている企業もあります。また、広島県としても「地域活力創出型オフィス誘致促進助成」として、

●情報サービス業

●インターネット附随サービス業

●コールセンター業

という3つの業種において、新規に3人以上正社員を雇用する場合に助成金を支給しています。IT企業にとっては広島に拠点を開設し、人材を雇用することで得られるメリットが大きいという現状があるのです。このような状況が理由で、広島のIT業界においては有効求人倍率が全国平均よりも高めになっていると言えます。

2020年はコロナ禍の影響で全世界的に観光業はダメージを受けていますが、広島はもともと日本でも有数の観光都市です。外国人観光客も毎年多く訪れており、宮島や平和記念公園には常に外国人観光客の姿が見られます。現代の外国人観光客にとっては、例えば市内のWi-Fiスポットの数や、Webサイトやレストランメニューの多言語対応といったITインフラが整っていることは旅行を楽しむうえで重要なポイントです。

広島に拠点を開設するIT企業にとって、そのような地元のニーズはビジネスチャンスです。インフラの整備やネットワークの構築、そしてサービスの開発といった実績を作ることで地元からの信頼を得ることができるうえ、活動実績を積み上げていくことで地元の優秀な人材を採用できることにも繋がります。したがって広島はIT企業にとってメリットのある場所ということが言えるため、IT系職種を探している人にとってもチャンスが多いという事情があると言えるでしょう。

広島でIT系職種の求人はどれくらいあるのか?

2020年10月現在、広島における「ITエンジニアの正社員」を募集する求人広告は、ある求人サイトで1,417件あります。「未経験歓迎」と明記されている募集も多くありますので、広島におけるITエンジニアは需要が高いということが考えられます。

「未経験歓迎」の募集が多いということは、様々なことが想像できます。「未経験から自社の人材を育てたい」という企業もあるでしょうし、「未経験歓迎で募集をして、幅広い層の応募者に出会いたい」という場合もあるでしょう。また、考え方によっては経験者であれば優遇してもらえる可能性が高いということも予想できます。実務経験があり、募集企業が求める技術を身につけていて、未経験入社の方や経験年数が浅い同僚を取りまとめる管理職として採用してもらえる可能性もありそうです。もちろんその場合は待遇面も期待できるでしょう。

広島におけるIT技術者の需要が高いことから、正社員だけではなくフリーランスの業務委託も需要が高いと言えます。経験者の応募者がなかなか見つからず正社員採用には時間がかかることがあるため、未経験者も採用して人材を育てたい。そんな企業にとっては必要な時の需要に応じて業務を任せられるフリーランスエンジニアは頼りになる存在です。特にPerlやRuby、PHPなど、市場で一定の需要がある言語を使った業務経験が豊富な方はフリーランスとして案件を受注するということも検討可能です。

広島のIT求人で需要が高いのはどの職種?

広島のIT業界は求人需要が高いということはわかりました。それでは、具体的にどんな職種の需要があるのでしょうか?広島で募集されている職種の一例をご紹介します。

システムエンジニア

Java、Ruby、PHP、Pythonなどの言語を中心に扱うのがシステムエンジニアです。「SE」と呼ばれることもあるシステムエンジニアの主な仕事は、その名の通り「システムの設計と構築」に至るまでの上流工程の管理です。新規のプロジェクトがスタートする際に、そのプロジェクトで行われるその後の業務が円滑に進むように社内のシステムを設計することが求められます。

広島は自動車メーカーを始めとして製造業の企業がありますので、メーカー社内のシステム設計に関する需要が多い地域です。中小企業〜大手企業まで、幅広い企業のシステム設計が行える知識とプログラミング言語に関する知見が求められます。

一方で、上記の経験があるシステムエンジニアは非常に需要の高い存在だと言うこともできます。これまでにシステムエンジニアとしてプロジェクトにおけるシステム設計の経験がある方なら多くのチャンスを得ることができるでしょう。

プログラマー

C/C++、Python、JavaScriptからHTML/CSSまで、幅広く言語知識を活用することになるのがプログラマーです。仕事をする案件や業界により求められる言語は異なってきますが、共通するのは「コーディングをしてプログラムを組み上げる」ということです。プログラマーがいなければSEが設計したシステムが稼働することがないので、システムに命を吹き込む存在がプログラマーだと言えるでしょう。

広島で求められるプログラマーですと、システムエンジニア同様に自動車メーカーや製造業における業務がこなせるということが必要になります。自動車業界でもIT化は日々進んでおり、自動車に搭載される制御システムや、その制御システムを開発するためのプログラムは常に改善と更新を要求されることになります。その分だけやりがいと先端技術に触れられる機会が多いというのが、広島エリアにおけるプログラマーのメリットだと言えるでしょう。

インフラエンジニア

サービスやシステムそのものが動く基盤となる部分を構築するのがインフラエンジニアの仕事です。「プログラムを自動実行するプログラム」であったり、データを処理するサーバーそのものを管理するプログラムを構築していく役割を担うことが多いインフラエンジニアは、開発現場やサービスの供給側で必要とされる職種です。

広島においては自動車メーカーや製造業、さらには行政サービスなどの展開における役割が期待されることが多いでしょう。行政システムは今後デジタル化が推進される流れが出来上がりつつあり、これまでアナログで行われていた業務がオンライン化、システム化されることが予想されます。その場合にはシステムエンジニアが全体の仕組みを設計し、その設計が動く土台をインフラエンジニアが組み上げていくという業務の流れになります。

行政サービスだけではなく、各種メーカーの開発環境下で新しいシステムを稼働させる場合には必ずインフラエンジニアの力が必要とされます。

Webエンジニア

Webサイト全体の設計や仕組みの構築を行うのがWebエンジニアです。設計や構築だけではなく、必要な場合にはHTML/CSSやRuby、JavaScriptなどの言語を用いてコーディングも行うことになります。観光都市である広島は国内の旅行者に加えて外国人観光客も年間を通じて受け入れています。特に外国人観光客受け入れの場合に課題となるのが、宿泊施設の予約・受け入れや飲食店における接客・注文時の多言語対応です。

Webサイトの多言語化対応にはもともと多言語版を用意する手法の他に、ベースとなる言語に対する多国語を用いた自動翻訳機能などいくつかの方法があります。要求する内容は各クライアントにより異なりますので、様々な要望を汲み取って的確なシステムを設計・提案・構築できるスキルを持ち、なおかつコーディングの技術を持っているWebエンジニアはとても重宝されることになるでしょう。

まとめ:広島で需要の高いIT職種を見つけよう

現在の日本では全国的にIT技術者が不足していると言われており、不足状況は2030年頃まで続くとも予想されています。その数は数十万人に及ぶという予測もあるため、既に各地域でIT技術者の募集は増加傾向にあります。

広島においても常にIT職種の募集は掲載されており、その流れは今後も続くことが考えられます。広島は製造業のメーカーもあれば大学などの研究機関もあり、サービス業も抱えるなど多様な産業構造を持つ地域です。中国地方の中心都市でもあるため、経済活動も盛んなので新しいサービスや製品に対する需要も豊富です。

自分の経験や今後のキャリアプランと照らし合わせてみて、広島において需要の高いIT職種を見つけ、満足の行くキャリアを築き上げましょう。