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そもそも「中堅社員」とは何か?

一口に「中堅社員」とは言うものの、実態として中堅社員とはどのような立場の社員のことを言うのでしょうか?具体的な勤続年数や経験など、明確な定義があるかどうかについて考えてみましょう。

一般的に、中堅社員という立場は入社から3年以上経過していて、なおかつ係長や課長などの役職についていない社員のことを指すことが多いです。ただし明確に「○年目」とは決まっていません。中途採用で入社する方の場合はすでに社会人経験がある方もいますので、会社によっては業務経験によって中堅と見なすかどうかを判断することもあります。

年齢で言うと30代中盤頃までの社員が中堅社員と呼ばれることが多い傾向にあり、「新入社員とまでは言えず、とはいえ役職にはついていない、ある程度の経験がある社員」のことを指しています。

中堅社員の役割とその立場

新入社員であれば「仕事を早く覚える」「実務スキルを勉強する」など。役職者であれば「若手を教育し、会社にとっての戦力に育て上げる」などが役割として期待されるでしょう。では、中堅社員の場合にはどのような役割が求められ、どのような立場にあると考えられているのでしょうか?

実務能力の向上

まず第一に求められるのはさらなる実務能力の向上です。入社から3年〜5年程度経過した場合、多くの社員が実際の「現場」を経験していることが想定されます。顧客と商談を行ったり、仕入先や社内の関連部署と様々な交渉事・調整を行う経験も積んでいる可能性が高いです。

会社としては実務経験が豊富で現場で実力を発揮できる社員が増えることを期待しているため、中堅社員に期待される役割の上位と考えられるのは実務経験をさらに積み、実務能力をもっと向上させることだと言えるでしょう。

若手や後輩の指導および育成

多くの場合、中堅社員に求められる役割として新入社員や若手、そして後輩達の指導や育成が求められることになります。入社から数年が経過し、顧客との商談や交渉を経験。部署によっては社内や仕入先との条件交渉なども行うようになり一定以上の経験を得ていることが多いので、その経験を後に続く社員達に還元して欲しい、と多くの会社が考えるからです。

新入社員や若手社員から見ても3年〜5年の経験がある中堅社員は、身近で目指すべき目標でもあり業務上のお手本でもあります。そのような存在意義から、後に続く社員への指導役や育成を期待される側面もあります。係長や課長などの役職者が行うアドバイスよりも身近に感じられる可能性が高いことがその理由です。

若手と管理職とのつなぎ役

若手の社員はなかなか管理職に相談をすることができずに一人で抱え込んでしまうことがあります。そんな時に相談できる存在であったり、アドバイスできる存在として中堅社員はとても重要な立場にあります。管理職の場合はどうしても一段高い場所からの回答やアドバイスになってしまうことが多く、新卒者など20代前半の社員とは世代も異なるためになかなか身近な立場としての回答やアドバイスができないことがあります。

しかし30代中盤前後の中堅社員であれば、管理職の社員よりは若手社員との年齢差や世代間格差も少なく、また若手が現在直面する状況に共感しやすい年代でもあるため、若手が身近に感じてくれる可能性が高まります。このように若手とのコミュニケーションが円滑に進められる中堅社員は、若手と管理職とのつなぎ役を期待されることも多いのです。

中堅社員に求められる能力

ここまでご紹介してきたように、中堅社員には管理職とは異なる役割が求められる側面があり、社内でのコミュニケーションに関わる点も多いのが実情です。では、実際に業務能力として求められるものはどのようなものがあるのでしょうか?

業務遂行能力

社会人として組織で働く以上、与えられた部署や役割に応じた結果を求められるのは当然と言っていいでしょう。職務を与えられr、期待される成果を出すことができてこそ、正当な評価をされて収入がアップし役職に就くことが可能になります。そのためには担当する職務をこなし、業務を確実に遂行する能力が求められます。

若手社員への見本としてのロールモデルとなるためには、基本的な業務遂行能力を持っていることは大前提となります。

リーダーシップ

管理職や役職者だけが目標を提示し、チーム全体や若手社員などを鼓舞してしまうと、どうしても「押し付け」のような雰囲気が生まれてしまう可能性もあります。そんな時に求められるのが中堅社員のリーダーシップです。

20代の若手社員に対して自然な振る舞いでチーム全体の目標に合致するような行動を促せるリーダーシップを発揮できる中堅社員は非常に貴重な存在であり、どのような組織でも歓迎される存在だと言えるでしょう。

課題解決能力(自走力)

業務遂行能力とも似ていますが、業務の中で直面する様々な課題に対して、自主的に解決策や打開策を考案・発見して解決に導いていく動きを取れる課題の解決能力も中堅社員には求められます。

新卒社員や若手社員の場合、育成担当者や役職者などが逐一業務の遂行方法や課題のあぶり出しなどを手伝って上げる必要がありますが、付きっきりになってしまうと本来役職者や育成担当者が使えるはずだった時間が使えなくなってしまうという側面もあります。

そんな時に、何か業務で課題が出てきた場合にはある程度の段階までは1人で対処できたり、解決策を見つけ出したりできる自走力」を持った中堅社員がいることでチームや部署の業務が円滑に回る「ことが予想できます。もちろん中堅社員であっても場合によっては役職者と協力しながら課題を解決しなければならない場面にも遭遇しますが、何から何まで役職者頼みにならないレベルでの課題解決能力を身につけておくことは全ての中堅社員に求められることです。

中堅社員が必要な理由とは?

実は現代の日本では中堅社員、特に30代後半から40代にかけての中堅社員が不足しています。2022年現在で40代前後の社会人は2000年〜2002年頃にかけて新卒での就職活動をしていた年代になりますが、例えば2000年の新卒者求人倍率は0.99倍。つまり「新卒者1人に対して0.99件の就職案件」でした。それに対して、2019年の新卒者求人倍率は1.78。新卒者1人に対して1.78件の就職案件があったことになります。

2000年前後は「第一次就職氷河期」とも呼ばれている時期で、新卒の就職が非常に難しい数年でもありました。そのため現在40代前後の成人人口の中で、新卒社会人としてデビューできた人達が少なかった年代としても知られています。つまり2022年の時点で「社会人経験を積み」「一定の業務量を経験し」「若手と役職者の中間として機能する」役割を担える人材がそもそも不足しているのです。

2000年前後の社会情勢では仕方のなかった現象だったとは言え、当時行われた各企業の採用戦略が2022年現在に深刻な影響をもたらしているというのは皮肉なことだと言えるのではないでしょうか。

様々な要因により企業の採用活動は積極性を取り戻し、ある時期を境にして新卒の就職は求職者側に有利な「売り手有利な市場」だと言われ始めました。しかし数年間に渡って新卒の採用人数が少なかった結果、今の段階で入社する新卒社員を教育するための役割を担える人材も足りなくなってしまっているというのが実情なのです。

これは視点を変えてみると、実は「新卒・若手を教育するための中堅社員も育成する必要がある」という状況であると考えることもできます。

企業が求める中堅社員を確保・育成するためには?

中堅社員には様々な役割が期待される一方で、実は企業側も十分な人数の中堅社員を確保する必要があります。中途採用の求人情報がなくならないのはこのような背景がありますが、中途採用で必ず理想的な人材が採用できる保証はありません。そのため、中途採用での人材獲得と並行して、これまで実現できていなかった「生え抜きの中堅社員育成」も企業は行う必要があるのです。

では企業が求めるような役割をこなせるレベルの中堅社員を確保するためには何が必要なのでしょうか?今すぐに中堅社員が必要な企業の場合、その人材は中途採用で確保することが最も効率的だと考えられます。では、中途採用の募集に応募する求職者はどのようなことを求めているでしょうか?

転職の理由として挙げられる理由が最も多いものは「給与が低い」「昇進やキャリアアップが望めない」「会社の方針に不満がある」という3つです。そしてこれは視点を変えると、自社において「昇給頻度や昇給幅が無く」「昇進速度が遅くキャリアアップする社員が少なく」「魅力的な会社方針が提示できない」場合は人材の流出を招くリスクがあるということになります。

キャリアアップを支援する

中堅社員とされる年代の社員にとってキャリアアップは重要です。自分の社内での立場が充実すれば昇進の可能性が高まり、その結果収入のアップにも繋がり会社への満足度も高まりますので、会社への貢献を積極的に考えてくれるようになります。

即戦力として中途採用での中堅社員採用を考える際にも、社内でのキャリアアップ支援制度があるかどうかで自社が転職市場で選ばれる存在になるかどうかが左右されることになります。

責任とやりがいを実感できる役割を任せる

30代中盤を過ぎてくると、若手の時には苦戦していた業務も通常の流れでこなせるようになり、業務遂行能力も高まってきます。しかしその反面、惰性で業務をこなせるようになってしまうこともあるため、将来の昇進やキャリアアップが想像できるような、責任のある職務ややりがいが感じられるプロジェクトなどを任せ、「自分が会社に期待されている存在である」と実感できる役割を持ってもらうことが重要です。

課題に合わせて研修を実施する

どのような人であっても、何もせずに自然と能力が開花する人は少ないのが現実です。社会人としてのスキルや知識も同様なので、若手には若手の。中堅には中堅の立場や求められる能力や課題に応じた研修などが実施されれば、効率よく必要な業務スキルや知識、役割に対する理解度を高めていくことが可能です。

また、このように「社員への育成制度・研修制度」が充実しているという状況は、転職を考えている中途採用市場の求職者にとっては魅力的な環境に映りますので、可能であればぜひ整備したい項目です。

チャレンジングな業務を任せる

経験年数に関わらず、同じ業務のみの繰り返しでは仕事の内容もマンネリ化してしまい、成長曲線が緩やかになってしまう可能性があります。求められる役割をこなせる中堅社員を育成したい場合は、現在の業務よりも1段階、もしくは2段階程度高めの業務を任せてみるのも有効です。

普段とは異なる業務やこれまでよりもレベルの高い業務を行うことで新たな課題が生まれ、その課題を解決するための試行錯誤が生まれます。そのような業務・課題をこなしていくことで個人のレベルが上がり、結果的に会社全体もレベルアップしていくことが可能になります。

まとめ

ここまで、中堅社員とはどのような立場のことを指すか?そして中堅社員に求められる役割とはどのようなものか?さらに、中堅社員が今求められている背景や理由についてご紹介してきました。企業が成長していくためには新しい人材の確保として新卒者や若手の採用が必須ですが、同じように中堅社員の育成や確保も必要です。社内の年代構成をバランス良く保ち、コミュニケーションの円滑化も担える存在である中堅社員は企業にとって新卒者と同じくらい重要な存在なのです。自分が中堅社員に該当する年代の方は、求められる中堅社員像を実現できるよう、スキルアップを狙ってみるのがいいでしょう。

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