支援対象地域:札幌、仙台、関東、愛知、関西、広島、福岡


はじめに

「退職届」と聞くと、ネガティブな印象を持ちますか?それとも、ポジティブな印象を持ちますか?

私は後者です。新しいことへ挑戦する意欲が3文字から伝わってきます。もちろん、退職の理由や背景が輝かしいものではなくても、退職という大きな一歩を踏み出したその先は、明るいでしょう。そして退職のフェーズをスムーズに進める上で、退職届の書き方について正しい情報を取得すべきです。個人や会社のオフィシャルな書類なので、好きなように書いてはいけません。

本記事では退職届の書き方や、意外と知らない「退職願」「退職届」「辞表」の違い、そして退職が決まった後の流れについて解説します。

退職届を書き始める前に確認すべきこと

退職届を書き始める前に、確認すべきことを説明します。

就業規則を確認する

まずは就業規則を確認しましょう。就業規則には、退職の手続きに関する項目があります。「退職希望日の◯ヶ月前までに、退職届けを提出する」など、具体的に記載されている場合は必ず従いましょう。就業規則に「2ヶ月前までに退職届を提出する」と記載があるにもかかわらず、退職直前の1週間前に上司に対して退職届を提出してしまうと、受理されずに退職交渉がスムーズに進まない可能性があります。退職届を書き始める前に必ず就業規則を確認するようにしましょう。

また、”誰に"いつまでに申し出る必要があるのかを把握しておくことも重要です。「直属の上司に申し出る」場合と、「上司を経て、人事部や代表取締役が受理する」場合では、申し出るタイミングも変わってきますよね。さらに、雇用形態によって規則が異なる場合があります。自身の状況に照合し、規則に従ってください。

退職届、退職願、辞表の違い

意外と説明できない、3つの書類の違い。社会人として、現段階では退職する意志がなくても知っておいて損はないです。ここで一度整理しておきましょう。

退職届

退職届は、退職することが確定したのち、退職を会社に対して届け出るための書類のことです。会社が退職願を承認し、退職が確定した後に使用します。法的には口頭のみで意思表示するだけでも良いとされていますが、「言った、言わない」の揉め事を避けるために、事務手続きの記録として提出するのがベターです。書き方に関しては、会社規定の書面があれば使用しましょう。

退職願

退職願は、退職(労働契約の解除)を会社に願い出るための書類のことです。口頭で申し出ることも可能で、必ず書類を提出する必要はないです。退職願を受け取ると、会社は労働契約の解除について承諾するかどうか検討に入ります。退職願は、却下される可能性があることも頭に入れておきましょう。

辞表

辞表は、会社の運営に関わるような役員や公務員が退職する際に使用する書類のことです。一般社員が使用することはまずありません。

退職届の書き方

退職届を書く際の準備と書き方を解説します。

準備するもの

手書きの場合は、下記のものを用意します。

  • 白の便箋(用紙サイズはB5かA4)
  • 白の封筒
  • 黒いボールペンまたは万年筆(油性・水性どちらでも可)

PCの場合は、「退職届 テンプレート」と検索するとフリーでダウンロードできるテンプレートが出てきますので、自分のPCの環境に合ったものをダウンロードして活用しましょう。

書き方

では早速、退職届を書いていきましょう。下記のことを守りながら書いてください。

  • 冒頭:冒頭に「退職届」と書く
  • 書き出し:書き出しの一番下に「私義」もしくは「私事」と記載
  • 退職理由:退職理由は詳細を書く必要はないので「一身上の都合により」と記載
  • 退職日:上司との話し合いで決めた退職日を記載。西暦でも元号でも、どちらでも可。会社の公式書類に合わせる
  • 届出年月日:提出する日付を記載。西暦でも元号でもどちらでも可。
  • 所属部署、氏名:宛名より下の位置に所属と名前を記入し、名前の下に捺印(シャチハタはNG)
  • 宛名:最高執行責任者の役職と名前をフルネームで書く。敬称は殿。自分の名前よりも上に来るように書く。

書き方の参考

退職届の画像

退職理由の書き方として、「私儀 一身上の都合により」を書くことが決まっています。これ以外の文言を書き込むと、受理されないと思っておいた方が良いでしょう。「転職のため」や、「病気・長期休養のため」も書くべきではありません。退職届は、個人と会社にとってオフィシャルな書類であるためです。

退職届の提出タイミング

退職届は、就業規則に記載のある届出先の相手に対し、期日までに提出する必要があります。一般的には、直属の上司に対し、退職を希望する日の1〜2ヶ月前までに申し出ることを規定としている会社が多いです。退職届を出すタイミングは、就業規則でメールなどの指定がなければ、会議室など他の社員がいない場所で直属の上司に直接手渡しするのがマナーです。

もし引き止められた場合は、「次の職場でやりたいことがある」など、できるだけ前向きな退職理由を伝えると好印象です。円満退社をするためには、極力会社や職場への不満や批判を言わないことも大切です。また、これまでお世話になったことに対する感謝の気持ちや、退職後も繋がりを大事にしていきたい旨も伝えると尚良いでしょう。

退職までにやるべきこと

実際に退職が決定したら、退職日までにやらなければならないことがあります。

業務の引き継ぎ

まずは業務の引き継ぎです。後任者がいればその方へ、いない場合は決めなければなりません。引き継ぎリストやマニュアルの作成など事務作業も多くなります。引き継ぎも業務の一貫なので、後回しにせずしっかりと時間をとって、後任者ができるだけ困らないように丁寧に引き継ぎをしましょう。

保険・年金の手続き

年金や税金、雇用保険や健康保険など、退職時には様々な手続きが必要になります。会社の総務や労務担当にも準備しておくべき書類や申請、書き方などの確認をし、手続きがもれなく進むようにしましょう。必要になる書類は以下のようなものです。

  • ・健康保険証、社員証、社章
  • 会社から貸与されたものに関しては返却します。

  • ・年金手帳、雇用保険被保険者証
  • 会社で保管している場合は、退職日までに受領します。

  • ・所得税
  • 退職日から1ヶ月以内に源泉徴収票を受領します。

  • ・住民税
  • 会社がまとめて払う場合と個人が支払いをする場合があります。退職日までに今後の支払い方法の確認をしましょう。

  • ・雇用保険
  • 退職日当日までに、「雇用保険被保険者証」を受領します。

  • ・健康保険
  • 退職日の翌日以降に、健康保険証を返還します。

お世話になった方や取引先への挨拶

社内外でお世話になった人へ、メールや口頭で退職の挨拶を行いましょう。特にお世話になった方にはしっかりと口頭で挨拶するのがマナーです。取引先へは、メールや電話などで済ませる場合も多いですが、関係性によっては「挨拶状」の郵送をすると丁寧で尚良いでしょう。

新しい会社へ入社後の、保険・年金手続き

年金手帳や雇用保険被保険者証は、すぐに新しい会社に提出する必要があります。必要な手続きの種類や期限は、会社によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

円満に退職するために

極力、揉めたりせずに円満に退職したいですよね。実際の理由がどうであれ、伝え方一つで円満な退職ができます。スムーズに退職できる退職理由を紹介します。

「一身上の理由」

雇用上は、雇用契約の解除の申し入れから2週間以上経てば、どんな理由でも退職することが可能です。

「体調が優れない」

会社側も体調が優れない人、健康面に不安がある人を無理には引き留めません。そのため比較的スムーズに話が進みます。場合によっては診断書などの提出を求められる場合があるので、担当の医師に伝え、用意しましょう。

「他の仕事をやりたい、新しいことに挑戦したい」

ネガティブではなくポジティブな気持ちを伝えることで、今の会社に対して不満があるわけではないという意志が伝わりやすくなります。このようなポジティブな理由だと、「給与を上げるからなんとか残ってくれないか」などの引き留め文句が通用しなくなり、スムーズに話が進みやすいです。

退職届に関するQ&A

Q.一度提出した退職届を撤回することはできるのか

A.原則、退職届の撤回は認められていません。

退職届は、会社に退職することを届け出るための書類です。上司や担当の部署に提出した時点で、労働者側が労働契約の解除をしたことになるので、撤回することはできないと考えた方が良いでしょう。

Q.直属の上司が退職届を受け取ってくれず、退職の交渉が進まない

A.直属の上司のさらに上の上司に退職を希望する旨を伝え、相談しましょう。

直属の上司が退職交渉に応じず、退職届も受け取ってもらえない場合は、さらに上の上司に対して「直属の上司に退職を申し出たが取り合ってもらえない」ことを相談しましょう。それでも難しい場合は、所属部署の部門長に相談します。人事部があれば、人事部に相談するのも良いです。小さな会社だと人事部がない場合もあるので、その場合は総務部の人事担当などに相談しましょう。

まとめ

いかがでしたか?今回は、退職届の書き方、退職までの流れ、そして退職にまつわるQ&Aなども紹介しました。退職は、ネガティブに捉えられがちですが、規約や会社のルールを守り、伝える相手に誠意を持って伝えれば、転職へのポジティブな一歩となります。退職するかどうか悩んでいる時間はもったいないですよ。次の新しい道に進みましょう。