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  • IBM Watsonとは?詳しく解説

IBM Watsonの概要について

ここでは、IBM Watsonについて説明させていただきます。 IBM WatsonはIBM社が提供するAIプラットフォームであり、世界的で最も有名なAIの一つとして知られております。 IBM社ではIBM Watsonの定義として、AI=人工知能(Artificial Intelligence)という表現をあまり使いません。 Artificial Intelligenceという言葉のもつ印象である、人間を超越する知的能力を持った ロボットや人間の知的能力を工学的に利用するというイメージを避けるためです。 AIを人工知能でなく、拡張知能(Augmented Intelligence)として 定義する考え方が広がっておりますがIBM社社においても同様であり、 AIは人間の苦手な部分のサポートを通じて協調的な関係性をもち意思決定を支援するためのテクノロジーという考え方になります。 そのような考え方を知ることで、IBM Watsonの役割やサービスを理解しうまく活用するための一つのヒントになるのではないでしょうか。 IBM WatsonはAIの力を活用し、様々なビジネスを支援するためのプラットフォームです。 いくつか活用方法を紹介させていただきますと「顧客対応」「医療」「教育」「広告・販売・接客」「人材育成」「意思決定の支援」「知識共有」「IoT/ビッグデータ」「セキュリティー」などです。 個別の事例紹介はここでは割愛させていただきますが、IBM Watsonを利用することでユーザーが蓄積したデータを過去の膨大なデータと照らし合わせて業務プロセスに組み込むことが可能となります。 また、大量のデータを一瞬で把握しすばやく知見や洞察を見出したり、情報と知見に基づく意思決定を支援するなど業務の効率化を実現することが可能となります。 IBM WatsonのAIを導入する際には複数あるサービスの種類の中から最適な機能を持つサービスを選定し 利用することが必要となります。 「紹介応答系」ではアプリケーションに自然言語インターフェースを追加しエンドユーザーとのやり取りを自動化することができます。 「知識探索系」では大量の自然言語データから、洞察エンジンを利用して回答を導出します。 「画像系」では画像コンテンツに含まれる意味を検出します。 「音声系」では音声をテキストに、もしくはテキ然言語テキストの分類や他言語への翻訳を行います。 「心理系」では自然言語テキストから筆者の性格を分析、感情・社交性・文体などを解析します。 「データ分析系/AIライフサイクル管理系」では機械学習や深層学習向けのデータ準備などを行います。 ここからはIBM Watsonについてさらに詳しく解説させていただきますので参考にしてみてください。

IBM Watsonの考え方と歴史

IBM Watsonの考え方と歴史について説明させていただきます。 IBM社が開発したスーパーコンピューターである「ディープブルー」が1997年にチェス世界王者である ガルリ・カスパロフに勝利したことは当時大きなニュースとなりました。 IBM社が2011年に創立100周年を迎えるにあたりインパクトのあるプロジェクトを立ち上げるということで 始まったのが、米国の人気クイズ番組「ジョパディ!」への挑戦であり、これがIBM Watsonの歴史のスタートです。 研究が始まったのが2006年であり、2007年には世界中の IBM社の技術者が集結し総力をあげ、2011年についに「ジョパディ!」で優勝することとなりました。 IBM Watsonは従来のコンピューターシステムとは違ったアプローチを行い成功に至ったと考えられております。 従来のコンピュータはデータベースで属性が完全に合致したものを正答として返すという作業を行っていたのですが、この方法ですと簡単な質問に対しては迅速に正確性をもって回答できますが、 複雑な質問になってしまうと精度が低い回答しか得ることができません。 IBM Watsonは従来の方法でなく断片的な情報をたくさん集めその中から候補を絞りこんでいくという 方法をとったのです。 この考え方はIBM Watsonの基本的な考え方となっており、 データベースやプログラミング言語は動作条件を指定することで正しい回答を返し動作を実行します。 人間においては断片的な情報をインプットするとそれを経験や感覚によって処理しております。 この部分をビッグデータの膨大なデータを活用することにより、判断の精度を上げることや 支援するということが可能になります。 IBM社ではこのように人間とコンピューターの共生するシステムという考え方を基本として 様々なサービスを提供しております。 そのように考えるとIBM Watsonの様々な機能をより深く理解し使いこなすことができるのではないでしょうか。 以上がIBM Watsonの考え方と歴史についての説明となります。

IBM Watsonの特徴について

IBM Watsonの特徴について説明させていただきます。 ポイントを絞り紹介させていただきますので、参考にしていただけましたら幸いです。

信頼性

IBM Watsonの特徴の一点目が信頼性となります。 IBM社は創業以来110年もの歴史を誇る老舗ベンダーとなります。 まさにITの歴史そのものと言えるほど多くの歴史的な実績を作ってきました。 当然ながら大企業への導入実績も抜群です。 IBM社は基幹系システムを多く提供してきましたが、そのノウハウを生かした堅牢性やセキュリティーの高さは 業界でもトップクラスでありクラウドサービスにおいても同様です。 IBM Watsonにおいては開発から約15年が経過しており、本文でお伝えした通りIBM社の技術者の テクノロジーを集結したサービスと言え、信頼性は非常に高いことは間違いありません。

大量データ処理

IBM Watsonの特徴の二点目が大量データ処理となります。 AIにおいて重要な点が多くの情報を集め分析し処理する能力です。 その能力により回答の精度やパフォーマンスに影響します。 大量のデータの中からすばやく知見や洞察を見出したり、顧客に対してさまざまな場面で一貫した質の高い応対を 実行できるのはIBM Watsonの特徴と言えるでしょう。

Watson API

IBM Watsonの特徴の三点目が Watson APIとなります。 Watson APIを利用することで様々な機能が利用可能です。 また、言語系、画像系、音声系、探索系などそのラインナップも 豊富であるため多くのビジネスに対応することができます。 他のIBM Cloudのサービスと組み合わせることで、さらに有効に活用することが可能となります。

IBM WatsonのAPIについて

IBM WatsonのAPIについて説明させていただきます。 代表的なAPIを紹介させていただきますので、参考にしてみてください。

Watson Assistant

Watson Assistantはインテリジェントな仮想エージェントとして、 高機能かつ高品質なチャットボット機能を提供します。 堅固なトピック理解力、AIを活用したインテリジェントな検索力を活用し 正しい回答を導き出します。 また、Watson Assistantでは回答の速度も特徴であり、 リアルタイムの自然言語処理(NLP)により高速に処理し回答を実行することが 可能となります。 また、構築の容易さもWatson Assistantの特徴でありローコードでドラッグ&ドロップにより 優れたチャットボットを作成しユーザーに提供することができます。

Watson Discovery

IBM Watson Discoveryはテキストの検索や活用を行うためのAI(人工知能)であり、 IBM Watson製品の中において構築済みアプリケーションとして提供されているサービスの一つとなります。 Watson AssistantやWatson Speech to TextのAPIと組み合わせて導入されることも多く、 ユーザーのビジネスをAIを使い強力に支援します。 IBM Watson Discoveryではあらゆる形式のデータを処理し取り込み加工を行い テキストを検索し活用することを実現できます。 コールセンターやヘルプデスクを始めとして顧客からの問い合わせ対応を行うオペレータ業務などでは、 IBM Watson Discoveryが膨大なデータからテキストを検索し業務の負担を削減します。 Watson Discoveryを導入することで時間の削減・コストの削減など多くのメリットがあるため、 数多くの導入実績を誇るAPIの一つと言えるでしょう。

Watson Natural Language Understanding

Watson Natural Language Understandingは高度なテキスト分析のための自然言語処理を実現することが可能です。 自然言語理解はAIの中でも高度なテクノロジーが必要とされ、 様々な企業において熱心に研究が行われている領域です。 Watson Natural Language Understandingは13の言語に対応しており、 エンティティー、関係、キーワード、意味役割などを抽出するための高度なテキスト分析機能を搭載しております。

Watson Speech to Text

Watson Speech to TextはAIにより音声をテキストに変換します。 IBM社の最新の機械学習モデルをそのまま使用してすぐ利用することも可能ですし、 ユーザーがカスタマイズすることも可能です。 コールセンターやコンタクトセンターなどで多くの導入実績を誇ります。

Watson Text to Speech

Watson Text to SpeechではAIによりテキストを音声に変換します。

IBM Watsonの導入事例

IBM Watsonの導入事例について説明させていただきます。 イッツ・コミュニケーションズ株式会社はケーブルテレビ放送局やインターネットサービスプロバイダ 事業を中心に運営している企業で、テクニカルサポーターの電話対応支援を行うために IBM Watsonの導入を行いました。サービスの多様化に伴い、様々な問い合わせが増加し 対応の難易度が上がっていたことが導入の理由となります。 IBM WatsonのAIは様々な事業領域を強力に支援しますが、その中でもコールセンター・コンタクトセンター業務は得意領域の一つとされております、オペレーターの支援を行うための様々なテクノロジーを保有しております。 具体的には音声認識による会話のテキスト化、問い合わせ内容の解析、ナレッジ(マニュアルやFAQ)検索による回答候補の表示などの機能となります。 また、1通話ごとに確認できるAIの自動通話品質フィードバックやリアルタイムモニタリング、オペレーター応対品質評価レポートなどの機能が実装されていることでオペレーターだけでなく管理者の支援を行うことが可能となり、 オペレーター業務全体の品質向上に貢献します。 イッツ・コミュニケーションズ株式会社が導入した製品とサービスについては以下となります。
「IBM Watson Discovery」
「IBM Watson Speech to Text」
「IBM Cloud」
「Watsonコンタクトセンター構築支援サービス」
具体的な効果としては、適切な回答候補表示などによりオペレーターの負担を軽減(応対時間約10%削減、ロールプレイ研修期間約30%削減)することができました。 また、テキスト化された通話内容の活用により、オペレーターを支援する管理者の各種業務を改善 (通話内容確認時間を1日あたり約100分削減)することやAIの自動通話品質フィードバック、リアルタイムモニタリング、オペレーター応対品質評価レポート機能を活用し、応対品質向上への取り組みが加速したことも大きな効果と言えるでしょう。

新人のオペレーターの場合、基礎的な知識を学ぶことは当然として、必要な情報がどこにあるかを 判断する必要がありました。システムが問い合わせ内容を解析、検索し、回答候補を表示することによって オペレータが情報を探すための時間を大幅に削減することが可能になりました。これに伴いオペレーターの業務習得速度や成長にも大きな影響があることは間違いありません。
さらに、通話終了後AIの自動通話品質フィードバック画面が表示されることで、言葉遣いや評価などを確認することが可能となります。これによりオペレーターの会話内容の改善や品質向上に貢献することを実現しました。 また、IBM Watsonはオペレーター管理の面でも業務改善を可能にしました。 従来であれば一回のモニタリングで一人のオペレーターの会話しか確認することができなかったのですが、 最大8名までモニタリングパネルで会話内容をテキストでリアルタイム表示することで 管理者が速やかにフォローすることやオペレーターに対する評価の時間を削減し、クレーム回避に繋げることを 可能にしました。

まとめ

いかがでしたでしょうか? IBM Watsonについて詳しく解説させていただきましたので、参考にしていただけましたら幸いです。