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AWS Mainframe Modernizationの概要について

ここでは、AWS Mainframe Modernizationについて説明させていただきます。 AWS Mainframe Modernizationは2021年に発表されたAmazon Web Services(AWS)の新しいサービスの一つです。 AWSはAmazon.comにより提供されているクラウドコンピューティングサービスであり、クラウド分野において世界トップシェアを誇るサービスとしても有名です。 Webサービスに限定されない実に多くのインフラストラクチャーサービスを提供しており、ユーザーがサービスを組み合わせて多くの機能を利用することが可能となります。 ビジネスにおけるクラウドサービスの発展や市場の成長を大きく牽引しているサービスの一つが AWSであるため、これからエンジニアになりたい方やエンジニアとしてのスキルアップを狙う方にとってクラウドやAWSの知識は必須となってきますので参考にしてみてください。 AWS Mainframe Modernizationについてに説明させていただきますと、 従来のAWSの提供しているサービスの中でも異端であり大きく毛色が異なるサービスであると言えます。 その最大の特徴はメインフレーム向けにCOBOLなどのレガシーなプログラミング言語で書かれているアプリケーションをJavaベースのクラウドサービスへと変換し、メインフレームのワークロードをAWS上で実行するようリファクタリングするための環境やツールを提供していることです。
簡単にまとめるとメインフレームからAWSマネージドランタイム環境への移行とモダナイゼーションの計画と実装に役立つツールとリソースを提供するサービスで、既存のメインフレームアプリケーションを分析し、COBOLまたはPL/Iを使用してメインフレームアプリケーションを開発または更新し、アプリケーションの継続的インテグレーションおよび継続的デリバリー(CI/CD)のための自動パイプラインを実装するツールを提供します。 これによりメインフレームやレガシーなワークロードをクラウドに移行し、AWSのアジリティー、弾力性、コストなどのメリットを生かすことを実現することが可能となります。 メインフレームは大規模なシステムに利用されており、レガシーなシステム高価かつ複雑であることがその特徴がありますが、金融機関や大手企業で多く導入されていることで知られております。 このような大規模システムをクラウド化することは多くのメリットを顧客やユーザーに対して提供することが 可能である一方で、市場に対してどの程度のインパクトとシェアを奪えるのかという点に注目が集まっております。 とはいえ、AWSでは多くの移行経験と実績があります。 すでにAWS Mainframe Modernizationの導入実績も多いのは事実であり、あらゆるタイプの企業や組織のクラウド移行を支援した多数の実績を保有しております。 また、AWSとパートナーエコシステムは、数万台ものサーバーの大規模移行を含め、多くの事例を保有しておりそれらを可能にするテクノジーもあります。 AWSは移行の簡素化と迅速化に役立つ手法、ベストプラクティス、ツール、およびサービスを開発しそれらは世界で最高水準であることは間違いありません。 自動化とデータ駆動型のガイダンスにより、AWSは移行プロセスの各ステップを簡素化し、関連する労力と複雑さを軽減し顧客のビジネスを強力に支援します。従来からメインクレームはIBMの聖域というべき領域であり、多くの顧客を抱えていることで知られており、AWS Mainframe Modernizationの顧客層との兼ね合いや今後の動向について業界でも注目が集まっております。 さらに詳しくAWS Mainframe Modernizationについて解説させていただきますので、参考にしていただけましたら幸いです。

メインフレームについて

AWS Mainframe Modernizationを理解するうえでメインフレームに関する理解は必須と言えるでしょう。 メインフレームは主に企業など巨大な組織の基幹情報システムなどに使用される、大型コンピュータを指す用語であり汎用コンピュータ、汎用機、大型汎用コンピュータ、ホストコンピュータ、大型汎用機などと呼ばれることが多いです。 日本のIT業界においてはよく汎用機という呼ばれ方をしますが、これには理由があります。 従来は用途によって開発設計されるコンピューターが中心でありましたがメインフレームの登場により、 様々な開発が一つのプラットフォームで実現することになりました。これは当時としては革新的な出来事の一つと言えるでしょう。
メインクレームの特徴をいくつか紹介させていただきます。 一点目はセキュリティが高い点です。 メインフレームのようにクローズな環境で運用されるシステムにおいて外部からのセキュリティ面での 信頼感が高くなります。また、オペレーティングシステムと暗号化ハードウェアアクセラレーションにおいて 高セキュリティが搭載されております。政府、大学、銀行、保険会社など大規模でかつ高セキュリティが 要求されるシステムにおいてメインフレームが活躍するのはこのようなテクノロジーによるものです。
二点目は冗長性です。 メインフレームは並列処理による高性能化と、多重化や冗長化を図ることで 信頼性と可用性を実現し、ミッションクリティカルな大規模・基幹業務システムにおいて活躍してきました。 中でもメインフレームの冗長性は最大の特徴の一つと言えるでしょう。 メインフレームは1950年代にその歴史がスタートし、最初のモデルはUNIVAC I (UNIVersal Automatic Computer I)です。 UNIVAC Iはジョン・プレスパー・エッカートとジョン・モークリーによって設計されました。 当時のコンピューターは現在のように企業や一般家庭向けでなく、政府機関や一部の大手企業などが 高い金額を支払い発注し納品されることがスタンダードでした。 UNIVAC Iも1号機は1951年3月31日に米国国勢調査局が契約を行い、 その後も開発が続けられ1952年には大統領選挙の結果を少ないサンプルで的中させたことで有名になりました。 メインフレームは現代のコンピューターやテクノロジーの原点とも言われ、 オペレーティングシステム、マルチタスク、仮想記憶、仮想機械、キャッシュメモリ、 分岐予測、ハードディスク、フロッピーディスク、データベース管理システム、オンラインシステムなどの 技術はメインフレームから誕生しました。 メインフレームは1980年代に最盛期を迎えますが、その中でも1960年以降は IBMのメインフレームが市場を大きく独占する形となります。 2020年現在においてもIBMはSystem/360を発展させたメインフレームを基幹業務用に販売しており、 金融系や政府系基幹システムなどを中心に大手顧客を持ち市場のトップシェアを誇っていることでも 知られております。
IBMが大型コンピュータの販売をスタートしたのは1952年です。 IBMの初期の第一世代と呼ばれる701、704、709、7030、7090、7094、7040、7044のシリーズは工学および科学技術計算用として開発されました。 また、702、705、705-II、705-III、7080、7070、7072、7074、7010のシリーズは事務処理またはデータ処理用として開発され、それぞれが別の目的で利用されました。 1964年にSystem/360がリリースされ、それらは科学技術計算用と事務処理やデータ処理いずれの機能も有するということで市場に大きな衝撃を与えました。 当日のプレスリリースは「System / 360は、コンピューターの設計と構築における過去の概念からの急激な逸脱を表しています。これは、IBMの研究所と工場での国際的な取り組みの成果であり、IBMがコンピューターの基本的な内部アーキテクチャーを10年ぶりに再設計したものです。 その結果、これまでになく低コストでコンピューターの生産性が向上します。これは、コンピューターだけでなく、ビジネス、科学、政府への応用の新世代の始まりです。」となっております。
System/360はSystem/370、System/390、64ビット機のzSeries、System z、zEnterpriseなどに進化してリリースされており、現在のメインフレームの原点とも言える製品となります。 System/360の単一システムでは、の中央処理装置には、段階的な速度とメモリ容量の19の組み合わせが含まれており情報を保存し、コンピュータに入力したり、コンピュータから取得したりする40種類以上の周辺機器が組み込まれています。内蔵の通信機能により、距離に関係なく、リモート端末でSystem / 360を使用することが可能です。 System/360に関するテクノロジーに関して、一点目がSolid LogicTechnologyとなります。 IBMのSolidLogic Technologyの製品であるマイクロエレクトロニクス回路は、システムの基本的なコンポーネントを構成しており、System / 360は、超小型化されたコンピューター回路の使用に基づいて設計された最初の市販のデータ処理システムとなります。 System / 360内のメモリの階層により、コアストレージ内の情報をさまざまな速度で利用できるようになります。 また、System / 360通信能力については離れた場所からの問い合わせやメッセージにいつでも応答できる機能を組み込み、コンピュータが作業中の基本的なジョブを処理し続けている間、何百もの端末デバイスがシステムと同時に通信することが可能となります。 以上がメインフレームとIBMに関する簡単な説明となります。

1990年代にはWindowsやUNIXなどのオープンシステムの普及によりメインフレームは影響を受けます。 その一方で、WindowsやUNIXなどのオープンシステムが普及する以前の大型プラットフォームはメインフレームしか存在しなかったことも事実です。従来の大企業の基幹システムはメインフレームで構築されているケースが ほとんどであり、それらをオープンシステムにマイグレーションを行うということが1990年以降実施されて、 所謂ダウンサイジングの影響を受けることになります。 これによりメインフレームはレガシーシステムとして扱われ、最先端のテクノロジーと比較すると 過去のシステムという文脈で扱われることが増えてきました。 ところが、2000年代に入りメインフレームを再評価する動きが増えてきました。 その理由としては特性上、基幹業務での安定性・信頼性・堅牢性は非常に優れた部分があるという点について 再認識が行われた点や、クローズな環境が必ずしも悪いわけではなく特定業種や運用するシステムによっては かえって好ましいこと、従来のような割高でなくテクノロジーの発展によりコスト削減を実現できている点などが要因として考えることができます。
メインフレーム市場についても簡単に触れておきます。 2000年には1兆円市場であったメインフレーム市場ですが、現在では約半分の5000億程度まで 落ち込んでいます。 ちなみに国内のメインフレーム市場規模は約1000億円であり、IBM、富士通、日立製作所、NECが シェアを分け合っています。 IBMのメインフレームの世界シェアは8割程度であるのに比べて日本国内のシェアは3~ 4割程度となっていますが、これにはやや特殊な日本国内のメインフレーム市場が影響しております。 かつて日本は世界でも有数のメインフレーム大国でした。特に国産のメインフレームが 市場のシェアを大きく奪っていたこともあり世界のメインフレームワーク市場とは異なる 状況となっております。

AWS Mainframe Modernizationのメリット

AWS Mainframe Modernizationのメリットについてポイントを絞り紹介させていただきますので、参考にしてみてください。

コスト削減

AWS Mainframe Modernizationのメリットの一点目がコスト削減となります。 メインフレームのワークロードをクラウドに移行することで、顧客は最大70%のコスト削減を実現しているというデータが発表されました。 AWSの説明によりますと、メインフレームをAWSのクラウド上に移行することにより 顧客はコストを60~90%削減することができるとしております。 顧客は従来のメインフレーム環境で発生していたデータサイロを解消し、 さらにビジネス上で獲得するメインフレームデータをより幅広い利害関係者が利用および分析することを可能にし多くの価値を創造することが可能です。 従来のオンプレミス環境の場合、設備投資とMIPS、ISVライセンスコストがかかるというデメリットがありました。AWS Mainframe Modernizationに移行することで、クラウドサービスの利点である従量制の課金モデルを 活用することが可能となり、大幅なコストダウンを削減することが実現できるというメリットがあります。 以上がAWS Mainframe Modernizationの最大のメリットと言えるでしょう。

拡張性とビジネス速度

AWS Mainframe Modernizationのメリットの二点目が拡張性とビジネス速度となります。 AWS Mainframe Modernizationに移行することでクラウドサービスの利点である拡張性と 市場に対してのサービス投入という面でビジネス速度を加速させることが可能です。 AWSのテクノロジーの特徴でもある拡張性やスケーラビリティと弾力性を高めるために仮想無制限の容量を備えた水平スケーラビリティを 利用することで、未使用の容量を最小限に抑えながらワークロードのピークとスパイクを処理することができます。 また、利用可能な複数のプロトコルとインターフェースを利用することで、メインフレーム内のコアビジネスプロセスとデータのロックを解除することができます。 また、クラウドサービスを利用することで特定のベンダーに依存するベンダーロックインのリスクを軽減し、 ビジネス上のリスクヘッジを行うこともできます。

新しいテクノロジー

AWS Mainframe Modernizationのメリットの三点目が新しいテクノロジーとなります。 メインフレームのレガシーなシステムやテクノロジーから進化し続けているJavaもしくは新しい言語に移行することで、アクセシビリティと拡張性を得ることができます。 従来のメインフレームから離れることで新しいテクノロジーのメリットを享受し メインフレームのリタイアメントスキルのギャップが解消されます。また、コアビジネスワークロードを最新化するための新しい人材の獲得や企業体制の刷新、あるいは効率化を実現することが可能となります。

AWS Mainframe Modernizationのプロセス

AWS Mainframe Modernizationのプロセスについてポイントを絞り紹介させていただきますので、参考にしてみてください。

分析

AWS Mainframe Modernizationのプロセスの一点目が分析となります。 AWS Mainframe Modernizationでは分析ツールを使用して既存システムのアプリケーションと依存関係などについて分析を実行します。分析の上で実行する必要のある作業を評価して計画できるようにします。

開発

AWS Mainframe Modernizationのプロセスの二点目が開発となります。 AWS Mainframe Modernizationでは、移行および最新化プロセスの必要に応じて、アプリケーションを更新します。

デプロイ

AWS Mainframe Modernizationのプロセスの三点目がデプロイとなります。 ランタイム環境を作成し、それらにアプリケーションをデプロイします。

操作

AWS Mainframe Modernizationのプロセスの四点目が操作となります。 AWSマネージドランタイム環境でアプリケーションを管理および実行します。 AWS Mainframe Modernizationは「Micro FocusEnterpriseAnalyzerおよびEnterpriseDeveloperにアクセスするためのAmazonAppStream」 「移行されたアプリケーションのCI / CDをセットアップするために使用できる自動化されたDevOpsパイプライン用のAWSCloudFormation」 「AWS Migration Hub」「データベースを移行するためのAWSDMS」 「アプリケーションバイナリと定義ファイルを保存するためのAmazonS3」 「移行されたデータベースをホストするためのAmazonRDS」「アプリケーションデータを保存するためのAmazonFSx」「アプリケーションデータを保存するためのAmazonEFS」のAWSサービスと関連して機能します。

AWS Mainframe Modernizationの機能について

AWS Mainframe Modernizationの機能についてポイントを絞り紹介させていただきますので、参考にしてみてください。

Analyzer

AWS Mainframe Modernizationの機能の一点目がAnalyzerとなります。 AWS Mainframe Modernizationは、移行チームと開発者が大規模なアプリケーションポートフォリオをよりよく理解するためのアプリケーションインテリジェンス、知識、分析を提供します。 Analyzerは、プロジェクトの評価、スコープ設定、計画を支援するためのツールとなります。 メインフレームワークロードを移行すると、ツールは、変更の影響を評価し、リスクを軽減し、拡張またはリファクタリングの戦略を立てることで、 アプリケーションのメンテナンスと継続的なモダナイゼーション戦略を支援することが可能となりますので、AWS Mainframe Modernizationにとって重要な機能の一つとなります。

Developer

AWS Mainframe Modernizationの機能の二点目がDeveloperとなります。 Developerはオンデマンドの統合開発環境(IDE)を提供します。 これによりユーザーがスマートな編集とデバッグ、インスタントコードのコンパイル、および単体テストを使用して、コードをより迅速に記述することが可能となります。 メインフレームアプリケーションコードを移行したり、 メインフレームモダナイゼーションマネージドランタイムで実行されるエンタープライズアプリケーションを開発および拡張することが 可能であり、AWS Mainframe Modernizationの機能として非常に重要な役割を果たすのがDeveloperとなります。

Managed Runtime

AWS Mainframe Modernizationの機能の三点目が Managed Runtimeとなります。 Managed Runtimeはクラスターを継続的に監視して、自己修復コンピューティングと自動スケーリングを使用してエンタープライズワークロードを実行する 役割を果たします。これにより ユーザーはアプリケーション開発に集中することが可能となります。 メインフレームのモダナイゼーションマネージドランタイムは、ビジネスクリティカルなエンタープライズアプリケーション向けに構築されている特徴があり 高可用性、信頼性、およびセキュリティを担保し高機能なサービスを提供します。

Refactoring

AWS Mainframe Modernizationの機能の四点目がRefactoringとなります。 AWS Mainframe ModernizationのRefactoringはメインフレームとレガシーアセットのモダナイゼーションを加速するための自動リファクタリング機能と手動リファクタリング機能の両方を提供します。

継続的インテグレーションとデリバリー

AWS Mainframe Modernizationの機能の五点目が 継続的インテグレーションとデリバリーとなります。 これにより開発およびテストパイプラインのすべての工程で俊敏性とリリース速度を向上させます。 AWS Mainframe Modernizationは、アプリケーション開発チームがコード変更をより頻繁かつ確実に提供するのに役立ちます。 AWS Mainframe Modernizationを利用することで移行速度が加速され、品質が向上し、新しいビジネス機能をリリースするための市場投入までの時間が短縮されるというメリットがあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか? AWS Mainframe Modernizationについて詳しく解説させていただきましたので、参考にしていただけましたら幸いです。