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ITストラテジストの資格を取得して転職しよう!

ITストラテジストとは、高度IT人材として専門分野のバックグラウンドを有し、経営にITを活用するための作戦を立てる戦略家です。 IT業界の参謀とも言えます。

企業の経営方針に沿って事業の目標を達成するために、ITを駆使した戦略を提案、策定、実施するポジションです。 まずは、その仕事内容をもう少し詳しく見てみましょう。

ITストラテジストの仕事内容

ITストラテジストの主要な仕事は次の6項目にまとめることができます。

・事業へのIT活用戦略の策定

・全体化システム計画の構想

・個別システム化計画へのブレイクダウン

・情報システム戦略遂行の監視・制御

・組込みシステム・IoTの開発の統括

・ITをとりまくトレンドのフォロー

順に解説していきましょう。

事業へのIT活用戦略の策定

事業展開や業務プロセスの現状を精査し、問題点を洗い出します。 その一方でテクノロジーの動向も踏まえ、新規のビジネスモデルを組み立てて実現の可能性を探り、収益を算出します。

このように立案した戦略の妥当性を検討し、企業のトップマネジメント層に提案してGOサインが出たら、戦略を実施します。 戦略遂行の成果を適正に評価して、トップマネジメント層への報告も行います。

全体化システム化計画の構想

戦略実施にあたってのシステム構成(アーキテクチャ)を設計します。 中長期のスパンで、システムの品質管理手法、運用方針、リスク管理手法、災害時復旧方針(ディザスタリカバリ)、評価基準も決めておくべきです。

個別システム化計画へのブレイクダウン

全体化システム計画を落とし込んで、対象となる業務プロセスを再度モデリングし、各々の環境や制約条件の下でコストの推計・スケジュールの設定を行います。

システムを構成する機器の調達手段の決定や、全体化システム計画で定めた基準に基づく評価も重要な職務です。

情報システム戦略遂行の監視・制御

情報システム戦略遂行までの進捗をモニタリングし、コントロ―ルします。 また、情報セキュリティ上のリスク・策定した戦略に付随するリスクの因果関係を押さえて回避策も考えておくべきです。

組込みシステム・IoT開発の統括

ITストラテジストは、事業戦略を実現する手段として特に組込みシステム・IoTを導入する場合の企画設計、開発実装、運用保守といった一連のライフサイクルの統括役です。

組込みシステム・IoTは柔軟な仕様変更が難しいのですが、将来に拡張する余地を残したり、内在するリスクに手を打っておいたりするための先見の明も求められます。

ITをとりまくトレンドのフォロー

IT関連のトレンドと各業種業界の特性を踏まえ、知的財産関連の法令も理解した上で、それらの知見をIT活用戦略の策定実施、システム化計画、組込みシステム導入といった一連の業務に反映させるのもITストラテジストの仕事です。

ITストラテジストとして転職する方法

このようにITストラテジストの仕事は事業経営へのITの摺り合わせであり、上流工程の中でも最上流に位置します。 どうすればこのポジションに転職できるのでしょうか?

企業で経験を積む

まずは、システムエンジニアとして企業の情報システム関連部署で経験を積むことです。 そのような部署の管理職・責任者に昇進すれば、企業の上層部との接点が増え、経営者に近い目線で自社システムを見ることができるようになるでしょう。

社内からシステム改善の要望を受けたり、情報システム関連部署の責任者の立場からシステムの導入を提案したりといったシーンに遭遇します。 その際には、役職名が「ITストラテジスト」ではなくても、実質的にその職務を担当し経験を積むことができますね。 IT戦略策定遂行の経験値を上げていき、身に付けたスキルをアピールすれば、転職しやすくなるでしょう。

資格を取る

独立行政法人情報処理推進機構が実施するITストラテジストの国家資格試験に合格すれば、ITストラテジストとしての能力を証明できます。

この資格は業務に必須の免許ではありませんが、合格するまでの過程の経験を実務にフィードバックすることができます。合格率は例年14%程度に調整されているようです。試験の構成を見てみましょう。

・情報処理に関する4肢択一式試験30問

・経営戦略等に関する4肢択一式試験25問

・システムに関する記述式試験2題(うち1題は組込みシステム、令和2年度からAI・IoT・ビッグデータの活用といった内容が厚くなります。)

・課題式論文試験1題

最後の課題式論文試験では3つの設問(800字、800~1,600字、600~1,200字程度)に対し小論文を書きます。 与えられた具体的事例の文章を読み取った上で自身の実務経験をベースに意見をまとめて展開しなければなりません。

「具体的に述べよ。」となっているため、題意から逸れないよう十分に気をつけながら、自身の職務経験を基に記述すると良いでしょう。

実務経験の裏付けがないままこの資格を取ろうとしても、何を書くべきかイメージできず的外れな答案になってしまうため要注意です。 ITストラテジストの人材市場に参入する際に、実務経験に加えて「ITストラテジスト」の国家資格取得をすることで転職しやすくなるはずです。

ITストラテジストの転職先

いわゆるITストラテジストはどのような企業に在籍しているのか、またどのような企業から需要があるのかを見てみます。

一般企業内で働く

この場合、経験した業界を基に志望業界を絞り込んでITストラテジストのポジションを探すことになるでしょう。 ITが普及した現在では、多くの企業でITストラテジストの仕事が求められています。 大規模でない組織でITの推進に携われば、自ずとITストラテジストを兼務する可能性もあります。

IT部門や事業企画部門の責任者として、IT企画リーダー・ITコンサルタントなど呼び方は様々です。 求人票からは読み取りづらいところでもあるため、信頼できる転職エージェントを活用しましょう。

専門企業で働く

IT系シンクタンク・コンサルティングファームに転職して、IT戦略請負人としてクライアント企業のIT戦略に参画するルートです。 専門家としてITのトレンドを調査分析しつつ、ITを駆使した経営戦略の策定と遂行管理を担い、一般企業のIT企画よりもITストラテジストとしての特性を強く帯びた仕事に取り組むことができます。

著名な大手シンクタンクだと、大規模プロジェクトのコンサルティング案件で貴重な経験も積むことができますが、採用選考が非常に厳しく転職者を受け入れる枠が少ないというのが現状です。 大手シンクタンクに転職するには、ITストラテジストの資格は保有していて当然といっても過言ではありません。 中堅シンクタンクは穴場です。

そこでも、多種多様な企業へのIT戦略の案件を幅広く経験できます。 ITストラテジストとして転職しキャリアを磨きたいのであれば、まず中堅シンクタンクの門を叩くのも有効な一手です。

ITストラテジストの年収とスキル

ITストラテジストは責任重大な反面、年収はいくらぐらいなのかが気になりますね。 また転職市場で評価されるスキルを具体的に挙げてみましょう。

ITストラテジストの平均年収は670万円

ITストラテジストの平均年収は年齢毎に、30代は600万円台、40代だと700万円台に達するようです。 IT技術者の職種の中でも最高水準です。 高収入を得ているITストラテジストは、どのようなスキルを備えているのでしょうか?

年収を上げやすくなるスキル

年収を上げやすくなるスキルを見てみましょう。

テクニカルスキル

全体システム化計画と個別化計画を立案するシーンでは、特にITへの深い知識が求められます。

業務をシステム化してどのように実装するか、システムのクオリティをどのように維持するか、システムが抱えるリスクにどう対処するかを考案するのに、テクニカルスキルは欠かせません。

問題解決スキル

ITはあくまでも手段だという認識をし、その機能をフルに発揮させて事業経営上の問題を解いていくスキルが求められます。 業務上直面する問題を解決し、経験を積むことで高めることができるスキルです。

ヒューマンスキル

ITストラテジストは経営陣に対し、立案した戦略を提示するほか、状況分析や評価報告に触れてプレゼンテ―ションを行います。 相手に応じたプレゼン能力も求められます。
またクライアントの現場や戦略を推進するシーンでのラインスタッフからヒアリングをする力、そしてITストラテジストとしての指導的立場でリーダーシップを発揮するヒューマンスキルも身につけるべきです。

ITストラテジストの今後の需要は?

IT人材の転職市場では、ストラテジストの需要は拡大の一途をたどると言えるでしょう。 経済産業省の統計では、高度な能力を備えたITストラテジスト・ITコンサルタントを渇望する企業は8割に達するようです。 AI、IoTといったITの最先端の局面で、これらを戦略的に駆使できる人材の価値は高まることが見込まれます。

ITストラテジストの資格を取得して転職しよう!

ぜひITストラテジストとしての職務経験を自分なりにまとめ、国家資格も取得してしまいましょう。 大手シンクタンクに転職して大規模案件の超上流工程に参画することもあながち夢ではありませんよ!