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  • C言語の学習を始める方向けのおすすめ

はじめに

C言語は、1970年代前半にAT&Tベル研究所で開発されたプログラミング言語であるため、2022年時点で50年以上の歴史を持つこととなります。リリースから50年も経過すると言語によっては一部の分野で限定して使われる状態になっていたり、全く名前を効かなくなっていたりということも珍しくありません。そんな中、C言語は依然として第一線で利用され続けており、C言語が扱えるプログラマー・エンジニアの需要はその他言語と比べても多い方です。

そのため、これからC言語で開発を行うことを目的に学習を始めたいという方もいるのではないでしょうか。今回はプログラマーとして活躍するために欠かせないエディタ・IDE(統合開発環境)について紹介していきます。あわせてC言語の特徴についても解説するため、これまで全くC言語に触れたことがなかった方も、入門編の知識としてぜひご覧ください。

C言語の特徴を紹介

前述の通りC言語は、1970年代前半に先出のB言語を改良した言語として開発されました。B言語自体は「BCPL」という言語をベースに開発されたものでしたが、B言語に「データ型」の概念等を取り入れて、より効率的で省エネなプログラミングができるように改良されたのがC言語です。

なおC言語は、Unixの需要と共に普及していったと言われています。当時はまだ現在のようにパソコンが一般的に利用されている状況にはなく、OSの利用範囲も限られていました。そんな中、「アセンブリ」と呼ばれるC言語よりさらに古くからある言語を使って、UnixというOSの開発が行われました。Unixとは、LinuxやMac OS等のベースとなっているOSで、今のように高スペックなコンピュータを用意することが困難な時代に、低スペックなコンピュータ上でも動作可能なOSとして開発されました。当初の開発言語としてはアセンブリのみであったものの、Unixの移植を簡単に行えるようにC言語に書き換えられたという経緯があります。LinuxやMac OSが現在でも多くのサーバーやパソコンで利用されていることからも分かるように、その元となるUnixやメインとなっているC言語も、これらのOSの需要の高まりと共にスキル・知識を持っている人材が重宝されるようになりました。

C言語の特徴としては、汎用性・自由度が高い、実行速度が高速、習得するにはコンピュータの仕組みについての理解も必要になるという3つのポイントが挙げられます。

C言語は、OSの作成、基幹系システム、組み込み系ソフトウェア、通常のソフトウェアやアプリ、またゲームやIoT、ロボット開発と非常に幅広い分野で利用されていますが、その理由は、C言語の自由度の高さにあります。C言語は、他の言語で扱えることが稀な「メモリ領域の管理」「ポインター演算」「ビットの論理演算」ができ、これによりコンピュータの制御が可能となっています。そのため利用される分野が広い傾向にありますが、その分、他の言語に比べて習得するまでの時間がかかる傾向にあります。もしC言語を学ぶべきか迷っている方は、C言語でなければいけない理由があるシステムの開発をしたいかどうかで判断することをおすすめします。Web系の開発を行いたいのであればC言語から学ぶことは非効率的なので、RubyやPHP、JavaScript、Python等、他にもっとシンプルで適した言語があるので、そちらの学習を積極的に進めましょう。

実行速度が高速である理由の一つは、C言語が「コンパイル型言語」であるためです。もちろん学習しなければ全てを把握することはできませんが、様々な言語でプログラミングされたコードは、プログラミングを知らない人でも英単語さえ知っていれば、所々理解することが可能な状態を留めています。しかし、コンピュータはそのままの状態のコードを理解することができません。コンピュータに理解させるためには「コンパイル」という翻訳作業が必要となり、このコンパイルをあらかじめ済ませておけるタイプの言語のことをコンパイル型言語と呼びます。対して、プログラムを実行する際にコンパイルも同時に処理する言語のことを「インタプリタ型言語」と呼びますが、コンパイルとプログラムの実行の両方を行う分、コンパイル型言語に比べて動作が遅くなる傾向にあります。以上のことより、C言語に限らずコンパイル型言語は、基本的に実行速度が速くなりやすいということを頭に入れておいてください。

なおC言語は習得するまでに時間がかかるものの、歴史が長い言語であるため情報や参考書は充実しており、教材探しには困らないことでしょう。オンライン上の各種学習サイトでも取り扱いがあるため、動画で勉強したい方は、ドットインストールやPaiza等を利用してみてはいかがでしょうか。続いて、C系言語に分類されるC言語以外の言語についても簡単に紹介します。

C++(シープラス)

C言語にオブジェクト指向の概念を取り入れた言語がC++です。オブジェクト指向とは、JavaやJavaScript、Rubyといった言語に見られる概念で、プログラム一つ一つを「オブジェクト」として扱うことからそう呼ばれています。オブジェクト指向の言語は、オブジェクト毎に作業を分けて同時進行が可能、改修やメンテナンスがしやすい、作業を効率的に行えるというメリットがあります。C言語との互換性があるため、C言語で作成したプログラムはC++でもコンパイル・実行可能です。また、C言語同様にハードウェアの制御に向いていて、中には拡張されている機能もあり、ゲーム開発やロボット開発、工業機械、電子基板と様々な分野で利用されています。

C#(シーシャープ)

「C」と付くもののC言語との互換性はなく、C言語が1970年代前半、C++が1980年代前半の開発であるのに対して、C#は2000年となるので、同じC系の言語の中でも比較的新しいものとなります。しかし影響を全く受けていないということはなく、C#はC++とJavaをベースに開発されたと言われていて、オブジェクト指向の言語となっています。特に文法はJavaに似ているため、C#を習得することでJavaを学習する際に応用が効くようになります。なお、開発元はMicrosoftであるため、Microsoftの製品であるWindowsOS用のアプリ、ソフトウェアの開発に向いている言語となっています。実際、Microsoftのポータルサイト「MSN」や検索エンジンの「Bing」もC#で構築されています。Microsoft製品以外でも、ゲーム開発エンジン「Unity」にも利用されているため、C#を習得すると様々なジャンルのゲーム開発も可能となります。

ObjectiveーC(ブジェクティブシー)

C言語の仕様をベースとしながら、同じく1970年代に開発された「Smalltalk」という言語におけるオブジェクト指向の概念を取り入れた言語で、1980年代に開発されました。特に幅広く利用された言語というわけではないものの、Apple社のMac OS XやiOS向けのアプリ開発における標準言語とされたため一部で有名となり、ObjectiveーCによる開発は、2014年のSwiftのリリースまで続けられました。

エディタとIDE(統合開発環境)の関係性

ここでいう「エディタ」とは、テキスト編集ツールのことを指します。Windowsを使っていれば「メモ帳」、Macでは「テキストエディット」がデフォルトでインストールされているので使ったことがある人もいると思いますが、これらもエディタの一つです。対するIDE(統合開発環境)とは、開発に必要となる様々なソフトウェアが含まれたパッケージのようなもので、その中にはエディタも含まれていることがほとんどです。エディタの他にはデバッグ(バグの修正)をするための「デバッガ」、コンパイル(機械語への翻訳)をするための「コンパイラ」等が含まれており、GUIでの操作が可能です。IDEをインストールすれば、新たなエンジニアが入ってきた時や、新たなプロジェクトを開始する際に毎回時間をかけて開発環境を構築する必要がなくなるというメリットがあります。ソースコードのバージョン管理、ファイルの構成管理といったバージョン管理ツールとしての役割を持つのもIDEの特徴です。なお、IDEによって対応している言語が異なり、開発する分野にも向き不向きがあります。その中で今回は、C言語、C++に対応しているIDEに厳選して紹介します。

また、メモ帳やテキストエディットの場合は、テキストを入力・削除して保存するという単純な機能しか備わっていませんが、IDE等に含まれているエディタを使うと、開発のスピードを上げ、正確にプログラミングすることが可能となります。エディタの種類にもよりますが、例えば、構文のミスを色付けや強調で知らせてくれる機能、クラス・オブジェクトごとのブラウザ機能、クラス階層図表示機能、コードの予測変換・入力支援の機能等を利用できるようになります。近年のほとんどのプログラマー・エンジニアは、このIDEを利用して開発を進めている状況であるため、これからC言語を扱えるプログラマーを目指している方は、早いうちから自分に適したエディタ・IDEを見定めて、使いこなせるようになっておくことをおすすめします。

エディタ・IDEの選定基準について

選定基準としては、自分が使いやすいと思えるものであるか、使いたい言語に対応しているか、開発端末のOSで利用可能か(あるいはOSに依存しないものであるか)、開発するシステムに適しているか、IDEであればエディタ、コンパイル、デバッガ、バージョン管理機能が網羅されているかという点を押さえておくと良いでしょう。なお、エディタ・IDEは有料、無料どちらのものもあるので目的に見合ったものを選びましょう。今回は有料、無料の両方を紹介しています。

おすすめのエディタ

それではおすすめのエディタとIDEを、それぞれ3つずつに絞って紹介します。

Sublime Text

2007年にリリースされたコードエディタで、無料での利用が可能です。OSはLinux、Mac、Windowsのいずれでも利用でき、初期状態では動作も早いです。プラグインも豊富であるため、必要に応じて自分好みの状態にカスタマイズできる、無駄な機能を付ける必要がないという点がメリットとも言えます。デメリットとしては、日本語化が十分ではないという点が挙げられます。使い始めにライセンスの購入を聞かれますが、キャンセルしてそのまま利用可能なのでご安心ください。

VS Code(Visual Studio Code)

Linux、Mac、Windowsに対応しており、いずれのOSでも安定した機能の利用が可能となっています。無料で利用可能で、日本語に対応している他、VS Codeに関する情報が豊富なので使い方に迷った時も困りません。プラグインの種類が豊富、C言語、C++以外の様々なプログラミング言語にも対応している点がメリットです。機能が豊富であるため、かえって使いこなすまでに時間がかかる可能性があるという点がデメリットと言えます。

TeraPad

WindowsOSでのみ利用可能な無料のエディタです。TeraPadも軽量ですが、プラグインが豊富にあるため、カスタマイズしてより便利なエディタとすることも可能です。Windowsでしか利用できないというデメリットはありますが、慣れ親しんだメモ帳のような感覚で利用できるので、Windowsの利用が多いという場合には適していると言えるでしょう。なお、Windows10以降のOSに向けたバージョンアップも行われています。

おすすめのIDE

続いてIDEの紹介です。

Eclipse(イクリプス)

当初はJavaのIDEとしてIBMがリリースしたため、Javaの開発環境として有名ですが、C言語、C++での利用も可能です。他にもPHPやRubyといった人気のプログラミング言語にも対応しています。OSもWindows、Mac、Linuxに対応しており、無料で利用可能です。Androidアプリの開発も可能である点、コンパイルが必要な言語であってもソースコードを即実行できる点が特徴です。なおプラグインが豊富である点も特徴の一つですが、Java以外の言語を利用するためには、このプラグインのインストールが必要となります。

Visual Studio

商用利用するかどうかによって有料エディション、無料エディションの両方があるIDEです。エディタの際に紹介したVS Codeは、エディタのみ利用したい場合にインストールすることになりますが、WindowsOS上で、さらにたくさんの機能を合わせて利用したいと思った場合には、このVisual Studioをインストールすることとなります。

Microsoftが開発した製品なのでC#にしか対応していないのではと思うかもしれませんが、C言語やC++はもちろん、Python、JavaScript、Node.jsにも対応可能で、拡張性にも優れているという特徴があります。なお、Visual Studioを利用できるのはWindowsOS上ですが、Android、iOS、Mac、Xbox360のゲーム等、多様な開発が可能です。2022年12月時点での最新バージョンは「Visual Studio 2022」ですが、2022で提供しているエディションは無料の「Express」含め、「Community」「Professional」「Enterprise」の4種類が提供されていました。またどうしてもMacでVisual Studioを利用したい場合は、「Visual Studio for Mac」もあるのでご安心ください。

Xcode

Appleによって開発されたMacOS用のIDEで、App Storeから無料でインストール可能です。MacOSやiPhoneといったApple製品の開発に適した機能が充実しているという特徴があるものの、その他の開発も可能です。コードの補完・検索といった動作が早い、GUIでの直感的な操作が可能、Xcodeの公式ドキュメントが充実していて、Xcode内で簡単に検索可能、実行テストが簡単にできるといったメリットがあります。MacOSを利用していて、試しにIDEを利用してみたいという場合はおすすめです。

まとめ

C言語は自由度の高いプログラミング言語であり、その分習得するまでの学習コストがかかるものの、一度習得してしまえば、C言語の特徴を十分に生かせる分野での開発に大いに役立つことがわかっていただけたことでしょう。汎用性の高さや実行速度の速さによって、OS、基幹系システム、組み込み系ソフトウェア、ソフトウェア・アプリ等の開発が可能なので、これらの開発をしたいという方はぜひC言語を学習してみましょう。

また、エディタはIDEをインストールすることで、そのIDEに含まれるものが一緒にインストールされますが、必ずしもそれを使う必要はありません。ぜひ今回の記事を参考に自分に見合った一つを見つけ出して、作業効率をアップさせてみてはいかがでしょうか。