支援対象地域:札幌、仙台、関東、愛知、関西、広島、福岡

  • TOP
  •   
  • コラム
  •   
  • 初心者のための「VMware Clo

VMware Cloud on AWSとは

AWSベアメタルサーバーにvSphere、vSAN、NSXの仮想コンポーネントを導入したものIaaSとして使うのがVMware Cloud on AWSと呼ばれています。

オンプレミスになるvSphereの環境とほぼ同じ環境がクラウドに構築できるため、既存の仮想マシンをアプリ、ネットワークを変更することなくクラウドへ移行が可能です。 具体的にはHCXと呼ばれるツールを使用することでシームレスに移行が可能です。
運用ツールはvSphere Clientを使用するため、オンプレミスと変わらない操作。
さらに100種類以上存在するAWS Nativeのサービスとの連携が可能です。(EC2,S3など)
通常だとハードウェアの構築から運用まで何ヶ月もかかりますが、VMware Cloud on AWSは作成後90分で払い出されます。 ホストを追加をする場合も12分でできます。
インフラ部分の運用管理はVMwareが監視やバージョアアップを実施するためバージョンアップの運用工数の削減が可能です。
サポートにはオンプレミスとは違いチャットサービスがあり、素早く問い合わせすることが可能です。

VMware Cloud on AWSのユースケース

・データセンターの拡張

オンプレミスのVMware環境を維持し、それを補完する形でVMware Cloud on AWSを使用します。


・キャンペーンやセールなどのピーク時の追加リソース
・オンプレミスのリソースが枯渇した場合の穴埋め
・オンプレミスにあるハードウェアをメンテナンスする際の仮想マシンの退避先

・クラウドへの移行

オンプレミス環境を廃止し、クラウドへ移行する場合に使用します。
データセンターやインフラの更改時期に合わせて段階的にに仮想マシンをクラウドへ移行できます。
移行時にIPアドレスやツールの変更がないため、運用変更のコストが少なく、クラウドへ移行することによりコスト削減が実現できます。
これが最も多いユースケースです。

・ディザスタ・リカバリ

プライマリはオンプレミスで動かし、セカンダリをAWS上で構築する場合に使用します。
既存の災害対策環境を置き換えたり、災害対策環境のリソースを補完する使い方もできます。

・次世代アプリケーション

AWSの先進的なサービスと既存のアプリケーション組み合わせ、サーバーレスアーキテクチャを実装することが可能です。
オンプレミスでのリソースやレイテンシの問題などを解決できます。

ホスト・クラスタについて

AWSのベアメタルサーバー、「i3.metal」、「i3en.metal」が利用可能です。

i3.metal i3en.metal
CPU Broadwell Skylake
ホスト毎のソケット数 2 2
ソケット毎のコア数 18 24
ホスト毎のコア数 36 48
メモリ 512GiB 768GiB
ホスト毎のSSDデバイス数 8 8
デバイス毎のSSD容量 1,788GB 7,500GB

これらのベアメタルインスタンスでvSphereのクラスタを構成します。
2つのインスタンスが混在したクラスタを構成することは不可能です。
1つのクラスタあたり最小3ホスト、最大16ホストで構成できます。
クラスタを最大20まで1つのSDDCで構成されます。
SDDCにはvCenterやNSXの管理コンポーネントが含まれるため、管理コンポーネントを含めたサイジングが必要になります。
vSphereのクラスタにはデフォルトでHA、DRSが有効になっています。

データストアの構成

管理用データストアとワークロード用データストアがあります。
実態はひとつであるが権限を分割するために論理的に分けられています。
vCenter ServerやNSX Managerなどの管理コンポーネントは管理用データストアを使うためサイジングに入れる必要があります。

Slack Spaceについて

VSANの空き容量が25%を下回ったら自動でホストが追加されます。 そのため25%の空き容量を常に維持する必要があります。
空き容量が30%を下回るとVMware Cloud on AWSのコンソールに登録されているユーザーにメールで通知されます。
Slack Spaceは重複排除やリバランス、再構成にされる重要な領域のためバッファを含めて30%以上確保されていることが推奨されています。

ストレージポリシーについて

データの冗長化はオンプレミスと同様、VSANの仮想マシンストレージポリシーを仮想マシンに割り当てることで行います。
主要パラメータはサイトの耐障害性、許容される障害の数の2つ。
単一のSDDCでは障害性はないが、ストレッチクラスタ構成の場合、デュアルサイトミラーリングが使用できます。
許容されるの障害の数 - クラスタ内のホストが何台同時に障害なってもデータを保護するか(FTT)とそのデータの冗長化方式(RAID構成)を設定できます。


SLA対象の構成
構成 FTT要件
ストレッチクラスタ 1以上
単一のi3.metal 3~5台:1以上
6台~:2以上
単一のi3en.metal 1以上

FTT及びRAID構成により実効容量が変わるため、サイジングする場合はSizerというツールを使用するといい。

SLAについて

SLAはService Level Agreementと呼ばれており、サービスの提供者が利用者に対してどの程度品質を保証するか定義したものです。

定義されたサービス品質を下回った場合、利用料の減額や返金が行われます。 VMwareは予め定められた稼働率を維持するように努力します。 ただし、利用者が返金を請求するためにはSDDCの構成の前提条件があります。

定義されている稼働率
コンポーネント 稼働率
SDDCインフラストラクチャ
単一AZ環境
99.9%
SDDCインフラストラクチャ
ストレッチクラスタ環境
99.99%
SDDCマネジメント 99.9%
Site Recoveryマネジメント 99.9%

SLAイベントの対象

SDDCインフラストラクチャの場合
(単一AZ、ストレッチクラスタ構成問わず共通)
・全ての仮想マシンが継続して4分間接続できない場合
・いずれの仮想マシンからも継続して4分間ストレージにアクセスできない場合
・いずれの仮想マシンも継続して4分間起動できない場合


SDDCマネジメントの場合
・vCenter Serverに継続して4分間アクセスできない場合
・NSX Managerに継続して4分間アクセスできない場合


Site Recoveryマネジメントの場合
・VMware Cloud on AWSで実行しているVMware Site Recovery Managerサーバーに継続して4分間アクセスできない場合
・VMware Cloud in AWSで実行しているVMware vSohere Replication管理サーバーに継続して4分間アクセスできない場合
構成の前提条件が満たされており、SLAイベントが発生した場合は、返金の対象になります。
返金は現金ではなくSLAクレジットというVMware Cloud on AWSを利用するためのクレジットが提供されます。
SLAクレジットはVMware Cloud on AWSの利用料金として使用が可能です。

まとめ

VMware Cloud on AWSとはなにか、概要からユースケースを解説してきました。構築する際は特にSLAに当てはまるようSDDCを構築する必要があるでしょう。
使用するハードウェアがベアメタルサーバーとなるためコストを考慮した構築も必要です。 VMwareのサイトにハンズオンのデモもあるため、ぜひこのページと一緒に参考にしていただきVMware Cloud on AWSをご検討ください。