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はじめに

近年家庭や個人用で利用するパソコンのOSはWindosやMacが利用されることが多く、さらに国内の業務用パソコンではWindowsが使われる比率が非常に多い傾向にあります。シェア率を調べてみても、各OSのシェア率というよりはWindowsのどのバージョンのシェア率が多いかという内容の記事の方が優先的に出てくるほどWindowsが当然のような状態となっています。そんなWindowsOSは画面を見ながら感覚的にマウス操作が可能なので、通常利用する範囲でコマンドを使った経験がある人は少ないのではないでしょうか。しかしWindowsではコマンド操作が行えるツールがずっと残されていて、利用方法を覚えてしまえば便利に活用できます。この記事ではコマンド操作可能なツール「コマンドプロンプト」について紹介します。

コマンドプロンプトって何?

コマンドプロンプトがそもそもWindowsのどこに入っているのか知らない人もいることでしょう。初期状態でアプリ一覧を見たり、スタートメニューを眺めてみたりしてもなかなかコマンドプロンプトは見つかりません。そこでWindowsのタスクバーにある検索ボックスで「コマンドプロンプト」と入力してみましょう。すると四角く囲われた黒いアイコンが表示されるので、カーソルを合わせてクリックするとコマンドプロンプトが立ち上がります。もしくはキーボードの「Windows」と「R」キーを同時に押すと「ファイル名を指定して実行」というダイアログが表示されるので、「cmd」と入力してエンターキーを押すと立ち上がります。

コマンドプロンプトの画面はいわゆるCUI(Character User Interface)と呼ばれる画面の一つで、Windowsが広く普及する以前のパソコンの主流でした。真っ黒な画面にコマンド入力箇所だけが表示されていて、そこに必要な操作を入力していきます。例えば通常のWindows画面上でデスクトップにフォルダを作成したいという場合は、マウスを右クリックして「新規作成」を選択するだけでフォルダが表示されるので、フォルダ名をつけて完了です。しかしCUIの場合はこの操作を指示するためのコマンドを打ち込む必要があるうえ、作成できたとしても目視確認ができないので、本当に作成できているかもコマンドで確認することになります。現在Windowsでフォルダ作成をマウス操作で簡単にできるようになっているのは「エクスプローラー」という機能が備わっているためで、コマンドプロンプトでも作成できますが、すでに便利な機能があるのでフォルダ作成をわざわざコマンドプロンプトで行う必要はありません。あくまでコマンドプロンプトは、マウス操作だと時間がかかるような作業や、マウス操作で簡単にできないことを補うツールとして利用することをおすすめします。

本来コマンドプロンプトはMS-DOSというWindows以前にMicrosoftが開発したOSとの互換性を保つために取り入れられた機能でしたが、近年はMS-DOSと互換性を保つ必要がある場面は非常に稀です。それにもかかわらず残り続けているのは便利な面があり、一定ユーザーからの支持があるということが考えられるでしょう。

コマンドプロンプトで便利なコマンドについて紹介する前に、その他知っておくと便利な機能を3つ紹介します。一つは管理者権限での実行機能です。コマンドによっては管理者での実行が必要なものがあり、その際はコマンドプロンプト画面上どこでも良いので右クリックし、「その他」から「管理者として実行」をクリックすると管理者権限を持った別の画面が立ち上がります。

2つ目はコマンドプロンプトのカスタマイズ機能です。コマンドプロンプト画面左上の「コマンドプロンプト」と表示されたアイコンをクリックし、さらに「プロパティ」をクリックすると「”コマンド プロンプト”のプロパティ」が表示されます。このプロパティの中で、コマンド入力画面の背景や文字色、フォント、レイアウト、画面の大きさ等が設定できるので、お好みの見やすいデザインに設定しましょう。

最後に紹介するのはコマンドプロント上の表示内容のコピー方法です。Windowsのバージョンにもよりますが、コマンドプロンプト上ではコピーのショートカット操作(「command」+「C」)が無効な場合があります。その際はコピーしたい文字列を範囲指定後、マウスを右クリックして「コピー」をお試しください。マウス操作で範囲指定が不可の場合は、左上の「コマンドプロンプト」アイコンをクリックして「編集」メニュー内の「範囲指定」をクリックしてからコピーしたい文字列を囲みます。最後にエンターを押すとコピーできます。ペースト(貼り付け)に関しては「command」+「V」かマウス右クリックの「貼り付け」で可能です。

便利なコマンド「cd」「md」

いずれもディレクトリ関連のコマンドです。「cd (ディレクトリ名)」はディレクトリを移動する時のコマンドで、「chdir」というコマンドも同様に利用可能です。例えば現在Cドライブ直下にいて「C:/sample/aaa」というディレクトリに移動したい場合は、「cd sample/aaa」を実行します。なお「cd C:/sample/aaa」でも結果は同じです。前者は相対パスでの指定、後者は絶対パスでの指定方法です。実行後はコマンド入力カーソル部分に表示されているディレクトリが変わります。また「C:/sample/aaa」から一つ上の階層「sample」に移動したい場合は、「cd ../」を実行します。「..」は現在いるディレクトリの親フォルダを表すためです。単純に「cd」「chdir」だけを実行した場合は、現在いるディレクトリが表示されます。

「md (ディレクトリ名)」はディレクトリを作成できるコマンドで、「mkdir」というコマンドも同様に利用可能です。Cドライブ直下で「sample」というディレクトリを作成したい場合は「md sample」として実行します。Cドライブ直下から「sample」の配下に「aaa」を作成したい場合は「md sample/aaa」とします。なお作成できているか確認したい場合は、「dir」というコマンドを使って「dir」「dir sample」を実行します。また「rd」「rmdir」コマンドで、指定したファイルやフォルダを削除することもできます。

便利なコマンド「copy」「del」

「copy (ファイル名)」コマンドはファイルをコピーできますが、複数のファイルをまとめてコピーすることもできます。例えばfile1、file2をまとめてコピーしたい時は「copy file1 file2」とファイル名を半角スペースで区切って入力します。またCドライブ直下にいる状態で「copy file1 sample/aaa」とすることで、別のディレクトリ 「aaa」内にコピーを作成することも可能です。さらに「*(ワイルドカード)」を使って「copy *.txt」とすることで、ディレクトリ内の拡張子「.txt」のファイルを全てコピーするということもできます。「C:/sample」内の全ての拡張子のファイルをコピーしたい場合は、「copy C:/sample D:/test」とします。「D:/test」のように必ずコピー先の指定も必要となることにご注意ください。

「del (ファイル名)」コマンドはファイルを削除できますが、複数のファイルをまとめて削除することもできます。なおディレクトリは「del」で削除できないため、ディレクトリも削除したい場合は「rd」「rmdir」コマンドを利用します。ファイル削除前に本当に削除して良いか確認する場合は「del /p (ファイル名)」とオプションを付けます。メッセージを表示させたくない場合は「/q」、読み取り専用ファイルの削除にはオプション「/f」を付加します。

便利なコマンド「ipconfig」

「ipconfig」は利用しているパソコンのネットワーク情報を表示させるコマンドで、接続情報の確認や、パソコンが正常にネットワーク接続できているか確認したい場合に使用します。「ipconfig」だけでも一部情報は表示されますが、「ipconfig -all」とすることで全ての情報が表示されます。確認できる項目はパソコンのホスト名やMACアドレス、ネットワークの接続状況、DHCP等で割り当てられているIPアドレス、ローカルIPアドレス、デフォルトゲートウェイ等で、主にエンジニアがシステム開発やメンテナンス、不具合発生時にネットワーク接続が正しい状態になっているかを確認したい場合に利用されることが多いです。

便利なコマンド「ping」

日本では良く「ピング」と呼ばれるコマンドで、指定した相手先のネットワーク疎通状況が確認できます。pingコマンドを実行した際は、ICMPというパケット通信のテストをするためのプログラムが動作しています。例えば「1.1.1.1」というIPアドレスを持つコンピュータの応答を確認したい場合は、「ping 1.1.1.1」と指定します。ホスト名を指定することもできるので、「server1」というホスト名の場合は「ping server1」と入力します。バイト数や時間、TTLが表示される場合は相手先のコンピュータが稼働していると判断できます。疎通できない場合は「要求がタイムアウトしました。」というメッセージが表示され、接続先に何らかの不具合が発生している可能性があります。なお「ping」というコマンドのみを実行した場合は延々と実行し続けられますが、「ping -c 3」と「-c」の後に回数を指定することでその回数分の実行後、pingが終了します。その他にもpingの間隔を設定する場合は「-i (秒数)」、パケットサイズを指定したい場合は「-s (バイト数)」というオプションが利用できます。

まとめ

コマンドプロンプトはWindowsを利用するうえで必須なツールではなく、使用頻度も少ないですが、いざとなった時に便利です。ただ滅多に使うことがないとコマンドどころか起動方法さえもわからなくなって、調べるのに時間を要してしまうこともあるでしょう。ぜひコマンドプロンプトが必要になった際には、この記事を参考にしてもらえると幸いです。またエンジニアとして業務でWindowsを利用する場合にはコマンドプロンプトをさらに有効活用できるので、ぜひこれをきっかけにコマンドプロンプトの利用方法を覚えてみてはいかがでしょうか。