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IT業界で働いている方、これからIT業界で働きたいと思っている方、双方にとって興味があることの一つは「どの職種が高年収なのか」という点でしょう。比較的平均年収が高めというイメージで語られることもあるIT業界・IT系職種ですが、実際の平均的な年収はどのくらいなのかを検証してみました。

IT業界の各職種が高年収な理由とは?

IT業界の平均年収は他の業界に比べて高めだと言われています。例えばIT業界における30代正社員全体の平均年収は約492万円で、全国平均30代正社員の平均年収は約442万円と年収ベースで50万円程度の差がついています。

IT業界の職種が高年収な理由は、現在の日本においてはIT技術者の数が全体的に不足しており、IT業界の各職種が希少人材化していることが原因の一つとして挙げられます。IT技術者の需要と供給のバランスが崩れて需要過多になっているため、各企業は給与をはじめとする待遇面を充実させることで、必要なIT人材を確保しようとしているのです。

IT業界にはどのような分野があるのか?

ご紹介したようにIT系業務に従事できるITエンジニアが不足しているため、IT業界の年収は平均よりも高くなっています。それでは、IT業界はどのような業界分野があるのでしょうか?「IT業界」と一口に言っても業界はいくつかの分野にわかれており、職種別で見ても細かく分類されています。

ソフトウェア分野

最もイメージしやすいのはソフトウェア分野でしょう。アプリケーションを設計・開発し、世の中に送り出すのが仕事です。オフィス系アプリやスマートフォン向けのアプリなどを開発するのもこの分野です。職種としてはプログラマーがこの分野で働く代表格です。

ハードウェア分野

IoTに対応する電化製品やインターネット接続に対応したコンシューマーゲーム機、さらにはPC本体や周辺機器などを開発・製造するのがハードウェアの分野です。近年では特にIoT対応製品が数多く発売されており、それらに対応するシステムを製品に組み込むことができる組み込みシステムエンジニアはこの分野で需要が高まっています。

情報サービス分野

システムの企画立案やネットワークの構築を含め、顧客の課題をIT技術によって解決するのが情報処理サービス分野です。システムインテグレーターと呼ばれる企業や、ITコンサルタントがこの分野を代表していますが、ネットワークエンジニアもハードウェア分野と合わせてこの分野で活躍しています。

インターネット・Web関連分野

IT業界という単語を聞いて、一般的に思い浮かべられることが多いのはインターネットやWebに関連する分野です。Webサイトのデザイン・制作、ECサイトのサービス設計・構築など、BtoBからBtoCまで幅広い領域をカバーするのがこの分野です。この分野の職種はプログラマーからネットワークエンジニア、システムエンジニアからITコンサルまで非常に幅広くなっており、インターネットがカバーする領域同様に多種多様な職種の方が働いています。

これら各分野のトップクラスの企業における従業員の平均年齢は概ね38歳~42歳前後になっていて、平均年収もトップクラスの20社ほどを見ると約600万円~1000万円前後と「高めで幅広い」のが現状です。冒頭でご紹介したように全国的な30代正社員の平均年収は約442万円。そして40代の平均年収約489万円とされていますので、IT業界の平均年収が高めであることがわかります。

IT業界で年収の高い職種5つ

就職や転職などで企業を選ぶ際に、「入りたい企業」を決めて応募することもありますが、職種単位で就職・転職活動をするという選択肢を取る方もいるでしょう。その場合はIT業界で平均年収が高い職種は何か?ということを知っておくことが重要です。

以下に年収が高い代表的な5つの職種、平均年収、そしてそれぞれの仕事内容を紹介します。

組み込みシステムエンジニア:約604万円

電化製品やカーナビ、銀行やコンビニのATM、電子レンジやエアコンなどに代表される電子機器類の内部で動くシステム用のプログラムを設計し、作成するのが組み込みシステムエンジニアの仕事です。

近年ではIoT化が進んでおり、身近な電子機器類がインターネットに接続できることが当たり前になりつつあります。ここ数年では自動車業界においてもその流れが顕著になっており、AI制御による自動運転や、その制御と監視用にインターネットへ接続できる内部システムを開発・搭載できるようにするために各メーカーが技術者を積極的に採用していると言われています。

自動運転技術以外にもスマート家電・スマートホームなどと言われるように、家電や住宅のIoT化は以前よりも進んでいます。今後もその流れが止まることはないと言われていますので、組み込みシステムエンジニアの需要は高い状態が続くと言われています。求められる言語はC言語、アセンブラ、Javaなどが代表的です。

ネットワークエンジニア:約758万円

ネットワークの設計・構築から始まり、保守と監視、そして運用までを行うのがネットワークエンジニアの仕事です。

設計と構築に関しては、クライアントが求めているシステムの概要をヒアリングし、クライアントの要望に応じたネットワークの構成や機器の種類や数量、どのような回線種別にするかなどを決定。設計内容が確定したら構築スケジュールを決めて、機器を設置し最終的な設定までを行います。

構築と設定が終わったネットワークの運用が問題なく行われるかどうかを補助することも重要な仕事の一つで、場合によっては設定や機器の構成などを微調整する必要もあり、時にはトラブルが発生することもあり得ます。トラブルの際には機器の交換や回線のチェックなどを行い、問題なく運用がなされるように保守作業を行うことも求められます。

インターネットに接続されていることが当たり前となった現代においてネットワークエンジニアに求められる役割は非常に大きい職種です。未経験からスタートした場合でも、研修後の年収は高めに設定されることもあり、今後も需要が見込まれています。Ruby、Java、Pythonの知識や経験があれば評価される場面が多くなります。

セールスエンジニア:約783万円

「セールス」という言葉がついていることからも想像できるように、営業職的な役割をこなすのがセールスエンジニアです。実際に自社製品やサービスに関する顧客への提案や、要望のヒアリングなどは営業員が行いますが、IT企業の営業とはいえ技術的な知識が完璧ではない場合もあります。そのような時のために、セールスエンジニアは営業員と同行して顧客へのヒアリングを行ったり、自社製品やサービスの提案を行う場合には技術的な説明などをわかりやすく行うなど、営業員のフォローを行います。

セールスエンジニアになるためのステップは主に2つあります。一つは技術職からステップアップする形でセールスエンジニアになる道です。技術職として実際の現場にいた経験を活かし、営業現場で自分の技術的知識や経験を発揮することになります。

もう一つは営業職からキャリアチェンジしてセールスエンジニアになる道です。営業職は提案や販売を主に行う職種ですが、一般的な技術的知識は網羅しているものの深い部分や、より専門的な技術的話題などには対応できない場合もあります。しかし技術職へのキャリアチェンジを経ることで技術経験を積み、専門知識を実感として得ることでセールスエンジニアとしてより深い技術的提案や販売活動に携わることができるようになります。

技術的知識が豊富なだけでは自社製品やサービスの魅力を顧客に伝えることはできません。自社製品を購入し使うことにどのようなメリットがあるのかを理解してもらう必要があります。専門的な技術知識を、誰にでも伝わるわかりやすく説明ができるコミュニケーション能力が求められます。

Webプロデューサー/ディレクター:約793万円

Webサイトの役割は日々重要性を増しており、2020年のコロナ禍においてはWebサイトの機能性が事業の浮沈を左右する可能性があると言っても過言ではありません。そんなWebサイトの責任者という立場にあるのがWebプロデューサーです。「プロデューサー」という名前の通り、サイト全体のコンセプト設計やマーケティング計画を作成し、収益計画やその実現に必要となる様々な予算を試算する役割を担います。いわばWebサイトの事業計画立案者がWebプロデューサーです。

Webプロデューサーが立てた計画が事業として承認された後、実際にWebサイトの立ち上げ作業が開始されることになります。その際にサイト全体のデザインやインターフェースなどを具体的に策定し、形にしていくための舵取りを担うのがWebディレクターです。いわゆるディレクション業務、マネジメント業務を行う役割で、Webサイトが立ち上がった後は運用に関する施策や改善案の作成・実行などを行うことになります。

どちらもやデザイン的知識やHTML/CSS、RubyやPHP、JavaScriptに関する知識をベース知識として持っていることが求められます。

WebプロデューサーとWebディレクターはそれぞれ1人が担当するのが一般的なイメージですが、企業やプロジェクトの規模によっては1人がWebプロデューサーとWebディレクターを兼任することも少なくありません。責任は大きいですがその分だけ経験を積むことができますので、将来的な年収アップにも繋がることになります。

ITコンサルタント:約929万円

IT業界でもトップクラスの企業がITコンサル・ITソリューション事業を展開しており、主にそのような企業で働く人々がITコンサルタントと呼ばれます。しかし、もちろん他の企業でもITコンサルタントという職種は存在します。

ITコンサルタントという職種の主な仕事は、クライアントの経営課題をITの側面から解決する提案を行い実行することです。

クライアント企業のIT戦略に見直す点があるかどうかを吟味し、新しいシステムを導入する必要があるかどうか。現在のシステムはクライアントの実情に合ったものかどうかを判断し、改善点や提案をクライアントに提示します。

技術的な裏付けをもって提案する必要があるため、システムエンジニアからキャリアアップするケースも多いのがITコンサルタントです。ただし、技術的知識が豊富なだけではクライアントに意図が伝わらないことも考えられるため、クライアントに伝えたいこと、提案の趣旨や背景、実行することによるメリットなどをわかりやすく論理的に説明できるプレゼンテーション能力が必要なのは言うまでもありません。提案が受諾された場合には実現するまでの計画を立案する必要があり、実現するまでのスケジュールや技術的な課題などをエンジニアと話し合って策定し、最終的に実行するためのマネジメント能力も求められます。システムエンジニアを経験している方の場合は技術的課題の洗い出しやエンジニアとの話し合いはスムーズに進められるでしょう。

まとめ

ここまでIT業界で年収の高い5つの職種について紹介してきました。

IT業界は他の業界と比較してニーズが高く、今後の需要が高い状態で推移していくと考えられている業界です。またIT技術系の各職種も個々に需要が高いものが多く、各年代において同年代・別職種よりも平均年収が高い傾向にあるのは間違いありません。

これからIT業界を目指す方も、現在IT業界にいて年収アップのためのキャリアプランを考えている方も、ぜひこの記事で紹介した内容を参考にしてみてください。