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  • 注目のプログラミング言語・Rubyで

はじめに

Rubyは1990年代に登場したプログラム言語の一つで、当時すでに存在していた言語のPythonに満足できなかった日本のエンジニア・まつもとひろゆき氏が開発しました。Rubyはプログラミング言語の中では比較的長い歴史がありますが、2004年にRuby on Railsというフレームワークがリリースされてからさらに注目されるようになり、2021年時点では人気の言語となって幅広いシステムで利用されています。この記事ではRubyの特徴と、Rubyを使ってできることを紹介していきます。Rubyという言語は聞いたことがあるものの具体的にどういうものか知らなかった方、プログラムの勉強を始めようとしている方はぜひご覧ください。

Rubyはどんな特徴を持つ言語?

Rubyは日本で開発されたインタプリタ(スクリプト)言語です。インタプリタ言語とはコンパイルと実行が同時に1行ずつ処理されるプログラミング言語で、対照にはコンパイル言語があります。このコンパイルとはコンピュータ語への変換のことを表します。プログラミング言語自体、専門知識がないと人間が読解するのも難しいところはありますが、英単語等の人間の言語が使われているので勉強すれば読解が可能となります。しかしコンピュータは人によって記述されたプログラムをそのまま解釈することができません。そのためコンピュータが解釈できるように翻訳を行います。コンパイル言語は翻訳をあらかじめ済ませておき、プログラム実行時は純粋に実行だけが行われます。インタプリタ言語は一般的に処理速度が遅いと言われますが、実行テストや修正が安易にできるというメリットもあります。

またRubyはシンプルな言語としても知られています。シンプルとはその他の言語に比べて記述量が少なく済むということで、プログラミングの内容によっては一般的な言語の半分程度の量に収めることができます。なお公式サイトではシンプルというよりは「自然なもの」として捉えられていますが、この言葉に関しては、人間が直感的に利用できる言語ということを表していると言えます。またRubyはプログラミングを楽しめるように作られていて、プログラミング自体を目的とせず、本来の目的であるシステムの開発を効率的に進めるということが意識されているという点も大きな特徴です。

最後に挙げる特徴は、オブジェクト指向の言語という点です。オブジェクト指向の代表的な言語はJavaやC++、Python等がありますが、Rubyもその一つで、公式ページではPythonよりさらにオブジェクト指向にした言語とされていました。オブジェクト指向とは、ある目的をなす一つのプログラムをオブジェクトとして扱い、そのオブジェクトを組み合わせてシステムを構築していくことを考えて開発された言語です。各オブジェクトが独立しているため、他の部分に影響を与えずに改修やメンテナンスが実施でき、部分的に他のシステムで再利用することも可能になります。なおオブジェクト指向言語ではあるものの、単一の継承しか行えない等、Rubyならではの特徴もあることにはご注意ください。

Rubyの需要について

プログラミング言語には流行り廃りがあり、ある時点で主流であった言語が数年後にはほとんど名前も聞かなくなったということも珍しくありません。その中でJavaやPHP、JavaScriptといった言語は長期にわたって人気、需要のある言語です。そして様々なランキングの中で上位を占める3言語に続いて人気の言語の一つにRubyやPythonがあります。2021年7月時点でRubyの人気はやや伸び悩んではいるもののベンチャーやスタートアップといった若い企業、特に開発のスピード感が求められる企業で多く使われる言語であり、個人で起業する人が増えてきている世の中ではこれからも需要が続くと考えられます。なお日常的に利用している人も多いTwitterや食べログ、グノシー、クラウドワークス等もRubyで開発されているサービスです。ただし最初に挙げたJava等のように長い間需要のある言語となるかはまだ未知数の段階であるため、Rubyの習得をきっかけとして、他の言語も同時に学んでいくことで、プログラマーとしての価値を上げていくことをおすすめします。

Rubyは日本で生まれた言語ということもあり、日本語の情報や参考書が充実しています。インターネット上の学習サイトでRubyを扱っているところも多いので学習する際のツールには不自由しません。プログラミングの学習サイトの場合は、開発環境の用意をしなくても実践的に学べるのでおすすめです。また同じオブジェクト指向であるPythonやJavaを扱ってきたプログラマーであればRubyの習得は容易と言われています。

Rubyでできること

Rubyでできることは大きく3つあり、Webサイトの作成、アプリケーションの開発、スクレイピングに分けられます。それぞれについて詳しく紹介します。

Webサイト作成

Webシステムの開発はデザインを含めた画面側の開発であるフロントエンドと、サーバー側で処理が行われるプログラムの開発であるバックエンドに分けられますが、Rubyはその両方に対応できる言語です。そのためホームページやブログページはもちろん、ショッピングサイトの全体を構築することも可能です。なおRubyには、フレームワークであるRuby on rail製の「Solidus」というECサイト用パッケージがあるため、ショッピングサイトの開発をサポートしてくれます。またユーザー登録機能やログイン機能が必要となるSNSサイト、コミュニティサイトもRubyにて作成可能です。

アプリケーション開発

Rubyの代表的なフレームワークであるRuby on railsには便利なパッケージやAPIが含まれているため、このフレームワークのリリースによって様々なアプリの開発が簡単に行えるようになりました。クックパッドや食べログ、クラウドワークスのアプリはRuby on railsが利用されているアプリの一例です。なおRubyではWebアプリ、スマホアプリの両方を開発ができる他、Webアプリを基にネイティブアプリの要素を取り入れた「ハイブリッドアプリ」の開発も可能です。またAndroid OSのアプリ開発には「RUBOTO」、iOSのアプリ開発には「RubyMotion」というフレームがそれぞれ利用できます。

スクレイピング

Web上には非常に膨大で貴重な情報がたくさんあり、マーケター等の情報収集が必要な職業の人はWeb上に溢れる情報を少しでも多く、効率的に集めて活用したいものです。そういった時に必要なのがスクレイピングという仕組みであり、検索エンジンでも利用されています。スクレイピングはWeb上からデータを収集するだけではなく、そのデータを加工できるため、例えば様々な情報サイトやニュースサイトを巡回してデータ収集したうえで一覧にして見やすくするといったことが行えます。Rubyではこのスクレイピングに便利な「Nokogiri」というライブラリが用意されています。なお収集する対象はテキストだけではなく、画像や動画データも可能です。スクレイピングは使い方によっては著作権等の法律的な問題に繋がる可能性もあるため、あらかじめ問題がない利用方法であるかという確認を十分にしたうえで利用する必要があります。

まとめ

以上紹介してきたようにRubyは日本で開発されたシンプルな言語という特徴を持っているだけあってプログラミング初心者が学習しやすい言語の一つと言えます。簡単な言語の場合、その言語のスキルだけで仕事に繋げることが難しいものもありますが、Rubyの場合はWebをはじめとした多くのシステム開発の現場でプログラマーとして活躍できる可能性があります。開発を効率的に進められる人気のフレームワーク「Ruby on Rails」のスキルも一緒に得ることでさらに活躍の幅が広がるので、プログラミングをこれから勉強しようとしている方は、ぜひRubyを検討してみてはいかがでしょうか。