支援対象地域:札幌、仙台、関東、愛知、関西、広島、福岡


円満退職に欠かせない退職届・退職願

やりがいやキャリアアップの実現を目指し、転職を検討しているエンジニアの方は少なくないでしょう。しかし、転職活動をスムーズに進めるためには、在籍する会社を円満退社するのが大前提です。退職に関連するトラブルが発生すれば転職先に影響がおよぶことも考えられ、せっかく掴んだチャンスを逃してしまうこともあります。

とはいえ退職するまでにどのような手順を踏めばいいのか、どのように退職届を書けばいいのか、正確に理解して行動に移せる方は少数派です。そこで本記事では転職を検討しているエンジニアの方に向けてテンプレートを活用した退職届の書き方や退職までの手順、退職前後で気を付けておきたいポイントなど必要な手続きに関する事柄を解説します。

退職届を書く前に確認しなければいけないこととは?

転職を決めるということは、すなわち退職の意思を固めることでもありますが、必要な書類を準備するために確認しなければいけないことがいくつかあります。それが現在働いている企業における各種ルール=就業規則です。原則として、従業員が自分の意思で退職することに問題はなく自由です。そして、退職のために会社へ提出する書類の体裁も自由だとされています。しかし、ほとんどの企業は就業規則に退職の手続きに関連する項目が盛り込まれており、テンプレートが用意されているケースもあります。

会社が定めているルールに反するような手続きを踏めば、退職届が受理されないなどのトラブルに発展する可能性もあり、結果的に希望の日時までに退職できないといった事態になりかねません。転職活動をスムーズに進めるためにも、就業規則に則って円満に退社できるように手続きを進める必要があるでしょう。

退職関連書類それぞれの違い

退職届のテンプレートが決められている、提出の期限が定められているなど、就業規則に細かな点で違いが見られたとしても退職手続き自体は一般的なものが採用される場合が多く、企業ごとに大きな違いがあるわけではありません。これは就業規則自体がテンプレートをもとにアレンジされるケースが多いからであり、本記事でも一般的な事例をもとに解説していきます。

退職にあたって必要とされる書類として知られるものは主に3種類あります。それが「退職届」「退職願」「辞表」です。それぞれの違いについて解説します。

退職願

雇用契約を締結している現在の企業に対し、現在の契約を解除することを「お願いする」ための書類です。一般的には退職の意思が固いことを証明する根拠として残すため、直属の上司に提出する書類として認識されています。

退職の意思を会社に伝えるのは口頭であっても問題はなく、本来は退職願などの書類は必要とされません。しかし、退職願を提出しておけば「聞いていない」など無用のトラブルを避けられます。転職先が決まっていて期日までに退職したいケースに有効であり、就業規則で定められている場合にも提出が必要です。

退職届

退職が正式に決まり、企業との合意がなされた後で提出する書類です。企業のルール次第では提出しないこともありますが、多くの場合は世間で使用されているテンプレートに準じた書式のものを提出します。 提出先に関しても就業規則で定められている場合があります。直属の上司ではなく、人事部への提出が求められる場合もあるため確認が必要です。

辞表

「退職する意思を示す」という意味で「辞表を出す」という言葉が使われることもありますが、「辞表」は公務員などの公職にある人物や、経営者など「労働者」にはあたらない人々が、現在の職務から退く際に提出する書類です。雇用契約を結ぶ一般的な従業員の場合は、辞表を提出する機会はないといっていいでしょう。

退職届の提出先・退職までのスケジュール

退職することを決めた場合は、その意思を明確な形で会社に伝達し、退職が正式に決まった後はルールに基づいた書類を提出することになります。以下からは、退職願・退職届の提出先やスケジュールも含め、具体的な流れを時系列に沿って紹介していきます。

①退職することを決める。

②退職希望日時を「退職願」などに記載する。

③直属の上長など定められた提出先へ作成した「退職願」を提出することで退職意思を明確にする。

④会社の承認を得て退職日を確定させる。

⑤「退職届」を作成する。

⑥定められた提出先に提出する。

⑦退職

退職届・退職願を書きはじめる前に

就業規則でテンプレートが定められている場合を除き、退職届・退職願に決められたフォーマットというものは存在しません。一方で、一般的な慣例というものが存在するのも事実です。たとえば用紙サイズはB5、縦書きというのが一般的ですが、ほかにもA4サイズ、横書きが使われる場合もありそれぞれを組み合わせて使用される場合もあります。PCで作成するか手書きで作成するかを含め、退職届・退職願を書き始める前にまずは必要な準備を整えておく必要があります。

規定書式を使用する場合

就業規則に規程の書式やテンプレートがある場合は、会社の人事部などに依頼し書式を入手したり、Webサイトで公開されているテンプレートを活用してPCで作成するのがいいでしょう。縦書き・横書き、B5・A4などは自由に選んでかまいませんが、提出する際は封筒に入れて手渡しするのがマナーです。用紙サイズに合わせた無地の白い封筒を用意しておく必要があります。

手書きする場合

規定書式やテンプレートなどを使わない場合は、自分で書面を作成する必要があります。B5もしくはA4の便箋を用意し、テンプレート活用時と同じように無地の白い封筒を用意しましょう。便箋には罫線があってもなくてもかまいませんが、黒のボールペンもしくは万年筆などで作成します。時間が経つと消えてしまうような筆記用具で作成すると、書き直しの上で再度提出しなければならなくなります。くれぐれも気をつけましょう。

退職届・退職願の書き方

退職届や退職願は自分が退職するという意思を会社に伝えるためだけの書類です。必要なことを過不足なく記載するだけで、すぐに作成できるのも特徴です。もちろん、記載しておくべき必要な要素を押さえておく必要もあります。具体的に紹介してみましょう。

①退職届または退職願と記載する。

②理由を記載する。退職届の例文としては「私儀このたび、一身上の都合により、勝手ながら20××年×月×日をもって退職いたします。」退職願の例文としては「私儀このたび、一身上の都合により、勝手ながら20××年×月×日をもって退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。」を参考にするのがいいでしょう。私儀(わたくしぎ)で書き始め、日時は希望退職日か、退職決定日を記載する。

③提出日付を記載する。

④最後に記載する宛名より下(右)に自分の所属部署と氏名を記載。氏名の下(右)に捺印する。

⑤会社名は略さず記載し、代表者の氏名を記載する。敬称は「殿」を使用する。

会社都合で退職する際の注意点

ここまでで、退職届・退職願の書き方とともに退職までの手順を紹介してきましたが、転職を前提とした自己都合退職のケースを例にしていることに注意が必要です。仮に会社側の都合で自分が退職しなければいけない状況になった場合は必要な手続きは変わります。

退職理由を記載する

会社の都合により自分が退職する場合は、退職願を提出する必要はありません。退職届に関しては会社規定の用紙に記入するのが一般的ですが、別途退職届の提出を求められる場合もあります。注意しなければいけない点は「会社と合意した」具体的な退職理由を記載する、あるいは、「退職について会社と合意した事実が明記されているかどうか確認すること」です。仮に退職理由として「一身上の都合」と記載されている場合は、ハローワーク等で自己都合退職として判断され、失業保険の支給開始時期が遅れたり、支給額の点で不利になってしまうことがあるからです。必ず「会社都合による退職であると明記されているかどうか」を確認するようにしましょう。

退職に関連する知っておきたいポイント

手順をキチンと踏んだからといって、円満に退社できるとは限らないのが退職の難しいところです。退職後の煩雑な手続きに悩んでしまうこともあるでしょう。最後にそんな退職にまつわるよくある疑問や、知っておきたいポイントを紹介しておきましょう。

退職願は撤回可能?

退職願を提出しただけなら気が変わった場合に撤回が可能だと思われていることがあります。しかしこれは「退職承認前であれば撤回できる可能性がある」程度に考えておくべきです。仮に退職願を撤回できたとしても、提出前と同じような扱いを受けられるとは限りません。会社に残って不利益を被らないためにも、退職の意思を100%固めてからアクションを起こすべきです。

退職願が受理されなかったら?

退職関連のトラブルで聞かれる事例として、上長や関係者が書類を受理してくれなかったり、退職に向けた交渉に応じてくれないというケースがあります。この場合は、さらに上の上司、部門長、人事部といった決済の順番に従った形で相談するようにしましょう。ポイントになるのは、トラブルにならないように就業規則に則った手順で一連のアクションを起こすことです。民法では「雇用は解約の申入れの日から2週間を経過することで終了する」と定められているため、退職できないということはありません。落ち着いて取り組むのが重要です。

健康保険の手続き

在籍中に使用していた保険証は退職日の翌日から使えなくなるため、会社に返却する必要があります。すぐに転職先で働くのであれば新たな会社で資格取得手続きをしてもらえますが、就業までにブランクがあるなら14日以内に国民健康保険に加入する、20日以内に現在の保険を任意継続する、扶養家族になるの3つから選択しなければなりません。それぞれで手続きの方法や申請する機関も異なるため、早めにどれを選ぶかを決断し情報収集をしておく必要があるでしょう。

年金の手続き

年金に関しても、健康保険と同様の切替え手続きが必要です。退職した月と転職した月が同じで新たな会社が社会保険制度完備であれば、年金手帳を渡すだけで厚生年金の継続手続きをしてくれます。しかし、離職期間などでブランクが空く、もしくはフリーランス・個人事業主で働くようであれば国民年金への切替えが必要です。条件さえ満たせば、配偶者の扶養となる選択肢もありますが、転職を前提にしているケースでは現実的とはいえません。

まとめ

退職届・退職願は、転職の大前提となる退職に欠かせない重要な書類ではありますが、書き方に難しさがあるわけではないことがおわかりいただけたのではないでしょうか?むしろ、円満退社するためには、就業規則の確認からはじまる一連の手順をキチンと踏んでいくことこそがとても重要なのです。転職先で心機一転頑張るためにも、抜け・モレのないように退職手続きを進めてください。