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ITエンジニアのスキルマップとは?

ITシステムやソフトウェアなどの開発は、必ずと言っていいほどチームで行われます。またプロジェクトごとにメンバーやリーダーも変わります。その中でチーム開発を効率よく進めていくために役立つのが、スキルマップです。

ITシステムの開発を進める場合、プロジェクトの現場によって求められる知識や技術、使用する環境やツール等も大きく変わります。あるITエンジニアが最新技術の分野で高度な専門的知識とスキルを持ち合わせていたとしても、古い技術のスキルが求められているプロジェクトであればそのエンジニアの適性はないと言えます。プロジェクトごとにスキルマップを作成することで、そのプロジェクトで求められている知識やスキルと、ITエンジニアのメンバーが持っている知識やスキルがマッチしているかを確認できます。

今回紹介するスキルマップは、主にプロジェクトマネージャー・リーダー等の管理職の立場にいるエンジニアが活用するツールです。スキルマップを用いることでITエンジニアを適材適所に配置し、スムーズなプロジェクト進行に生かせます。同時にプロジェクトで不足しているスキルを客観的に見つめなおすこともできます。

スキルマップとは

スキルマップはIT業界以外にも利用されます。業務上必要となるスキルを全て洗い出し、どのメンバーがどのスキルを習得できているか、またどの程度習得できているかを可視化します。メンバー全員分のスキルレベルを記述することでチームの強みや課題、弱点が見えるようになります。実際に入力を行う個人においても、自分のスキルを客観的に振り返り、今後の学習に役立てられます。

スキルマップのメリット

スキルマップは作成に時間がかかることもあり、一度作成したら完成ではなく都度項目の更新が必要になります。また入力側も項目が多いほど時間を要します。ある程度の手間を要するスキルマップですが、もちろんメリットも存在します。

適したメンバーを集めることができる

プロジェクトを開始する前のメンバー集めで早速活用できます。すでに紹介したように、IT業界ではプロジェクトごとにメンバーが変わるため、一緒に仕事をしたことが無いメンバーがほとんどということもあります。また顔見知りであってもその人が持っているスキルまで詳しくは把握できていないことも珍しくありません。資格等の情報を知るのであれば対象者の職務経歴書で把握できますが、プロジェクトに必要な情報が全てが記載されているわけではないですし、個人情報に該当する部分もあるので企業によっては閲覧不可な場合さえあります。

そういった状況においてスキルマップを用いると、プロジェクト要件を実現できるメンバーが揃っているのかを確認できます。出来上がったスキルマップを見て、極端にスキルが偏っている場合には新たなメンバーを召集する、あるいは依頼自体を受けないというような判断を下せます。

プロジェクトの見通しを立てやすい

プロジェクトが進んでいくにつれて、同じチームのメンバーでもスキルの習熟度に差が生まれてきます。スキルマップは一度作成すれば終了ではありません。各自の成長を随時スキルマップに書き込んでいくことで、スケジュールの見直しなどを合理的に行えます。定期的にスキルマップをアップデートしていくことで、プロジェクトの進行中でもチーム全体としてのスキルの可視化、また偏りが発生していないかを確認できます。

プロジェクトメンバーは共通のスキルマップを見ているので、それを元にチーム内に会話が生まれ、チームワークを高めるきっかけにもなります。

スキルマップのフォーマット


今回はエクセルにてサンプルとして上記のようなシートを作成しました。これは一例にすぎませんので、プロジェクトが求めているIT知識や技術を基に作成していくことが何より大切です。この表では、縦軸にスキルマップ入力をしてもらうメンバー、横軸には把握しておきたいスキルを記述しています。各スキルは1〜5の5段階で表記しています。また、スキルレベル3を標準的なレベルとして(今回は)青く塗りつぶしています。こうすることで充実しているスキル、また不足しているスキルが一目でわかるようになります。

今回のサンプルで考えてみると、プログラミングについては充実しているのですが、テスト項目についてはOさんのみが高いスキルを持っているので、偏りが生まれていることがわかります。

今回はシンプルなスキルマップについて紹介しましたが、例えば他にプログラミング言語に関するスキルマップを作成し、Java、Ruby、htmlといった言語ごとのスキルレベルを記述していくのも一つの活用の仕方です。マネジメント等プロジェクトのタスクについてスキルマップを作成する時には、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が提供する「タスクディクショナリ」の活用が効果的です。組織や個人に求められる機能や役割が4階層で体系化されており、約2,600個の評価項目が用意されています。

まとめ

チーム開発を行う上で、スキルマップの活用は開発、導入等のプロジェクトをスムーズに進めるのに役立ちます。またスキルマップは管理者が作成したチーム全体のものだけではなく、各個人ごとに作成・利用する方法もあります。個人でスキルマップを作ることで、定期的に自身の経験やスキルの習得具合を見つめなおす良い機会になります。