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IT業界が人手不足と言われる理由

IT業界にも関わらず、日本企業は今、人手不足と問題に直面しています。その人手不足の原因とは、日本企業で全体としては「少子化による労働人口の減少」、「ブラック企業と言われる悪質な労働環境の問題化」、「ワークライフバランス重視などの労働者側の価値観の変化」などが挙げられています。しかしIT業界においては、それだけではなくこの業界ならではの問題も原因の一つとなっています。今回は、IT業界における人手不足について紹介していきます。

将来IT業界は人手不足・人材過剰?

冒頭で日本企業全体の人手不足の問題について触れましたが、IT業界では経済産業省が2035年には2019年4月に発表した「IT人材需給に関する調査」によると、2030年にはIT人材が45万人不足すると予想しています。しかし一方で10万人以上の人材が余ってしまうという予想もなされています。これは一体どういうことなのでしょう。ここには「先端IT人材」と「従来型IT人材」という同じITに関わる人材の中でも求められている人材の違いによる問題が生じています。

先端IT人材

経産省が発表した「IT人材需給に関する調査」によると「先端型IT人材」とは

IT 分野では、技術の進展が早く、人材に求められるスキル等も急速に変化するため、IT 人材の需給は、IT 需要の構造変化にも影響される。
特に近年、AI やビッグデータ、IoT 等、第4次産業革命に対応した新しいビジネスの担い手として、付加価値の創出や革新的な効率化等により生産性向上等に寄与できる IT 人材の確保が重要となっている。
このような先端 IT 技術等に関連する市場を担う IT 人材を「先端 IT 人材」と捉えると、「先端 IT 人材」に対する需要は、今後、急速に増加すると見込まれる。

としています。そして同調査の中で、この「先端IT人材」は2030年には45万人の人手不足が予想されているのです。

従来型IT人材

一方、「従来型IT人材」は

従来から続く IT 需要に関しては、依然として IT 需要の大半を占めるものの、中長期的には、徐々に市場規模が縮小すると予想され、従来からの IT 需要に対応するIT 人材    

と説明されており、先述の通りに、このままでは、「従来型IT人材」は需要が供給を上回ってしまい、人手が余ってしまうという状況になります。これは、従来型IT人材は将来の為に先端IT人材へのスキル転換をしていくことの必要性を経産省は示しているのです。

IT業界における人手不足の原因とは?

IT業界の急成長

原因の一つ目はIT業界そのもの成長によるものです。今やスマートフォンは一人一台は当たり前となり、プライベートやビジネスに関わらず、SNS、ゲーム、アプリなど、通常の大手事業会社でも、ITを活用する事業分野が拡大しているのは皆さんも実感されていることと思います。WEBアプリベースのサービスも増えてますし、IoTと呼ばれる家電、腕時計などの身近な生活でも、IT技術が活用されるようになってきています。そして、結果としてエンジニアを求める業界・会社・市場は急速に拡大しており、IT技術者の人手不足となっているのです。

IT業界の変化そのものが速い

IT業界は次々と新しい技術が生まれ、そして変化しています。近年のAIやビッグデータ、IoTやクラウドサービスなどの進化などをみているとその発展のスピードがお分かりいただけると思います。エンジニアはこれらの技術に対応し、活用でいるように常にスキルアップしていかなければなりません。当然、変化についていけなくなってしまうと企業や業界が求められている人材とマッチせず、人手不足に繋がってしまいます。

既存のIT技術者の高齢化・定年

基幹システムを構築していた技術者が高齢化し、定年退職をしていくことも原因として考えられます。この問題は「2025年の崖」というDX(デジタルトランスフォーメーション)における課題としても問題視されています。基幹システムを構築していたエンジニアが退職することで、その基幹システムがレガシーシステムとなってしまい、運用・維持にコストが割かれてしまい経済機会の損失の原因となるとも言われています。そして、最近ではWebやゲームなどの制作に携わるエンジニアが若手の中では多いこともあり、基幹系システムエンジニアの職に就いている人材が減少している傾向にあると言えます。

エンジニアのネガティブイメージ

IT業界においてエンジニアのネガティブなイメージも原因の一つとして考えられます。IT技術職の仕事に「辛い」「厳しい」といったイメージを持つ人多いでしょう。いわゆる炎上案件と呼ばれる、納期が短縮されたりコストが削減されたりと、技術者の負担が大きくなってしまうこともないとは言えません。また、システム障害が起きれば長時間の残業や終電帰りになる可能性もあります。またネットワークやサーバーといったITインフラ分野では、ネットワークが正常に稼働しているか24時間監視する必要があるので、夜勤も発生します。そういった話題からエンジニアにはネガティブなイメージを持っている人も少なくありません。

人手不足を防ぐために

IT業界における人手不足を解決するためには、今後ますます発展していく技術分野である、ビッグデータ、人工知能(AI)、IoTロボットなど先端IT技術のサービス化や活用に対応できる人材である「先端IT人材」を増やしていくことが何よりも大切です。その為にも、エンジニアは最新技術に目を向け、スキルアップを目指し、それを企業はバックアップしたり、新しい人材を取り入れたりと、業界全体が人手不足解消に向けて取り組んでいくことが何より重要です。